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『ジルア・ロヘス』〜謎多き英雄の物語〜  作者: T-aiyo
第1章 幼きジルア
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次なる恐怖

「つ、ついたぁ〜」


 孤独感に耐えられずに家を出て歩きだしたジルアは、うろ覚えの記憶を辿りなんとか公園に到着した。その公園は、まあまあの大きさで、大人の身長くらいの高さしかない滑り台と少し離れたところに古びたベンチがある。そして、その奥には白樺の雑木林が広がっている。


 その公園にはジルア一人ではなく、何人か人がいたので、ジルアはさっきまで抱いていた孤独感から解放された。そして、かわりに一人じゃないという少し安心感を覚えた。公園に着くや否や彼はここに来るまでに歩き疲れたのでベンチに腰掛けた。


 これから何をしよう、そう考えながら彼は伸びをした。そう、ジルアは孤独感から解放されたくて公園まで来たわけだが、何もすることがなかったのである。彼は暇そうに頭を掻いた。すると、彼の近くにいたおじいさんが彼にゆっくりと近づいてきた。そのおじいさんは白髪の長身で、顔に大きな傷跡があった。そのおじいさんは優しい声で彼にこう話しかけた。


「ぼうや、こんな時になにをしにきたんだい?」

「いえ、何も…ただ、家に誰もいないのが怖くて…家が荒らされていて…」

「そうかいそうかい。ぼうやたわしは似ておるな。今、この町はガリア教団っていう組織に襲撃されて大変なことになっているのだよ。わしも家が襲われそうだったから逃げてきたのだよ。ぼうやのような恐怖感に襲われているのはわしも同じじゃ」

「ぼく、お母さんが死んでいたの。それを見て、こわくなって…」

「なんと!それは可哀想に…わしよりももっと辛い思いをしておったのだな…全く、ガリア教団はこんな小さい子を悲しませてなにがしたいんじゃ…」


 そのおじいさんは少し涙を流しながら拳を握りしめた。おじいさんはガリア教団に対しての怒りを覚えていたのだが、幼いジルアにはそれがどういった感情を表しているかは分からなかった。


 そのあとしばらくジルアとおじいさんは色々話をしていた。おじいさんはどこに住んでいるかとか、おじいさんはなんの仕事をしているかなどといった話だった。そして、彼がおじいさんの顔についている傷について聞いてみようとしたところで高い足音が聞こえてきた。その足音はなんだろうと思い、彼らは足音の方向を見た。すると、その方向にはその足音の正体と思われる顎のしゃくれた背の高い男が悠々と公園内を歩いていた。その男は大勢の黒い服を着た人を引き連れていて、その男自身は白いマントをまとっていた。


「あの顎しゃくれた人誰?」


 ジルアがおじいさんにそう聞こうとした瞬間に、白いマントをまとった男は甲高い声で何かを話し始めた。


「さぁ、ガリアの神は我らにカルリアを滅ぼすように命じられた!我らはその責務を果たす義務がある!その責務を果たすため!我らは動くのだ!あぁ、ガリアに栄光あれぇぇ!」

「はっ、アゴラン様!ただ今より『カルリア最終殲滅作戦』に移ります!」

「そうだ!今すぐ『カルリア最終殲滅作戦』に移れぇぇ!」

「はっ!」


 アゴラン様ーそう呼ばれた男は引き連れた黒い服を着た男たちに『カルリア最終殲滅作戦』なるものを実行するように命じた。すると、その会話を聞いたジルアの隣にいたおじいさんは怒りをあらわにしてたちあがり、アゴランの目の前まで歩いて行き、アゴランの目の前でこう怒鳴った。


「お前達!!何が目的か知らぬがその作戦を今すぐやめろ!」


 その叫び声を聞いたアゴランはおじいさんに向かってこう言った。


「なんだなんだ。誰かと思えば下等民族カルリア人ではないですか。そんな下等民族が私たちに命令するんじゃない!!指図するんじゃない!!」


 そう言い放ったアゴランはおじいさんに向かって顎を突き出した。その奇妙な姿をみたおじいさんは少し驚きながらこう言った。


「なんだ。わしに顎を突き出してどうする。顎を突き出しただけでは何にもならんぞ」


 そのおじいさんの小馬鹿にしたような声を聞いたアゴランは少し頭にきたのか舌打ちをし、歯ぎしりをしたが、やがて歯ぎしりを止めておじいさんに向かって不気味な笑みを浮かべながら何かを言い始めた。


「ははは、ははははは、ははははは!何が顎を突き出しただけだ!私が何をしたいのかが全く分かっていない!分からない!分かるはずもない!さぁ、これだけは言っておこう。死にたくなければ謝れ!」

「なんじゃと?謝る理由が見当たらん!」

「あぁ、さすがカルリア人だ。せっかくチャンスを与えたにも関わらずそれを自ら無駄にするとは。哀れなものよ。さぁ、無礼な野蛮カルリア人よ!神より授かった我が顎の威力を思い知れ!」


 そう言うと、いきなりアゴランの顎が光を放ち、光り始めた。そして、顎の先端に巨大な光の玉が発生した。その光の玉は見ていると目が焼けてしまうほど明るく、それに近づくとやけどしそうなくらい熱かった。


「さぁ、喰らえ!『神より授かりし顎の鉄槌』、略して『顎ビーム』!!」

「なんじゃ!このまばゆい光の玉は!」


 おじいさんがそう言い終わるのと同時に、アゴランはその光の玉をおじいさんに向かって撃ち放った。撃ち放つと同時に火山が噴火したかのような轟音が発生した。


「うわっ!まぶしい!」


 ジルアはそう呟きながらもその光の玉に恐怖感を覚え、奥の林へ逃げ込んだ。そして、ジルアが奥の林へ入ると同時に再び爆発音がした。その音があまりにも大きかったため彼は思わず振り返った。その音はおじいさんに光の玉が直撃した音だった。彼が爆発音の方向を見た時には光の玉こと『顎ビーム』が直撃した後で、すでにおじいさんは跡形もなく消え去っていた。 


「はぁ。これで、野蛮人を1人消し去ったのだぁ!ガリアの神よ!これが望みだったのですよね!これは間違っていない!私は悪くない!あのジジイが悪いのだ!」


 おじいさんが跡形もなく消え去ったのを見届けて、アゴランは満足そうな笑みを浮かべてそう叫んだ。

 すみません。バトルシーンは次回になりそうです。活動報告に嘘ついてしまった…w

 次回こそ本当にバトルシーンです。


 ここまで読んでいただきありがとうございます。

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