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異世界転生 ツイン園児ぇる  作者: をぬし
第六章 2人の天使
120/128

タテとサヤ


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  おかあさん と おとうさんへ


  こんにちは! 

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  咲と ぬしちゃんは とってもげんきです

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  おうちにかえれなくて さびしいけれど

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  みんな みんな 咲と ぬしちゃんをまもってくれます

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  おうさまから せんそうをひっくりかえしたって

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  ほめてくれた!すごいでしょ!

  ーーーーーーーーーーーーーー

  かいがいは すごくとおいけれど

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  ぬしちゃんたちと がんばって おうちにかえります

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  おとうさん おかあさん だいすき!

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

                  咲より

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 それは(おおやけ)の場で(おこな)われた。


 普段であれば国事(こくじ)の決定による民衆(みんしゅう)への発表は兵士の役目ではあるが、この日は違った。

 大勢の衛兵達に囲まれた金や宝石、防壁用の魔導壁を放つことのできる豪華絢爛(ごうかけんらん)な馬車が貴族街から通って市民街へと向かっていく様に目を奪われないのは難しい。

 しかし、野次馬(やじうま)か物珍しさで付いていくことが出来ても先頭を歩く白銀の武装を身につけた英雄(えいゆう)がいるのだから(やいば)に手を出すなどと愚かな行為をするのは自殺志願者(じさつしがんしゃ)以外いないだろう。


 馬車が到着したのはこの国の目玉である商店街。(あらかじ)(もう)けられていた清潔な白亜色占いした大きく広い土台に導くように青い絨毯(じゅうたん)馬車から土台へと向けられて転がしながら()かれていく。

 御大層な前準備が終わり、両開きの大きな(とびら)が開かれると同時に現れた者達に驚いたような声で(むか)えられた。



 闘将と呼ばれる英雄が白銀(はくぎん)の騎士であれば、最初に降りてきたその男は黄金(おうごん)の騎士と誰もが考えるだろうが、驚いたのはそこでは無い。

 胴、肩、腕、腰、足、どこも陽の光を跳ね返すほど(きた)えられた金に包まれた聖凛な青い鎧を身につけているが、兜から()き出しとなっている顔を見ればまだ若い青年なのだ。彼の腰には冒険家でも手が届かない宝剣とも言える(さや)収まる剣が見えていた。


 彼が何者かと民衆が(どよ)めきながら眺めていると、黄金の鎧を身につけた青年が絨毯(じゅうたん)から()れ、これから降りてくる者達の為に道を空けていた。



「王陛下の御成(おなぁりぃ)!!」



 兵士の大きな声と共に喝采(かっさい)が巻き起こり、馬車の中から商いの国の頂点に立つ王が降りてくる・・・と同時に、()()()()のが2人、王の後に続くように階段を降りようとしていた。



 というより、降りる、だとかそんな小綺麗なものでは無い。



 小さな身体のどこにそんな健脚をしているのかと疑問を(いだ)いてしまうほどの跳躍力(りょうやくりょく)で馬車の扉から王の頭上(ずじょう)を大きく飛び越え、誰よりも真っ先に悠々(ゆうゆう)と土台の上に着地を決めた黒い物体がいた。

 畑を荒らす(カラス)が紛れ込んだかと思えば、ボーッとしたプニプニのさも、当たり前、と言わんばかりの堂々(どうどう)たる面構(つらがま)えを見た者は、それが勘違いであったということを理解する。


 黒を基調とした細かく編み込まれた優雅な服(ドレス)を子供の体型に合わせた物を着ているのだから高貴(こうき)な立場に立つ幼い娘と思いたいが、残念ながら以前王国で動く石像(ガーゴイル)と荒くれ者達から恐れられていた をことぬしという黒髪の少女である事に民衆は動揺を隠せまい。もちろん、こんな登場は打ち合わせには無いのだから兵士達の気苦労は計り知れないだろう。

 それにも関わらず、王はそれを笑って見届けた事が彼女の重要性を何よりも裏付けているのであった。



 そして、もう1人いた筈だと馬車へと目を移せば・・・階段を降りれずにまだもたついていた。1歩階段を降りようとして立ち止まっているのだ。


 細かい装飾の(いろど)られた(けが)れ1つ無い白鳥(はくちょう)の様な美しい白い御召し物。だが、それが問題だったのか何重にも重ねられていた筒状の繊維(スカート)が原因で足元が見えず、怖いのか今にも泣きそうなところを黄金の騎士が絨毯の上へと優しく降ろしてくれているのだ。

 たかが段差の1段2段と普通の子供であれば笑って手を貸せるのだろうが、白髪とニコニコ笑顔が特徴的な彼女が小桜咲(こざくらさき)だと分かればそうはいかず、あちこちから安堵(あんど)の声が上がっている。


 手足が失おうとも元通りに回復してみせ、あらゆる病ですらも打ち消してしまう少女の力は王国の住人だけでなく、全ての衛兵達ですら周知の事実。

 彼女が仮に石に(つまず)いて転ぶだけでも心臓に悪いのだ。


 その事に気づいたのか、王は立ち止まって白髪の少女が近づいてきたところで手を繋ぎ、何かを話しながら絨毯(じゅうたん)の上を歩いていきながら、土台の上へと歩いて向かう。

 土台の上に登るや否や、2人の少女が何かを()め始めた。先に行っちゃダメ、とプンスカ怒っている1方(いっぽう)で、そうなのか、と微動(びどう)だにもせずにただ聞いている2人の横へと王が並ぶ。


 彼等の右には未知(みち)の金、左には既知(きち)の銀が並ぶ事によって誰も手出しができない絶対領域(ぜったいりょういき)が誕生し、静寂が包まれた。



「あ!ぬしちゃん・・・しぃい!だよ!」

「そうなのか」



 そうなのである。



「本来であれば、()は玉座に腰を落ち着かせ、(おおやけ)の場では兵士達に通告(つうこく)させるところだが、それではこれより話す者達の功績を(たた)えるには配慮(はいりょ)が足らぬと見た」



 その王冠(おうかん)の重みの(ごと)くドッシリとした声色(こわいろ)にこの場にいる誰もが耳を(かたむ)けている。兵士数人による王のお()れでは物珍しさ、情報欲しさ、常日頃(つねひごろ)に聞いてるからとやってくる者が多いが、王が下町で顔を見せる事は最近にはなかった事だった。



「まずは余の隣におる、コザクラサキよ!前へ」

「は、はい!」



 名前を呼ばれ、緊張でカチコチになりながらも元気で幼い返事と共に片腕を上げて1歩前に出る。少なくとも、をことぬしという少女と話す時ほど自然体ではなく、慣れないけれどがんばってます!、と意気込む愛らしさがそこにはあった。



埋伏(まいふく)の毒を盛られ、余の両目から光を失ったのが2ヶ月(ふたつき)前。これまで奇跡の力を使えど不可であった治癒(ちゆ)を可能としてみせたコザクラサキの魔力(まりょく)は本物であり、帝国軍との戦いにも果てしない貢献をしてくれた!次に、をことぬしよ!前へ!」

「まえ」


 

 もう1人が1歩、2歩進んで左隣にいる小桜咲の前へと歩み出て、えっへんとでも言いたげに自身の両手を腰に当て始め出した。この行動に何かの意図があるのかと疑問に思う者は多いが、そうではない。



()()()()()である」

「ぬしちゃんちがうの!咲のよこだよ!」

「咲ちゃん、まえならえ、よこじゃないんだ」

「ちがうの!」



 ここは運動場(グラウンド)でもなければ運動会(うんどうかい)が開かれているわけでも無いし、並ぶほどの人数でもない。

 見たままの幼稚(ようち)な勘違いを王は笑顔で近づき、少女達へと優しく手で誘導し、横にしっかり並ばせる。仮に親が見ていれば、国の頂点に立つ王を前にしての無礼に卒倒(そっとう)してしまうだろうが、肝心の()の保護者の面々(めんめん)はどこぞで腹を抱えて笑っていたり、若干呆れながらも見守ってくれていた。



「この者は(うわさ)の通り、この(よわい)にして類稀(たぐいまれ)なる闇の力を使うが、恐れることなかれ!城内に潜む帝国の侵入者の手によって死の寸前に立たされていた余を(まも)り抜き、先の戦争ではこの王国に()(みな)を守る為に死力を尽くしてくれていたのだ!」



 王へ刃向かった謀反者(むほんもの)の情報を知らされていない住人達の驚愕の事実は王の主張(しゅちょう)する少女達の貢献(こうけん)による感嘆(かんたん)の声へと変わっていく。



「闇とは自己愛、自己中心、独善的(どくぜんてき)な者達に強く(あらわ)れ、悪事(あくじ)を働き平和を脅かす力と認識(にんしき)されているが、どうか誤解(ごかい)をしないで貰いたい!」



 そもそも、闇の力とは?



 魔法とは手段であり、火や水といった属性(ぞくせい)は道具であり、多用な術式(じゅつしき)は技術ではあるが、光と闇については未だ解明されていない謎が多くあり、どちらも共通している事は()()()()()()()


 祈るだけで発動できてしまう光属性と同じく闇の力もまた同じ。

 その多くは身体能力の向上に長けているらしく、それが判明したのは魔物(モンスター)と呼ばれる存在()()が強い闇の力を秘めており、その近辺には類似(るいじ)の生物が多数生息していた事から“自己強化による進化”を()げたという(せつ)があるほどだ。


 

 暗闇をも見通し、幼児体型とは思えないずば抜けた身体能力。

 火、水、風、雷、の4属性でもなければ奇跡とは程遠い爆ぜる常闇(とこやみ)



「この者の闇!(まこと)(しん)ずるは己自身(おのれじしん)!自分が一番強く、自分が一番信用に()る存在であり、他者より自身の意思を尊重する!!」



 話を聞くが自己解釈(じこかいしゃく)で判断し、どんんな状況でも自分の意思を尊重し、自分勝手に行動する。

 賛同もすれば反発もする。意味も履き違えることも多いのに、それを間違っていると疑わない。

 意に沿()っていれば協力するし、嘘であっても見抜けない。

 騙されていようと自分を信じ切るから。



()()()こそ誰よりも懸命に戦い!()()()こそ誰よりも懸命に守り抜く!!この者の闇の力の正体が(ぜん)(あく)かと問うならば断言しよう!!善であると!!」



 批難の目を向ける者はいない。王が自らの口から宣言する必要があるほどに、小桜咲と同じく、(みずか)らの事をこれでもかと持ち上げてくれているにも関わらず眉1つ動かさない をことぬしという少女の重要性がこの熱弁には込められていた。



「この者達は(あわ)れにもニホンという生まれ育った国から引き離され、捜索(そうさく)の間は王国に(とど)まる事になっている。だが・・・安全面、国益(こくえき)、恩義に至るまで、ただ待たせるだけではまるで()りぬと判断した!」



 その後の事には誰もが考えが追いつかなかった。



 黄金の騎士が鞘から磨き抜かれた鋭い剣を抜き、白銀の騎士は何者をも貫く白銀の大槍を構えた次の瞬間に誰の手にも届かない位置へと()()()()()のだ。

 白銀の騎士には5色に輝く5つの宝玉が埋め込まれた大盾を地に打ち付け、黄金の騎士には装飾の施された鞘を地に突き立て(ひざまず)く。




 牙は捨てど、無防備では無い。


 その意味するところとは?




「よって!天の使いと比喩(ひゆ)する者も多く、余もそれに感銘(かんめい)を受け、王国全土を持って(なら)うことにする!!」




 

読んでくれてありがとうございます


ツイッターでもよろしくお願いします

@vWHC15PjmQLD8Xs

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