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異世界転生 ツイン園児ぇる  作者: をぬし
第五章 童乱 幼子の結んだ縁
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84話 即席陣形

統率の仕方にも様々だ


元より決めた時間 役割 配置を決めるのが基本だが

世の中そうそう楽じゃない


リーダーが頼りないこともあり いないことだってある

いないほうが統率が取れてるんじゃないかって 冗談みたいなこともある


そんな崩れた環境での対処法


全員の目標を定めておくことと

仲間を信じることである



「ああっ・・・なんて ひどいのっ・・・」



 聖女が悲痛の声で血溜まりとなった少女の元へと歩み寄る。白き修道服が赤に染まる事も厭わずに。



「おい先生っ!!ぬし生きてっか!?生きてるよな!!?」

「・・・お前は・・・黙って壁となれ・・・」

「ちっ・・・!わかってんよっ!」



 背後の安否(ぬしちゃん)が気がかりな剣士を武装を変えた()()が静かに叱咤する。


 重装2人による矢盾は踏み込む隙を与えない。



「生きてるっ!!まだ助かるよ!!足が、全部やば・・・止血!あと薬草とぁ 水で流さないと ど どこだっけはよ出ろ!!」



 杖を地に置き聖女の隣で膝をつけた風使いがギャーギャー(わめ)きながらも鞄から水に色取り取りの草、緑に濁った薬品(傷薬)を取り出し始める。

 


「うちらのお姫さんにぃ、やってくれたね?」

「動いたら・・・殺す」



 左門の弓撃(きゅうげき)、右門の凶撃(きょうげき)


 左に動けば弓使いが射掛け、右に動けば女豹が飛び入り首を絶つ。



「お、お前達は、いったい・・・?」



 色とりどりの即席陣形に必然的に囲まれた 大尉と呼ばれていた男が突如として現れた者達へと奇異な目を向ける以外なかった。



「あぁっ!!?うっせぇ誰だテメェ!?漬物石でも んな図体してねぇぞ!」

「なんでぬしちゃん守ってんのよ!?敵でしょ!?たぶん!?助かったけど!!」

「罠ならここで斬り伏せる」

「・・・その鎧・・・不動の・・・?」

「フドウ?サキが言ってた()()()()()っつー土地の事か!?」

「土地なんてありふれとるわ!!()()狂ってんじゃないの!??」

「んだと風っ子てめぇっ!?黙ってぬし治せやっ!!」

「なぁーんか知んないけど こいつヤっちゃっていいの?」

「・・・よしておけ・・・強いぞ・・・」

 


 前後左右どこくる声か、聞いてるだけでキンキンと耳が痛くなりそうだ。



 若さに負けて 物言えないまま男は黙る事に心に決めた。




「茶番は終わりかね?諸君」




 鉾槍(ハルバード)の柄を振り右から左へ持ち手を変えて、帝国兵士達の間から悪魔のような姿の男が前へと躍り出る。



「一応 問いておこう。帝国の進軍を妨げる貴様らは何者か」



 彼らは何者か。


 鉄板のような大剣を盾にしている代表が答えを告げる。



「俺らの宝物(たからもん)を救いに来たんだよっ!!!」



 顔付きを鬼へと変えて、剣士が叫ぶ。



「ハッハッハ、家族。では貴様らはそこの()と同じで?王国の兵士という事でよろしいですかな?」



 挑発めいた言動を言い放たれた者達の武器を揺らめいた。


 これを剣士はどうにか歯を食いしばり 矢盾の構え()を維持し続ける。



「違ぇよ 何もかもっ!!こいつは王国の者じゃねぇ!」

「はて?では我が兵を対して毒を撒き散らすのは何かね?お遊戯会のつもりですかな?」

「毒だぁ?こいつに倒されたんなら安心しなぁ、全員生きてんぜ」

「生きている?薬品を投与しても目覚めないのだぞ?」

「おーーよ。んまぁ3日かそれ以上?起きねーみたいだけどな、可哀想によ!」



 意地悪くニヤけてみせた剣士の表情(かお)は気の持ちようが手に取れるほどに悪辣な面構えであり、好感の1つも持てない。



「・・・やはり毒か。その獣、いや?()()()()()此方(こちら)に寄越せ」

「だ れ も殺しちゃいねぇ言ってんだろうがっ!!こいつは騙されてお前らを襲ったんだよ!!」

「いいから、寄越せ。そしたらお前達は難民として逃がしてやろう」

「舐めてんのかジジィ!!譲らねぇってんだよ ぜってぇなっ!!」



 方や火山、方や氷山。


 噴き出るマグマに大氷をぶち込む様に互いは相容れない。



 首をゆっくりと大きく横に振った後、剣士に対して仕方無しと語り出す。



「では・・・お前達を部外者と判断して 心中を話してやろう」



 森は静けさに包まれる。

 大気の動きが止まったように。




「時代の世も戦を終結は決着と天災のみであり、此度の戦は我々 帝国の陽動と奇襲部隊による外堀作戦により戦況は好転、それ以上の被害は出ないはずだった」



 左手の鉾槍を 影に隠れた少女へ向けて・・・口調が一転。



「だがそいつは何をした!?何故邪魔をする!?半端に力を振り回し 戦が長引き帝国どころか王国の者、両者が今!無駄に命を散らしているのだぞっ!!子供だから知らないと?馬鹿なことよ!であれば・・・人ではなく哀れな獣(化け物)としてここで仕留めるほかあるまい!!!」



 戦争を建前にした正論。



「あー・・・哀れ ってのは確かかもな。あんたの都合もよ」



 剣士はこれを受け入れた。



 誰よりも怒りに任せて突っ込みそうな男が だ。



「知らねぇ場所に友達と迷子になって、化け物相手に体張って勝手に大怪我してよ、(ホラ)吹かれて騙された結果がこれ。哀れって話どころじゃねぇ、どん底だよ」



 大剣下ろして無防備を晒し始めだし、帝国兵士達は集中して矢を引き絞るが・・・中将は手を上げ これを止める。



「あんたの意見も合ってるよ。アホなガキが関係無ぇのに首突っ込んで邪魔したでけぇツケは 払わねぇとな」


 

 大剣掴んだ片腕1本 天へと掲げ、両手ですら振り回すことも難しい物体を持ち上げる姿に帝国兵士達は息を呑む。



「要求を鵜呑みにするほど俺の頭は良くも硬くもねぇんだけどよ・・・提案だ」



 大剣を指し示す先は 子供を獣と称す禍々しい鎧を纏った男。




「俺はこいつの 兄貴(アニキ)で保護者。このままじゃ埒があかねぇ。間を取って一騎討ち(一対一)でどーよ!?」

「・・・ほう?」



 本当に不思議そうに中将は肩を竦めだす。




「笑いものよ。貴様の首一つでどうにかなると?」



 なるわけがない。

 国力の争いに個で済ますなどと。



「割りに合わねえだろうから提案だ」

「言ってみろ」

「俺が勝ったら俺らを全員見逃してくれ」

「ふん・・・負けたらどうしてくれるのかね?」



 剣士は空いた左手の親指立てて背後へ差した。

 それは自身にも、仲間にも向けている。



「俺が負けたらこいつら連れて王国攻めろ。実力はさっき見たろ?道案内もしてやるぜ」

「・・・ほう?」



 関心を示したかと中将は鉾槍を巧みにグルリと回転させる。



 ほぼ了承。

 そう受け取ったようなものだった。



「ちょぉお!?サキちゃんどうするってんのよ馬鹿!!この馬鹿!!」

「ってうちらもかい!?巻き込むんじゃないよこの赤牛!!」



 肝心の身内が認めていないが。

 何言ってんだこいつ、そんな感じ。



「・・・俺は、構わない・・・」

「俺も構わん、むしろ殺らせろ」

「構えや男ども!!」



 こいつ ら、と訂正。


 男と女、ぬしちゃんを治すために1人は除いて意見が分かれだす。

 賛成派の弓使いに熊男、否定派の風使いに女豹、剣士を含めた時点で多数決には勝ち目がない。




 黒き竜の頭を思わせる兜の視線が剣士の背後へと向けられる。



「あー騒いじゃいるが気にすんなよ。邪魔はさせねぇ」



 大剣を背の留め金に引っかけ直し 歩きながら剣士は赤に輝く武器へと持ち直す。




 赤い金(レッドゴールド)で作られた剣と盾。


 対するは黒鉄(クロガネ)の鉾槍。



 若き冒険家達と帝国兵士達は幅を空け、森の中で鎧の壁が作られる。



「やはり・・・似ているな」

「あ?何がだ?っつーかよく要求飲んだな あんた」

「ふん、小僧1人の遊び相手で国1つ終わるやもしれぬのだからな。手っ取り早かろう?」

「言うじゃねーかよ」




 勝負は一本。



 西の赤、東の黒。



「では、名乗るがいい。礼儀は知っているか?」



 剣士は構えて・・・悪辣なニヤけ顔。



「っは!!名乗るほど俺は()()じゃねぇんだよクソジジィッ!!」



 無礼千万(礼儀知らず)な剣撃重ねて名乗りをお見舞いだ。


 問答無用の試合開始(強制戦闘)



「ハッハッハ!!獣の次は牛の相手かね。来いっ!小僧っ!!」

「ぬしの足ぃっ・・・てめぇの首で許してやらぁっっっ!!!!」



 一騎討ちというのは我慢の解かれた彼の思いつき。



 大切な()()を傷つけられて平静を装うほど、この剣士(おばか)は賢くない。




読んでくれてありがとうございます


ツイッターでもよろしくお願いします

@vWHC15PjmQLD8Xs


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