第18話 精霊と魔法
拠点に帰宅し、ルカさんと挨拶を交わした後、子沢山のことについて話すつもりだった。しかしルカさんもフウマ達も皆眠そうにしていたので、今日はもうログアウトして夜ご飯を食べに行くことにした。
フウマ達は素材や生存ポイントを集め終わった順に寝床についていた。俺もそれをしてさっさとログアウトした。
夜のご飯を食べ終わり、寝る準備ができたので、再びログインした。その頃にはすでにゲーム内時間はお昼になっていたので、ルカさんもフウマ達も起きていた。
「おはようございます、八雲様」
「おはようございます、ルカさん」
いつもの挨拶をして今日のお小遣いを確かめる。最近は期待しておらず、どちらかといえばPMの人数が増えていないかな?とそこだけを楽しみにしている。
《生存箱》
死に戻りボーナス:8P(320/38)
手持ち:8(+8)P
八雲貯蓄:12292(+9230)P
配下貯蓄:13605P(+12960)
PMの人数がかなり増えていた。といっても100人を未だに越えていないのだが、嬉しいことだ。ただしいつも食してる中にPMがいてもわからんがな。
生存ポイントがものすごい勢いで増えていっている。そろそろ買い物をした方がいいだろうか。あと配下に普通に抜かれてった悲しい。
それはいいとして、昨日考えていたことをルカさんに相談だ。
「ルカさん、ちょっといいですか?」
「はいはーい、なんでしょうか?」
「俺達すごい数増えていってるんですが、PHから討伐隊とか派遣されたりしませんよね?」
「そうですね…街や村に被害を出したり、PHに見つかったりしない限りは起きないです。あとはGMがそういうイベントを実行しない限りはなんとも言えませんね」
「GMのそういうイベントというのはどういうイベントですか?」
「たとえばですがPH側強制参加イベントでいえば魔物街襲来イベントがあります。これにはPMは自由参加です。逆に魔物暴走イベントはPM強制参加イベントでPHは自由参加です。このようにプレイヤー参加型のイベントではどうしても人の目に触れてしまいます」
「参加型のイベントでは配下も含まれるんですか?」
「そうですね、八雲様が参加しない限りは参加できません」
「つまり見つからなければ問題ない、ということですね」
「そうなります」
なんだろう、いたずらは発覚しなければ問題はないって言ってるように思えるんだが、まぁPHが気付かないのなら仕方がない。
「見つからない間に戦力を集めておかないとね」
「推奨しておきます」
すでにフレンドからおかしい認定を頂いてるから、もうなにも怖くない。怖いのはルカさんだけ。
「なにか失礼なことを考えてませんか?」
「いえいえ、ただPHが恐怖しているところを思い描いてるだけですよ」
「そうですか、蜘蛛嫌いにはさぞかし恐ろしいことでしょう」
危なかった。ルカさんは勘が強い。もう少しで自白しそうだった。俺が危うい発言をしたせいか、フウマ達に緊張が走っていた。特にハクマとコクマはガクブルだ。
「そろそろ戦力を整える準備をしなくちゃいけないので、失礼します」
「はい、いってらっしゃいませ」
まだ震えている子達も一緒に第一拠点に向かう。もちろんその背中には卵が乗せてある。イベントがいつにあるかなんてわからないけど、蓄えは大事だと思う。
一夜明けるとやはり拠点の巣には鳥が多数絡まっていた。広範囲の巣の隙間を縫って精霊樹に近づくことなどできるはずもない。精霊樹に巣を張ることで知らない女性からなにかを貰ったらしいが、インベントリにはなにも入っていなかった。
きっと元気がよくなる回復魔法でもしてくれたのだろう。なぜなら体調がすこぶる良い。VR環境の体調がどう管理されているのかわからないが、とても気分も良いことがわかる。
そんな俺を不思議そうに見つめるフウマ達。なにかおかしいところでもあるのかな?ん?身体がどうしたって?
「え?光ってる?」
体を見てみると薄っすらと緑色に光っていた。しかも目立つことに俺だけ光っていた。他に変わってることといえばハクマが鳥に捕まって連れていかれそうになったくらいだ。
「進化ってわけじゃないだろうし、何でだろう。とりあえずステータスを見てみるか」
《主人公のステータス》
名前:八雲
種族:中蜘蛛
性別:男
称号:【ヴェルダンの縄張り主】【格上殺し】【森賢熊討伐者】【エリアボスソロ討伐者】【蜘蛛主】【精霊守護者】new
配下:中蜘蛛22匹
Lv:20(+3)
HP:250/250 MP:500/500(+10×10)
筋力:24(+2) 魔力:46(+5)
耐久:25(+2) 魔抗:35(+5)
速度:42(+2) 気力:27(+2)
器用:42(+2) 幸運:15(+1)
生存ポイント 所持:0P 貯蓄:12292P
ステータスポイント:0(+30-30)JP
スキルポイント:85(+15)SP
固有スキル
【糸生成Lv29(+2)】【糸術Lv29(+2)】【糸渡りLv23(+2)】【糸細工Lv4】【毒術Lv4(+2)】
スキル
【繁殖Lv2】【夜目Lv16(+2)】【隠蔽Lv16(+1)】【気配感知Lv14(+1)】【魔力操作Lv26(+2)】【識別Lv7(+1)】【風魔法Lv3】【魔力感知Lv13(+2)】【思考回路Lv1】【投擲Lv6(+2】【解体Lv8(+2)】【魔力上昇Lv4(+2)】【爪術Lv6(+2)】
いつの間にか見慣れない称号を手に入れていた。これがあのお姉さんが言っていたプレゼントなのだろう。別に守ろうとして守ってるわけではなく、たまたま巣を作っただけなんたが。
スキルについては識別したことがあったが、称号については一切触れていなかったことがなかった。飾りだとは思っていたが、実はすごい効果があったりするのかな。
【ヴェルダンの縄張り主】
ヴェルダンの森の支配者である称号。前支配者である森賢熊は精霊樹の深き森の縄張り争いに負け、ヴェルダンに逃亡した弱者であった。
この称号を持つと森賢と名のつく魔物が弱いものと判断して襲ってくる。ただし侮って襲ってくるため、隙が大きい。
嬉しいけど嬉しくない称号だな。このエリアにいる魔物は皆俺は見下してんだな。たとえレベル差で俺が強くとも。あれか、最初は「こんな雑魚に負けるわけがない」とか言ってかかってくるが、負けた瞬間、「ば、バカな…!?」みたいに倒れるのか。忙しい奴等だ。
【格上殺し】
格上の魔物を討伐した者に与えられる称号。格上と戦うとき、筋力と魔力が1.2倍補正させる。
高性能だな。
【森賢熊討伐者】
森賢熊を討伐した者に与えられる称号。
飾りだね。
【エリアボスソロ討伐者】
エリアボスをソロで討伐した者に与えられる称号。
飾り二つ目。
【蜘蛛主】
10匹以上の蜘蛛を従えた者に与えられる称号。この称号を持つと指揮がとりやすくなる。※ただし、蜘蛛に限る。
指揮か…そういう系統のスキルとってなかったな。これからも子蜘蛛は増えるだろうし、あとでどんなものがあるか確認しとくか。
【精霊守護者】new
精霊樹又は精霊を守護する者に与えられる称号。精霊又は精霊樹を守護している間、自然HP,MPな回復力が増加するオーラを纏う。精霊や精霊樹、精霊崇拝者から好かれるようになる。
これか…。パワーアップ系ではなく、回復力か。これは使えるけど、別に守ってる訳じゃないんだけどな。というかこれ、巣を張ってることが守ってることになるなら、ずっとこのままじゃないか?
称号には良いものが多かった。狙ってもらえるものもあればよくわからない条件で手にいるものがあるということがわかった。戦力増強に関して言えば数は毎日2倍になっているから問題ない。
実力だとなにができるかな。レベルは着々とあげてきている。ここのレベル帯が13~20だ、せめて25まであげておきたい。
うーん、何があったかな。あ、魔法全然つかってないや。魔法を使おう。まずは魔法の登録からだな。風魔法だけっていうのも味気ないし、あと二つぐらい覚えておくか。
火魔法は糸を使う俺からしたら邪魔になるから、火魔法はなしだな。水は糸と混ぜ混ぜしたらローションとかつくれそう。水魔法で耐水性の糸つくれないかな。そしたら水に強い糸で釣りができるのに。
魔法といえば想像力だ。やろうと思えばやれると言ってたし、水魔法は取得するか。風魔法は持ってるからいいとして、土魔法は前から欲しいと思っていたから、これも欲しいな。あとは光と闇だけど、今のところ思い付かないからパスだな。
スキル一覧を見てたら無魔法なるものを発見した。これはなにができるかわからないので、スルーしよう。次の子蜘蛛にはこれを覚えさせるけどね。属性魔法以外にも強化魔法、弱体魔法ってのもあった。これは支援魔法かな。
これも次の子蜘蛛に覚えさせよう。これで解決だね。あとは勝手に魔法を覚えてくれればいい。フウマ達もいつの間にかミントさんが使ってた魔法を使えるようになってたからね。
みんな知らないうちに成長していくんだね。俺は緑色に光ってるぐらいの成長しかないのに。それは置いといて水魔法と土魔法を覚える。
フウマ達が鳥系魔物を狩っているのを見学しながらステータス更新していく。それから俺が考える使い勝手な良さそうな魔法を登録していく。
《主人公のステータス》
名前:八雲
種族:中蜘蛛
性別:男
称号:【ヴェルダンの縄張り主】【格上殺し】【森賢熊討伐者】【エリアボスソロ討伐者】【蜘蛛主】【精霊守護者】
配下:中蜘蛛22匹
Lv:20
HP:250/250 MP:500/500
筋力:24 魔力:46
耐久:25 魔抗:35
速度:42 気力:27
器用:42 幸運:15
生存ポイント 所持:1020P 貯蓄:12292P
ステータスポイント:0JP
スキルポイント:65(-20)SP
固有スキル
【糸生成Lv29】【糸術Lv29】【糸渡りLv23】【糸細工Lv4】【毒術Lv4】
スキル
【繁殖Lv2】【夜目Lv16】【隠蔽Lv16】【気配感知Lv14】【魔力操作Lv26】【識別Lv7】【風魔法Lv3】【魔力感知Lv13】【思考回路Lv1】【投擲Lv6】【解体Lv8】【魔力上昇Lv4】【爪術Lv6】【水魔法Lv1】new【土魔法Lv1】new
【思考回路Lv1】
保存したい知識をイメージとして保存する。保存できるイメージはスキルレベル×10個である。(10/10)
《風球》風を圧縮して放つ。
《旋風》体から風を小さな竜巻のように起こして広範囲に風を起こす。
《風重圧》風の圧で押し潰す。
《風槍》風を槍の形に圧縮したもの。
《水球》水を圧縮して放つ。
《水壁》水の壁。
《水槍》水を槍の形に圧縮したもの。
《土礫》土の礫を放つ。
《土穴》穴を開ける。
《土槍》土を槍の形に圧縮したもの。
色々覚えた。まだ魔法を試してないせいか思考回路のレベルが上がっていなかった。時間もないのでこれは今日は終わりだ。フウマ達には悪いが、ここでログアウトさせてもらう。
まだ子蜘蛛は生まれていないが、寝ないといけないので、ログアウトした。




