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2.2 売店

 翌朝、結弦たちはロクシタンへの帰路に必要な備品を調達しに、ここ数日通い詰めていた市場を練り歩いていた。

 ――と言っても、今回の昇格依頼によって消耗した資材はほとんど無く、調達といっても糧食を確保する程度だったりする。


「初めてこの村に訪れましたが、何だかんだと思い出いっぱいの数日になりましたね」

「あぁ……一時は大変な展開もあったが、こうして三人揃って無事に帰れることが出来て何よりだ」

「そうですね。――っと、ここが最後の店ですよ」

「おっと危ない危ない」


 のどかな街の雰囲気に飲まれのんびり市場を散策していると、いつの間にか市の端まで歩き切っていた。

 結弦はしっかりと予定の品物を購入する。


 そしてこのままロクシタンへ向けて出発しようか考えていた時、横で思案顔になっていたアリスから提案が挙がる。


「ご主人様、もしよろしければ帰る前にギルドの売店エリアに寄ってみませんか? この先、この村に訪れる機会があるか分かりませんので、出る前に品揃えを確認しておきたいです。――小さな村ですのであまり物が揃っていないかもしれませんが………」

「ふむ、それもそうだな。今回の昇格依頼で貢献ポイントがだいぶ貯まっているから目ぼしいものがあれば買ってみようか」


 確か前に聞いたときは市場に出ない珍しい物を中心に取り扱っているとの話だったけど……せっかくだし何か役に立ちそうな物があるといいな。


 そんな淡い期待を抱きながら結弦たちは市場から冒険者ギルドへと移動する。



「いらっしゃいませ!」


 売店エリアに足を踏み入れると、ギルドの職員と思われる青年が元気な挨拶で出迎えてくれる。


 店の広さはザっと見積もって三十平米くらいあり、小さなギルドの建物にしては広いスペースを確保していた。

 商品に関してはこちらもパッと見た感じだが、俺らが想定した以上に取り扱いがありそうで、この感じだとロクシタンからもある程度取り寄せているのかもしれない。


「予想以上ですね。――量や種類もそうですが、ちらほらと私が見たこともない物が見受けられます」


 どうやら博識のアリスでも知らない物があるそうだ。


「どうもありがとうございます。当ギルドでは新人冒険者の支援も兼ねておりますので、一般的に入手に多額の金銭が必要なものや、そもそも入手困難なものを安くご提供させていただいております。対価としてギルドでの依頼を沢山こなしていただく必要がありますが費用対効果を考えればずっとお得かと思います」


 店番をしていた青年がアリスの評価を聞いて売り込んでくる。


 せっかくなのでそのまま売店のシステムについて聞いてみると、蓄積された貢献ポイントは商品の購入権を獲得するために必要らしく、価値が高いほど大量のポイントを消費するようだ。ただ、売り物自体の値段設定はかなり低めに抑えられているので、ここで装備や備品を揃えるパーティーも多いらしい。


 店員から一通りの説明を受けた後、結弦はアリスとレンを引き連れて売店を一周回ってみる。

 棚に置いてある品物は、受けた傷を瞬時に癒すマジックポーションの類や魔物の情報を事細かに記載したモンスターブックなど多岐に渡っていた。必要な貢献ポイントも大体『300』~『500』くらいで今の俺たちでもその気になればいくつかは買えそうだ。


「こりゃ見てるだけで購入欲を掻き立てられるものばかりだな」

「そうですね。ただ、今回は品揃えのチェックが目的です。ロクシタンに帰っても置いていそうな物は購入リストから外すことをお忘れなく」


 アリスの言う通り、ロクシタンの冒険者ギルドに置いてある物の方がギルドの規模的に上位互換の可能性があるので、ここで買うものは特に珍しく必要性が高い物だけに留めておきたい。


「あぁ、そうだったな。――すまん、ここに置いてある商品の中で特に珍しい物はどれか教えてくれるか?」


 アリスとの会話を横で聞いていた店員が話したそうにうずうずしていたので話を振ってみた。


「そうですね。流石にロクシタンの金ランクギルドですと大概の商品は取り扱っておりますので……そうですね、向こうの方にある書物関連や珍しい素材を使った装備とかでしたら当店で購入されても損はないかと思います」

「なるほど。――ありがとう、参考になった」


 店員のアドバイスを参考に、アリスとレンがそれぞれ興味を抱いたブースに駆けていく。


 ――どうやら本人達も目を付けていたものがあるみたいだし、少し様子を見てみようか。


 そして少しの間店員と談笑しているとアリスが一冊の本を、レンが薄手の布をそれぞれ持ってきた。


「ご主人様、見てください! ご主人様がお使いになる空間魔法に関する魔導書が置いてありました。私自身、空間魔法というものを知らないので価値がどの程度のものかは分かりませんが使えたら色々と便利そうです♪」

「あぁ、分かった、分かったから少し落ち着け。――っでレン、お前の持っているそれはなんだ?」

「この布、ものすごく伸びるの~!アリスの防御力アップに良さそうなの~」

「ほぉ、《防刃のキャスケット+4》か。名前から斬撃吸収に優れてそうだし確かに打たれ弱いアリスには必要かもな。――あぁすまないが、この魔導書とローブはロクシタンに行っても購入出来るか?」

「そうですね、魔導書に関しては使い手自体が少ないのでギルド内でも流通数はとても少ないです。――ですので、ロクシタンのギルドにも置いていない可能性があります。――ただ、キャスケットにつきましてはそこまで珍品という訳でもありませんので向こうのギルドでしたら恐らく置いてあると思います」

「そうか。――まぁせっかくだし二つとも売ってくれ」


 魔導書は定員の口ぶりからも中々にレアな物らしいし購入でいいだろう。まぁ帽子に関してはせっかくレンがアリスの為を思って持ってきてくれたのだ、買っておこう。――もしロクシタンでより良い物があったのなら、またポイントを集めればいいだけのことだしな。


「かしこまりました。――二点合わせまして貢献ポイントを『850』点、お代を銀貨換算で百二十枚頂戴いたします」


 結弦は冒険者カードと代金を店員に渡す。


 やはり珍しい物だけあってお金もポイントも結構持っていかれたな。



 魔導書と装備の購入を終えた結弦たちはギルドに併設されている酒場へ移動する。


「すみません。また私の物を買っていただく形になってしまいました」

「気にするな。――どちらも必要なものではあるからな」

「ありがとうございます。レンちゃんもありがとね♪」

「あい!」

「とりあえずこれで今日やらなきゃいけないことは終わりか?」

「そうなりますね。――特にご予定がないのでしたら午後は先ほどお買いになられた魔導書を読んでみませんか?」

「確かに気になるな。わかった、午後は読書タイムにしよう」


 午後の予定が決まった結弦たちは酒場で簡単な昼食を取って宿に戻る。

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Twitter:ぽんさん(@PonSanMk2)

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