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看板娘


「いらっしゃいませー!」


昼時はいつも忙しい。

今日もうちのパンを買いにたくさんの人がやってくる。大通りに近いところにあるという恩恵もあるが、嬉しいことになかなか人気のあるうちの店である。母と私は接客に、父は追加のパンを奥でどんどん焼いているところだ。


接客をしながらパンの売れ行きを確認する。まだお客さんは途切れそうにない。このままのペースだと無くなりそうだしまた父に追加で頼まないと。


「レティちゃんこれもう無くなっちゃった?」

「あ、今焼きあがったところです!持ってきまーす!」


レティこと私は今日も忙しく働くのであった。





「忙しいみたいだねぇ」


ピーク時もすぎて落ち着いた頃、常連のおじさんがおしゃべりついでにパンを買いにやってくる。母と父は奥で作業中だ。


「お陰様で。お父さんのパンがたくさんの人に食べてもらって嬉しいです。」

「ここのはほんとうまいもんなぁ。パンはうまいし看板娘のレティちゃんはかわいいしまぁ忙しいのも当然か!あ、レティちゃん目当てで来る奴もいるだろう?」

「ふふ、まさか。みなさんパン目当てですよ。」


うちのパンは美味しい。ここの地区の中で1番美味しいパン屋はうちだと自慢してもいいと思う。


「そうかね〜。レティちゃんて今好い仲のヤツとかいねぇの?」

「うーん残念ながら」

「ほら、みっつ隣の道具屋んとこの息子とか」

「たまにおいしいパンのお礼だって言って自分で作ったっていう小道具とか貰いますけど、気のいい常連さんてだけですよ。」

「サジ〜〜これ見込みないぞ〜〜」


おじさんかため息をつきながら「今度なんか奢ってやろう…」とかなんとか言ってる。

お店をしてるからかよくお礼だって持ってきてくれる人もたまにいるけど、それくらいで特段仲が良いわけではない。

「レティちゃんは恋人とか作らないのか?」

「欲しいですよ〜?でもそうですね、好い仲の人はいませんが、片思いの人がいるんです。」


ええっ!!!??っという声が店内に響いた。おじさんだけでなく、何人かいた他のお客さんにもなぜか驚かれている。

「そ、それは誰なんだい?」

若干ひきつりながらも前のめりにおじさんが聞いてきた。

「…内緒です。」

片目をつぶって乙女の秘密ですよと伝える。

そうかい…とガクッと肩を落とし疲れたように、おじさん含め他のお客さんも帰って行った。








「あっ!!買い出しいってきます!」

夕暮れ時のこの時間、買い出しついでに少し息抜きするのが日課だ。買い出しといっても夕飯のおかずの材料を買うくらいだからそんなに時間はかからない。メインは父のパンだし。


しかし最近、この外出の目的が変わった。

この時間、うちの店の前をあの人が通るようになったのだ。私はあの人を店内から見てすぐ、母に出ることを伝え、カゴを持って追いかける。こっそり、見つからないように。つけているのではない、見守っているのだ。


今日もやはり通ってくれた。見つけてから店を出るまで数秒。

後ろ姿を少しばかり追うだけだが、その後ろ姿さえステキオーラを放っている。

彼が向かうのはうちの店から数百メートルほど離れたギルドだ。彼を見られるのはギルドに入るまでの少しの間だけ。


「ああ…今日も大変麗しかったですガルド様」

そうして建物に消えた姿を見送り、名残惜しくも買い出しへもどるのである。

超久々、、、(震え)

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