82話 折れぬ芯
芯とは心 筒は身体
二つが合わさり人となる
いくら芯が強くとも 筒が滅びれば容易く圧し折れ
いくら筒が強くとも 芯が滅びれば意味はなさない
筒を失うのだとしたら芯はどうなるのだろうか
地面に突き立てる他 無いのだろうか
帝国間においても最強と恐れられる闘将。
王国最大の弱点は彼以外の名高き英雄がいない事だった。
竜を持ちながら、他の多くは羊に近い。
対して相手は竜こそいないが猟犬揃いであり戦略に長けていた。
地図の上から眺めれば中央が本場に見えるが、事実上の決戦は外堀にある。
だからこそ伏兵の恐れのある情報を力の弱い王国は欲し、有する帝国は悟られまいと誤情報を掴ませる事で勝利を得たはずだった。
勝利を得ていた・・・はずだった。
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「なぁっ!??」枝を振る。
「どお!!?」転ばせる。
「おねんね」手で触れる。
ボウッ!!
「くそっ!!」石当て。
「なっ!!」枝投げ。
「おねんね」手で触れる。
ボウッ!!
高鳴る弾き。爆ぜる闇。
知恵得た少女は留まる所は覚えない。
黒髪の少女による投石が飛来する。
「当たるか!」
軸を逸らしてこれを回避。
帝国兵士が反撃と足を狙った横払い。
「何っ!!」
小さな身体は異様に身軽。
真上を飛び越す脚力で難なく避けられる。
背後に迫る少女を恐れて振り向けば、茂みの影へと潜む姿。
「させんっ!!」
逃さまいと帝国兵士は前へと踏み込む。
「なっぁっ!!??」
狙いは叶わない。
避けた石に躓いて、右足があらぬ方向へと足を出る。
踊る兵士に迫る影。
「おねんね」
「ひっ!!??」
ボウッ!!
轟く弾き。沈む闇。
崩れる連鎖が止まらない。
止めれない。
「せ、精鋭が・・・」
鎧は枷。
「追いかけるべきでしょうか!?」
潜む闇。
「待て!罠が、あるかもしれん!」
厄介は地形と罠だ。
「ど・・・どれが!!?」
小石、木、野草も枝葉。どれに触れ、どれが無事で、どれが駄目か。
在るもの全てが疑わしい。
在るもの全てが恐ろしい。
「他の者は何をやっている!!」
「こ、孤立しております!!他も、もしかしたら」
「有り得ん!有り得ない!!こちらは千を越えるのだぞ!?あのガキ以外にも何かいるに決まっている!!!」
「なら何故誰も来ないのですか!?」
群を相手に単で迎え撃つ英雄譚はあれど、全てを足止めするのは策でもなければ無理にもほどがある。
彼等の思考が及んだ時に草の茂みの中から黒髪の少女が飛び出すが、ナリが少しおかしい。
裏返した黄色い帽子を両手で抱えたまま、武器を構える帝国兵士の離れを走り回る。
「・・・奴は、何をやって」
口にするのも束の間。
「はっぱさん、まーいまいなんだ」
裏返した帽子の中から枝ごと葉っぱを取り出しては撒き散らす少女の姿。
葉っぱ、そう。オマケつきの。
「あいつ!葉っぱで囲んでます!!」
「あ、ああああれかぁああ!!!!」
緑に生い茂る森の中を俊足で駆けながら元凶を撒かれていたのだ。どえらい速度で。
何より、愉快そうな口ぶりと動作に地獄を見ているのだと知った今、頭がおかしくなりそうだった。
葉に触れないように森を歩けと?
なんの冗談か。
「倒れた者を急いで起こせ!!」
「何度も試しましたが、起きません!!
「ゆ、弓兵!!」
「倒れてますって!!」
その場に立つ帝国兵士は2人。
射掛ける兵士は地に伏せたのは、意図的か。
そして、黒髪の少女は満足そうに去っていく。
「まーいまいなんだ」
悪魔の呪文に違いない。
「ま、待て!?どこに行く貴様!!」
「動いては不味いです!!石が!」
「どれだ!?避けながらっ・・・ぇえい!なんなのだこれはぁ!!」
耳を済ませば森のあちこちから間抜けな悲鳴と弾く音。
「まーいまい、まーいまい、まーいまいなんだ」
森は・・・葉っぱの監獄に蝕まれていく。
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「まーいまい、まーいまいなんだ」
葉を撒き散らし駆け抜け続けてどれほどの時が経つか。
黒き鎧を身につけた者達と遭遇する事は少なくなっていた。
「まーいまい・・・」
指が固まり、葉が捕まえにくい。
喉が少し、窮屈な感じに陥っていた。
「きゅうけいなんだ」
黒髪の少女は帽子を握っていた手、走り続けた脚に違和感を覚えて座り込む。
「おみず」
腰に手を伸ばそうと手を伸ばすが空を切り、思い出したように口ずさむ。
「なかったのか」
カバンに入れてたのだからあるわけがない。置いた場所も忘れてしまった。
風呂敷も落としたままだ。
木陰を屋根に幹を背中に寛ぐと、そよ風が火照った身体を優しく撫でる。
そのまま瞼を閉じれば、気持ちよく眠れそうなほどに。
「その容姿、兵が悪魔と叫ぶ者か」
「はぼ」
聞き慣れない男の声に目が覚める。
「わるいひと」
現れたのは人の形をした漆黒の大鎧。
はち切れそうなほどに大きな黒き鎧だけならず、身の隙間を埋めんばかりに筋骨隆々。踏むたびに沈みそうなほどにずっしりと地に足をつけている。
腰には剣が見えるが、目につくのは柄と刃を丸ごと大きくした様な大長斧だ。
人であることが分かるのは鬼の様な日本角のついた兜の隙間に見える目とはみ出る髭が見えるからだ。
鎧の配色から帝国の兵士には間違いがない。
「命を摘む者であれば、皆そうか」
「はぼ」
その男は大長斧を軽々と回して構えだす。
風の抵抗や重さすらも感じさせない重々たる大腕と腰はまるで岩石で作られた山のようだ。
「幼き身でありながら、何故戦場へ訪れた」
構えたまま、不動の姿勢で少女に語りかけてくる。
「おとずれた」
「そうだ。我ら帝国を止める理由を教えてほしい」
言葉を変えて、理由を少女に問う声色は低く、重い。
「咲ちゃんをまもるんだ」
「お前の家族か?王国に?」
「しんゆうなんだ」
「この戦場に、いるのか?」
「ううん」
男の兜は僅かに傾げる。
「国まで戻り、そばに居ればよかろう?お前の腕ならば・・・守れる」
近くにいて、守ればいい。
「今すぐ帰れ。その身体で何ができる」
そう諭す男は目を伏せ宣告した。
顔は汗に塗れ、元が綺麗であったはずの衣服が草の汁や土に泥だらけ。
剥き出しの太ももから脹脛にかけて葉の切り傷と擦れた跡が多数、菌が混じったか傷口のあちこちが赤らんでいる。
そして、小さな掌が全てを物語る。
薄い色をした血と汗で滲む中で絶え間無く酷使し続けた結果がそこに見えていた。
「見るにお前の力は過ぎたる物・・・それ以上は、身を滅ぼすぞ」
赤く腫れ、砂利と草を含んだ瘡蓋混じりの指は曲げるだけでも激痛が走るだろう。
疲れを知らない子供と同じく、限界に近い自覚が無かっただけだ。
「だめなんだ」
それでも、男の言葉に黒髪の少女は頭を横に振る。
「をことぬし、だいじなひとがいっぱいできたんだ」
「それがお前の名前か。友人か?」
「わからないんだ」
「わからない・・・?」
疑問符を浮かべる男を気にすることなく、目を瞑る。
「いっしょにいると、咲ちゃんじゃないのに、おむねがあったかくなるんだ」
思い浮かべた相手は黄、赤、緑、青、橙、紺、金、銀、茶に・・・色んな人でいっぱいだ。
どの色も、欠けてはならない。
「みんな咲ちゃんをまもってくれる、やくそくもしてくれたんだ」
黒髪の少女、をことぬしは帽子の血の滲んだつばを震える手で取る姿勢は他所から見れば子供の剣劇にも及ばない雑な構えだ。
構えですらないのかもしれない。
だというのに・・・男の姿勢が一瞬揺らぎ、大長斧を持ち直す。
「だから、をことぬしは戦うんだ。あたらしいだいじも、まもるんだ」
ぬしちゃんにとって、約束とは果たすもの。
叶わぬ契りは放ってしまえば果実のように腐るのだ。大好きな咲ちゃんと小指で結んだ糸を必ず成し遂げようとする執念。
どんなに痛くて倒れようと、繋がっている限り何度でも立ち塞がれる。
その縁が咲ちゃんを通じて多くの糸が蜘蛛の巣の様に繋がっていることを知ったのだ。
たとえ、強い力の前には千切れるほどに脆く、か弱く、儚いものだとしても。
指を腐らす悪い人を何度だって打ち倒して見せるという、確かな芯がそこにはあった。
「幼き身で見事っ!お前を一兵として認めざるを得ないな」
野太く、剣士の様に大きな声で男は叫ぶ。笑っているようにも聞こえるかもしれない。
「お前を縛に付けて・・・王国に返上する他あるまい」
「そうなのか」
「一騎討ちと行こう。まあ・・・手順は知らなそうではあるがな」
「てじゅん」
先ほどまでの重苦しい語りは成りを潜め、まるで戦友のように男は適当な位置を見つけては説明を始め出す。
「互いに距離を取り、兵種と名乗りを挙げる。合図は特にない」
「へいしゅ」
「自身が何者であるか、好きに答えるがよい」
言われた通り、ぬしちゃんは距離を取って名乗りを挙げる。
「咲ちゃんたちをまもる、をことぬしである」
ちっちゃな身体、震える指で帽子を握りしめて名一杯に上げては宣誓する。
子供だけで行う運動会のように。
「さながら親衛隊か。よろしい・・・自身も名乗ろう」
男は先と揺るがぬ身構えで・・・己の名を宣言する。
「帝国軍大尉 特殊急襲部隊指揮官!!我が名は【繝輔か繝ャ繧ケ繝域」ョ繝サ繝上?繝亥ソ】!!」
ぬしちゃんはジッと眺めて聴いていた。
「よく、わかんないんだ」
「堅苦しい肩書きですまないな。重要なのは名だけだ」
それでも様子が変わらぬままに幼い口は続けて動く。
「おなまえが、わからないんだ」
「む・・・聞き取れるとは思うが、名だけもう1度言おう」
大尉は改めて名を告げる。
「我が名は【繝輔か繝ャ繧ケ繝域」ョ繝サ繝上?繝亥ソ】である!!」
・・・沈黙が走る。
「わかんないんだ。ごめんである」
「何・・・からかっている・・・いや」
相対する子供へと瞳を開き、肩ごと武器を落とすほどに驚愕する。
「まさか・・・真名ではない、親無し子だというのか?」
「まな、せんせいがおしえてくれたんだ」
「その先生とやらは知識でしか知らぬであろうが・・・世界は広いか」
「ひろいのか」
「ああ・・・何せ」
落とした肩を戻して兜の内の髭を動かし笑みを作り、地に足を埋め込ませる。
「言葉の通じる親無し子がいるとはな!行くぞぉ!!」
「うん」
帝国軍大尉によって決闘の狼煙が吠え上がる。
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大長斧に迎え撃つは汚れた黄色き帽子だ。
「それが貴様の武器でよいなっ!!」
大長斧が時計回りに曲線を描いて峰当てによる一撃が襲い掛かる。
刃こそないが質量は本物、直撃すれば骨が折れかねない。
キィンッ
甲高い音が鳴り響き、迫り来る強撃をその汚れた帽子でぬしちゃんは弾き返し、そのまま前進。
「はぁああああっ!!!」
弾き飛ばした、はずではあるが。
「はぼぼ」
大長斧を遠心力を用いて縦に反回転させた長い柄による2撃目に幼き身体がビタリと止まり鼻先を掠めかねないところを振われる。
止まらなければ先端の石突きによる打撃に腹を抉られていただろう。
「やりおるわ!!」
「おったまげた」
弾き返されることを想定した2連撃。
急ぎ帽子を被り直し相対する相手と反する方へと逃げ始める。
「ほう、賢いな」
幹に飛びついてはすばしっこい虫のようによじ登るぬしちゃんの逃げた先は木の上だ。
枝の採取をして投げつけようとはするが、黒い山がいない。
「ぅおおおおおああ!!!」
顔を真下へ向けた時には遅かった。
岩が爆ぜるような雄叫びに大地をがぐらついた。
「はぼぼぼぼぼ」
大地ではない、ぐらついたのは木そのものだ。
ザグゥッ!!と重くて鋭いドでかい音を挙げ、その大長い斧で真っ二つ。
これまでにそんな事は一度も無かった。
急ぎ他の木に飛び移る。
「ぅおおおあっ!!」切られる。
ダメだから次に移る。
「でぇえええりゃあっ!!!」切られる。
ヤバいから次に移る。
「ぅおおおおおっ!!!!」切られる。
次、次、次、次。
次、に足を伸ばしたところで手にした枝を投げつけるが、勢いが無い。
「なるほど、だがっ」
ぬしちゃんが投げた枝は重心移動で避けたと思えば、一気に踏み込みまたも一刀両断。
狙いが正確だろうと悪状況でなければ見切られるのだ。
大木諸共小さき身体は傾いて、地へと降りては駆け抜け距離を取る。
「きこりのおじさん、つよいのか」
「軍人となるまではな。こんな力が無ければと、いつも思っとるよ」
足跡のような切り株と無惨に重い悲鳴を倒れて鳴らす木々が目に写り、ぬしちゃんは相対する敵へと素直な感想を述べる。
そして、大長斧地に突き刺したかと思えば箒で埃を履くようにゆっくりと向かってくる。
「して、その力・・・触れなければ触れられるのであろう?」
「む」
斧の刃と足を払うと風圧で強引に枝や落ち葉を一掃でき、怪しい物には適当な物を投げつけ反応させていく。
主催者を前に手品の種明かしときていた。
「我が隊が半壊するまで気づかぬ、愚かな指揮官よ」
「そうなのか」
この男がここまで来れた理由が見れた。
他の兵士を連れないのは奇妙だが
「小細工は無用・・・参れ」
決闘が始まりと変わらぬ岩石の如く深い姿勢でぬしちゃんを待ち構える。
耳に掛けるゴムを外して帽子を改めて持ち直し、始まりのように向かい合う。
その小さき傷だらけの俊足で距離を詰め、迎え撃つは黒く輝く鋼の塊。
構えどころか時計回りに長大斧をぐるりと回す光景はまるで先の再現だ。
物分かりの悪い子供を躾ける親のような。
襲いかかる強撃を帽子で弾いて音が響くが、これも同じ。
この男に幼き戦法を受け入れる様子だけは隙間も見せない。
「ぬんっ!!!」
搗ち上げられたかに見えた長く太い武器を巧みな重心移動で持ち直し、長い柄の先にある石突きによる振り下ろし。
「はぁああっ!!!」
ではない。
脇を狙った、横払いだ
ぬしちゃんは黄色い帽子を抱えるようにお腹に合わせ・・・。
「なっ・・・!」
思いがけない事態に、声を漏らす。
鈍い音を巻き上げて、強固な黒き籠手に包まれた両腕に柔らかいものに打ち当たる感触が酷く伝わった。
柄は弾かれず、帽子ごと幼き身体に食い込むように持ち上げられた。
「なぜだっ!?」
なぜ、弾かないのか。
帽子にも直撃していたはずなのに。
そう言いたげに表情を変える男と幼い無表情が苦痛に堪える様に歪む少女。
柄とはいえ、鋼を布切れとその一身で受け止めたのだ。
恐らく・・・内臓も巻き込んで。
しかし・・・少女の身体は吹き飛んだのではなく、持ち上げられたのだ。
「お前はっ・・・!!?」
長く重い柄に小さな両手で必死に掴む姿を見え、岩の様な不動の姿勢がついにたじろぐ。
キィンッと甲高い音と共に、大長斧から大尉の両手が弾き飛ばされ、武器をまるごと奇妙な力を吹き込まれた代価に残酷な真意を掴まされる。
幼くか細い己の怪我など気にせず残る時点で決まっていたことだ。
戦場はどこもかしこも命懸けではあるが、不思議な事に生存欲から生まれるものであり・・・目の前の子供は似て異なった。
捨て身と命懸けでは、違うのだ
口から血を垂らし、生気のない瞳を持ち、おぼつかない足取りで、だが前に出る。なぜ苦痛を選ぶのか。
迫る執念、亡者の如し。
「ぅ、ぅおおおおおおお!!!!」」
腰に巻く剣を・・・取らずに飛びかかる少女へとその太い両腕で掴みかかった。止めるために。
弱り果てた小さな身体は迫る両腕をすり抜けて兜へと。
へばりついた子供を引き剥がそうと手を伸ばし、触れる。
「ぁ・・・」
その柔肌に触れた時、男の脳裏に思い起こされる。
無謀で死に急ぐ様な目の前の戦士が・・・次の年に5歳を迎える娘と変わらないのだと。
笑顔で父と慕う、娘の姿と重なった瞬間、兜の隙間に情が溢れる。
「すま・・・ない」
目の前の子供を剥がそうとした腕の力が失せて、優しい物へと変わり出す。
この一瞬で、男の戦意は浄化されてしまったのだ。
「そう、な、のか」
闇の爆発は・・・起こらない。
「何を・・・?」
何をと男は問うが、何もしない。
ただ、人形の様に男に持ち上げられたまま血を流しては辛そうに荒い息を吐くだけだ。
「何故やらん・・・?お前を、子供に手を掛けた、悪人だぞ」
我が子に語りかけるような優しく、兵士としてはふさわしくない柔らかな口調で男は話しながら、ゆっくりと地へ降ろす。
支えを失った柱の様に不安定。肩を支えてあげないと今にも崩れそうだ。
「わるいこと、したら・・ぁやまるんだ」
芯は変わらぬ思いに男は膝をつく。
「そんな、ことで・・・!!」
戦況を覆しかねない力を持ちながら、戦場の何たるかも知らない。
謝ったからと救った相手が恨みを集めて戻って来たらどうするというのか。
もしかしたら、今がまさにそうなっているのやもしれないのに。
それでも、男の手を両手で避けてふらふらと動き出す。
「どこに行く!?もう、お前のことは知られているぞ・・・!!」
幼き容姿と発想によって身体能力が生かされていただけで、既知となった今では通用しない。
帝国からはすでに戦犯扱い。
そもそも、分別も付かない子供を送り込んだ王国も信用ならずに男は足踏みを踏む以外にどうしろというのか。
「待て!?」
力の失せた身体のままに、数歩と歩いて少女が倒れた・・・その時だった。
小さく幼い足が射抜かれて、膝から下が・・・糸は千切れた。
細枝のように、やはり身体は脆かった。
「やめろぉおおおおおおっ!!!!」
男の絶叫に森が泣く。
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