第8話「油断してたら、大変なことになった。」
デレのターン
ライフ7
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(1/3)
MP2/11 手札0枚 墓地5枚
場 妖精の森×2
3/1サラマンダー 攻撃可能
3/2レプラコーン 攻撃可能
3/2レプラコーン 召喚酔い
5/3ケット・シー 攻撃可能
3/3フェニックス 召喚酔い
時坂のターン
ライフ17
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(3/5)
MP8/8 手札5枚 墓地5枚
場 3/3ドワーフ
1/3メリアス
1/7アルラウネ
妖精の森
手札
1/1/2「フェアリー」
3「武装錬金」
効果 自分のリサイデント1体を+2/+2する。
4/1/4「ゴブリン」
効果 攻撃する度に+1/+0する。
6/0/7「アルラウネ」
効果 召喚時、自分のライフ+3する。攻撃時、+4/+0する。
火 6/3/3 R/X「フェニックス」
効果 召喚時、自分のライフを+3する。破壊時、手札に戻す。
召喚時効果により回復の粒子がデレを纏う。
しかし、その表情に差があるようには見えない。生物学的に人以外は殆ど表情が無いのと同じなのかもしれないな。
ライフ+3
デレ ライフ10
召喚されると共に俺の視界にフェニックスの効果が映し出される。それを見て、中学の頃の記憶が仄かに蘇ってくる。
誰からも声を掛けられない。
話すまでは他人だから話し掛けられなくてもある意味当たり前だが、話しかけても気付いて貰えない。
廊下を通ると必ず避けるのに見えてない訳がない。けれど、誰も気付いてはくれない。
家族だけじゃない。ずっと同じ学校のはずのクラスメイトからも。先生達からも。毎日朝走ってる人達も俺にだけは挨拶をしない。
部屋に引きこもっても気付いては貰えない。
作ってくれた食事も食べ終えるまではずっとリビングのテーブルに放置されてる。
霊能力者に頼ったこともあるが、本物なのか詐欺なのか区別は付かないが、誰一人気付いてはくれなかった。
そんな絶望に打ちひしがれるある日、存在が唯一関係のないスマホのゲームにはまった。
家族が全員買ったタイミングで俺の部屋の前にも置かれていたのだ。数日は放置したもののゲームにはまるまで大して時間は掛からなかった。
そして、【リターン・リバース】に出会い。
このチュートリアルを何度もやり直したっけな。
あれ?それで考えるなら、2戦目は水の精霊ウンディーネだったよな?何故、3戦目のサラマンダーと戦っているんだろう。
もしかして、とんでもない何かを見逃してるんじゃないのか。しかし、機械音はチュートリアル2と言った。ならば、この現実ではそれが正しいのか。
本当にこのズレを見逃しても良いのか。
その考えはデレの強烈な声によって掻き消された。
「サラマンダー!レプラコーン!ケット・シーで攻撃!」
俺の場にあるリサイデントとスキルで合計10打点。防御増加により止めることは出来るが、ケット・シーが来た時点で負けてしまう。だから、最も最終的にダメージを与えられるアルラウネをレプラコーンとケット・シーで倒して、サラマンダーでドワーフを倒すのが最善手と思われる。
相手のリサイデントは一体足りとも減ることはなく、こちらは絶対に勝てないという状況となる。
仮に、アルラウネで回復したとしても猛攻は受けきれない。つまり、これは負け確定だな…。
相手がどの程度の知能なのかは知らないが、それを見逃すような馬鹿ではないと思うしな。
レプラコーンとケット・シーは案の定アルラウネを倒しに来た。レプラコーンは水の剣を作りアルラウネの種弾の猛攻に傷付きながらも捌いていく。ケット・シーはアルラウネとのノーガードアタックを繰り広げている。
2人の猛攻にアルラウネは僅かながらの抵抗と共に消えていった。
デ 3/1レプラコーン
デ 5/2ケット・シー
時 アルラウネ→墓地
そして、サラマンダーはやはりドワーフかと思いきや、俺に攻撃をしてきた。先ほどの強大なブレスを食らったせいからか思ったよりは痛くなかった。
ライフ9
それと同時にデレがCPUでないことがわかった。コンピュータならば間違うことなくドワーフを攻撃しただろう。それが最善手であり、圧倒的優位に立つことが出来た。それをしなかったのはプレイングミスだと言わざるを得ない。
「ターンエンド!!」
ターンエンド時に妖精の森の効果で2体のリサイデントの攻撃力が増化する。
4/1サラマンダー
4/3フェニックス
これで次のターン攻撃増加を使われると合計で20ダメージ分だ。流石にウィルオウィスプが無いと死ぬな。一応ドワーフを犠牲に一体は倒せるけれど、それも1ターンの凌ぎにしかならず、ケット・シーが来たなら負けてしまう上にこちらは勝てるかは不明。
絶望的な状況だけれど、俺はここで引いてみせる!
来い!ウィルオウィスプ!
俺はお前を信じてる!
「ドロー!」
その瞬間そのカードが光ることを期待した…のだが、光ることはなかった。特に変わらないいつものカード。来たカードはケット・シーか。
ウィルオウィスプじゃなくて残念だなぁ……。
んん?ケット・シーだと?
武装錬金もあるから、勝ったじゃん。
俺なんか勝っちゃったよ。マジで驚きだわ。
それと同時になんとも言えぬ気持ちになった。
棚から牡丹餅貰ってもあんまり嬉しくないのと一緒だ。なんかしゃくにさわる。
「ケット・シーを召喚して、武装錬金発動!そして、攻撃!」
5/5/5「ケット・シー」
効果 疾走。攻撃時、手札のコスト1のリサイデントを一体場に出す。
7/7ケット・シー
場のドワーフとメリアス合わせて11打点。防御増加を使われても勝ったということだ。
対戦が終わると共に前回と同じようにサラマンダーデッキとデレ本人とスタンダード3パックを手に入れた。前回と違うのはVP100も付いてきてるところだが、100というのは同じランク同士で戦った時に貰えるポイント数だ。ランクが違い過ぎると手に入る量にも変化が生じるのだ。
そして、真っ先にやったのはサラマンダーのカスタマイズだが、炎を内側に隠すのとサラマンダーの歳に合わせて人間に近付けて貰ったところ。
高校生ぐらいの女の子になった。
燃え盛るような真紅のポニーテールにほっそりとした体に纏う龍の鱗。胸は大きめでDはあるんじゃないかな。尾も付いてるが控えめだ。
炎は内側で燃え盛ってるからなのか体温は常に40度程度ならしい。
これであとは燃え盛る木々が消沈してくれればなぁと思ってたら雨雲があるわけでもないのに、突然の大量の水が降ってきた。
その水のお陰でこれ以上の被害は出ずに済んだようだ。
突然の事だったので理解が追い付けず、ぼんやりとしてるといきなり対戦を挑まれた。チュートリアルなので拒否が出来ずに、強制戦闘となる。
「自動承諾されました。チュートリアル3を始めます。」
対戦を挑んだタイミングでその相手が俺の前に姿を現す。少し年上に見える女性なのだが、身に纒ってるのは水のドレス。透明なせいでもろ裸と言っても過言ではないのだが、乳首とかはそもそも存在しないらしい。
あまりに突然過ぎて先程と全く同じデッキで戦うのが少々怖いが、ウンディーネのデッキは把握済だ。
「ウンディーネデッキ」
無 1/1/2 R/☓「フェアリー」
水 1 S/☓「流水なる一手」
効果 1ドローする。
無 2/2/3 R/☓「ドワーフ」
無 2 F/☓「妖精の森」
効果 ターン終了時、自分のリサイデント1体を+1/+0にする。
水 3/1/2 R/X「ウンディーネ」
効果 召喚時、デッキから2ドローする。
無 3 S/☓「武装錬金」
効果 自分のリサイデント1体を+2/+2する。
無 3 F/☓「妖精の湖」
効果 自分のリサイデント破壊時、デッキからフェアリーを召喚する。
水 4/3/2 R/☓「クラーケン」
効果 攻撃時、敵フィールド1枚破壊する。
無 5/5/5 R/☓「ケット・シー」
効果 疾走。攻撃時、手札のコスト1のリサイデントを一体場に出す。
無 6/1/7 R/☓「ウィルオウィスプ」
効果 守護。破壊時、手札にフェアリーとゴブリンを加える。
まぁ、手札が減り難いのと、盤面の展開が怖い点なのだが、チュートリアルの時は1回は必ずミスってくれるというプログラムだったのと、大して回ってなかったというのが功を成して、なんとか勝つことが出来たのだ。
今回もそうであって欲しいと願う。
デッキがシャッフルされ、5枚ドローする。
お互いの中間に体力とスキルが表示される。相手はチュートリアルなので、スキルは変わらず同じだ。こちらもサラマンダーの時と同じで防御増加の代わりに回復強化が装備してある。
表裏に名前の書かれたコインが出現する。
あのウンディーネの名は【ディーラ・シュトル】。
回転をし、表となったのはディーラであった。
バトルスタート!
ディーラのターン
ライフ20
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP1/1 手札5枚 墓地0枚
あまりに突然だったので言葉を失ってしまったが、何故襲ってきたのだろうか。考えられるのは木を燃やした張本人だと思われてることぐらいか。
「あの…どうして襲ってきたのですか?」
間抜けにも率直に聞いてしまったのだが、ディーラ
は嫌な顔をしつつも答えてくれた。
「貴方が燃やした張本人だから以外何が?」
やはり、そう思われてしまっていたか。
ここは誤解だけでも解いておかないとな。
「いえ、こいつがやったんで、俺じゃありません。」
デレの方を指差して本当のことを言った。
ここは【アルラウネの集落】だし、ウンディーネの住む場所も別の地名があるとはいえ、この森全体は【イノセンスの森】と言われてる。
嘘偽りなく言えばきっと信じてくれると思ったのだが、
「語るに落ちたとはこのことですね。貴方と話すことは何もありません。」
見下すように冷淡な態度でトゲのある言葉を吐き捨てた。これ以上は聞く耳持たずと言った振る舞いでデッキからカードをめくる。
「手札から流水なる一手を発動します。」
水 1 S/X「流水なる一手」
効果 1ドローする。
MP0/1
手札交換を行った。あくまで、入れるカードが無い時にデッキの流れを円滑にする為のカードだ。基本は入れなくても良い。
つまり、手札にフェアリーが無かったと見て問題ないだろう。
「ターンエンドするわ。」
時坂のターン
ライフ20
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(5/5)
MP1/1 手札5枚 墓地0枚
「俺のターン、ドロー!」
信用してくれないと言うなら仲間としてから誤解を解くとしよう。彼女の反応を見るにこれ以上の説得は恐らく無駄だ。チュートリアルもこれで終わるのだし、さっさと勝ってしまおう。
1/1/2「フェアリー」
2/1/3「メリアス」
効果 召喚時、敵のライフに1ダメ与える。
3/3/2「レプラコーン」
効果 召喚時・デッキ一枚をMP+1する。
3「武装錬金」×2
効果 自分のリサイデント1体を+2/+2する。
3/2/4「ドライアド」
効果 このカードの受けるダメージを-1する。
よし、1ターン目からフェアリーを出せるのは美味しい。低コストが集まってくれてるのもこの後順調に展開出来るから良いんじゃないかな。
「フェアリーを召喚!」
MP0/1
魔法陣から小さな小人に羽根の生えた少女がふらふらと飛んで登場する。
「こんちには!妖精さんだよ♪」
右手を目に宛ててピースしながら挨拶をするその姿は可愛らしくて萌える。てか、癒やされるわ。
「ありがとう!」
礼を言うところも可愛くてついにやけちゃったら、ディーラが若干引いてる。
そうか、あっちには声が聞こえなかったんだな。
でも、召喚された姿は見えてる筈だし、俺のニヤケ顔が生理的に受け付けないという認識で良いのだろうか。もしそうなら軽く泣くぞ。
ま、まぁ、気を取り直して、
「ターンエンドだ。」
ディーラのターン
ライフ20
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP2/2 手札7枚 墓地1枚
無言でカードを引く。
全く笑わないその表情は水の精霊というより氷の精霊だろと内心突っ込みたい。
けれど、もし突っ込んだなら冷めやかな眼差しを向けられるか、哀惜含んだ目で見られるに違いない。
流石の俺も雰囲気ぐらいは読めるっての。
人と全く話さない俺でも空気が零点下まで下がってるのはわかる。
てか、水浸しだから普通に寒い。
「ネレイスを召喚します。」
水 2/1/2 R/★「ネレイス」
効果 召喚時、水カウンターをデッキから1つ増やす。
魔法陣から人魚が出てくる。普通の人魚と違う点は鱗が無いと言うところか。尾はイルカのものとなっている。
な……何だあのカードは?
効果を見る限り水カウンターを増やすと書かれてるがゲーム時代にはあんなカード見覚えないぞ。
効果音と共にディーラのMPの横に水のアイコンと1という数字が表示された。
そのカウントが一体何なのかわからぬまま、ディーラはターンを終えた。知らないカードが突然出てきたことから、ディーラの使ってるデッキがチュートリアルの【ウンディーネデッキ】でないことは既に察している。
しかし、幾ら考えても分かるはずも無く、ドローをした。
時坂のターン
ライフ20
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(5/5)
MP2/2 手札6枚 墓地0枚
場 1/2フェアリー
手札に来たのは2/3ドワーフだ。
正に思い描く最高のカーブとなってる。
「ドワーフを召喚!」
2/3 「ドワーフ」
MP0/2
背は低くともその肉体は歴戦を生き抜いた象徴として逞しく、長い髭と共に現れたのはドワーフ。
斧を片手に持っている。
「儂の戦場はここか。」
まだ3戦目だが、長年の相棒のようにしっくりくる。効果がなしだと言うのにドワーフに助けられた盤面はそこそこある。
これからもなるべく使って行きたいとは思ってる。
「フェアリーで攻撃!」
フェアリーがディーラに体当たりする。
その打撃に少し痛そうにするが、直ぐに冷徹な表情へと戻る。
ディ ライフ19
「ターンエンドだ。」
ディーラのターン
ライフ19 水1
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP3/3 手札7枚 墓地1枚
場 1/2ネレイス
ドローしたカードを指に挟み、手札からそのままカードを出す。
「セイレーン召喚します。」
水 3/2/3 R/★「セイレーン」
効果 自分のリサイデントが手札に戻される度に水カウンターを1つ増やす。
また、水カウンターを増やす系のカードだ。
しかし、戻す度に増やすのは少し厄介そうだ。次ターンでなんとか破壊できないものだろうか。
「ネレイスで攻撃します。」
水の弾丸を胸に向かって貫いてきた。
胸の中でズキンっと鋭い痛みが走るが1ダメージなので、直ぐに何ともなくなる。
時坂 ライフ19
「ターンエンドです。」
時坂のターン
ライフ19
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(5/5)
MP3/3 手札6枚 墓地0枚
場 1/2フェアリー
「ドロー。」
不気味に思いながらも破壊するしか対抗手段がない。いったいどうしたものか。
木 6/0/7 R/X「アルラウネ」3
効果 召喚時、自分のライフ+3する。攻撃時、+4/+0する。
ここは手数を増やす為にもレプラコーン一択だな。
「レプラコーンを召喚!」
MP0/3
MP+1 MP1/4
人の体に魚の特徴を付けたような外見をしている。
耳と手首から肘にかけてと太腿から膝にかけてと背中に大きな鰭が付いてある。
「ねぇ、こっちに来て開拓しましょ。」
お、レプラコーンってこんなセリフだったんだな。
神話とは何の関係も無さそうなセリフだが、ゲームの方ではどんなものだったかな。
【リターン・リバース】に出てくる女性キャラは全体的に誘惑系セリフ多いからなぁ。
まぁ、いちいち覚えてはないけどな。
「フェアリーとドワーフで攻撃!」
フェアリーの体当たりとドワーフの斧の一撃がセイレーンにヒットする。セイレーンの死の歌でフェアリーは即死し、ドワーフは瀕死となる。
時 フェアリー→墓地
時 2/1ドワーフ
ディ セイレーン→墓地
果たして2体を使ってまでセイレーンを倒したのが吉と出るか凶と出るか。
自身のない声でターン終了を告げた。
「ターンエンドだ。」
ディーラのターン
ライフ19 水1
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP4/4 手札7枚 墓地2枚
場 1/2ネレイス
ドローをして手札を見つめると共に少し悩んでいた。つまり、手札に低コストがあり、どの組み合わせを悩んでるのか、それとも……。
「ネレイスで攻撃します。」
弾丸が胸を貫く痛みも新鮮で慣れないな。
時 ライフ18
「セイレーンを召喚し、水精の休息を発動します。」
水 3/2/3 R/★「セイレーン」
効果 自分のリサイデントが手札に戻される度に水カウンターを1つ増やす。
場に出てきたのは2体で葬ったセイレーン。
今回はレプラコーンで相打ち出来るからまだ安心できるな。
水 1 S/★「水精の休息」
効果 自分フィールドのリサイデントを1枚手札に戻し、1ドローする。
「対象はネレイス。」
先ず、水精の休息の効果で1ドローされる。
そして、セイレーンの効果で水カウンターが+1される。
こういう風に複数の効果を組み合わせ連鎖させていくことをコンボと言う。恐らくはディーラのデッキはコンボを中心としたアグロデッキだろう。
そして、そのコンボとなるカードの1枚がセイレーンなのは目に見えて明白。
確実にレプラコーンで倒しておこう。
「ターンエンドするわ。」
「俺のターンドロー!」
時坂のターン
ライフ19
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(5/5)
MP5/5 手札6枚 墓地1枚
場 2/1ドワーフ
3/2レプラコーン
ドローカード
3/3/2「レプラコーン」
効果 召喚時・デッキ一枚をMP+1する。
ここはMP増やしつつ、ドワーフ強化して上からセイレーンを取りに行った方がいいな。
「レプラコーン召喚し、武装錬金発動!」
3/3/2「レプラコーン」
効果 召喚時・デッキ一枚をMP+1する。
MP2/5
MP+1 MP3/6
3「武装錬金」
効果 自分のリサイデント1体を+2/+2する。
4/3ドワーフ
これだけ並べば流石に勝てるだろ。
相手がコンボをする前に叩く。これ鉄則な。
レプラコーンが来たのはかなりの幸運だったな。
「ドワーフとレプラコーンで攻撃!」
セイレーンの音響攻撃にも屈しず斧の強烈な一撃を与える。最後に立っていたのはドワーフであった。
瀕死ではあるがその背中はとても誇らしい。
時 4/1ドワーフ
ディ セイレーン→墓地
次にレプラコーンがディーラに攻撃を仕掛ける。まともに食らったディーラは苦悶の表情を浮かべ冷汗を掻くが、痛みを怒りとしその涼し気な瞳の奥にメラメラと火が灯されてる。
「ターンエンドだ。」
静かにドローをする。
ディーラのターン
ライフ16 水2
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP4/4 手札8枚(ネレイス) 墓地4枚
「ネレイスを召喚し、アスピドケロンを召喚!」
水 2/1/2 R/★「ネレイス」
効果 召喚時、水カウンターをデッキから1つ増やす。
MP3/5
ネレイスの効果で水カウンターが1つ増え3つとなる。
水 5/3/4 R/★★「アスピドケロン」
効果 コスト-水カウンター(2よりは少なくならない)。
場から手札に戻されるとき水カウンターが3以下ならば、水カウンターを2増やす。
MP1/5
アスピドケロンは水カウンターの数だけコストを減らせる。つまり、今のアスピドケロンはコスト2で召喚される。
巨大な魔法陣から出てくるのは亀であった。
あまりにも大きすぎて見上げても頭が遠すぎる。
大体、30メートルぐらいはありそうだ。
「更に、水精の休息をアスピドケロンに発動します。」
1「水精の休息」
効果 自分フィールドのリサイデントを1枚手札に戻し、1ドローする。
MP0/5
水精の休息の効果でアスピドケロンは手札に戻り、1ドローする。アスピドケロンの効果で水カウンターが3以下なので+2される。
水カウンターはコストを減らす為のものだったのか……。だとすれば、そんなに水カウンターを溜めて何を出す気だ?
ちょっと、暗雲が立ち込めて来たな。
「ターンエンドするわ。」
「俺のターン。ドロー!」
時坂のターン
ライフ19
スキル 攻撃増加(3/3):回復強化(5/5)
MP6/6 手札4枚 墓地2枚
場 4/1ドワーフ
3/2レプラコーン×2
ドローカード
3/2/4「ドライアド」
効果 このカードの受けるダメージを-1する。
今更、何を出そうとしてるのかは定かではないが、ドライアド並べて武装錬金使ってしまえば盤面的に圧倒的有利なのはこちら。相手は防戦せざるを得ないから勝機はない。
「ドライアドを召喚し、武装錬金を発動!」
武装錬金はドワーフに発動して6/3の化物となった。相手の場には1/2のリサイデントしかいないからこちらのリサイデントは破壊されない!
「ドワーフとレプラコーンで攻撃!」
合計で12ダメージ。
流石のディーラも声を漏らす。あまりの激痛に顔を歪めてる程だ。
ディーラ ライフ4
本当ならば絶望的な状況。
けれど、その表情は何処までも焦りはなく、涼やかとしてる。
全く焦らないディーラを見てライフアドバンテージが圧倒的に高い時坂の方が焦り始める。
しかし、ハッタリという解釈をした。
自分でもポーカーフェイスが出来ない幻獣の集まりが【イノセンスの森】だと知ってるのにも関わらずそういう解釈をしたのは間違いだった。
ディーラのターン
ライフ4 水5
スキル 攻撃増加(3/3):防御増加(3/3)
MP4/4 手札8枚(アスピドケロン) 墓地4枚
場 1/2ネレイス
ディーラはデッキの上のカードを1枚持ったまま、ジッとそのカードを見つめていた。
一体何をしてるんだ?と思った次の瞬間、珍しく大きな声でドローをした。
そして、俺にも見えた。
その魂の輝きは不味いっ………!!
間違いなく切り札だ。
そのカードを見てその無表情の顔が変化した。
そう、微笑んでいるのだ。
「フフフ、ここからはノーダメージで勝たせて頂きます。」
ノーダメージだと?
この状況で全員殲滅するのならまだわかるが、ノーダメージ宣言だと?
いったい、あのカードは何だ……。
「時を止めなさい。カリュブディス召喚!!!」
巨大な魔法陣から出てきたのは先程の亀とは比較にならない程の巨大な鯨であった。ただ、口が4つに開き口の中は無数の歯。体中から生える蛸のような触手が異様さを醸し出し、圧倒的重量と威圧感を俺に与えてきた。
な……なんなんだこいつは……。
ふっー、これ書くのかなり大変でした。
まぁ、10話ぐらいで全体的に見直しますが、もしもおかしいと思ったことがあったら、バシバシコメください。
~のターンという表記はドローする前とドローした後で手札の枚数変えてます。何気に細かいとこまで頑張ってるのですが、そのせいでミスがあるかもしれませんw
さて、カリュブディスというとにかく巨大なクトゥルフ神話に出てきそうな鯨はどんな効果でしょうかね。ノーダメージ宣言と突然の決め台詞。
小説なので、★★★のカードが切り札なら決め台詞作るようにします。今回は「時を止めなさい。カリュブディス!!」でしたね。
では、次回もお楽しみに~!!