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第29話 大空洞制圧

 占拠された洞窟には無数の蝙蝠が飛び回っていた。それらを眺めてるとこちらに気付いた蝙蝠達が襲い掛かってきた。突然だったので反応できず、攻撃をまともに受けてしまった。


 だが第一エリアのNPMは強くても15を越えてこないものなので、ダメージはそれほどなかったが、なにせ数が数だけに油断ができない。


 「近くにいる蝙蝠は糸で捕まえてくれ。遠くにいる蝙蝠は魔法で攻撃だ。引火するものがないから火魔法でもいいぞ」


 指示を出すとそれに従って子蜘蛛達が働いてくれる。風魔法が使える子蜘蛛は襲ってくる蝙蝠を追い払い、火魔法と水魔法、土魔法を使える子蜘蛛は遠くにいる蝙蝠に攻撃を仕掛ける。闇魔法と光魔法を扱う子蜘蛛は比較的少なかったので拘束に専念していた。


 洞窟はそれほど大きいわけでもないので壁や天井に魔法がぶつかれば衝撃で周りの蝙蝠もダメージを受けていた。地面には撃ち落とされた蝙蝠の死体で埋め尽くされていた。


 これ以上増えられても困るので大空洞までの道を徐々に塞ぐように蜘蛛の巣を張っていく。今の時間は昼過ぎで蝙蝠の中には睡眠しているものも沢山いたので比較的楽に倒せていたが、夜だったらもっと活発だったかもしれない。


 そんな中ひたすら糸で拘束していた子蜘蛛達は面倒になったのか壁や天井に糸を張って駆けのぼり爪や牙で倒していた。魔法で応戦していた子蜘蛛達は近接で戦っている子蜘蛛達を傷つけてしまうのでやめてもらい、洞窟の占領を手伝ってもらった。


 占領されてたまるかとばかりに蝙蝠が糸に突っ込んでくるが、当たり前だがレベル差もあれば糸の性質もあって糸に絡まって身動きを無くしていた。


 可哀想だが自然の摂理なので遠慮なく片付ける。やはり放置していたのがよくないのか、大空洞まで来ると実態がわかる。識別してみると最高レベルが10もいかなかった蝙蝠達のレベルが20を越えている者までいた。


 第一エリアではレベル15を越えないと言っていたが、訂正しよう。放置しなければレベル15は越えない。これだけ育っていることから、ここを通って第二エリアに行くことはないみたいだ。なぜならあれだけプレイヤーがいてまずこんな大量の経験値を放置するわけない。


 穴場と言われればそうかもしれない。俺達がいる洞窟は鉱山の中腹あたりにあるのでPMならまだしもPHがわざわざ崖を登ってまで来るとは思えない。


 この洞窟のどこかの分岐点から第二エリアに行けるかもしれないが、迷子になる自信がある。ならばここは鉱山が最初と聞いた味噌汁ご飯にでも案内してもらおう。


 その前に大空洞にいる蝙蝠達の数を減らす。自分達がいる洞窟から壁伝いに蜘蛛の巣を拡げていく。ちょっかいを出してくる蝙蝠もいるが魔法で撃ち落とす。


 蝙蝠を戦略的に倒すには魔法を多量に撃ち込むのもいいが、休むことのできる天井や壁にとまれないようにしてしまえばいい。ひたすら飛び続けることはできないのだから。


 54匹もいれば迎撃も問題ない。あとは時間の問題だけだ。そうやって大空洞に蜘蛛の糸を張り続けた。逃げ場のないように洞窟への入口を塞ぐことも忘れない。


 全てを覆い尽くし飛んでいる蝙蝠達を眺めていると、天井に張りついたり壁に張りついたりして動けなくなっていく。中には襲ってくる者もいたが、残念ながら向こうにハンデが有りすぎて負けることなどあり得ない。


 その結果、大空洞にある蝙蝠は一匹残らずへばりついた。そいつらを一匹残らず狩り尽くしてこの洞窟から出た。レベルは全体的に1~2上がったが、全員レベル35以上になっていない。


 ステータスを振り分けて広場に戻った。するとカレーが悲しそうな顔をした。確かに期限だが、まだいいので断りを入れると嬉しそうにした。帰ってきた理由を述べるとボスエリア前の魔法陣があることを教えてもらった。


 この魔法陣を用意したのは味噌汁ご飯らしい。それに感謝をしつつ行くと、洞窟だった。目の前に看板があり、分岐点を左にいって次の分岐点を右に行くと第一エリアボスに遭遇できると書かれていた。さらに追加で最初の分岐点を右にいって次を右に行くと採掘に最適な場所があると書かれていた。


 迷子になりたくないので看板に従い、分岐点を左にそして右にいった。するとエリアボスと戦うためなのかPHが列をなしていた。


 なので列を壊しにかかる。暗闇なので灯りや夜目がない限り気付かないので、最初の一人は気づくことなく糸で全身を巻き付けたあと、毒で殺した。


 これほど大行進をしているにも関わらず気づかないのは注意散漫すぎる。もちろん仲間の返事がなかったのか振り返ったPHは悲鳴をあげた。その結果全員に気付かれた。


 逃げ道もなく一方通行でエリアボスが倒されない限り、逃げられない。俺達を倒せば問題ないが、一体どうやって55匹の蜘蛛を倒すのだろうか。


 「やれ」


 なんとなくキザな感じで命令をすると雰囲気なのか従ってくれた。風魔法で体勢を崩し、糸で体を拘束していく。盾で塞がれれば糸を絡み付けて引っ張る。衝撃に対する構えとしては前に押すようにして持つのだが、糸の場合はそれでは意味がないので容易に奪うことができる。


 剣や短剣で切り払うことはできても糸の硬さで断ち斬ることはできない。槍は洞窟の中では行動制限になる。矢は風魔法で防げる。魔法は魔法で相殺といったように全てを無力化して防具や武器を剥ぎ取りながらPHを虐殺した。取れなかった防具はもちろん解体前に剥ぎ取る。当たり前じゃないか。


 さて邪魔なPHを排除したのだが、ボスエリアにはいつ入れるのだろうか。第一エリアのボスなので人数制限10人だ。9匹ペア+1の6組つくった。まだかまだかと待っているとエリアボスを討伐したのか嬉しそうなPH達が帰ってきた。もちろんそれを報告できる相手はすでにここにはいない。


 こちらに気が付いたPH達は時間が止まったように固まったあと、脱兎のごとく逃亡し、ボスエリアに侵入しようとしたので糸で束縛して倒した。もちろん装備は貰っておいた。


 やっとエリアボスと戦えるとワクワクしながらボスエリアに侵入すると環境が大きく変わり、狭かった洞窟は広くなり、大空洞並みの空間が広がっていた。


 その中心には3匹の蜥蜴がいた。二匹はコモドドラゴンに似ており、そのコモドドラゴンに鱗のような石がついていた。識別してみると石蜥蜴(ストーンリザード)と出た。真ん中にいた蜥蜴はさらに硬そうな岩のような鱗を持つコモドドラゴンがいた。こいつは岩蜥蜴(ロックリザード)と出た。


 舌をちょろちょろと出すのは可愛いげがあるが見た目が凶悪なので近付きたいとは思わない。だがこれはボス戦なので観察をしつつ、倒しに向かう。


 まずは散開して蜥蜴達を囲う。動きを封じるため糸を飛ばすと、お返しとばかりに土魔法が飛んできた。石蜥蜴達が右前足を地面に叩き付けると俺達の足元が盛り上がって突き刺さるように伸びてきた。それを避けると今度は真ん中の岩蜥蜴が両前足を地面に叩き付けると地面が砕けて石礫が飛んできた。


 それを爪で弾く。さすがにレベル差があるのかこういう芸当をしてもそれほどダメージを受けなかった。蜥蜴達の動きは遅いが連携がしっかりしているようだ。


 連携を崩すには離すのが優位に繋がるので3,3,4で別れて対応する。堂々と立って俺達を観察している蜥蜴達の尻尾に糸をくくりつけて遠心力で蜥蜴を離す。離し方は強引だが、それくらいしないと彼らは動かない。


 レベル差も力の差もあって抵抗を無視した力で石蜥蜴を宙へ浮かした。それをチャンスだと考え、糸を飛ばして動けないように拘束する。岩蜥蜴は毅然とした態度で俺達を迎え撃つ。


 俺達から距離をとるべく繰り出したのは先程と同じような石礫だ。大きな礫だけを糸で方向転換させ、小さなものは避ける。それから爪で殴る。岩蜥蜴の鱗は硬く、糸や魔法は効き目が薄そうなので肉弾戦で攻める。まともに正面衝突すればこちらが不利なので隙があるうちに殴り、攻撃を察して逃げることを繰り返す。


 その間に石蜥蜴を拘束していた子蜘蛛達が毒術を使い、倒したようだ。全身を石の鎧で囲まれているとはいえ、お腹の部分は柔らかかったみたいだ。


 岩蜥蜴もと言いたいところだが、見た感じ石蜥蜴よりも硬そうなので無理そうだ。硬い体を持とうとも衝撃は内部まで響くので物理攻撃が有効だ。石蜥蜴を倒した子蜘蛛達は迎撃するべく動き回る岩蜥蜴の四肢と尻尾、頭に糸を巻き付けて六方向に引っ張る。


 さすがの岩蜥蜴も暴れるが力負けしてピーンと体を伸ばす。あとは分かるように爪によって殴りまくって倒した。するとエリアボス討伐時お馴染みのファンファーレが鳴り響き、報酬が表示された。


岩蜥蜴(ロックリザード)を討伐しました。》

《称号【岩蜥蜴(ロックリザード)討伐者】を獲得しました。》

《レベルアップしました。》

《レベルアップスキルポイント5SPを獲得しました。》

《レベルアップステータスポイント10JPを獲得しました。》


《PM専用報酬:岩蜥蜴(ロックリザード)の着ぐるみ、岩蜥蜴(ロックリザード)のピッケル、岩蜥蜴(ロックリザード)石蜥蜴(ストーンリザード)の干物、キョテント1つ、生存ポイント1000P,スキルポイント10SP,ステータスポイント10JP》


 報酬をちらっと確認した後、すぐにボスエリアを出て次のグループを引き連れてボスエリアに侵入する。まだレベル35に到達してないものもいたが、第二エリアへ進行できるようになることも必要なので、スピード重視でボス討伐に向かう。


 最初の戦いでやり方を見出だしたので最短で倒していく。その結果、合計でスキルポイントを20SP,ステータスポイントを20JP手に入れた。全員終わったのだが、残念ながらレベル35に到達した者がいなかった。


 次のエリアボスと行きたいところだが、夜になったので一旦帰ってから休憩をとっていくことにした。ちなみに12匹の子蜘蛛の名前は緑魔(リョクマ)(風)、茶魔(チャマ)(土)、紫魔(シマ)(火と水)、黄魔(オウマ)(風と水)、灰魔(ハイマ)(闇と光)、銀魔(ギンマ)(闇と光)、金魔(カネマ)(風と水)、紅魔(コウマ)(火)、蒼魔(ソウマ)(水)、翠魔(ミドリマ)(風)、橙魔(ダイマ)(火と風と水)、紺魔(コンマ)(水)だ。それぞれ色に沿った属性を持たせている。


 拠点に帰ると皆寝たので一旦夜ご飯を食べるためにログアウトした。寝仕度を済ませて再びログインをして活動する。まだ子蜘蛛は寝ていたので戦利品を市場に流して久しぶりに自分のステータスを更新した。


《主人公のステータス》

名前:八雲(ヤクモ)

種族:中蜘蛛(ミドルスパイダー)

性別:男

称号:【ヴェルダンの縄張り主】【格上殺し(ジャイアントキリング)】【森賢熊(フォレストベア)討伐者】【エリアボスソロ討伐者】【蜘蛛母】【精霊(エレメント)守護者(ガーディアン)】【精霊樹の加護】【小悪鬼長(ゴブリンリーダー)討伐者】【岩蜥蜴(ロックリザード)討伐者】

二つ名:【悪夢】【首狩り】

配下:中蜘蛛(ミドルスパイダー)88匹、小蜘蛛(リトルミニスパイダー)12匹

→Lv38(2)Lv37(6)Lv35(26)Lv33(17)Lv32(15)Lv31(22)Lv10(12)

Lv:38(+8)

HP:600/600(+10×10) MP:990/990(+20×10)

筋力:60(+15)   魔力:80(+10)

耐久:70(+20+5)  魔抗:80(+20)

速度:80(+10)   気力:57(+10)

器用:80(+10)   幸運:40(+10)

生存ポイント 

所持:0(+5365-5365)P 貯蓄:5054万8678(+5365)P

ステータスポイント:0(+40+70-40+10+20-100)JP

スキルポイント:225(+40+35+5+20)SP

固有スキル

【魔糸生成Lv8(+3)】【魔糸術Lv5(+3)】【魔糸渡りLv3(+2)】【糸細工Lv9(+2)】【毒術Lv12(+2)】


特殊スキル

【精霊視Lv2】


スキル

【繁殖Lv3】【夜目Lv25(+3)】【隠蔽Lv24(+3)】【気配感知Lv22(+2)】【魔力掌握Lv4(+3)】【識別Lv13(+2)】【風魔法Lv10(+3)】【魔力感知Lv22(+4)】【思考回路Lv1】【投擲Lv13(+4)】【解体Lv23(+5)】【魔力上昇Lv9(+2)】【爪術Lv13(+3)】【水魔法Lv7(+3)】【土魔法Lv3(+2)】


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