23話 両牙
数の力とはどう計算をするのだろうか
1+1 それは2ではない
息が合えばもっと大きな力となるのだ
だが 気にするべきところは量でも質でもない
どこの 誰かが重要ではなかろうか
明確となった脅威とはまだ距離がある。
シャァアアアアアッ!
だが、相手もこちらの存在に気づいてしまったようだ。尾のうねりを激しくさせどんどんと近づいてきており、隠れる時間も場所を探すのはもう遅い。
焼けた熱に水でも零したかのような甲高い威嚇が嫌がらせのように耳の中に入り込んでくる。
「クソッ!サキ達だけでも後ろに行かせるか!?」
背中に背負った荷物を乱雑に壁へと投げ捨て、逃げる選択を片手に剣と盾を構えた剣士が提案はするが、
「隠れるところなど無い!ここで向かう撃つっ!!」
「後ろからも来たらどうすんのよっ!!」
早鐘を打つように風使い、弓使い共に即答する。仮に偶然にも壁画が開いていたとしても、害獣の群れと対面した事実がある中で誰が向かうだろうか。
目の前に見える罠と大蛇の存在で確信を得たが、このダンジョンは子供だろうと容赦なく殺しにかかってくるのだ。分かれ道の反対側も同じだったら最悪だ。
弓と杖を構えた2人の意見は最もである。
「ッハッ!言ってみただけだ!!俺が防ぐ!弓であいつの目か口を狙えっ!爪はまだ使うなよ!」
「了解・・・!」
矢筒に入った2本の鋼鉄の矢に目線を送る剣士に弓使いが応答。まだ多く残っている木の矢を番え始めた。
「今は大剣が使えねぇ!風魔法で俺らの抵抗を無くせ!」
「わ、わかったわ!!」
天井はまだいけるが、この通路で背中のでかい剣を使うには横が足りない。
「こわい、こわいよ・・・!!」
「む」
必要な指示が終わった頃には大蛇との距離はその肌触りの悪そうな鱗の1つ1つが確認取れるほどに、近い。
咲ちゃんは疲れてもいないのに自身の着ている服が煩わしく思える程、湧き出るような汗に気持ち悪くなる。
だが・・・直接言われてこそいないが、剣士の指示で自分がおんぶをさせられている理由は白髪の少女にも解っている。
自分達を餌としか見ていないような獣相手にとって、咲ちゃんはあまりにも足が遅い。
運動会で例えるのならば。
かけっこではバッタの方が貢献するし、大玉転がしはフンコロガシの方が芸術的に運び、一度でも咲ちゃんが転ぶようなことがあれば溺愛し過ぎたお父さんが彼女を抱えたまま全てを終わらせる迷惑行為に走るのだ。
一行は部屋より一歩手前へと後退し、待ち構えるしかない。
万が一横にそれて、罠と確定している部屋に叩きこまれた後など想像もしたくない。
『大気を奪え 無き包みで 彼らを纏え!』
早口でありながら聞こえのいい彼女の詠唱に大気は応えてくれる。
幼い2人の少女は何が起きたか気づくことができなかった。
「あんがとよ!かかってこいやクソ蛇っ!!」
そう叫ぶ剣士についに大蛇の大顎が襲い掛かる。
一瞬見えた鋭い牙にはすでに血が滴っており、不自然に膨れた胴を見て思うは、さながら自分達は食後のデザートと言うところか。
それでも重たい胴体なぞ気にしない大蛇はしなる身体を俊敏にも先頭にいた剣士の頭をかぶり付こうと飛び掛かる。
「うるぁああっっ!!」
しかし、俊敏なのは相手だけではない。風の加護を受けた赤き鎧は羽衣のように軽く、右腕で構えた円形の盾を振るい大蛇の顔面に横から叩きつける。
その円形の盾は木製の物にお情けで金属板で補強した安物だ。夕焼けに溶け込むような赤一色の彼には似合ってはいないが、そこに目を瞑れば手軽な鈍器と言えよう。
多少は痛痒したか頭が横に吹き飛んだ大蛇の態勢が崩れる。
ジュァッッア!!?
態勢を崩した大蛇の片目が木の矢に抉られ悲鳴をあげる。
弓使いの追撃だ。
光源があるのなら、幼い測量士の力を借りる必要はない。
半月の瞳の1つが熟練の腕の前に容易く撃ち抜かれていた。
「わっ!??ち、ちち、ち!!?」
「ふんすいなんだ」
「何怖い表現してんのよ!?2人とも後ろを見てて!」
きゃーきゃーと悲鳴を上げたのは大蛇だけではないが。
大蛇の目から強引に吹き出す血涙を目の当たりにした咲ちゃんは頭が真っ白になりどこか遠くの世界へと旅立てそうな勢いだ。
無駄に的確な表現する無表情な足が動かねば咲ちゃんも見てしまう。
風使いの彼女は焦りで湿った手を使い彼女達の身体をクルリ半回転させる。
背後で起きるちっちゃい悲劇は他所に、急所を射抜かれ首をひねらせた首に目掛けて剣士は握った剣を斜め下から突き刺す動作に移る。
だが、大蛇が長い首をひねらせたのは痛みに悶えていたわけではなかった。
「ぐっ・・・!?」
真上、そして時計回りに首がグルリと振り子のように回し、頭突きをかましてきたのだ。全身の力を強引に働かせ、剣士の身体が後方へと転がり込むように後退する。
頭を使うとはこのことか?ふざけている。
だが風の加護が無ければその石頭に直撃していたであろう。
「クソッ、しくった!」
「まだチャンスはある」
妙な身体捌きをする大蛇も同じように後ろに後退し、威嚇行動に入る。
すでに矢を番えていた弓使いの追い打ちの矢が飛ぶが、大蛇は頭のみを捩じらせ今度は容易く回避されてしまい矢は大蛇を飛び越え壁に直撃する。
「こいつ・・・覚えが良い」
「守りに入ったつもりかこいつ!」
白髪の少女とは正反対の意味で弓使いは大蛇を称える。
弓を扱う彼の皮肉は的を得ており、器用に後ろへと威嚇をしながらずり下がり、こちらの様子を窺っている様に苛立ちを覚えるほどだ。
剣士の剣撃が届かず、僅かに弓使いの弓撃が見切れるくらいの距離にまで下がり、片目を射抜いたとはいえクレイジーラットのお粗末な待ち伏せとは比べ物にならない知恵を見せている。
それだけではなく、大蛇は奇妙な行動を起こす。
ゴスンッ ゴスンッ
「何やってんのあれ・・・!?」
頭に近い部分を剣士達の右手側の壁に、首回りだろうか?それをリズムよく叩き音を鳴らし始める。
痒いから擦っている・・・そんな訳がない。目を片方潰された者にそんな余裕があるだろうか?
威嚇ならば叫んでればいい。
なら、余裕のない者に知恵があるとしたら、どう行動をするか。
「っ!?何かの合図かもしれん!!」
余裕がある者に助けを乞うのが道理だ。
恐ろしい事態を想定した弓使いが叫びに風使いと剣士の額に嫌な汗が垂れてくる。
「他にもいんのかよっ!!前に出る!横道には絶対近づくな!!」
もしかしたら目の前の敵だけではない。まだ探索をしていない右の通路
、もしくは壁の内にもいるとしたら・・・。
挟撃。彼らの生存率は格段に下がる。仮に討伐に成功しても・・・死人がでてしまうやもしれない。
大蛇共の食卓テーブルとでも言いたいのか。これまたふざけている。
それが致命的で効果的なだけに厄介だ。
「あたしから離れないで!こっち!!」
「うん」
なんとも嫌らしくも、目の前にいる大蛇はこちらが近づけば距離を一定に保つように離れだし剣士の腹にはどす黒いイラつきで埋め尽くされていた。
「こいつぅ・・・舐め腐りやがってぇっっ!!!?」
果敢にも強行を仕掛け剣を振りつけたものの、まるで宙に浮かんだを風船追いかけているようだ。
大蛇は軽々と避けに避け、不気味にも噛みつきも頭突きもかましてこない。
「チッ・・・!!」
大蛇の反撃を警戒して3本目の矢も放ったが、守備に徹した獣がここまで厄介とは。
うねり脈打つ硬い鱗に木の矢が弾かれてしまい無駄に消費してしまう。
「あ、あたしどうすればいい!?」
「2人と背後から目を離すな!俺はリーダーの援護に向かう」
弓は通用しないと判断した弓使いは剣を手に取り、彼も剣士と同じく食料が多く詰まった荷物を放り投げ剣士の元へ駆けよっていく。
気づけば、奴らの目論見にずるずると引き込まれてしまっているかのようだ。
罠が確定している横道をすでに通り過ぎており少しずつ通路の奥へと飲み込まれていく。
言われた通りに後ろを見ていた黒髪の少女から悲しい知らせが届いてしまった。
「あたらしいへびさん」
「へ、へび!へびっ!!」
「う、嘘・・・でしょ!!」
合図に気づいたのだろう。
もう1匹の大蛇が、通路の遠くからその獰猛な頭を覗かせる。
「後ろっ後ろからも来た!!!?」
「ちっくしょうがっ!!!」
一行は、まんまと大蛇の尾のように長い悪知恵に巻きつかれてしまった。
弓使いの剣による援護もあり片目を失っている大蛇の体力を奪う事に成功しており、倒せない相手ではない事がわかった。
背後から迫りくるもう1匹に、彼らが間に合う保証が何もないが。
咲ちゃんは、身体が震えていた。
我慢していた物が漏れそうなほどに、震えが・・・収まらない。
息が苦しい、トイレに行きたい、お家に帰ってご飯を食べたい。
もっとぬしちゃんと・・・。
「咲、たち・・っ・し、しん」
「させないからっ!!」
白髪の少女の言葉に被せるように。残酷な結果を想像させないように。
咲ちゃんに言わせまいと風っ子と外に走り回る子供のように呼ばれている彼女の一喝は・・・震えていた。
「おねえさんは、つよい」
「・・・違うの」
強いと信頼してくれる黒髪の少女の言葉に、答えてあげたい。あんな大蛇やっつけてちゃうから・・・とかっこいい事が言えればいいのに。
風使いの胸の内にある強がりな自分が、今は出てこない。
引かない波のようにもう1つの脅威が背後からぶち当たる。
彼女は声を詰まらせ・・・それでも、彼女達に本音を話した。
「あたしの魔法はね、小さな相手にしか効かないの」
「へびさんは、だめなのか」
「・・・うん、多分」
もはや、逃げ場はない。
「あぅ」
黒髪の少女の足にもう意味は無いだろう。こんな時でも頑張って支えてくれていた彼女の背から白髪の少女を風使いは降ろしてあげた。
シャアアアアッッ!!
奴が、近い。
「あたしも、怖いけど・・・」
「おねえさん・・・も?」
降ろした咲ちゃんの肩に乗せた彼女の手は、咲ちゃんとまったく同じで汗びっしょりだ。
「それでも壁にはなれるから!」
幼さが残っている顔にはヘーゼル色の明るい瞳。隈が薄っすらと見え、それがなかったら綺麗なのに。
今の彼女の表情には、修道院で見たシスターたちの「大丈夫」とは違う。
絶対に負けない。剣士と弓使いとはまた違う、強い決意の瞳だ。
緑に揺蕩う装備を揺らし彼女は大蛇へと1人、立ち向かっていく。
杖を放りだして。今は邪魔だ。
「おねえさんっ!!」
彼女は風のように疾く、たった1人、大蛇の元へと駆け込んだ。
『絶対、行かせないから!』
彼女の行ったのは『守護の奇跡』だ。
このサイズ相手では彼女得意の風魔法は地味な嫌がらせにしかならないがために。
シャアアアアアアッッ!!
大蛇の噛みつきをその薄っぺらい光の壁で彼女は立ち向かった。
修道院のシスター達よりも薄い壁は、その巨体を相手に頼りにならない。
だがしかしだ。
自身が器用貧乏な事は、彼女自身がよく理解できていた。昔からそうだ。幼い彼女達にも、後ろでもたついている男2人にも教えていない、昔から。
熟練とは程遠い性能だが、扱い方は別の話になる。
両手に掲げた彼女の小ぶりの壁はまるで盾のように掌を追いかける。
大蛇の牙が直撃し、容易くひび割れてしまったが、面を使い槍先の軸を反らすように軌道を変えたのだ。
身体が思わぬ方へと伸びきってしまい、大蛇の頭は床へと衝突する。
「こっちに来なさいよ!あたしが怖いっての!?この振り子野郎!!」
シュアアアアアッッッ!!!!
蛇相手に言葉が通じているかはわからないが、隈の付いた面で自身を嘲る女の顔に頭突きを喰らわせようと妙な振り子で弧を描き、彼女に襲い掛かる。
すでに新しい光の壁が手に宿されている彼女は、斜め後ろに身体を滑らせるように体を捻り、その頭に壁を押し込むように突っぱねて、今度は壁へと運んだ大蛇の首があらぬ方へとそれてしまう。
これは彼女の技術による、風の舞踏だ。器用貧乏な彼女が編み出したオリジナル。
この獰猛な大蛇に表情があるとは到底思えないが、思う様に攻撃が決まらず困惑したかのようにうなり声をあげる。
「そのでかい頭であたしに挑もうってわけ?お相手にならないんですけどー!?」
シャアアアアアッッッッ!!!!!!
だが、まともに獲物に食いつけない無様な自分を舐め切った態度で挑発してきていることだけは解っているようだ。
頭に血が上ってしまい怒りに荒れ狂う爬虫類の瞳孔は、子供など眼中になくちょこまかと目障りな雌しか目に入っていない。
風使いの目論見通り、子供から視界を反らす事はできた。
「っ・・・!!!はやく倒してよぉ!!!!」
だが、彼女だって怖いのだ。
彼女から漏れ出た心根は恐らく彼らにも届いているだろう。
2本の剣撃の音がまったくやむ気配がなく、猛攻を前に片目を失った大蛇には逃げる余裕も余力も残されていない。
「あと少しだっ!!!うらぁっ!!!」
風使いの防衛劇は長くは続かない。
自分に気を引かせ鼓舞するために、挑発こそしていたが魔力は消耗は進行形で擦り減っている。
どんなに強固な盾であれ、防戦をすれば戦局を維持することはできるが変える事はままならない。
本来なら後衛で杖を構える彼女が男2人ですらすぐに片付かない相手に1人、子供の盾となり前線に立っている。
「ほんと・・・最悪なんだからっ!!」
涙目で悪態をつく臆病なはずの風使いにとってどれほどのプレッシャーになるか。
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咲ちゃんは勇気を出して剣士達の方へと振り向けば、血だらけの大蛇が息を切らしているのが見える。
あと、少しなのに・・・!
「咲ちゃん」
「ぬ、ぬしちゃんどうしようどうしよう!?」
ずっと風使いのお姉さんの方へと顔を向けていた親友の声に咲ちゃんは大慌てで幼い相談をする。
「まほうなんだ」
「え・・・っあ・・・!」
「きれいなかべ である」
そうだ。
あるではないか。
「おねえさんをいっしょにまもるんだ」
修道院で、あの夕焼けの中で使った魔法を思い出せ。
言葉とかはなんでもいい気がする。気持ちがあればいいと目の前のお姉さんが教えてくれた。
「う、うん!!」
こんな力を自分が持っている事にびっくりしていたけれど、自分でも誰かを助けることができる、はず。
守りたい、と念じればいい。疲れちゃうけれど、それで守れるのならば!
『咲も!がんばる!!』
真似をしたらできちゃった。やってみたらできてしまった。
それはもう昨日までの話だ。
「えちょ何!??・・・サキちゃん!!」
『守護の奇跡』はこの時初めて、彼女の物となり、彼女達を必死に守っていた風使いの眼前が琥珀色に埋め尽くされる。
突然地面から城壁が飛び出してきたのだ。
風使いが尻もちをついても致し方がないことだ。
魔法石の灯りがマッチなら、今目の前にある聖なる輝きはシャンデリアの如し神々しい聖なる輝きか。
さて、硬度は?
眩い輝きに魅入っている内に、憎たらしい人間の雌へと繰り出したはずの振り子からの頭突きが突如現れた琥珀色の壁に直撃する。
ジュアアャ!????
ヒビ1つ、入らない。
それどころか勢いに任せたがために自身の脳天の内まで鐘のように響いてるようだ。
脳震盪でも起きているのか足もないのに大蛇はクラクラと棒立ちになる。
「・・・サキちゃん、ありがとぅ・・・!!!」
知ってはいたが、元々咲ちゃんに使わせるつもりがなかった。
依頼主に、それも5歳の子供に危険を冒させてまで守ってもらうなど、中途半端に人の良い彼らができるはずがない。
それでも・・・目の下の隈を歪ませ、泣きべそをかく彼女の心に白髪の少女のお助けには天にも昇る嬉しさが込み上げて来る。
風使いは救われたのだ。
そんな彼女からのお礼の言葉が咲ちゃんはなんともむず痒くお腹を掻きたくなる衝動に襲われる。
むしろ、まるでお父さんがよく見ているアニメのヒロインのように果敢に自分達を守ってくれる彼女に怒っていた自分がかっこ悪いくらいだ。
あとは後ろの2人が倒してくれるのを待ってるだけ。
それまで、持つだろうか?
不安がよぎる刹那。
「をことぬしも、おねえさんをまもるんだ」
「・・・え?」
城壁のような奇跡を発動している咲ちゃんの横で、革の帽子からはみ出た黒髪をなびかせて琥珀色の壁に突撃していく、影。
「っ!!ぶつかる!あぶないっ!!」
制止させるために伸ばした風使いの腕は大気を掴んでしまう。
こんな時に腰の抜けた自分が恨めしい。
そして、後悔した。
いや、少し違う。
今までの努力が否定されてしまったかのような。崖に突き落とされたかのような。
ひんやりとした隙間風が間に合わなかった彼女の肺をすり抜ける。
それは・・・絶望だ。
「・・・な、なん、で!???いや、だめ、だめだめだめ!!!!!!」
まず彼女が制止させようとした理由は、単純に壁にぶつかると危険だからだ。
『守護の奇跡』とは一度発動させると外も内からの衝撃を遮断してしまう欠点がある。普通の使い方であれば、守るというより均衡を保つ魔法の側面が強い。
今の咲ちゃんのように時間を稼ぐのが正しい使い方と言えよう。
風使いは壁の向こうで衝撃で伸びている大蛇の事などお構いなしに黒髪の少女を追いかけたが、2人には決定的な違いがあった。
1つは、風使いの彼女の胴体が咲ちゃんの壁にぶち当たってしまうこと。
これは性能通りの結果だ。
「どうして・・・!?」
もう1つは、をことぬしという少女が・・・そこに何も無いかのように素通りしてしまったのだ。
「ぬしちゃん!!」
白髪の少女の幼く甲高い声が上がる。
こんな時は、どうすればいいのかわからなくなってしまった。
をことぬしという珍妙な名前の幼女、そんな子供を一飲みしてしまうような大蛇。
1人と1匹が対面してしまったのだ。





