3.賛美
【常時レベルアップ】について分かったことは、毎秒レベル100あがるとかいう弩級チートということ。
つまり、1分で6000、1時間で36万、1日で864万のレベルが手に入る。
ステータスの表示を見比べても、俺は明らかにインフレしてた。
ステータスについて調べるのは、国王さんが許してくれたおかげで、国立図書館でのんびりしている。
どうやら、俺というレアカードを手に入れた事でどうにか冷静さを取り戻したらしい。
で、【属性魔法】や【スキル】について調べていることを元に、色々考える。
と言っても、俺が知っている異世界モノと比べて、どれくらい噛み合った設定の世界なのかという擦り合わせをするくらいしかできない。
あとは、0からの積み重ねだ。
スキルは、ステータス最下のSPを支払うことで習得可能。
レベル1につき獲得するSPも1。
スキルの効果やレアリティによって必要SPに差はあるが、多くても3桁には届かないらしい。
20SPで獲得できる【SP倍増】は、1レベルの獲得SPを2にしてくれるらしいが、それを獲得するSPとの兼ね合いが重要。
が、俺にはまるで関係無い。
最高効率を目指す。
『ダイチ・オオゾラ 17歳 男
レベル111万
HP:158万
筋力:52万
魔力:49万
敏捷:53万
忍耐:12万
知力:10万
幸運:2万
パッシブスキル【魔法全適性】【魔法威力増大】【物理攻撃強化】
アクティブスキル
固有スキル【常時レベルアップ】【オーバーブースト】【メテオ砲】【オーバーヒール】
SP111万』
パッシブスキル
【魔法全適性】基本六属性、特殊十二属性を使用可能。
【魔法威力増大】魔法の火力が三倍になる。
【物理攻撃強化】物理の火力が三倍になる。
【火の極意】火属性の魔法を超強化。
【水の極意】水属性の魔法を超強化
【地の極意】地属性の魔法を超強化
【風の極意】風属性の魔法を超強化
【光の極意】光属性の魔法を超強化
【闇の極意】闇属性の魔法を超強化
SP5+15+25+30+50→125×6→750
【魔の極意】魔法の最大値を強化する。
【法の極意】魔法の熟練度を強化する。
SP100
【氷の極意】氷属性の魔法を超強化
【雷の極意】雷属性の魔法を超強化
【鋼の極意】鋼属性の魔法を超強化
【病の極意】病属性の魔法を超強化
【聖の極意】聖属性の魔法を超強化
【死の極意】死属性の魔法を超強化
SP10+20+30+45+60→165×6→996
【SP増加】レベルアップ時のSP獲得数が2になる
SP20
他多数
アクティブスキル
【火魔神】【水魔神】【地魔神】【風魔神】【光魔神】【闇魔神】【氷魔神】【雷魔神】【鋼魔神】【病魔神】【聖魔神】【死魔神】【魔法神】
【拳武神】【蹴武神】【撃武神】【柔武神】【剛武神】
SP3+15+30+45+60→153×18→2754
【魔神装】【魔神砲】【魔神陣】【魔神紋】
SP25+30+35→90×4→360
他多数
固有スキル
【常時レベルアップ】レベルが常に上がる
【オーバーブースト】限界突破
【メテオ砲】岩属性系の砲弾
【真空斬】風属性系の斬撃
【オーバーヒール】全回復魔法』
取れる分は取った。
取得に条件があるスキルは取れなかったが、それ以外は全部取得できた。
しかし、あり得ない必要SPのスキルも存在して、1万ものSPを消費するスキルは詳細不明で条件も不明だし数もかなり多かった。
アレってなんの意味があるんだろ。
俺みたいなイカれたチートの持ち主でもなければ、意味がない数字のSPだ。
とりま、訓練も無しで手に入れた大量の最大スキルを使いこなせるようにならないといけない。
国立図書館内には、ホントに大量の本があって、スキルの取得条件が書かれた本はあったけど、万スキルは名前と、その効果の予想だけが書かれていた。
結果、俺が取得できた万スキルは以下の三つのみ。
固有スキル
【王気】圧倒的存在感を放つ、食らったやつは死ぬ。
【鬼化】鬼に変身する、相手は死ぬ。
【鮮化】食ったやつが死ぬ物を浄化する。
固有スキルとは思えないくらいの字面だけど、これが本当ならアタリだ。
ウルトラチートな俺が、ついでにかなり強くなった。
とはいえ、慢心はできない。
こういうインフレした数字はどんな漫画やラノベでだって、対抗馬が必ず現れる。
となれば、俺は常にそれを想定して立ち回る必要がある。
【高速読書】や【並列思考】のスキルの効果もあってら俺は必要最低限の知識をかなり短時間で手に入れることができた。
◇◆◇
異世界転移初日の夜。
俺たち転移勇者は、国王をお誕生日席に据えた長机に並べられた料理を食べていた。
「我々は我々の都合で召喚した手前、貴方達に一切の不自由をさせるわけにはいきません。ですので、ご要望があれば近くの兵士にお申し付けください。」
そう言う王様。俺のクラスにもいた不良生徒達にそういった言葉は非常に危ない。なにより、まだまだ判断力の無い未成年のガキを捕まえて何言ってんだって話よ。
俺は、その食事に手をつけることはなく、そのまま盆を両手に抱えて、食堂を出た。
向かったのは、王城地下施設。
避難民の多くが隔離されている、雑魚寝するスペースもない程度の大広間。
王都内の人口は1000万人と仮定して、残りはほとんど国中からの避難民。なら、その避難民はどうしているのか。その答えがここ。
不潔で、衛生管理もかなり粗雑。
体調の不調で倒れる者もいるし、純粋に換気が悪くて酸素も薄いし臭いがキツイ。
こんな奴らを放っておいて、食事を楽しむなんて出来るわけない。
「【聖魔神】【超浄化】【最適空間化】」
聖なる光で地下空間内を完全浄化。肉体の汚れや、疾患、ウィルスに至るまでの不具合や不都合を狙って取り除く。
建物のバランスを崩さない程度に、地下施設を拡張、通気口を作り、十分な換気を行い、太陽光の代わりになる光源を出現させる。
「【健康付加】【複製】【転送】」
健康状態を向上させるエンチャントを乗せて、避難民分に皿と料理を増やす。
それを、1人1セット配る。
かなり集中力がいる、ある意味効率の悪い方法だが、俺の中のステータスには表せない魔法の練度が上がった気がする。
「こ、これはいったい。」
一瞬の出来事だった一連の浄化作業は、流石に避難民達に恐れを抱かせてしまったらしい。
「俺は、救いを求めて呼び出された勇者の1人!だから安心しろ、お前らの平和は俺が守る!」
【拡声】のパッシブが乗った大きく通る声でそう告げる。
しかし人々は、その状況をまだ処理しきれずに、ぼんやりと俺を見ているだけ。
「ただの借り物、神様頼りのチート野郎で、やってる事は根本的な解決にならない現状維持の偽善だが、それでもお前らを助けるよ。」
その言葉を聞いて人々の活力が高まるのを肌で感じる。
『おおおおお!!!』
無数の雄叫び。
喝采と賛美の嵐。
それを背に、俺はまた城の方へと戻っていった。