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3.10 王城地下

 フリードとキャロルの関係が一歩前進してから少し時が流れた夕食時、結弦たちはリベラル大聖堂の自室に集まっていた。


「……で、日がくれるまでその騎士とお姫様ごっこに興じていたと?」

「『ごっこ』とは随分と棘を感じるのですが?」


 結弦の呆れ返った感想にキャロルが反応する。


「いやまぁお姫様は頑張ったと思うよ? 俺が言いたいのはフリード、お前なんでこんな美少女に告られて涼しげに紳士気取っちゃってんの? あれか? イケメン特有の余裕ってやつか!? ここ数年彼女の一人もいない俺への当て付けとしか思えんのだが……」

「いえ、そんなつもりは……そもそもキャロル様はまだ幼いので、そういうのはきちんと成人してからにするべきかと……」


 フリードはなんとも言えない顔で結弦に弁明する。――いやまぁそうかもしれないけどさ、男たるもの行くべき時は行かないとダメなんじゃないのか?


「完全に自分のことを棚に上げていますね。――ご主人様、そんなひがみ根性全開なのはみっともないですよ?」

「うむ、ぬしさまには童たちがおるんじゃ……そうガミガミするでない」

「うぐっ」


 興奮気味な結弦をアリスと白音が前後から抱き締めて抑え込む。――むぅ、このままだと俺が悪者にされかねん。


「うぬうぬ、ぬしさまはプリティな童たちが可愛がってあげるのじゃ」

「どうやら少しは冷静になられたようですね」

「すまん、少し周りが見えていなかった」


「はい! ユヅル様も落ち着いた所で話を戻しましょう。こんな不毛なことで貴重な時間を浪費してはいけません。――フリード、一応確認するけど叙任の報告は帰ったらちゃんとシャルルにするのよ?」


 見かねたエステルが場の流れを正す。

 略式だったとはいえ、一国の姫君が正式な手順を踏んだ行為である以上、それ相応の事後処理が待っている。


「既に覚悟は固めております。帰還次第、国王陛下にご報告させていただきます」

「そう、ならいいわ。――まぁ今日はもう遅いし王都へ帰るのは明日の朝にしましょう」


 その後、エステルが要点を手早く話をまとめて会を解散させた。



 翌日、通算三回目となる王城へ足を運んだ結弦たちはため息混じりに『ついにこの時がきたか……』と呟くシャルロットの前に立っていた。


「どうも今日は朝から胃の調子が悪かったのだが……まさかこんなことになろうとは……」

「陛下の与り知らぬところで叙任を受けてしまい、大変申し訳ございませんでした」

「いいじゃない、めでたいことよ?」

「エステル婆も親になれば分かる。――仕方ない、ひとまずはフリードの叙任を周知させるとしよう。細かいことは追って連絡する」

「かしこまりました」

「わかったわ」

「あーちょっとまってくれ。まだ話がある」

「なにかしら?」


 報告も終わり部屋から出ようとすると、シャルロットが結弦たちを呼び止めた。


「前にエステル婆から頼まれていた変遷記についてだが、ようやく管理の者から許可が下りたそうだ。――時間があるなら地下の図書室に寄っていってくれ」


 そういえばそんなのもあったな。フリードとキャロルとのゴタゴタのせいですっかり忘れてた。


「あぁ……そんなことも頼んでいたわね。帰りにでも寄っていくわ」


 どうやらエステルも忘れていたらしい。――俺と違ってフィリアからの勅命と張り切っていたはずなんだが……まぁいっか。


 シャルロットにお礼を言い、今度こそ退室した結弦たちは王城地下にある図書室へ向かった。



『まったく……こんなに遅くなるとは思わなかったわ』

「大変申し訳ございません」

「いいじゃないか。――フリードとキャロルの一件があろうとなかろうと閲覧には色々と手順を踏まなきゃいけなかったみたいだし」

『はぁ……それもそうね』


 ずっと待ちぼうけを受けていたフィリアがエステルに愚痴をこぼす。

 流石にフィリアの前ではばつが悪いのかエステルも申し訳なさそうな顔をしている。


 現在、結弦たちは王城地下にある図書室の更に奥、禁書庫を探索していた。――というのも国宝指定されている変遷記は国事の時を除いて開架エリアには無いらしく、警備が厳重な禁書庫に納められているとのことだ。

 そして、この警備というのが自立型ゴーレムによる巡視で特定のパスを身に付けていないものを排除するように組み込まれている。


「それよりもこのデカブツ、後何体ぐらいいるんだ?」

「ん~にゃ、魔素の反応は二十弱といったところじゃ」

「まだそんなにいるのか……」


 結弦は白音が報告する敵の数にげんなりする。


 当初、この禁書庫には正式な許可を貰っているエステルのみ入る予定だった。――のだが、図書室の司書が話すゴーレムの情報があまりにも危なそうだったのでエステルが入った後、結弦がリファクションで司書の目を誤魔化してエステルの後を追った。

 当然、パスを持たない結弦たちをゴーレムは容赦なく襲いかかってくるので、たいして状況は変わっていないのかもしれないが……


「そうくよくよするでない。久々に体を動かせて楽しいのじゃ♪ ほれ、そこの角から一体出てくるのじゃ!」


 ゴーレムが角から現れるのに合わせて白音は鬼火を決め打ちする。

 そして鬼火の影に隠れて敵に詰め寄ったレンが愛刀の『無銘(むめい) (かね)(しげ)+10』と『(むら)(まさ) 妙法(みょうほう)蓮華(れんげ)(きょう)+17(邪鬼王)』を縦一線に振り下ろす。


「やったのー」

「ご苦労様、この調子で頼んだ」


 レンも久々の戦闘でとてもいきいきとしている。――このまま俺が高みの見物に耽っていられればいいんだけど……


 ゴーレムを撃破した結弦たちは再び歩みを進める。


 そして警備に就いていたゴーレムを十数体倒したところで変遷記が置いてある書架へとたどり着いた。

すみません。

ちょっと時間がなくて完成度低めになっています。

時間を見つけ次第修正致しますので少々お待ちください。

それと次の投稿も1週間後になっちゃいそうです。


更新が少なくなってしまい大変申し訳ございませんm(__)m


12月に入れば少しは改善すると思いますのでそれまでは辛抱強く待っていただけると嬉しいです。

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