エピソード3
「起きろーー!!」
耳にタコができそうな、黄色い声が
ぼくの耳元で響く。
「・・・・・・。」
……また、朝が来た。
きのうは、激痛でしばし眠れなかった気がするんだけど……。
そんなこともお構いなしに、とにかく妹は、朝が強い。
寝てる間に、ぼくの生気が妹に吸い取られてるんじゃないかと本気で思うくらい。
まぁ、妹のおかげで学校に遅刻とかはないわけで、
助かってはいるわけだけど……。
肩をつかまれて、揺らされる程度で起きれたら運がいいけど、
仕舞いには、脇をこちょがしてくるのでとても困る。
ぼくが起き上がらないと、妹も身支度できないわけで、
妹も、まぁ、とっても必死なわけ。
「ちょっと! はやく、洗面所!! ……もぉー、間に合わないじゃない!!」
「ちょっ! その前にトイレトイレっ……!」
「はぁ?! そのくらい我慢しなさいよ!」
……妹は、トイレというものに対する理解がまるでなくて困るっ。
毎日、2人分の排泄物を出す身にもなってみろ!!と叫びたいところだが……
食事の前にそれは絶対的にタブーだ。
「いってきまーす!」
妹は、母の写真に向かって、前髪を整えつつ、いつも声をかける。
ぼくは……妹が言ってくれるので、いつもだまってる。
きのうは、あんなに晴れてたのに、
今日の空は、曇り空。
雨もポツポツ降っている。
「えぇっと……かさかさ!」
二人乗りで相合傘とかって、どんだけだよ(笑!
とかって友達に言われたりすることもあるけれど、
傘は妹が持っててくれるわけで、まぁ普通に便利だから、仕方がない。
そう……ぼくらは、これでも中学に通って……
自転車をこいでるうちに、雲の隙間から光が差してきて、
雨に濡れたアスファルトをキラキラ照らした。
<つづく>