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第28話 喫茶店での日常

ブクマ3219件、PV61万アクセス、ユニーク15万人達成しました。


マジックスケルトンソルジャーの表記をスケルトンマジックフェンサーに変更しました。2019年10月19日。

 陽射しがとても強い朝に起きた。昼じゃない、起きた時間が朝なんだ。枕元に置いてあったスマホから微弱な振動が妙に頭に響く。それを手探りで掴み開くと、幾つかのメッセージが届いていた。


(裕貴´・ω・)「今日時間あるか?どうせ引き込もってFEOするんだろ?だったら運動もかねて喫茶店まで来い。場所はいつものだ」

(雪´・ω・)「おはよう。多分りゅーのことだから寝坊してると思うけど、起きたらすぐにいつもの喫茶店に来るんだよ」

(ヒデ´・ω・)「来い。」


 三人とも俺に用事があるようだ。いつもの喫茶店というのはうちの家から一番近くて騒いでも怒られず、マスターが温和でいつもにこにこしている、とてもほんわかした空間だ。そのため客にはのんびりした人が多い。


 そんなところに不良が来ないか?だって?そこは目付きの悪いヒデがいるから問題にならない。特に怒ってるわけでもないのに避けられるヒデ…あぁ、なんてかわいそうなんだ。


 かわいそうなヒデは置いておいて支度をしよう。朝の支度といえばまぁ、言わなくてもわかるものだな。それらをして朝食を食べる。喫茶店にいくから軽くパンを一つ食べる。


 それから適当な服を着ていざ行かん。家から出ると感じるのは暑い日差しに生ぬるい風。ねぇ?帰っていい?だめ?あぁ、そうですか。


 熱中症になるのではないかと思えるぐらいの暑さを乗りきり、なんとか喫茶店に到着した。喫茶店はまさにオアシス。温和なにこにこマスターは客の到来とともに冷水のサービス。さすが、できる男は違う。


 「おーい、りゅー。こっちだ」


 ユッケもとい裕貴の声に振り向くとそこには不良もびっくりのヒデが腕を組んでこちらを睨み付けてきた。まぁあれが素の顔なんだけど。


 「今いくよ」


 マスターの喫茶店は木を基調とした自然溢れる店内で、コーヒーの薫りがなんとも腹を空かせる。裕貴達のいる席は日差しから遠ざかった暗所だ。


 「遅かったね。さすがお寝坊さん」


 「まだ朝だろ?」


 「昼だから」


 時計を確認すると時間は昼の13時を過ぎていた。やはり夜更かしはよくなかったか。


 「りゅーを呼んだのは他でもない、今後のFEOをどんな風に面白おかしく遊ぶのかについて語ろうと思ってね」


 カルトもとい雪は両肘を机についてお互いの指を絡ませてその後ろに顔を持ってきた。ヒデのように目付きが悪くないため怖くもなんともない。


 「なんでちょっと司令官風?」


 「突っ込まなくてもよい。まず裕貴から言いたまえ」


 「俺からか、そうだな。第二エリアの攻略を円滑に終わらせるためにも、まずは第一エリアのボスを全部倒すべきだな」


 「次にヒデはどうだ?」


 「俺か?裕貴と同意見だ」


 「最後にりゅー、君はどうなんだ?」


 「俺は個人的な用事を終わらせたら裕貴と同じだな」


 「ふむ、よかろう。では共に行動するパーティを決めようではないか」


 「そのしゃべり方まだ続けるの?」


 「疲れたからやめるよ。といっても僕とりゅーは大所帯だから個人でヒデと裕貴は二人で組めばいいよ。よし決まったね」


 「はぁ!?なんでこいつとなんだよ」


 「こいつっておい、ちょっと傷つくなぁ…」


 「ヒデ、よく考えるんだ。僕らと行くとしよう。アンデットの集団に囲まれるだけだぞ。りゅーと行くとしても大量の蜘蛛に囲まれるだけだ」


 「………こいつで我慢するか」


 ヒデは嫌々ながら了承した。そんな中裕貴は考え込むような仕草をした後、こう言った。


 「なぁ、一ついいか?」


 「裕貴氏、なにかね?」


 「俺らってレベル高いから単騎でボスに勝てるよな?」


 「………そっかぁ、今日の議題は以上だ!解散!」


 解散宣言が出たが、まだ朝御飯も昼御飯も食べていなかったため、みんなとりあえず注文をした。この時間になると休みの人がのんびりと過ごせるほど人が来ないので、存分に寛ぐことにしてる。


 「そういえば裕貴は何に進化したの?」


 「俺か?俺は灰牙狼(アッシュウルフ)だな。雪は?」


 「僕は骸骨魔剣士スケルトンマジックフェンサーだよ」


 「長いなぁ…」


 「りゅーと同じこと言ってる。りゅーは何に進化するの?」


 「まだ決めてないな。これから決めていこうかと思ってる。というよりまだ進化先調べてないな」


 「前も言ったけどできるだけバラバラの進化先にした方がお得だよ」


 「あとは自分の進化を最後にするのもおすすめだな」


 「ん?それはどうして?」


 「これはカレー炒飯に聞いた話なんだが、最初と最後では進化先のバリエーションが違うらしいよ」


 「どう変わるの?」


 「何て言えばいいのかな、通常の魔物よりも立場が上の進化先を得るのかな。カレー炒飯でいえばゴブリンリーダーとかゴブリンロードだね」


 「なるほど…じゃあやってみるか」


 「うんうん、それが良いと思うよ」


 たわいのない話をしつつFEOの話で盛り上がった。騒いでも怒られないのはマスターの優しさだ。喫茶店とはいってもマスターの趣味なのでメニューはコーヒー以外にもカレーとかパスタとか色々ある。


 なかでもデザートのバリエーションはそこらへんのファミレスよりも多いと思う。パフェもあるのだが、いつもパフェを頼むやつがいる。雪でも俺でもなくヒデだ。こんな厳つい顔してパフェ食べるんだぜ。それを見て子供が泣き出したとかなんとか。


 それから第一エリアのボス討伐が終わったらまたここに集まろうという話をして解散した。この中で圧倒的に遅いのは俺と雪であるのは確実なんだが、戦力でいえば雪が一番だと思う。なぜならPHの装備をつけているからだ。


 本格的に解散したのだが会計を済ませた後、なかなか外に出ようとしなかったのはこの暑さが悪い。帰るとシャワーを浴びてベッドに横たわる。ヘッドギアを装着し、FEOにログインした。


 ログインした時間は15時だったので、ゲーム内時間は14日目の昼だ。ログインして最初に目がついたのはルカさんの寝顔とお食事中のフウマ達だ。


 「フウマ達なに食べてんだ?」


 フウマは器用に食べてたものを差し出す。それを受け取って識別すると"中豚(ミドルピッグ)の豚足"と出た。まさかね。


 「おいしい?そう?」


 フウマ達は嬉しそうに食べてるのを見ると確かにおいしいのかもしれない。ただし今まで中豚で見たことがあるのがPMのたかし君だ。それ以外はいない。


 「ぶひぃぃーーー、ふごっむにゃむにゃ…ふっ…」


 「……気のせいかな、聞いたことあるいびきが聞こえる」


 「むにゃ…んっ…ぶーひーぶーひー」


 声のする所に行くと森賢熊の剥製の前に糸だるまになった塊があった。今回は隙間もなく糸にくるまれていた。それを眺めていると、後ろからつつかれたので振り返るとコクマとハクマがいた。


 「どうした?」


 コクマとハクマは手振り羽振りでこの獲物をどうやって捕らえたのか説明してくれた。まず寝付きやすい糸の布団を広場に仕掛け、獲物が引っ掛かるまで待ち、糸でくるんで逃げないようにした。


 巣に引っ掛かった魔物を捕らえてくるなら分かるが、ほぼPMとその配下しか通らない広場で罠を仕掛ける我が配下には驚きしかない。


 「戻してきなさい」


 コクマとハクマ、それに珍しくフウマがだめだめとたかし君を守るように立ち塞がった。フェイントをかけてたかし君を奪おうと迫ると子蜘蛛達が俺にしがみついた。


 「そんなに駄目なのか?」


 フウマ達は頷いた。なら、仕方ないと放置することにした。いびきは気になるが、邪魔になるほどでもない。ただ気になるのはたかし君がなんのためにこのゲームをしてるのかということだ。


 気にしても寝てる人を起こしたところで意味もないので放置することにした。拠点で見られてもそれほど困ることもないので、してなかったことをやることにした。


 まずは生存箱のチェックだ。なんやかんやで数日とっていないのでこれは必要なことだ。


生存箱(ポイントボックス)

10,11,12,13日分の死に戻りボーナス:251P(10568/42)

手持ち:0(+251-251)P

八雲貯蓄:5054万3313P(+251)

配下貯蓄:40万4238P(+18594)


 数千万もの生存ポイントを有している俺からしたら数少ない報酬だが、いつもの10倍はある。それも驚きだが、配下の貯蓄が10万を越えているのも驚きだ。


 あとは卵だな。手持ちは今日ログインして12個ある。村防衛の時に10,11,12日にログインしていた分9個と今日分の3個だ。12日はほんの少しの時間しかインしていないが、ログインしてたのは事実なので、卵を繁殖で3個手に入れた。


 フウマ達四匹は8個ずつ、コクマ達84匹は4個ずつ。つまり合計で380個ある。多すぎる。世話ができる量じゃない。ただ88匹とキリが悪いので100匹にするために今持ってる12個を育てることにした。


 余った卵はどうすることもできないので収納箱の肥やしになるしかない。残った368個はいつか取り出そう。貯まっていく一方だと思うけど。


 この12個の卵はフウマ達に二個ずつ背負ってもらい、育ててもらう。フウマ達は久しぶりの子育てだからか少し嬉しそうだ。今日のところは進化ラッシュでもさせたいが、まとめてやる方が数も平等に割り振れるので、みんなが35を越えるまで待とう。


 レベル35を越えていない子蜘蛛達は54匹いる。今日はその子達を育てることにする。フウマ達には悪いが子育てに専念してもらうためにお留守番だ。


 今のところエリアボス攻略は北東と南が終わっている。北東は皆大好き熊さん、南は可哀想だったゴブリン達。なので間にある東と南東を攻めてから一周しようかと考えている。


 マップで確認したところ、ちょうどいいことに東のエリアボスはあの夜蝙蝠の大群がいた洞窟を抜けた先かもしくは近くにあるのでわりと早く行けるはずだ。


 久しぶりの蝙蝠との戦いだが、果たしていい経験値になるのだろうか。広場に向けて子蜘蛛達を連れていくとフウマ達が魔糸で作ったであろう布、いやハンカチを振っていた。


 誰が教えたのか知らないが、彼らは日々無駄な知識を学んでいるようだ。主に広場に罠を仕掛けるなんて教えてないんだが。


 ぞろぞろと引き連れて広場に行くとちょっとした店が広場に建ち並んでいた。接客をしているのはスケルトンやゴブリンといった人型の魔物だ。


 「おぉ?八雲か。そんなに配下を引き連れてどこいくんだ?」


 話しかけてきたのはなぜか広場で屋台をしていたカレーだ。何の屋台なのか見てみると小物や家具が屋台のそばに並んでいた。これは屋台というより店に近い。


 「今からボス討伐にいくんだ。カレーは何してるの?」


 「俺か?俺は部下が作った家具やら小物、それから武器を売ってんだ。どうだ?一つ買ってかないか?」


 「食べ物ならともかく俺達には人型用の家具も小物も使えないぞ?投擲武器なら多少使えるけどな」


 「投擲武器か、一応そんなこともあるかと思って木槍と木短剣、毒玉を作っておいた」


 「木槍か…鉄製のものはないのか?」


 「鉄製のものはないな。あったら部下の武器をつくる」


 「木製品だと俺らが使ってる魔糸の木杭の方が使い勝手がいいからな」


 「防衛戦の時に投げてたやつか。あれは自作か?」


 「そうだぞ、あれは自分の糸と枝があればできるからな。気軽に作れて遠距離武器としては最適だ」


 「それは俺達でも扱えるか?扱えるなら売ってくれないか?」


 「無理だな、糸渡りがないとまず糸に触れた時点で取れなくなるぞ。だから俺達専用武器と言っても過言ではない」


 カレーは悔やんでいたが、少しすると何か閃いたのか再び口を開いた。


 「そうか、それは残念だ。八雲達が使える武器か…。あ、そうだ」


 「ん?どうした?」


 「八雲達の糸を売ってくれないか?」


 「何に使うんだ?」


 「服とか防具の内張りに使うな、あとは寝具や家具だな」


 「色々あるのな」


 「おうとも、そりゃあ八雲達、中蜘蛛の糸は高級品だからな」


 「そうなのか?」


 「そうだぞ。今のところ第二エリアまでで見つかってる糸は市販のものか草原エリアにいる野羊ぐらいだな。野生の中蜘蛛もいるがなかなか見つからない上、1匹あたり1m分しか手に入らんしな。巣の糸も戦ってる間にボロボロになるからな」


 「うーん、そうだなぁ。売るのはいいが俺達今からエリアボス討伐しにいくからMPが心細いのはきついぞ」


 「見たところいつもより数が少ないみたいだが、別行動か?」


 「あぁ、子育て中だ」


 「そんなに数が必要なのか?」


 「いらんな、まぁいいか何匹か連れてくるわ」


 「ありがとな!」


 「お代はまとめて生存ポイントで支払ってもらうからな。フリマ価格で」


 「フレンド値引きは?」


 「欲しい家具幾つか作ってくれるならいいぞ」


 「それで頼む」


 一旦拠点に戻って暇そうにしていた20匹程の子蜘蛛を連れてカレーのところに連れていった。貸し出す期限は十分な量を得るまでもしくは俺達が東のエリアボス周回をして35越えるまでだ。


 といってもレベル35を越えた子蜘蛛達は相当数のMPを持っているので不足することはないと思う。よっぽどな量を頼まない限りは。


 東エリアの蝙蝠のいる洞窟に久々に来ると天井にはびっしりと蝙蝠が居座っており、洞窟の中は蝙蝠達が伸び伸びと飛び回っていた。数日の間に占領されたらしい。

掲示板回で苦戦してるので本編を投稿します。掲示板回できたらこの話の前に割り込みますので、読んでもらえれば嬉しいです。


スパイダーマンストーリークリアとトロフィー100%達成したのでこっちに集中できると思います。おすすめのゲームと漫画を紹介してくれますとすごく喜びます。

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