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クラスメイト達のいる王都を離れ、もう何年も舗装されていない道を、ゾルボドを背負って歩く。
やろうと思えば魔王軍の本拠地なんてゾルボドの記憶から読み取ってポン☆だけど、俺はそうはしない。
折角の異世界だ、自分の足で歩くのも悪くないと思う。
毎秒強くなる俺は、ここ数日でかなり強くなった。
現在概ね3000万のレベル。
HPは億を超えた。
使えるスキルも増えたし、なんでもできる。
「きゃあ!!」
と思った矢先に女の子の悲鳴。
ここ数日でそんな子をかなり見かける。
要は、避難できずに魔族に捕まって奴隷にされた子や、魔物に嬲られ続けている者。
「【魔弾】」
円錐型の魔力の塊を打ち出し、魔物だけを殺す。
助けた子は回復をさせて王都へ転送する。
そんなことを繰り返しながら、荒廃した大地を練り歩く。
ほぼ無限にある魔力を、常に大地の再生に費やしながら、俺1人の行軍で魔王軍と渡り歩く。
山脈も、湖も、砂漠も、俺の歩みは再生の歩み。
「【顎楼閃天】」
一極集中で魔力の塊を設置することで、持続的な再生を可能にする。
そんな感じで世界各地に色々な対策を施しているんだが、100年200年先のことを考えると、不安が多い。
俺がいないと回らない世界なんて、無責任な状態を作りたくない。
なまじ俺1人で世界のエネルギー源を担えてしまうのは逆に問題だ。
これは、この世界の人間を信じてないとかそういうのじゃない。過保護に育てられたら子供は苦労をしなくなる。苦労をしないと努力をしない。そんな歪みを生み出す。
結局、依存されたら終わりなんだ。「俺がいたら大丈夫」は有毒で、有害で、不自由極まる。
人々の自主性に任せようにも、人類の悪質さは前の世界で十分知ってる。
この世界でも、あの地下の様子を見るに本質は何も変わってなさそうだし、分身と共有してる視覚から得た情報的にも、変わりはなさそう。
腹が満ちたことで、衣服や居住状態、娯楽の有無に文句をつける者が増え、貴族、平民、奴隷階級での居住区画の分裂、集団の差別化。
クソかったるい俺の努力を踏み躙られた様な気さえする。
こういう時にどういう対応をとるのが最善なのか、高校生の俺には分からない。
刑務所的な所を作るべきなのか、粛清するべきなのか。
今も、俺の分身に縋り付いて、貴族たちの横暴を止めてほしいと哀願する平民達。
めっちゃ心が荒む。