第5話「意味ある名付けは大変だ…。」
チュートリアルの初戦を勝ち取り、アルラウネデッキとルーラを手に入れた。
謎の声にこの世界でやるべきことは国造りと告げられる。
しかし、それよりも重要なことを抱えていた。
それは空腹。生き死にの問題であるが故に林檎が栽培されてるという【アルラウネの集落】に向かうのであった。
あれから少し歩いたところでいつチュートリアルが始まるのかわからないことに気付き、突如デッキを組むことにした。
「ルーラ、ちょっと待ってくれないか。」
俺に呼び止められたことによりこちらに振り向いた。
カスタマイズしたルーラはマスコットの可愛さから人間らしい女の子としての可愛さに変貌を遂げた。
歳相応と言ったところで気付いてしまったのだが、アルラウネという種族限定ではなく幻獣は人とは寿命に少なからずの差が存在する。
例えば、エルフは長寿の種族だ。最高400ぐらいは生きる為幼女の見た目をしていても中身は年上である可能性は十分にあり得ることなのだ。
つまり、歳相応というのは今後封印せねばならない言葉であることはご理解頂けただろうか?
ルーラでさえ身長が二倍となったのだ。用心しなければ最悪の事態を招くだろう。
「ハイ、なんですか?」
うお、可愛い!!!!
正直のところ俺はいつものように話しかけられてるか不安だ。
存在しないものとして扱われ早17年。その間、人とほぼ話してないのだ。コミュ障と言われても仕方ないし、結果的に話しかけ方など知らぬも同然の俺は不思議と話していられた。
しかし、それもいつまで続くのやら……。
「デッキ作るから休憩にしよ。」
「はいデスー!」
そういえば、通称謎の声はなんで俺の住むべきだった世界を間違えたんだろうな。
もしかしたら同時期に同じような奴がいてそいつらもその世界とやらに帰ったとか?
あとなんでこの世界は【リターン・リバース】と似ているんだ?それとも、ゲームの方が後に出来たとか?
まあ、考えても答えは出ない…か。
「お母様も入れて下さいよ?」
お母様?あぁ、アルラウネのことか。
このカードは生きてる。そう仮定したなら何が見えてくるのだろうか。
この世界改変時に一部の幻獣はカードとなったとか?
そういえば、ケット・シーは俺のことを知っている口振だった。つまり、こっちはゲームをもとに創られた?いや、もしかしたらゲームと世界を繋げたなんてこともあり得るし、俺の心をもとに作られてるだけかもしれない。
やめだ!やめだ!
こんなことどれだけ考えても堂々巡りするだけだ。
今はデッキ作りに集中しよう。
「わかったよ。」
「ヤッター!」
やっぱり、泣く姿よりかは笑う姿の方が似合うな。
さて、自分のデッキを軽く見たところ、妖精の湖はいらないな。
今回のデュエルでも思ったことだが、腐りやすく手札の邪魔になるケースは数多い。次にウィルオウィスプは少し重いし1枚抜いておこう。
約束のアルラウネもコスト的に3枚かな。
妖精の湖は3コスト。レプラコーンと武装錬金8枚では少しマナカーブが良いとは思えないし、ドライアドを4枚入れるとしよう。
あと、レプラコーンは初戦では使わなかったが本来は3ターン目には使いたい強カード。2枚増やしておこう。
妖精の森も1枚抜いておこうかな。
空いた枠は同コストのメリアスを入れるとして、ドワーフも1枚抜こうかなぁ。
2回攻撃するならドワーフの方が強いけど確実に与えられる一点も美味しい。うーん、メリアスピン差しは可哀そうだし入れておくか。
デッキの枚数を数えたところ4枚多いな。
ここはあまり役に立たない妖精の矢を抜くとするか。
まぁ、1打点与えたからなんだ?って話だしな。
それを言うとメリアスの存在感も激減してしまうのだが、メリアスはリサイデントだからまだ入るのだ。効果持ちは能力が弱くともノーテキストよりは入れておきたい。それだけ戦術や決め手となる可能性がアップするからだ。
ちなみに、組んでいる間は画面のタッチをしてる。
スカスカすり抜ける訳でもなく、押す度に何かしらの空気の抵抗による感触が指を包む。ボタンをいつまでも押してられるような快感が伴っている。
デッキに複数の属性を入れることは出来ない。
だから、メリアスやドライアドなど木属性のカードを組み込んだので、木属性以外のカードを入れることが出来ない。しかし、カードの枚数を気にしなくて良いのなら無尽蔵にデッキは作れる。ここは現実なのにそういう細かくも親切な設計がとても助かる。
とりあえず、木デッキ完成だな。
あ、俺に秀逸な名前を要求するなよ。切り札はケット・シーとはいえ、木属性入ってるし変えないといけないと強迫観念のようなものに背中を押され考えたんだが、特徴のなさに挫折したのだ。
「よっし、デッキ完成したぞ。」
ちなみに、スキルの防御増加は回復強化(5)に変更しておいた。
アルラウネ出せるかわからないが、防御増加も使わないしな。回数と制限のないこっちにしたってわけ。
ちなみに、デッキ構成はこんな感じ。
無 1/1/2 R/X「フェアリー」4枚
無 2/2/3 R/X「ドワーフ」3枚
無 2 F/X「妖精の森」3枚
効果 ターン終了時・自分のリサイデント1体を+1/+0。
木 2/1/3 R/X「メリアス」2枚
効果 召喚時、敵のライフに1ダメ与える。
無 3/3/2 R/X「レプラコーン」6枚
効果 召喚時・デッキ一枚をMP+1する。
無 3 S/X「武装錬金」4枚
効果 自分のリサイデント1体を+2/+2する。
木 3/2/4 R/X「ドライアド」4枚
効果 このカードの受けるダメージを-1する。
無 4/1/4 R/X「ゴブリン」4枚
効果 攻撃する度に+1/+0する。
無 5/5/5 R/★★★★「ケット・シー」4枚
効果 疾走。攻撃時、手札のコスト1のリサイデントを一体場に出す。
無 6/1/7 R/X「ウィルオウィスプ」3枚
効果 守護。破壊時、手札にフェアリーとゴブリンを加える。
木 6/0/7 R/X「アルラウネ」3枚
効果 召喚時、自分のライフ+3する。攻撃時、+4/+0する。
「んじゃ、行くか。」
休憩が終わり、【アルラウネの集落】までの間、コミュ障を少しでも治そうと積極的に話すようにはした。本当に他愛のない話だったのだが、この会話で少しは距離も縮まった気がした。
ギャルゲーで言うところのクラスメイトから知り合いへと認知度upしたところか。ここから友達へと昇格させるのが至難の業なのだが、この調子なら直ぐになれるだろう。
【アルラウネの集落】近くまで辿り着いたところで奥から火の手が上がっていることに気付いた。それを見たルーラは表情に焦りを見せ、その方向に走り出した。
「待て!ルーラ!」
ルーラは主である時坂 秀人の静止が耳に入らなかったようで、止まらなかった。
「クソッ…」
俺も当然食事が係っているので後を追った。
本当だからな?
想像以上に足の速いルーラの背を必死に追い、ある程度木が少なくなった場所に出ると、その火元の近くに居たのは少し小さめのドラゴンであった。
小さいと言っても全長は既に俺より長い。そのドラゴンは火を吹いた訳ではない。
身に纏っていたのだ。
つまり、あのドラゴンは龍ではなく、火の精霊サラマンダーである。
こんばんわー!
A-ESTです。
初めてのPC書きは大変でしたー泣
再開を迎えたサラマンダーと時坂。
親友だったはずの彼らを引き裂いたのは無情な現実と勘違い。(嘘予告)
次回、男?同士の友情の垣根を超える!!
是非、お楽しみにー!