それはほんの小さな物語
本編では、描けないない世界をこっそり紹介。サイドストーリーって言うんでしたっけ?です。
「いらっしゃ~い!たける、みゅう、お姉ちゃん覚えてる?」
たけるとみゅうは二卵性双生児、双子である。みゅうは薫を見るなり、薫に飛びついて来たが、たけるの方は照れているらしく、手に持った立体パズルを回しながらちらちらと薫の顔を見るだけだった。
「大きくなったね~二人とも、何年生?になったの」
薫、16歳。血統書付きの天才と言われるロボット学の第一人者である。が尋ねると、たけるが指を三本立て、みゅうが言った。
「三年生です。」
「そっか~、そしたら、二年ぶりだね、本当に大きくなったよ」
薫は二人の頭を撫でると、小さな研究室の電源を落とし言った。
「ここじゃ何だし、お姉ちゃんの部屋に行って遊ぼっか?」
二人はコクリと頷き、薫の部屋に向かった。
「お母さん、私の部屋に、何かあったら、持ってきてぇ」
と薫が言うと、遠くから返事が聞こえてきた。
部屋につき、みゅうは一目散でベッドに飛び乗った。たけるもみゅうの横にちょこんと座って部屋をキョロキョロと見渡した。部屋は年頃の娘と言われる様な感じはなく、いたってシンプルな飾りつけだった。
「お母さんは、元気にしてるの?」
そう、たけるとみゅうの母親は妊娠中で間もなく生まれる予定なので、それがあって二人を預かる事になったのである。
「うん、昨日は元気だった。男の子だから、お腹で暴れるんだって」
みゅうが答えた。
「でも、お父さんが、お母さんはあまり丈夫な方じゃないから心配だって、」
とたけるが付け加えた。
「そっかぁ!でもね、前にお母さんは、あなた達二人を同時に、産んだのよ、大丈夫よ!私は産んだ事ないけど、お姉ちゃんはそう思う。元気な赤ちゃんが生まれてくるわ、お母さんも大丈夫」
薫がそう言うと、一瞬暗くなった二人の表情も、すぐに明るさを取り戻した。
そして、この部屋には、不釣り合いの、ショーケースに入った人形を見て、みゅうが薫に尋ねた。
「お姉ちゃん、あのかわいい人形は何?」
「あれは、私達のひいひいおばあちゃんが作った、ロボットなのよ」
小さな物語、それは最後のA.I.ロボ、”アッシュ”の物語。
モチベーション維持に苦戦中、しかし湧き出すイメージはどうすることもできません。なんとか、10話以内で物語を完結させて、完結欲は満たしたいです。読まれた方、ご意見、感想があればうれしいです。