序 彼女の賜物
神父は重々しく聖書を開き、そして読んだ。
「コリントの信徒への第1の手紙より。
ある人には奇跡を行う力、ある人には預言する力、ある人には霊を見分ける力、ある人には種々の異言を語る力、ある人には異言を解釈する力が与えられています。
異言を語る者は、人に向かってではなく、神に向かって語っています。それはだれにも分かりません。彼は霊によって神秘を語っているのです。 」
シスター・マリエッタはこれを聞き、ひざまずいて神に祈った。
「主よ。わが力をきよめ、汝が御旨に叶うものとしたまえ。アーメン」
ミサが終わると、シスター・マリエッタは神父のもとへ行った。
「神父様、私は賜った力を用いて奉仕したいと思っています。でもそれが本当に神の御心に叶っているか確信がないのです」
神父は答えた。
「シスター・マリエッタ。神は授けた賜物を人々がどのように使うか、天から見ておられるのです。あなたの心が神の前に正しければそれは御心に叶うものとなるのです。まず神の前に自らを正していただきなさい。そして世のために用いるのです。あなたの持つ賜物を」
するとシスター・マリエッタは手を組み、頭を垂れて言った。
「感謝します」