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第16話 初めての進化

【記念保存】

週間VRゲームランキング2位、月間VRゲームランキング11位ランクインしました。


ブクマ1957件、PV18万アクセス、ユニーク28000人達成しました。

 レベルが上がりステータスを割り振り終わると、レベルの横に《進化可能》という文字列があった。それを押してみると、進化候補が出てきた。


《進化可能》

中蜘蛛(ミドルスパイダー)


 まさかの中蜘蛛(ミドルスパイダー)一択。卵がどうなるかわからなかったので、ハクマとコクマに1つずつ預ける。二人が嬉しそうに背負っていったのを見送ってステータス画面を見る。


 何度押しても一択しかなかったので、仕方がないからそれを押すと、身体が光り出し、身体が糸に包まれた。それから一瞬意識が途切れたかと思うと、光りは収まっており、何をすればいいのかと固まっていると声が聞こえてきた。


 「あー、聞こえてるか?進化するならするって言ってくれりゃあ説明できたんだがな。予想だが一択しかなかったから、やったんだろう。それは誰しもそうだ。んでだ、その後どうするかといえば…」


 最初は一択なのが普通なのか。それは知っておきたかったな。俺はこれからどうすれば?


 「他に蜘蛛の知り合いのPMはいないが、蛇の知り合いのPMはいるんだが…進化するとな、脱皮するんだよ。だからお前は今からそれを一人で脱がないといけない」


 …は?これ脱ぐの?くっ…意外と硬いぞ、これ。まずは身体を包む糸から脱出だ。


 「頑張れ~頑張れ~」


 糸から脱出するにもなかなか抜け出せない。手で亀裂をいれて出口を拡げて無理矢理出ていく。糸に拘束された熊さんの気持ちがわかった気がする。


 「が、頑張ってください」


 よ、よっしゃ!出れたぞ!頭周りの皮を剥がして…ん?なんか視線高くないか?ミントさんもあんなに小さく…なんか見た目変わってるけど。灰色ぽかった毛色から純白の毛色に。眼は黒にちょっと赤が混じっていた。そっか、うさぎは脱皮しないもんな。


 「頑張るのよぉ~」


 みんなからの応援は嬉しいが、全く手伝ってもらえないのもなんとも言えないな。どうせ何回か進化する度に脱皮するんだろう。視界の端でちらちらとフウマ達が動き回ってるのが目にはいる。


 「ユッケー」


 「ん?どした?」


 「配下のうち4匹進化できるんだが、させてもいいか?」


 「んー、2匹ずつにしてくれるか?敵が来たら対応できるか、わからんからな」


 「りょーかい。フウマとスイマおいで」


 周りをうろちょろしていたフウマとスイマは呼ばれて卵を掲げながらやって来た。どこか憧れの目線を感じるが、上から見るフウマとスイマが可愛く見えるのは父性かな?


 「卵をエンマとドーマに預けておいで、フウマとスイマには進化してもらうから。ん?俺みたいに成れるかって?もちろんだよ」


 二人は嬉しそうに騒ぐと卵を預けてきて帰ってきた。二人のステータスを開いて進化を押すと、候補が出てくる。中蜘蛛(ミドルスパイダー)しかなかったので、それを押した。


 「まぶしッ!?」


 フウマとスイマは俺と同じく光り大きくなってから、糸に包まれていく。それを眺めながら身体の皮を脱いでいく。ぼさぼさになった皮を床に張り付いたテープの残りカスのように剥がしていく。


 これどうやったらうまく剥げるんだ?なんか…すごいぼろぼろなんだが。フウマとスイマがどうやって剥ぐのか楽しみだ。次の参考にでもしよう。俺には無理だ。


 少しするとフウマとスイマが糸の殻から出てきた。まだ皮を被った状態だ。俺はわくわくしながら見守る。脚に力を入れて踏ん張り始めると、背中がパキッと音がして背中に亀裂が入った。


 「なるほど…蝉と同じか」


 背中が脚がと次々に出てきて、最後に頭が出てきた。フウマとスイマはお互いに見比べて嬉しそうに両前脚を挙げていた。それからこちらをちらりと見た。


 もう一度こちらを見るという、まさかの二度見をされた後、微妙な空気が流れるが、フウマとスイマは去っていった。


 俺は悲壮感に包まれながら皮を剥いでいると卵を背負ったフウマとスイマが他の子供達を連れてやってきた。ぼろぼろになって一人では剥がせない皮を剥いでもらった。


 「これが介護ってやつか…」


 一人子供達に皮を剥いでもらいながら呟く。遠くでユッケが笑いを噛み殺してる姿が見られるが、誰だって脱皮はしたことないものだ。きれいに剥げることなんて最初からできるかよ。


 「ありがとなー」


 御礼をすると嬉しそうに両前脚を挙げた。次は僕達だ!と言わんばかりにエンマとドーマがフウマとスイマに卵を預けた。準備ができたようなので進化させる。


 俺は進化後のステータスを見ることにした。見た限り特筆すべきものは、ステータスポイントに30JPあることと、スキルポイントに30SP追加され、固有スキルが1つ選べるというものだった。30SPは固有スキルを獲得するためのものだろう。


 固有スキルにはいくつかあったが、【振動感知】【毒術】【重量軽減】の3つが良さげだったので、これから選ぶことにした。


 まず振動感知は糸や地面に伝わる微弱な振動から魔物が来たことや獲物が捕まったことを感知するもの。毒術は毒を扱うものだ。重量軽減は身体を軽くして風に流されるためのものだ。


 今回は多様性の面から【毒術】を選ぶことにした。これで俺は一端の毒蜘蛛になったわけだ。



《主人公のステータス》

名前:八雲(ヤクモ)

種族:中蜘蛛(ミドルスパイダー)

性別:男

称号:【ヴェルダンの縄張り主】【格上殺し(ジャイアントキリング)】【森賢熊(フォレストベア)討伐者】【エリアボスソロ討伐者】【蜘蛛主】

配下:中蜘蛛(ミドルスパイダー)4匹,小蜘蛛(リトルミニスパイダー)6匹

Lv:15

HP:250/250 MP:350/350

筋力:20(+3)  魔力:41(+5)

耐久:21(+5)  魔抗:30(+3)

速度:36(+5)  気力:22(+2)

器用:38(+5)  幸運:12(+2)

生存ポイント 所持:2480P 貯蓄:3073P

ステータスポイント:0(+30-30)JP

スキルポイント:60(+30-30)SP

固有スキル

【糸生成Lv26】【糸術Lv26】【糸渡りLv20】【糸細工Lv4】【毒術Lv1】new

スキル

【繁殖Lv2】【夜目Lv14】【隠蔽Lv14】【気配感知Lv12】【魔力操作Lv23】【識別Lv7】【風魔法Lv3】【魔力感知Lv10】【思考回路Lv1】【投擲Lv4】【解体Lv5】【魔力上昇Lv2】【爪術Lv3】



【毒術】

 毒を扱うことが出来るようになる。毒の扱い方を理解できる。Lv1では麻痺毒Lv1が使用できる。スキルレベルが上がる度に毒のレベルを上げるか毒の種類を増やすことができる。


 フウマとスイマとエンマ、ドーマにも同じように【毒術】を覚えさせてステータスを割り振る。エンマとドーマは俺がステータスを割り振ってる間に脱皮を完了していた。ドーマのどや顔には腹が立ったが、無視を決め込んだ。



《介護してくれた子蜘蛛のステータス》

名前:風魔(フウマ)水魔(スイマ)炎魔(エンマ)土魔(ドーマ)

種族:中蜘蛛(ミドルスパイダー)

主君:八雲

配下:魅風(ミカゼ),魅水(ミスイ),魅炎(ミエン),魅土(ミドウ)

Lv:15

HP:200/200  MP:500/500

筋力:20(+3)  魔力:38(+5)

耐久:22(+5)  魔抗:27(+3)

速度:24(+5)  気力:22(+2)

器用:30(+5)  幸運:12(+2)

ステータスポイント:0JP(+30-30)

スキルポイント:50SP(+30-30)

固有スキル

【糸生成Lv16】【糸術Lv12】【糸渡りLv14】【糸細工Lv1】【毒術Lv1】new

スキル

【繁殖Lv1】【採取Lv5】【夜目Lv8】【隠蔽Lv9】【気配感知Lv9】【魔力操作Lv12】【魔力感知Lv4】【思考回路Lv1】【風魔法Lv1,水魔法Lv1,火魔法Lv1,土魔法Lv1】【裁縫Lv4,調合Lv1,鍛冶Lv1,細工Lv1】【解体Lv6】【魔力上昇Lv2】【爪術Lv4】



 フウマ達の大きさとユッケの大きさを比べてみて、俺らの大きさは視線の高さからもわかるように20cmから35cmになった。もはや化け物蜘蛛なのだ。


 体高は20cmから40cmになった。小型犬から中型犬への進化だ。こんな大きさの蜘蛛が現実にいたら人も喰われていたはずだ。猿とか食べてそうな大きさだな。


 ハクマとコクマに卵を返してもらうと、ついでとばかりに背中に乗ってきた。大きさ的には余裕で乗れるほどだ。移動速度が早ければMP温存の面からハクマ達を乗せて移動しよう。


 「本当に大きいわね…」


 「そ、そうですね…」


 これなら味噌汁ご飯とミントさんも乗せて移動できるが、スライムである味噌汁ご飯ならツルツルの身体に乗れるが、ミントさんは最悪移動中に落下する可能性があるので、ユッケに乗ってもらう。


 「ユッケ、そろそろ精霊樹に行こうぜ」


 「そうだな。悪いけど、味噌汁ご飯乗っけて行ってくれないか?背中まだ余裕あるだろ?」


 というわけで俺は背中にハクマとコクマと卵二つ、味噌汁ご飯のどう考えてもスペース過多なのにも関わらず、進んでいった。


 ユッケが先頭を突き進み、俺が続いて周りにフウマ達が並走する形だ。この戦力なら余裕があると思いたい。森を進んでいくと、小川に到着した。距離的にはあと2マス分の2kmだ。


 小川には幾つかの群れがいた。それを凝視すると、ユッケが舌打ちをした。見るからに大きな猪が子供を連れていて7匹はいる。それからちょっと離れた場所に森賢鹿の群れがいた。森賢鹿は4匹の群れだった。


 「ユッケ、どうする?」


 「これはさすがに避けて行きたいな。3分の1の数だったなら戦っていたが、この量はさすがに無理だ」


 「油断は禁物よ。迂回して行きましょ」


 「はい」


 音をたてないように道を引き返していく。十分な距離が離れたら左回りに移動していく。風の流れが右から左へと抜けていたので、臭いの追えない側から行かなければ感づかれてしまう。


 左回りして小川に着くと、今度はでかい猪の群れにまた遭遇した。今度は3匹の小さな群れだったが、子育てのために気がたっているように思えた。


 「こいつらならいくか?」


 「あぁ、数も少ないし、何より子供連れだ。警戒心が強いが逆に隙も多い。今は休憩中だし、身体も全快じゃないはずだ」


 「作戦はどうする?」


 「今回は正攻法でいくぞ。八雲達は糸を飛ばしてくれ。他は魔法で攻める。逃げられたら追わずにそのまま移動すればいい」


 「りょーかい」


 「わかったわ」


 「は、はい」


 背中に乗っている味噌汁ご飯とハクマ達を降ろして、散々になって近づく。このでかい猪はユッケが注意すべきとした魔物の一匹である森賢猪(フォレストボア)だ。かたまっているところへ突進されれば被害が大きくなる。


 先頭は速度が一番はやいユッケだ。姿勢を低くしていつでも行動できるように近づく。物音に気が付いた森賢猪が耳を動かし、こちらに頭を向けてきた。


 「ブモォォォォォオオオオーーーッ」


 敵の存在に気が付いた森賢猪は雄叫びをあげて、地団駄を踏み、威圧感を高めていく。子供も森賢猪だった。NPM(ノン人外プレイヤー)の子供は同種族で生まれるのかもしれない。


 「ブモォォォオオーーーッ…」


 雄叫びに応えるように遠くからも雄叫びが聞こえてきた。仲間を呼ばれたことが眼に見えてわかった。


 「急いで倒すぞ」


 「わかった。ハクマ達は山なりに子供を狙って糸を飛ばしてくれ。フウマ達は俺と同じく大人の森賢猪(フォレストボア)に麻痺毒を含んだ糸を飛ばしてくれ」


 ユッケは味噌汁ご飯を前脚で薙ぎ飛ばしてから口から風球(ウィンドボール)を放つ。飛ばされた味噌汁ご飯は身体を肥大させて、雄叫びをあげなかった方の森賢猪に覆い被さる。


 ミントは森賢猪の脚に向けて風刃(ウィンドカッター)を飛ばす。地団駄を踏んで突進しようとしていた森賢猪の脚を止めさせた。脚が止まった森賢猪などただのでかい肉塊だ。


 ハクマ達の糸が子供の森賢猪を完全に拘束していたので、今度は大人に糸を飛ばさせる。俺とフウマ達の糸は毒術による毒への理解によって簡単に糸へ含ませることができた。それを被った森賢猪はよろめいていた。


 よろめく森賢猪にさらに糸を被せた後、近づいてフウマ達と共に噛みついて体内に麻痺毒を流す。それによって雄叫びをあげていた森賢猪が完全に沈黙し、倒れ伏した。


 あとは味噌汁ご飯が覆い被さった森賢猪は窒息によって意識喪失をしていた。味噌汁ご飯は更なる窒息ダメージを与えて倒しきった。


 「そっちは終わったかしら?」


 「あぁ、あとは止めを刺すだけだ。ユッケとミントさん、ハクマ達はそっちの子供を倒してくれ。俺らはこのデカブツを倒す」


 「頼んだぞ」


 「わ、わかりました」


 麻痺毒を流しきり、魔糸の木杭を取り出して刺し続ける。解体して魔糸の木杭と素材を回収する。3匹を倒した頃、小川の上流から先程の群れが殺気立った状態で現れた。


 「これはまずいぞ…逃げられそうにないな…」


 「だな…どうする?」


 「俺らが時間を稼ぐからミントさんがキョテントを近くに張ってくれ!」


 「わ、わかりました」


 「くるぞ!」


 ミントを逃がすと同時に森賢猪(フォレストボア)が突進してきた。

熱中症に気を付けて暮らしましょう。

水分補給を時々して暑さ対策をしていこう。


欲しい漫画は本屋に置いてあるけど、ラノベって結構置いてないのが多かったりする。

本屋さんに顔を覚えられると、買ってる漫画が時々入荷されてることがあるよね、あれは嬉しい。


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