表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/82

1.17 昇格依頼

「いい景色だな」

「そうですね。この調子ですと昼過ぎにはパイルの村へ到着できると思います」


 レンが手綱を取る馬車に揺られながら、結弦はのどかな丘陵地帯を眺める。


 ここまでの道すがら、特に強敵といえる魔物に会うことなく、比較的平穏な旅路が送れている。

 それこそ何度かあった戦闘もレベルが上がった二人の敵ではなく、今のところ順調そのものと言えるだろう。


「そうか。思ったよりあっさりと着きそうだな」

「そうですね。見晴らしが良い道なので敵への警戒も容易でした」


 その後、結弦たちは予定通りにパイルの村へ到着した。

 一応村に到着する直前に山岳(さんがく)(たら)の塩漬けを荷台に積んでおく。五キロ相当とは言え、結構場所を取っていたのでロクシタンを出て少しした所で、俺が道具欄に収納しておいたのだ。


「村に入ったらまずはこの鱈を捌いてしまおう。小さい村らしいから商工ギルドがあるとは限らない。手分けして売れそうな店を探そう」

「かしこまりました……あっ、ご主人様。どうやらその必要は無さそうですよ。あれを見てください、村の中央で市のようなものが開かれています。」

「確かに……あの中だったら適当に売りさばけそうだ。丁度お昼時だし、さっさと売り払って俺らも屋台で飯を買おうか」

「はい(にくー!)」


 相変わらず肉に対して貪欲なレンに呆れつつ、結弦たちは村の中に入っていく。

 邪魔にならない所で馬車を停留させ、荷台から鱈を下ろし、市場に持っていく。



 市場の食料品を取り扱うブースに行き、山岳鱈が売れそうな店と交渉する。


 交渉の末、鱈は元値に銀貨七枚を上乗せしたカヌレ金貨八枚と銀貨七枚で売る事ができた。

 俺は道具欄に収納出来るし副業程度にしか考えていないので特に思うことは無いが、普通の商人にしてみれば1日以上かけて運搬した商品がたった銀貨七枚とは泣きたくなるだろう。


「やはり鱈の運搬は旨味が少ない取引となってしまいましたね」

「それはしょうがないな。馬や馬車を安く手配してくれたんだしそれでトントンと思おう」

「はぁ……ご主人様は商人には向きませんね。お人好し過ぎます」

「まぁそう言うな。それよりもせっかく新しい村に来たんだ。この村の特産品でも食べに行こう」

「はい」


 『じゅるるー』と俺とアリスが損益の話をしている間もレンは屋台の串焼きによだれを垂らしながらロックオンしており、今にも突撃しそうだった。――一品目はこれで決まりか。


「レン、お昼にするけどまずはアレでいいのか?」

「あい! に~く~なの~」


 お金を渡し結弦の許しが出た途端、レンは目標の屋台に突撃していき、心配なアリスが後ろから付いていった。


 二人が食料を確保してくれるまでの少しの間、結弦はこの村を観察する。


 うん、とてものどかな村だ。それこそRPGゲームで最初に訪れる村と相違ないだろう。住人は皆似たり寄ったりな格好をしていて全体的には年配の方が多い感じかな。


「買ってきたの~」

「ありがとう。後、食べ歩きはやめなさい」

「そうよ、お行儀が悪いよ」

「むぅ~……わかった…の」


 結弦たちは近くのベンチに移動し、昼食にありつく。

 レンが買ってきてくれたのは、この付近で獲れる灼熱(しゃくねつ)(ちょう)という赤い羽根を持つ七面鳥みたいな鳥の肉を一口サイズに切り分けて炙ったものらしい。この村の鶏肉料理には大体使われているみたいだ。


 その後もレンの食べ歩き街道は止まることを知らず、肉・肉・野菜のコンボを小一時間ほど味わう。途中に野菜が挟まれているのはレンの栄養を気にしたアリスのお姉ちゃんモードによるものだ。

 また、行商品として運ばせるだけあって魚は貴重な食材らしく、屋台レベルでは取り扱っている店は皆無だった。


「さて、腹ごしらえも済んだことだし、冒険者ギルドに行こうか」

「そうですね。依頼の内容によっては今日中に片付くかもしれません」


 屋台のおっちゃんに冒険者ギルドの場所を聞き、結弦たちは冒険者ギルドへ向かう。



「昇格依頼ですね。現在当ギルドでご用意できるのはこちらの二つになります」


 ギルドの受付嬢から提示された依頼は筆頭ゴブリン一体の討伐とアンデットソルジャー十五体の討伐の二種類だった。


「アリス、どう思う?」

「私感でよろしければ筆頭ゴブリンがいいと思います。アンデット系の敵は物理攻撃が通りづらいのでレンちゃんとの相性が悪いです」

「ならゴブリン討伐にしようか」

「はい」

「かしこまりました。――ではこちらがゴブリンの生息図と支給品の発光石です。恐らく洞窟内での戦闘になると思われますのでランタン代わりにお使いください」

「ありがとうございます」


 依頼を受けて冒険者ギルドを出る。


 《依頼書》

 _____________________

 依頼名:『筆頭ゴブリンの討伐』

 内容:筆頭ゴブリン1体の討伐

 依頼者:冒険者ギルド

 ランク:アイアン限定

 報酬:スィード金貨3枚、ランク昇格

 備考:冒険者のランクが上がる昇格依頼です。

    この地方で森奥の洞窟に生息している

    ゴブリンの指揮役を討伐してください。

    また、ゴブリンは低レベルとは言え知性

    を有しております。長期戦になることも

    ありますのでご注意してください。

 _____________________


 今までも大集団との戦闘は何度かこなしてきたが、ゲーム定番のゴブリンは初めてだ。

 依頼書には知性有りとも書かれているから少し厄介かもしれない。あと、洞窟内なら火属性魔法は頻繁に使えないな。――酸欠になるだろうし。


「長期戦の可能性もあるみたいだし討伐は明日にしようか」

「そうですね。では、宿の確保と消耗品の補充をしておきましょうか」

「わかった(あい)」


 二人は顔に出しはしないが長旅の後だ。疲れは溜まっているだろうから今日は休みにする。


 明日に備えて包帯や傷薬といった消耗品を買い足し、結弦たちは村に一つしかない宿屋で疲れを癒した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Twitter:ぽんさん(@PonSanMk2)

小説家になろう 勝手にランキング
↑ ↑ ↑
良ければこちらもポチっと押して頂けると助かります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ