2-EX2 Entry No.1
――俺はタケル。クランの仲間からは「タケっち」なんて呼ばれている。今年の〈極皇杯〉、エントリーナンバー一番の男だ。
「〈五六総合病院〉……!……ってコトは、Fブロックか……!」
〈極皇杯〉の予選開始直後、〈翔翼ノ女神像〉による転移。俺の目に映った光景は、広々とした病院の受付ロビーだった。通路の先が見えないほどで、新世界でも有数の規模の病院だろう。しかし、そこには看護師の一人足りともいない。
――よし、まずは身を隠すぞ……!
俺はその受付カウンターの内側に身を隠した。本来は病院関係者しか立ち入りができないスペースだ。
エントリーNo.1。四十八万人の出場者の中で、最速でエントリーを表明したことになる。そのお陰でテレビの取材に雑誌のインタビュー……様々な仕事が舞い込んできた。今やちょっとした有名人だ。流れは俺に向いている。
――今年こそ本戦進出だ……!
「ん……なんだ……?」
違和感が生じる。奥の部屋から、影が伸びてきたのだ。その影のでき方は、明らかにおかしい。何かに光が当たって作られた影ではない。人為的に創られた影だ。
「影……?」
影は周囲を飲み込むように広がってゆく。――そして、俺の足許へ。
――瞬間。俺は粉微塵となった。頭や身体は弾け、臓物が飛び出す。
「は…………?」
俺は、二十七歳という若さで、その生涯を終えた。
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