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ピーマンお化けと魔法のレシピ

嫌がる事なんて分かってるくせにさ

今日だって夕食のメニューに潜むピーマン

見ただけでも叫んじゃうんだぞ

本当に嫌なんだ、食べたくない……。


憎む事には慣れていくけど、不思議と痛む心の果て

気持ち悪くて吐きそうだよ。この気持ちはなんだ?


確かめたい


君の事が本当に嫌いだ。でも、どうか見てほしい

お皿の片隅に残る姿を見て、目の前の景色は滲んでいく


繋がる手だけが『友情』じゃないって

奴を殴って初めて知った日

泥だらけになって帰った夕方

お母さんは機嫌良さそうに怒っていた


出会う事だけ求めていくけど、別れの時が来るのは怖い

僕が好んだあの子も、嫌って捨てたピーマンも……。


『さようなら』だよ……。


『子供の頃は夢を見なさい』大人は笑顔で僕に言う

忙しそうに働く都会の姿は、どことなく『夢』が腐っていた


『これから君が出会うモノは間違いなく必要なのだよ』

『僕は大人になりたくない。夢を忘れるくらいなら……。』


お皿の片隅に残る君を見て

教室で一人、読書をするあの子を思い出した

その他の野菜に混じった君を見て

嫌々と働く大人達を思い出した


君の事が本当に嫌いだ。でも、ずっといてほしい

お皿の片隅に残る姿を見たくない。寂しさを教えたくない……。


君の事が本当に嫌いだ。社会の色に染まるだけなら

お皿から君だけ救い出して食べてやる。僕は夢を見たいから


嫌いなピーマンでも一人じゃ寂しいから

魔法のレシピにかけられた僕は大人になるから・・・・・・。

大嫌いな大人になるんだから・・・・・・。

ピーマンお化けに脅えなくなるんだから・・・・・・。


今日も夕食のメニューに潜むピーマン

鼻摘まんででも食べてやるよ

嫌われるのは僕も嫌だから

この偽る努力が人生に必要なのかな・・・・・・。

それが大人が使える魔法のレシピなんだね・・・・・・。




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