バブルガム王子
子供の寝物語に。
昔々、ある王国に王子様がいました。王子様は贅沢な食事のせいでたいへん太っていている上にとてもわがままでした。
王子様はチューインガムが大好き。
朝起きるとまずチューインガム、朝食のあと、またチューインガム、というように、朝から寝るまで毎日くちゃ、くちゃ、くちゃ、くちゃ。
チューインガムをかみ続けます。
あけてもくれても頭のなかにあるのはチューインガムのことばかり。
だんだん、ひとつひとつのチューインガムを次から次に食べるのが億劫になってきて、一度に何ダースものチューインガムをかみました。
くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ。
そして、そのチューインガムをプーっとふくらましたのですが、
チューインガムは膨らみ続け、大きな風船になり、
王子様の体は空に浮き始めました。
風に乗ってどんどん高く空に上がった王子様は、町を抜け、川を抜け、山を越え、牧場を超え、ついには海をこえて別の島に流れていきます。
「いい景色だな」
王子様は大喜び。
ところが、そこに小鳥がやってきて、チューインガムをつつこうとします。
あーっやめて!
と王子様は思い、必死に手で追い払いましたが、とうとう小鳥につつかれてしまいました。
パンッ!
チューインガムははじけてしまい、王子様はヒュー、っと地面に落ちていきます。
ああもうだめだ、思っていたら、ズトン!
幸い農家のワラの山の上に落ちました。
王子様は太っているので、ワラはあちらこちらにちらばり、にわとりは驚いて逃げるし、あたりはめちゃくちゃです。
農家のおじいさんが物音に驚いてでてきて、
「おい!何ごとだ!」というので。
王子様は、
「礼儀をわきまえろ、私は王子だ。控えよ!」とおじいさんをたしなめますが、おじいさんは動じません。
「王子がなんだっていうんだ。そんものは知らないよ。玉子かい?
ハンプティダンプティみたいなやつ。わらの上に落ちて幸いだと思えよ。
礼儀しらずはお前のほうだ、他人の家の大切に積み上げたワラのうえに落ちやがってあやまりもせず。ちらかしたのはお前だからちゃんときれいに片付けろ!」と大検幕。
王子様をワラのむちでばしっとひっぱたいて追い回します。
王子様はなにしろ太っているので早く走れず逃げられず、しょうがないから、農家の手伝いをすることに。
初めての農作業で汗がたらたら。。
おじいさんは次から次に用事をいいつけるので、王子様は大変。
日が暮れることは疲れてワラの上で寝てしまいました。
翌日、早朝におじいさんに起こされると、王子様はまたおじいさんに仕事をさせられます。
今度は、畑で野菜の手入れと収穫です。それがすむとおじいさんはおばあさんに頼んで王子様に朝ごはんを出してあげました。
その朝ごはんのおいしかったこと!
「お城で食べるご飯よりおいしいな」王子様は炊き立てご飯と野菜を平らげました。
王子様は普段、お城で朝食は食べず、遅起き遅寝だったのに。
朝食のあと、シャワーを浴びて、そのあとまた仕事。
今度は牛の乳搾り。
おじいさんが最初にやってみせ、次に王子様にやらせますが、どうも上手く乳がでてきません。
おじいさんがやると、あふれるように乳がでてくるのに。。
何度も練習してやっとどうにか乳がたまってきたら、今度はその乳を台車にのせて運びます。
重たいよう。。
王子様はなんで自分はこんなところでこんなことをやっているんだろう。
どうして、だれも迎えにこないんだろう。。と思いました。
そのころお城では。
王子様がいなくなったあと、王様は王子様が農家に落下したと聞き、ひそかに農家に召使を差し向けましたが、王子様は幸い無傷。
農家のおじいさん頼んで王子様をしばらくいさせることにしたのです。
わがままな王子様がいなくなったあとのお城は平和で、王子様の兄弟姉妹や召使のだれも王子様を恋しがることはありませんでした。
そして1年が過ぎ。。
王子様は毎日の規則正しい生活と新鮮な野菜中心の食事と農作業のおかげですっかりスリムになり、またおじいさんの厳しいしつけのせいで性格が丸くなってきました。
変わらないのは、相変わらずチューインガムは欠かせないこと。
さあ、王子様にこれからなにが起こるでしょうか?
1.素敵なお姫様と出会い、ハッピーエンド
2.お城で大変なことがおき、王子様は悪者をやっつけにお城に帰り、見事に悪者を退治。
3.民の気持ちがわかるようになり、父王のあとをついで国を上手くまとめる
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