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Return Reverse-リターン・リバース-  作者: A-est
第1章「時坂は3人の好感度を上げる。」
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第10話「1時間後、仲間イベ発生します。」

時坂(ときさか) 秀人(ひでと)ランク1VP400

存在しない者として17年生きた男子高校生。

アニメやゲームが大好きで、人と話さない代わりに変な悪影響を受けてることがちょいちょいある。

謎の声による転移によって、彼の好きな【リターン・リバース】に模した世界で国造りを始めなければならなくなった。

何も知らない彼はこの先どう生きていくのだろうか。


アレ=ルーラ

アルラウネの子供。アルラウネの年齢は10歳。人間の姿となった彼女の年齢は15歳である。

言葉を上手く話せないのか一人称や語尾が時々カタコトになる。

カードのアルラウネと何かしらの関係がありそうだが、今はまだわからない。チュートリアル最初の敵である。


デレ=ヘリアス

燃え盛るような真紅のポニーテールにほっそりとした体に纏う龍の鱗。胸は大きめで尾もチョコンと付いてる。元気っ娘で表情はコロコロ変わる。その反面言葉一つで傷付くこともあり、中学生くらいの脳年齢だ。歳は16。


ディーラ=シュトル

年齢は19歳。水のドレスを着て登場する。

怒ると何処までも冷たくなる。少し子供っぽいところもあるが、基本的にはお姉さんキャラ。言葉遣いも荒れておらず、礼儀正しい。

言葉が崩れるのはいつも心を赦したときぐらいだろう。デレよりは控えめだが普通に胸が大きい。


チュートリアルは難はありつつも一発クリアが出来、サラマンダーであるデレに濡れた体を温めて貰いつつヘルプの参照を見ていた。


ヘルプにはルールの説明が事細かく書かれているのだが、それよりも気になるのは「負けたら死ぬ」についてだ。


1つ1つ開いては閉じてを繰り返し、やっとその項目に辿り着いた。


そこにはVPが無くなると死ぬとはっきり書かれていた。機械音の言っていた答えとは少し違うな。

機械音はこう言っていた。


「本来であれば貴方は死にます。しかし、あと数戦の間は何度死んでも自動的に同じ場所に生き返りますね。」


つまり、一度でも負けてはいけないということだと思っていたのだが、俺の見ているヘルプにはVPが0になった場合死んでしまうと書かれている。

実際にはカードの売却などで緊急回避も出来るらしいが、取引のように環境によって変動することはなく、VPに変換される量はレア度のみで決定されるらしい。


どちらを信用するのか聞かれたら、こちらを信用した方が良いのかな。

機械音の方はどうやら声だけ変えてただけで誰かが口に出していたみたいだし、ルールの覚え間違いだったと見て良いんだよな………。


こういうのされると、ものすっごい不安だー!


あー、どっちが正しいんだろうなぁ。

幾らでも悩めるけど、1回負けただけで死ぬという現実は到底受け入れることは出来ないし、ヘルプの方をとりあえず信じとくか!


「何してるんデスカ?」


ルーラが俺の腰に手を回し顔だけをひょこっと出してきた。その視線の先は明らかに俺の見ている画面を見ていることに気付いた。


「あぁ…ちょっとな。………ルーラ見えるのか?」


「? 何を言ってるのデス?」


別段彼女等に見られて困ることはないが、デッキ編成中に敵となりうる者に盗み見される可能性があるというのは見逃せない事実だ。


デッキの編成内容さえ知られてしまっては、対策は幾らでも出来るからだ。コントロール系の重いデッキにはフェイスやアグロなどの速攻系が刺さると言った感じだ。


まぁ、今の俺のデッキは初期カードのみなので、対策のされようが無いような気もする。

真面目にデッキ名を付けるとすれば、【脳筋デッキ】だろう。効果のないリサイデントによる攻撃が主となったデッキだからな。


困惑している俺にディーラが助け舟を出してくれた。


「フレンド一覧を開いてみなさい。」


言われた通りにフレンド一覧を開くと、3人の名が書かれていた。名前前にはランク、後ろにはレベルが書かれている。


「そのレベルが2以上になった人は画面を見せあうことができるようになるの。見せたくない箇所は設定から変更出来るわ。」


設定の中のフレンドという項目を開く。その中に公開設定があった。様々な画面を個別でフレンド毎に非公開と公開で分けることが出来るみたいだ。

一括で非公開にすることもレベルで公開条件を紐付けることも可能である。


「フレンドのレベルって何?」


「ヘルプにも書いてたけど、一定の親愛度が溜まるとレベルが上がるらしいわ。レベル2はフレンドになったという意味だから親愛度もほぼ0と変わらないんじゃない?」


この世界の住民も同じようにメニュー画面を持っていて、俺と同様にプレイヤーとして扱われていると認識して良いのだろうか。


さらっと国造りしろとか言われたけど、国ってどうやって造るんだよ。フレンドの上限はゲーム時代なら200人だったがこの世界にはそんな上限は存在しないらしい。

もし、1万人とフレンドにでもなったら容量がどれだけ食うのか想像出来無いし、かなり重くてやってられないと思うのだが、この世界ではこのデータを何処に保存してるんだろうな。


意外と脳の中なんてありきたりなものだったりして。人間の脳の容量は無限という説はよく耳にしたことあるしな。別の人はPC3台分くらいという説を提示してたけど、いつの時代のPCだよと突っ込みたい。


「てことは、こんだけ懐いてるルーラの親愛度も……。」


「いえ、その子はこの中では高い方だと思うわよ。」


「フォローあ!」


「フォローというか真面目にそう思っただけよ。」


あ、照れてるディーラ可愛い。

大袈裟に言ってみた甲斐があるというものだ。


まぁ、原因はわからなくとも、そこそこ懐かれているのだから親愛度は高くて当たり前か。ギャルゲーの世界で最初から好感度高いけど、いざ落とすとなるとかなり大変なキャラなんだろうな。


年齢的にセーフなのか!?と思うルートもちょくちょく見かけるけど、それのリアルver来たわー。


あ、如何にもギャルゲー好きみたいに聞こえるかもしれないけど、ギャルゲーやったことないからね?俺がやったことあるのはどちらかと言うとエロゲーの方だからね?


「あ、てか、腹減ったなぁ。」


腹の音が鳴ると共にここに来た理由も思い出した。

デレとディーラの連戦のせいで昼過ぎてしまった。しかも、デレのせいでもしかしたらりんごの木が燃えてるかもしれないと思うと恨めしく感じるが、悪気はないらしいし、責めるのは止めておこう。


「そいや、デレ。なんであんなとこにいたんだ?」


「そうだよ!聞いてくれよ!」


「あ、あぁ。」


「急に魔法陣が私を包んでここに送られてきたんだけどさ。1回は家に帰りたいんだよ!」


あー、これはチュートリアルの為のシステムの強制力でも働いたってパターンかな。

チュートリアルと言えば、


「ディーラ。そのデッキは何処で手に入れたんだ?」


「ちょっ……無視すんな!」


なんか腹をペチペチ叩かれてるが気にしないでおこう。


そう、本来なら今俺が持っている【ウンディーネデッキ】の方が使われる筈だったのに、彼女は違うデッキを使用していた。

折角仲間になったんだしきっちり聞いておかないと気になって夜も眠れないな。


「これは…確かフードを被った女の人から貰った…と思うのよね。」


「何故に歯切れが悪いんだ?」


手を頭にあてて視線を逸らす。

真剣に思索しているように見える。


「それが、不思議と思い出せなくって…………ついさっきのことなのにね。」


これはどうなんだ?

チュートリアルと言っても、もしかしたら経験者であるとか理由を付けて最後の三戦目だけ強くしたという可能性は確かに考えられるけど、もし、もしもの話だが、これがシステム外からの影響によるものだったら?


いや、その可能性は低いか。

システムが全てのこの世界で抗える者なんて居ないだろう。


「おお!シュトル殿!火を消してくれたのですね!」


正面の森の奥からぞろぞろとアルラウネが顔を見せてくる。その中の村長と思しき者がディーラに声を掛ける。


「あら、お久し振りです。アル様。」


ディーラは畏まってお辞儀をする。

俺もいつまでもヘルプを見ていては失礼だと感じ、一旦閉じてから、「こんにちは」とだけ言っておいた。すると、それにつられてデレも「こんにちは!」と元気よく挨拶した。

そんな中で唯一何も言っていないルーラは突然走り出すと共にアルに向かって抱きつきに行った。


「お祖母ちゃん!おかえりー!」


「おや。」


自分の孫を見て一瞬驚き一言だけ発したあと、俺の顔を見て微笑を浮かべた。温かい笑みでこちらの緊張も自然に解してくれる。


「アル様。火を消したのは私ですが、拡散を止めたのは彼です。」


すかさずそのタイミングで俺を紹介してきた。

手を俺の方向に向けてくるのだから自己紹介ぐらいはきちんとせねば。


時坂秀人(ときさかひでと)と申します。よろしくお願いします。」


つい、敬語となってしまったが、ディーラが敬ってるということはそれなりに偉い人なのだろうと思うと反射的にこちらも敬う姿勢となってしまう。

何処かの空気読まない人とは違って、俺はそこそこ読める方だ。


グゥゥゥゥゥウウ


俺の腹の音が鳴っちまったぁぁぁ。


空気読めると言った側から空気をぶち壊していくスタイルになったつもりはないんだがな。


「あらあら、それじゃあとりあえず、私の家まで案内するわ。」


アル様とやらが、歩きはじめたので俺達も付いて行った。後ろに見張りなのか護衛なのかは定かでは無いがそこそこツンとした俺より年上そうなアルラウネとほんわかとした対象的なアルラウネの二人が付いてきてる。


アルはパット見20代後半程度に見えるのだが、アルラウネの歳に換算したならば40歳程度となるな。

ロリババまでは行かなくとも、若々しいババアなら大歓迎だ。やはり、可愛いは全てにおいて正義ということだ。


森の中と言うのもあり、道はなくちらほら藁などで作られた家が見掛ける。さっきから女性しか見ないのだが、どうやって子を生むのか実に不思議だ。

後でディーラに聞いてみるとしよう。


更に奥へと進むと竹で作られた立派な家が存在した。トイレや風呂は必要が無いため存在せず、部屋の中に直接土に入れるための穴がちらほら開いてるだけだった。


寝るときはやっぱり土の中なのかな。

アルラウネを人のように扱ってるけど、彼女等はれっきとした植物だからな。人科ではないからな。


そんな部屋の中にアルが座り、その正面にディーラが正座する。アレは足を伸ばしてダラーンとしている。デレも同じくダラダラしている。

そんな中で同じく足を崩す勇気もなく、正座するのだが、竹の上に正座って割と辛いな。


「足は崩しても構いませんよ。」


そう言われると甘えたくなる。

その衝動を元から抑える気はなく胡座をかくことにした。


「サラマンダー、貴様は拘束させてもらうぞ。」


ツンとしてた方のアルラウネが縄を持ってきた。サラマンダーだから燃えるんじゃ?


「なんだ私だけ。」


デレはそのツンとしたアルラウネを睨み返して、激昂しそうになったところで、止めが入った。


「良いのです。やめなさい。」


「はっ!失礼しました。」


アルの一言で元の位置へと帰っていった。

その後ろ姿に対してデレが舌をつきだして居たので、拳骨を食らわしといた。


「いったーい!女の子に何すんだよ!」


「やめろ。下手に喧嘩売るんじゃねえよ」


デレが拗ねて改めて俺の方を見てくると共にパンっと手を叩いた。少し経つと後ろからアルラウネの少女達により皿に盛りつけられた果物が運ばれてきた。りんごだけじゃなくミカンとかぶどうとかもあるぞ。

あと、よくわからんものも混ざってるが美味しそうだ。


「時坂殿。貴方は私達の村の恩人です。是非とも食べて下さい。」


「ありがとうございます!」


アルの言葉を聞き終わると同時に礼をして、リンゴを手に取る。豪快にかぶりつきシャクシャクと咀嚼すると体全体にその果物の果汁が染み渡るような感覚がして来た。


一仕事した後の食事が美味しいって確かにわかるわぁ。


種まで食べて、次の果物を取ってはまた食べる。

そんなことをしてると気付いたことがあった。


「あれ?お前らは食べないのか?」


そう、ルーラもデレもディーラも果物に手を付けようとはしていなかったのだ。

そんな些細な疑問をディーラが答えた。


「私達は食べるものが違うの。ルーラは土に入って水。デレは火。私は水。主様みたいに果物を食べる種族はここには居ないわ。」


「あー、そうだったんだ。」


「さて、食べながらでも良いので質問に答えてはくださいませんか?」


食べる手を止めて、一言だけ了解の意を示した。


「貴方は人ですよね?何故、生きてるのですか?」


その質問にクエスチョンが頭の上で浮遊した。つまり、ここには昔、人が居たのだが今は全滅しているのだろうか?


となると、まず説明すべきことはここに来た理由からだな。


「俺は異世界から女神によって転移させられました。そして、この世界で国造りを命じられたのです。」


まぁ、本当は女神なのかも定かでは無いが、そう言っておけば多少なりとも信じてくれるだろう。


「なるほど、女神……ですか。それで国造りはどの程度進んで居るのですか?」


「さっきこの世界に来たばかりなので、暫くは仲間でも集めようかと思ってます。」


正直に言えば今考えたが、最終的には仲間集めで落ち着くだろうから嘘ではない。いきなり国造り始めても転けるのはわかっているし、国を造ったとしても民が居なければ意味もない。

国としての機能を働かせる為にも先ずは仲間を集めることが先決である。


あと、この世界のこと少しでも知っておかないとな。


「では、礼として私の村に居る腕利きを貴方に授けます。キーラ!」


さっきから後ろで見張りをしていた女の人がやってきた。ディーラと同じくらいの歳に見えるが、ディーラとは違ってガサツそうな見た目をしてる。実際にガサツなのかはわからないが。


「お待ち下さい!私はこんな貧弱そうな者に仕える気はありません!私の主は生涯アル様だけです!」


「あら、それなら今すぐ戦ってみたらどうでしょうか?」


こちらを見てきてギラリと睨んでくる。

要するに、このキーラとやらと勝負して勝てば仲間になるっていうよくある流れというわけか。


「そうですね。俺も仲間となる者ならば、一度お手合わせ願いたいですね。」


「ほう、私に勝つつもりか小僧。」


明らかに上から目線で小馬鹿にするような態度をしてきた。それに対し俺は、


「これから仲間になるんだから小僧はやめてくれよ。」


勝利宣言を叩き付けた。


「粋がるなよ。小僧……今すぐ潰してやろうか?」


「いや、一時間後にしよう。準備があるしな。」


「ふん、逃げるなよ。」


そう言って外へ出て行った。


「ふふふ、若い子達の戦いは目の保養になりますね。」


ここは好戦的なアルラウネが多そうだ。無邪気な魔物が多い森とはいえ、頭の中まで幼児ではないから、ちょっとした魔物同士の諍いは存在するのだろう。恐らくは村長のアル=ルーラも戦いで頂点を取ったとかそういう系だと予想する。


勝負を1時間後に設定した理由は、パック開封をしてデッキ強化だ。10パックもあるのだから、何枚かは切り札級が出てくると信じた上でのものだ。


ただ、ゲーム時代とはカード内容が変わってると思われるので安心は出来ない。俺は恐る恐るパックを開いた………。

さて、新章始まりました。

次回からはバンバン新しいカードが出てきます。

これ書いてる時点では主人公は何使うのか特に決めてませんが、まぁ、恐らくはケット・シーを主体としたデッキでしょうね。

まぁ、主人公が最終的にどの属性を使うのかだけは決めてます。それが【リターン・リバース】にも少なからず繋がってるんですよ。


さて、次回は泥の中、裸同士で二人は縺れ合う。

二人が交じり合ったその先は………?(嘘予告)


次回もお楽しみにー!

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