第24話 カレー炒飯村防衛戦
カレーを見送ってマルノミのところに行くと味噌汁ご飯が糸に包まれジンの配下に突かれ虐められていた。なんか見たことのある光景だと思いつつ見守っていた。すると糸の隙間から触手が飛び出てきた。
「見てないで助けなさいよ!」
「触手が喋った!」
「ボケてないで私をたすけ…ひいっ!」
触手が助けを求めたが、触手は切り離されて穴を埋められてしまった。俺には何もできない。だってマルノミの雰囲気が怖いんだもの。
「マルノミさん、味噌汁ご飯は何かしたんですか?」
「えぇ、そうよ。こいつはよりによってジンに襲いかかったのよ。可愛い弟にこんな化け物が接することなんて許されないわ」
「ですよねー」
「貴方の配下を借りてるわよ。もうちょっとしたら行くから、先に行っといてくれるかしら?」
「はい、いってきます」
味噌汁ご飯は化け物、否定はできない。あの光景にデジャヴを感じる。ハクマとコクマが素直に従ってるところを見ると、マルノミにルカさんの面影を重ねているのだろう。
ハクマとコクマ、それにその孫蜘蛛達を置いてその他であの砦を制圧しないといけなくなった。拠点を出ると数人のPHが徘徊していた。砦の入り口はわからないが、越えられないほどの高さでもないので、正面突破で侵入しよう。
おかわりが来ないように街方向へ半数が糸で罠を張りに移動する。罠といっても地面に張り巡らせるだけだ。空飛ぶPHは見たことないので、確実に引っ掛かること間違いなしだ。
砦の向こうでPHがスタンバっているのが見える。砦を登ったところで槍で串刺しにでもするのだろう。砦が木製の時点でお察しの通り、急遽作り上げたハリボテか、見せかけの砦か。
この砦名前は砦なのだが、見た目は完全に丸太でできた門である。識別すれば【何人たりとも通さない砦】と出てくる。詐欺だ。これを売れば絶対晒される。そんな代物だ。これで自作アイテムは名前だけでは信用できないことが証明された。
生存ポイントで買い物する際は気を付けよう。砦の攻略方法は簡単で、丸太に突撃なんてしない。魔法を撃てばこんな砦すぐ壊せる。
エンマ達に指示を出して一斉放火。フウマ達に指示を出して飛び火しないように風を送り込む。スイマ達に指示を出してこちらに火が移らないように注意する。
砦は勢いよく燃え盛り、マルノミ達が来る頃には綺麗さっぱりなくなっていた。中からは数名のPHがいたのでレベルの低いジン達のご飯になったとさ。
罠を張りにいった子蜘蛛達が帰ってきたので周回を再開することにした。まずはマルノミとジンとジンの配下にいってもらう。それからマルノミとジンの残りの配下でいってもらった。
マルノミは俺とは違い、全員集まるまで待つのではなく、眼に入ったら噛み殺すらしい。慣れたら討伐時間も10分とかからない。ということでタイムアタックを競うように俺、マルノミ、ジンで俺の配下を連れて周回をした結果、2時間もせずに周回が終わってしまった。
ちなみに一位はコクマ達をつれていったマルノミだ。やり方はボスエリアに入った瞬間に尻尾に乗せたコクマ達を集落に投げ込む。それから目に入った敵をハクマ達が糸で縛り上げて倒す。残った小悪鬼主をマルノミが頭を丸かじりして倒したそうだ。
周回が終わったので拠点に戻る。そこからカレーのいる村に転移する。転移した場所は木造の小屋だった。小屋から出ると小悪鬼達が木の看板を持って待っていた。
「グギャッグギャッ」
ゴブリンは看板に指をさして何かを伝えようとしていた。看板には"このゴブリンに着いてきてくれ カレー炒飯より"と書かれていた。
それに頷きゴブリンの後ろについていく。ゴブリンは時折グギャグギャと建物に指をさして視線を誘導していた。何を言っているかわからないが、なんとなく観光案内をされてる気がする。ゴブリンに着いていくとフル装備をしたカレーが待っていた。
「お、やっときたか。待ってたぞ」
「お待たせ。戦況はどう?」
「戦況は防衛一方だな。敵は村の中心に置かれている転移門からPHが続々とリスポーンしてきてな。それと外からもPHが侵入してくる」
「なるほどな、じゃあ俺はその転移門とやらを塞ぎにいこうか」
「塞ぐことは出来ない。あれは転移門の周りにバリアのようなものがあって物を設置出来ねぇんだ」
「そこは工夫するさ。まぁ見ててくれ」
先程の案内人に転移門のある場所に連れてってもらった。転移門の周りには転移門を囲うようにゴブリン達が立っており、転移門付近ではゴブリンとPHが争っていた。
時折転移門からは不揃いな装備を着たPHが現れる。あれは外で倒されたPHなのだろう。状況からみるに倒されたPHはここでリスポーンするか第一エリアの街にリスポーンして再び徒歩でこっちに来てる。
俺はフウマ達に指示を出して無理矢理ゴブリン達を撤退させる準備をしてもらう。まずは包囲陣にエンマとその子蜘蛛達に加わってもらい、カレーに味方だと説明してもらう。
PHとゴブリン達はお互いに消耗しているのか、隙をつけた方が勝ち、倒されるとPHは転移門からリスポーンしてゴブリンはカレーに復活させてもらっているのか、カレーが忙しなくコマンドを操作しているように見えた。
ゴブリンが減れば包囲陣からゴブリンが追加される。それらが繰り返された結果、転移門の周りには夥しい数のゴブリンとPHの死体が転がっていた。お互いに解体できないせいか、ただただ増えていっている。解体ができていないせいかPHの装備はそのままだ。
「あれらを先に回収するか…」
フウマ達に指示を出して釣りの要領で糸を死体に引っ付けて手繰り寄せて解体する。ゴブリンは特に装備を回収せずに解体するが、PHの装備は剥ぎ取って解体する。
すると、先程までフル装備だったPHが下着姿になった。それには本人も驚くが、戦っていたゴブリンはもっと驚いたが、チャンスとばかりに斬り倒す。
装備を剥ぎ取ってから解体するといくつかのフル装備をした死体が下着姿に変わる。一個体の装備がなくなると今までの個体の装備もなくなるのか。さすがに同じ装備をいくらでも回収できたら、それを悪用した商売が発生するもんな。
この剥ぎ取り作戦により今まで膠着していた戦況も優勢になる。一度でもここで死んだPHは下着姿に素手という縛りプレイでリスポーンする。PH達は悲壮感たっぷりだ。それに比べてゴブリン達は死んでも装備はそのままなので、すぐに戦力になる。
それを繰り返した結果、特に転移門を塞ぐことなく占拠することができた。たまに外で死んだPHがフル装備あるいは不揃いな装備を着て現れるが、集団のゴブリンにボコボコにされ、剥ぎ取られ、下着姿のにやけ顔でリスポーンする。しかし装備をしてないことに気がついて一気に絶望する。
こっちは装備と命の結晶を手に入れてホクホクだが、PHは装備した全装備を奪われ、絶望して去っていく。もうここではリスポーンしないだろう。可哀想だが、来るのが悪い。
内側が終わったから今度は外側をどうにかしなければいけない。転移門周囲にはコクマとハクマとその子蜘蛛達を残して外に移動する。村の周囲には塀があるが、無理矢理壊された跡あり、村の周りはPHで埋め尽くされていた。
「これはひどいな。一体何人いるんだ?」
「俺にもわからんが、千人はいるだろうな。向こうは統率がとれていねぇのか、バラバラに攻めてくる」
「それが唯一の救いだな。俺たちが回収した装備を渡しておこう。命の結晶はどうする?」
「半分そっちにやるよ。その代わりしっかり働いてもらうぞ」
「わかった。今のうちに渡しておくよ」
「あぁ」
砦で倒したPH分と合わせると相当あるが、なかなかうまい報酬だ。命の結晶も相当数集まった。相手がこれだけいるとさすがに今のステータスでは不安を感じる。
「早速使わせてもらうよ」
「使っとけ使っとけ。味もなかなかうまいからな。なにより空腹もなくなるぞ」
「それはいいな。じゃあ遠慮なく」
《主人公のステータス》
名前:八雲
種族:中蜘蛛
性別:男
称号:【ヴェルダンの縄張り主】【格上殺し】【森賢熊討伐者】【エリアボスソロ討伐者】【蜘蛛母】【精霊守護者】【精霊樹の加護】【小悪鬼長討伐者】
二つ名:【悪夢】【首狩り】
配下:中蜘蛛88匹
→Lv28(6)Lv25(16)Lv22(22)Lv20(44)
Lv:30(+4)
HP:500/500(+10×20) MP:700/790(+10×15)
筋力:45(+15) 魔力:70(+20)
耐久:45(+15) 魔抗:60(+20)
速度:70(+20) 気力:47(+15)
器用:70(+20) 幸運:30(+15)
生存ポイント
所持:2967(+2967)P 貯蓄:36585(+2579)P
ステータスポイント:0(+40+5+120-170)JP
スキルポイント:125(+20+120-60)SP
固有スキル
【魔糸生成Lv5(+1)】【魔糸術Lv2(+1)】【糸渡りLvMAX(+4)→魔糸渡り】【糸細工Lv7(+2)】【毒術Lv10(+2)】
特殊スキル
【精霊視Lv2】
スキル
【繁殖Lv3】【夜目Lv22(+2)】【隠蔽Lv21(+1)】【気配感知Lv20(+2)】【魔力操作LvMAX(+1)→魔力掌握Lv1】【識別Lv11(+1)】【風魔法Lv7(+2)】【魔力感知Lv18(+1)】【思考回路Lv1】【投擲Lv9(+1)】【解体Lv18(+6)】【魔力上昇Lv7(+1)】【爪術Lv10(+1)】【水魔法Lv4(+1)】【土魔法Lv1】
命の結晶たくさんあったので一人で120使い、フウマ達にはここに来る前に手に入れたものを分けることにした。なぜこれだけあるかと言われたら、PHは倒される度にあの場に放置され、一切手をつけられず、ひたすらリスポーンを繰り返した。
死んだときのペナルティー?なにそれおいしいの?状態で死に戻りを繰り返した。しかも質が悪いことに装備だけは剥ぎ取らない限り失わないときた。ゾンビアタックするたびにお互いのレベルが上がっていく結果があの膠着した状態だ。
そのためあの場にいたゴブリンはLv30を軽く越えてすでに2回目の進化も終えているらしい。その主人であるカレーも進化済みだという。小悪鬼長から小悪鬼主に進化したそうだ。他は中悪鬼に進化した。
次の進化はLv35で選択肢が色々あり、ある条件を達していればさらに増えるという。カレーの場合は他に中悪鬼もあったが、特殊なのは小悪鬼主の方だそうだ。
パワーアップも終わったので、早速PHの数を減らす。こちらの戦力はカレーチームが173匹、ジンチームが24匹、俺チームが88匹。個人参加が10人いるらしい。
「個人参加者ってユッケと味噌汁ご飯、マルノミさん以外は誰?」
「β組からはクロードとカルトが参加してる。あとはそれぞれの知り合いを募ってな。一応名前と姿だけ言っておこう」
「カルトは知ってるぞ。スケルトンだろ?」
「そうだ。クロードは死霊と言って幽霊だからまず遭遇しない。他は…
・無形拈体のジュリアーナ(味噌汁ご飯の友達)
・芽角鹿のメルドア(クロードの友達)
・寄生種のヒデ(カルトの友達)
・中豚のたかしぃぃぃぃ!(皆のご飯)
・灰角兎のミント(マスコット)…だ」
「なんだか個性豊かな人しかいない気がするけど大丈夫?」
「大丈夫だ、問題ない」
どんな人がいるかもわかり、人が少ないところを教えてもらったのでそこに向かう。ちらっとこちらに気がついたPHはなぜか青い顔をしていたが、気のせいだろう。
味方が薄いところでは傷だらけのゴブリンが防戦一方で守護していた。それを笑いながら痛め付けるPH達に腹が立ったので、一人ずつ糸で首を絡めとって目の前に引きずり出し、皆でボコボコにした。
それにはさすがのPH達も顔をひきつらせて一歩下がっていた。まぁ逃がさないけどね。11匹で一組の7組で狩っていく。一匹が首を拘束してもう一匹が動きを拘束する。他は捕まえたPHを毒を使って弱らせて爪でボコボコに殴る。あとは仕上げの解体をして命の結晶を食べる。
先程まで一方的だった戦いも段々と少なくなっていくPH達のおかげで勝ち筋が見えてくる。PH達は俺達蜘蛛を倒そうと走ってくるが、地面に張った蜘蛛の糸にへばりついて動けなくなる。
傷だらけのゴブリン達には俺達の後方で待機してもらった。さすがに消耗しすぎているので、休憩させる。援護できたゴブリン達も後方で待機だ。PHを減らせば場所が出来る。そこに糸を張ればPHが引っ掛かる。
PHから見れば卑怯な戦い方、でもこれが蜘蛛である俺達のやり方。勝てば官軍負ければ賊軍、なにも言えない。それに数と質で言えばPHの方が有利だ。こちらは武器も防具も装備していない。その分の+がない分、こちらの方が不利だ。
卑怯で結構。勝てばいいだけだ。自分達を正当化してる間にもPHの数が減っていく。それにともない俺達の蜘蛛の巣も増していく。奥に進まず、扇形に拡げていく。
このあたりには強い人はいないみたいだ。まず強い人というのに会ったことがないのでわからないが、こんなところだろう。
「□◆※〇〆%£」
「っ!?」
突然、横合いから炎の玉が飛んできた。俺達はそれを諸に受けて身を焼かれる。火は糸に燃え移り、今まで形成した領域が燃え盛る。
「いてぇ…皆、大丈夫か?」
前肢を挙げて返事をして来た。元気であることはわかったが、対策を練る間も無く次の炎の玉が飛んできた。それを土壁や水壁などで瞬時に防ぐ。
蜘蛛の巣に移った火が自分達に燃え移らないように自分側の糸を切って嫌がらせでPH達に火魔法と風魔法をプレゼントしておく。先程火魔法を撃ってきた男を識別すると、思考回路のスキルを持っていることがわかった。
「チュートリアルちゃんと受けたマンか!」
初めての強敵に遭遇した。




