魔王の目から逃れるために女の子として育てられた勇者が違う方の意味の勇者として認識されてしまった話。
(注意)こんかいはラブコメ要素はありません。
大分、頭が悪い話になっていますので、お読みになる前は、頭の線を2~3本切ってからお読みください。
はるか昔の事でした。勇者が大魔王様を倒すという予言を聞いた大魔王様は、勇者が子供のうちに殺してしまおうと勇者狩りを企みました。そこで勇者の両親は一計を案じ、人っ子一人いない山奥で勇者を女の子として育てました。
はたして勇者は大魔王様の勇者狩りの目を逃れて、スクスクと成長して18歳になりました。18歳に成長した勇者は、自分が大魔王様を倒す宿命にあることを知り、「もう大人になった自分は大魔王討伐に立たねばいけませんわ。」と決意しました。そして勇者は、両親が「一族の恥だから、やめてくれ」と、泣いて止めるのも聞かずに、大魔王様の討伐の許しを国王に貰うためにお城へ旅立ちました。
城についた勇者は人並み外れたオーラを纏っており、衛兵が止めるのも無視して無断で城に侵入しました。誰一人として城に入る勇者を止めることが出来なかったのです。勇者が余りにも恐ろしかったからです。
その国の王様は並みいる兵士たちが止めることも出来なかった勇者が大魔王様討伐の許しを貰いに現れたと聞いて、大喜びで謁見の間に現れました。王様は「これで人類が救われる!」と信じていたのです。
たが、しかし。謁見の間にいたのは、身の丈2メートルを軽く超える筋肉ムキムキのビキニアーマーを着た変質者でした。
王が呆気に取られて「お前は、何者か!?」と尋ねました。
勇者は答えます。
「私は、大魔王討伐の予言を受けた勇者ですわ。」
その言葉を聞いた王は、呆然としながら、改めて勇者を見ました。
女の子として育てられた勇者は、ムキムキボディの大男でしたが、心は、女の子。ビキニアーマーを着たいと思うことは当然の事でしょう。しかし、事情を知らない王様は大爆笑。
「あははははははっ!!勇者って、お前。それ、違う方の意味の勇者じゃねーかっ!!!あはははは!」
「お前、よくもそんなナリで王である俺の前に立ったな!あはははっ!勇者だよ!確かにお前は勇者だよ!!」
「あはははははははは!」
もう、王様は腹筋大崩壊。しばらくの間、笑いが止まりませんでしたが、勇者の事を道化師と勘違いした王様は、自分を大笑いさせた礼だと言って褒美を取らせて勇者を帰しました。
勇者は200ゴールドと銅の剣を手に入れた。
勇者は、次に荒くれ者が集う冒険者の酒場に行きました。勇者はここでともに戦う仲間を探しに来たのでした。
店内に勇者が入ると、ただ者では無い不気味なオーラをまとった勇者の登場に店中が大爆笑!
ある男が笑いながら尋ねました。
「ははははっ!お前は何者だ?何だってそんな格好してるんだよっwwww!」
男は、ギリギリ理性を保っていましたが、勇者の
「私は、勇者です。大魔王討伐に向かうので、鎧を着ているのですわ。」と言う返事を聞いて腹筋が崩壊しました。
「マジかよ!お前、勇者様かよっ!wwww」
「たしwwっかにwww・・・・勇者様だよ。おめーはよ!!www違う意味で勇者だよ!!」
「とんでもねえ、勇者様(笑)が現れたもんだぜ!」
店中が大爆笑になりしたが、誰一人として勇者と共に大魔王討伐に出掛ける者はおりませんでした。
勇者は、「ここに私の仲間はいないのですね。」と、捨て台詞を残して酒場を去りました。店の中はもう大変。「おい、あの勇者様。仲間を探しに来てたのかよ!wwww」
「仲間って、そっちの仲間かよ!」
「いるわけねーだろ!そんなデンジャラスな格好するお仲間なんかよっ!!」
大爆笑の渦となった酒場を去った勇者は、街の掲示板にオークの群れを討伐して欲しいと言う依頼があるのに気が付きました。
「これは、私が救いに行かないといけませんわね♡」勇者は、今こそ初陣の時!と、心に決めて城下町を旅立ちました。
それは、もう大変な足の速さです。その日、城下町の憲兵所には、「ビキニアーマーを来た大男が全力疾走で城下町を駆け回っている」と、大勢の町人達が通報に来ました。
憲兵は、お城からの連絡で、その人物が勇者と知ってしました。それで通報に来た町人達に向かって
「それは、勇者様だ。」と、真顔で告げたものですから、町人達も腹筋大崩壊!!
「いや、そりゃ、ある意味。確かに勇者様だけどさ。憲兵さんよ。そういう事じゃねーだろwwwww」
「勇者様ってwww!!勇者様ってwww」
「その勇者様をとっ捕まえてくれよ!!ヤバい方の意味であいつは勇者様(笑)だからよっ!!」
もう城下町は突然現れた「勇者様(笑)」に大混乱!!
こうして、勇者様は、城下町で違う方の意味の勇者様と認識されてしまいました。
さて、そんなことはつゆ知らぬ勇者は、問題の村に到着しました。
勇者が村に着いて最初に出会ったのは、村の幼い子供たちでした。勇者は、子供たちに「勇者がオーク退治に来たと村の大人たちに伝えて。」と頼みました。
幼い子供は素直です。疑うこともなく大喜びで村の大人たちに「勇者様が来た!」とふれて回りました。大人たちは大喜びでオークを倒してくれる勇者を迎えに行って、腹筋大崩壊!!
「勇者様って、そっちの意味の勇者様かよwwwww」
「あはははははっ!!こりゃマジもんの勇者様(笑)じゃねーかっ!!」
「なんつー格好してるんだよwwwこりゃ、確かに勇者様だわwww」
「子供は本当に面白いことを言う!!」
勇者は、それでも笑いすぎて酸欠状態になっている村人たちから、なんとかオークたちの住処を聞いて討伐に向かいました。
その立ち去る背中に子供たちが放った「がんばってー!!勇者様ー!!」の一言に村人たちは、もう笑いすぎて失神寸前になってしまいました。これが世にいう「勇者事件」の事の顛末です。
それはさておき、勇者はオークの住処に到着しました。まだ昼間なのでオークたちは巣穴にこもっています。
巣穴の中は敵の本陣。中で戦うのは危険と判断して、巣穴の外で戦うことにしました。
王からもらった銅の剣を引き抜くと、勇者は大声で「おいっ!!オークたち!!勇者が討伐に来ましたわよっ!!観念して出てらっしゃい!」と叫びました。
しばらくすると巣穴からわらわらとオークたちが出てきましたが、勇者のいでたちを見て、驚きました。
身の丈2メートルを超える長身とムキムキなボディ。そして、あまりにも大きな男性のシンボルを見て恐れおののきました。勇者は男だったので、ビキニアーマーと言えど、「袋」を包む形状が必要です。
だから股間部もブラジャーのようにお宝を包み込む様な形になっていたのですが、勇者の男性シンボルは、たわわに実った果実ほどご立派で、これがオッパイならGカップは、あろうかというサイズでした。
オークにとって、男性のシンボルは繁殖力と男性力の象徴。勇者の並外れたサイズにオークたちはすっかり恐れおののき、平伏して勇者を「一物様」と呼んで、服従を誓いました。
勇者には、どうしてそうなったのか意味が解りませんでしたが、とりあえずオークたちを部下にして、魔王討伐の旅に再び出かけてゆきました。
さて、大魔王様の耳にも伝説の勇者がオークたちを服従させて大魔王様討伐にやってくる!という噂が届きました。
大魔王様は、勇者を恐れて討伐軍を編成して勇者を打ち取るように命じました。
すると、あっけなく勇者が捕獲されてしまったのです。
まぁ、勇者は結局誰とも戦ってなかったので、LV1でしたから、あっさりと捕まってしまったというわけです。
勇者は、魔物たちに捕獲されて大魔王様の前に引きずり出されました。
大魔王様は、ビキニアーマーを着た身の丈2メートルを超えるムキムキの大男を見て、しばらくは事情を察しませんでした。
「余は意味が解らぬ。お前は何者だ?」
その問いかけに勇者は答えます。
「わたくしは、勇者!お前を倒す使命を授かった乙女です!!」
その答えを聞いても事態を理解できない大魔王様は「はあっ!?」と答えてから暫く首をひねって考えます。
それでも意味が解らないので、部下に尋ねました。
「おい。こやつは何者だ?」
部下たちは、神妙な顔で応えました。
「勇者です。」
「・・・・・・勇者って、お前。こいつビキニアーマー着た、ただの変質者じゃないのか?」
「いえ、だから。勇者です。」
「・・・・・・え~?」
部下との問答がかみ合わない大魔王様は困惑してしまいましたが、やがて合点がいって、大笑いしました。
「お前、勇者が出たって!!そっちの意味の勇者かよっ!!」
「あははははははっ!!勇者って!!勇者ってwwwww!!」
「あははははははっ!!」
勇者が来たと聞いていた大魔王様は、恐怖の日々を過ごしていましたが、合点がいったとき、その凄まじい緊張感から解き放たれました。
大魔王様は勇者を道化師と勘違いしたのです。大魔王様は部下が気を利かせたサプライズギャグと勘違いして大喜びで笑いました。
挙句の果てに勇者が「私に乱暴するつもりなんでしょ?私はどんないやらしい真似をされても決してあなたのものになったりしませんわよっ!!」などと、くっ殺みたいなセリフを言うので更に大爆笑!
「はははははっ!!お前、よりによってそれを言うのかよ!!」
「よくも余の前でそんなセリフが言えたものだっ!!」
「あははははっ!!まさしくお前こそ勇者だよっ!!あはははははっ!!」
大魔王様、腹筋大崩壊。
しかも、ただでさえ大笑いをしているというのに、時折、勇者がビキニアーマーの股間部の脇からこぼれ落ちそうに覗いて見える「お袋」を手で押さえながら、恥ずかしそうに「いやん」というのを聞いて、さらに笑いの回転が上がります。
「~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!」
大魔王様は、もはや笑い声も出せません。
かつて、お笑い芸人の大御所は言いました。
「笑い言うのは、声を上げて笑っていられる間は、ホンマに面白いんじゃない。笑いの回転が上がると、その内声も出なくなって高周波になるんや。」
まさに、大魔王様は今、その状況です。
このまま笑い続けたら死んでしまうのではないかと思うほど笑っています。
「wwwwアカンwwwアカンてwwww」
「これ以上www笑ろたら死んでまうわwwwwwwっ!!」
「あー-----っwwwww!!」
大魔王様は、これ以上、勇者(笑)を見るのは危険と察して、褒美を与えて帰らせることにしました。
その時、勇者が本物の女の子になりたいと泣くので、哀れに思った大魔王様は、大笑いさせてくれたご褒美だと言って勇者を美少女に変えて、家に帰してやりました。
こうして予言の勇者は、ただの女の子になってしまいましたが、大魔王様は、知りません。この200年後の事、この勇者の子孫が大魔王様を討伐することを。
人類は知りません。この勇者は歴代勇者の中で最も素質に恵まれた天才だったので大切に育てていれば、何の苦労もなく大魔王様を倒せたことを。
ま、そんなこと、こんなふざけたバカッ話を語るときに何の意味もありませんがね。
(おしまい)
かなり、頭の悪い話になりましたが、ま。たまにはこんなイカれた話もいいでしょう。
Twitterやってます。@kokushintan 黒神譚。
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