第9話「仕事モードみたいなの誰しも持ってる。」
ディーラ=シュトル
ライフ4 水5
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP6/6 手札6枚 墓地4枚
場 1/2ネレイス
2/4カリュブディス
時坂 秀人
ライフ19
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(5/5)
MP6/6 手札3枚 墓地2枚
場 6/3ドワーフ
3/2レプラコーン×2
2/4ドライアド
手札
木 2/1/3 R/X「メリアス」
効果 召喚時、敵のライフに1ダメ与える。
木 3/2/4 R/X「ドライアド」
効果 このカードの受けるダメージを-1する。
木 6/0/7 R/X「アルラウネ」
効果 召喚時、自分のライフ+3する。攻撃時、+4/+0する。
水 8/2/4 R/★★★「カリュブディス」
効果 コスト-水カウンター(3よりは少なくならない)。
自縛(攻撃が出来ない。)
リサイデントの攻撃時、手札を1枚捨てることによりそのターンそのリサイデントによるダメージを0とする。
MP3/6
そのテキストを見て驚愕した。
ダメージ無効化だと……!?手札一枚捨てるだけなら確かにノーダメージも可能性としては有り得る。
しかし、こちらは4体居て、次のターン更にリサイデントを横に並べられる。手札6枚では直ぐに尽きるも同然。
まだ勝機はある……!
「ウンディーネを召喚。」
いつもの抑揚ない声でリサイデントを召喚した。
体が水のみで出来て体だけ女を保ったウンディーネが召喚される。
ディーラもウンディーネだからもしかしたらあのカードも知り合いなのかもしれないな。
水 3/1/2 R/X「ウンディーネ」
効果 召喚時、デッキから2ドローする。
MP0/6
ウンディーネの効果で手札の枚数は保てたか。
けど、保つだけじゃ減っていく一方だからいつかは息切れを起こす。
しかも、そう遠くない未来にな。
新カードに少し焦りはしたが、この状況なら十分に勝機がある為焦る必要もない。
「ネレイスで攻撃。」
水の弾丸が胸を貫いてくる。
それでも、俺のライフは18。
まだまだ余裕だ。
「ターンエンド。」
「俺のターンドロー!」
時坂のターン
ライフ18
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(5/5)
MP7/7 手札4枚 墓地2枚
場 6/3ドワーフ
3/2レプラコーン×2
2/4ドライアド
さっきディーラは手をデッキにあてて何かしていたな。もしかして、ドローするまではこのデッキはバラバラで引く者の意志に沿われるのだろうか?
ただ少なくともこの手の感触は既にわかっている。
カードの表を見るまでもない。
「ケット・シー召喚!」
MP2/7
5/5/5「ケット・シー」
効果 疾走。攻撃時、手札のコスト1のリサイデントを一体場に出す。
キザな二足歩行する猫が召喚される。
今度は前みたいに変なことはせず、帽子をクイッと上げたと思いきや、
「久し振りの大物は心躍るニャン。主、私に倒せと命令するニャン。」
まぁ、少なくともこのターンは無効化されるからまだ無理そうだが、ここは乗っておくか。
「あぁ、皆であいつを倒そうぜ!」
「了解だニャん。」
初めてカードの光を見た時から自然とこのカードがわかるようになってしまった。相手のように好きなタイミングで引くなんてことは出来ないが、それも★4が関係あるのだろうか?
さっきから自問ばかりしてるが、1つとして自問自答が成立出来てないから、疑問ばかりが積もるな。
「全員攻撃!」
あ、つい、名前略しちゃったけど、想いは通じたようだ。全員が攻撃をしに行く。
「カリュブディス時を止めろ!」
ディーラの手札から5枚の生け贄が墓地へ送られる。そして、カリュブディスが咆哮する。
その波動に触れた全てのリサイデントが攻撃をしようとした動きで氷になったかのように止まる。
重そうな斧もその力そのものが空中で停止する。
「ターンエンドだ。」
ターンの終了宣言と共にリサイデント達は動き始めるが、疲労状態で帰って来る。彼らの中では攻撃していたのだが、その結果は0ダメージだ。
ただ、相手の手札は2枚。次のターン止められてももう遅い。こちらの勝ちだ。
てか、メリアス召喚するの忘れてた。
あれ?メリアス召喚したらノーダメージじゃなくなってたな……………。
非常に美味しいところを見逃したァァァァァ!!!
クッ、やっちまったな。
ケット・シー来たことに想像以上に舞い上がってたらしい。
ディーラのターン
ライフ4 水5
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP7/7 手札3枚墓地9枚
場 1/2ネレイス
1/2ウンディーネ
2/4カリュブディス
確かに追い込んでるはずなのに静かにドローする。
3枚の手札ではどう考えても次を防ぐことすらできない。
「アプサラスを召喚します。」
MP5/7
布で秘部を隠して見えないようにしてる女の人が召喚される。彼女はまるで雲のようにふわりと空中で横になっていた。
布もふわふわと浮いてるが、恐らくはどの方向から見てもその向こう側は見せてくれないのだろう。
水 6/3/4 R/★★「アプサラス」
効果 コスト-水カウンター(2よりは少なくならない)。
疾走。[敵のリサイデントが破壊された時、水カウンター1つ使用しても良い。]自分のリサイデント1体を手札に戻す。
「アプサラスでレプラコーンに攻撃します。」
アプサラスがレプラコーンに向かって手を伸ばし握る。と同時にレプラコーンの周りにバレーボールくらいの水の球体が出現する。
握った拳から人差し指をピンッと弾いた瞬間、全ての塊が爆発した。
レプラコーンは光の粒子となり消えてった。
デ 3/1アプサラス
時 レプラコーン→墓地
「効果発動。」
アプサラスは敵を倒すと水カウンター1つを消費し、自分のリサイデント1体を手札に戻すことが出来る。その効果を使い、アプサラスを手札に戻した。
「アプサラス召喚。」
MP3/7
先程手札に戻したアプサラスを再び場に出す。
出したということはやることは決まっている。
「アプサラスでドライアドを攻撃。」
ドライアドの生み出す水球爆弾は自らの持つ硬質な肌によって耐え切れたことにより、アプサラスは手札に戻ることはなかった。
デ 3/2アプサラス
時 2/2ドライアド
「ネレイスとウンディーネ攻撃。」
ネレイスとウンディーネが攻撃するのはレプラコーンであった。これは明らかにこちらの盤面を制圧し手札を増やす為の動きだ。
デ ネレイス→墓地
デ ウンディーネ→墓地
時 レプラコーン→墓地
俺のレプラコーンが墓地に行ったことによりアプサラスの効果が発動し、手札へと戻っていく。
そして、
「アプサラス召喚。」
MP0/7
「攻撃。」
ドライアドに2度目の水爆発を与えてくる。
1度目の衝撃で肌が脆くなっていたのか、簡単に崩れ光の粒子となり消えて行く。
デ 3/2アプサラス
時 ドライアド→墓地
ドライアドが墓地に行ったことによりアプサラスは再び場から姿を消す。
これは思ったより辛い盤面だ。
恐らく次はドワーフが倒されるだろう。次のドローがかなり重要となる。
「ターンエンド」
堂々としたそのエンド宣言は依然として隙なく、感情が籠っていない。相手もまだ油断は出来ないからだろうが、切り札を出しても燥がないのは大したものだ。冷静さを欠いた者から戦略ゲームでは負けていくというのが基本。
「俺のターン。ドロー!」
時坂のターン
ライフ18
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(5/5)
MP7/7 手札4枚 墓地2枚
場 6/3ドワーフ
5/5ケット・シー
手札に来たのは、メリアスか……あれ?あれれ?
もしかして、ダメージが入っちゃう…よな?
ふふふふふ、これはもうやるしかないな!
あの澄ました顔が崩れる瞬間を拝ませてもらおう!
「メリアスを召喚!」
MP6/8
メリアスの召喚シーンなどどうでもいい!
召喚時効果により、1ダメージ敵に与える!
「酷い(泣)」
なんかメリアスから聞こえた気がするが、無視だ無視。気のせいだな。
「防御増加発動します。」
MP0/7
スキルにより、ダメージを-1にされノーダメージとなる。が、俺にはもう一体居るのだ。
「行け!メリアス召喚!」
MP4/8
今度の鞭は無効化出来ずディーラに当たってしまう。
ライフ3
ノーダメージとか宣言したくせに普通に食らってるじゃないかと、無言で表情に表した。
所謂、ドヤ顔と言うやつだな。
そんな俺を見て、ディーラも語らずとも顔に書いてあった。「ふっ、お子ちゃま」と。
そして、俺は誓った。
K I L L Y O U!!(コロす!)
とまぁ、茶番は置いといて、残ったMPでドライアドを召喚した。
MP1/8
手札は残り一枚。
こちらも相当追い詰められてる。
この拮抗状態もあくまで相手の防戦という形であるので、手札が尽きても攻撃するカードがあれば同時に相手の手札も攻められる。
その上、相手のリサイデントは効果持ちばかりである為に、攻撃力が比較的に低めである。これも未だに俺への勝ち筋を見出だせない理由の1つである。
問題はただ一つ。相手がどれだけドロー出来るかだ。見た限りだと維持は出来ても増やすのは難しそうだ。まだ見ぬカードが存在するならば、まだ勝敗はわからない。
【リターン・リバース】は同じカードを10枚まで入れても良いという枚数制限がされてることにより、相手がどれだけの種類のカードを詰め込んでるのか予測しづらいのだ。
「ドワーフとケット・シー攻撃だ!」
二人の攻撃も手札を2枚生け贄にして止められる。
相手の手札は残り2枚。次の5体攻撃は耐えられまい。
「ターンエンドだ!」
勢い良く終了宣言をした。こちらも負けてないぞという威嚇もあるが、着実に相手を不利にさせているこの状況がより士気を上げているのだ。
「ドロー。」
ちょいちょいドロー宣言を言わなかったり言ったりとバラバラだが、その時の気分で言ってるのだろうか?
ディーラのターン
ライフ4 水5
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP8/8 手札2枚 墓地14枚
場 2/4カリュブディス
ディーラは手札を見て固まった。
そして、そっとデッキに手を置き、小さく「負けました」と言った。
「チュートリアルクリアおめでとうございます!」
機械音が脳内に響く。
どうやら、相手はこれ以上の打開策はなかったらしい。自ら負けを認めた。
「ウンディーネデッキとディーラ=シュトル、パックを4パック贈呈します!」
「では、頑張って下さいね。個人的にも応え………。」
ん?今応援って言おうとしてなかったか?
てか、個人的って機械じゃないのか?
途中で切れたけどどうしたんだろ。
ちなみに、VPは200貰えた。
暗そうな顔で俯いてるディーラを置き去りにカスタマイズするか聞かれるが、見た目的にも人間に近いのでいいえにしておく。
正直のところ、あまり見た目を変えるのは人道的で無いとは思ってるからな。
「どう…して、ですか。」
「ん?」
「どうして、こんな酷いことを………森に!」
「だから、こいつがやったんだって。」
デレを指しながらそう言うと、デレがテヘペロなんて馬鹿なことをやってる。
「今更、嘘つかないでください!そのサラマンダーは貴方に従ってるではないですか!」
あー、なるほど。
つまりは、俺が命令してやったと思ってるのか。
てか、よくこいつがサラマンダーってわかったよな。勘とかかな。
「それは今ディーラが俺の仲間になったのと同じ理由だよ。寧ろ、止めに来てたしな。」
その言葉によって、その意味が理解できた。
それと同時に早とちりだと気付いたみたいだ。
ディーラが早足で俺の前まで来たと思えば、謝罪をされた。
「申し訳ございませんでした!」
「あー、それはいいよ。誰だって勘違いはあるだろ。」
「ありがとうございます!」
ディーラの目から涙が溢れてきた。
そんなに感激するようなこと言ったつもりはないんだけどなぁ。
「あと、そんなに畏まらなくてもいいから、普段通りに、ね?」
「あっ、すみません。」
今度はしょんぼりとした。
さっきの対戦中のように鉄仮面は被らず、素で接してくれるのがとても嬉しい。
けれど、対戦終わった途端変わり過ぎだと思ったのは俺だけじゃないはずだ。
冷徹だったディーラも可愛いけど、今のディーラもまた可愛い。
てか、何気にハーレム作っちゃったよ!
数日空いちゃいましたけど、とりあえずチュートリアル終わりましたー。
実は後日談というか余談なんですが、本当は主人公には負けてもらうつもりだったんですけど、主人公の手札を完璧なランダムにしてみたら意外に強過ぎて、気付いたら負けの方向で書いてましたw
まぁ、水のカードを全部出したわけじゃないので、これから強化するために考えようかなと思います。
さて、次回もお楽しみにー!