永遠の別れとそれから始まる孤独感
「た、ただいま〜」
ジルアはドアの正面に立ち、おそるおそる自宅の玄関を開けようとした。
「多分鍵は閉まってるよね」
ジルアの両親であるカリー、ミワの2人はスラム街の中でも特に用心深いと有名だ。だからジルアは家の鍵が開けっ放しになっているなんて考えられないと思ったのである。しかし、ジルアがドアノブを握り、ドアを開こうとすると、 ドアはとても簡単に開いた。
「鍵が、かかってない???」
ジルアはとても驚いた。ありえない。鍵が閉まってないなんて。彼はあまりにも鍵がかかっていないことが不思議だったので、鍵のところをよく調べてみた。すると、鍵は閉まっていたが、壊されたのか、どちらにせよ鍵として機能していないことがわかった。実際は、こわされていたのだが、彼はそんなことまでは分からなかった。ただ、彼にとってはこの鍵が機能していないことが分かればそれで十分だった。
「鍵が…壊れてる?のかな?鍵の役目、果たせてないよね。これ」
そして、彼はこの家に何かが起こったことを直感的に察した。
「大丈夫。何も起こってないよ」
ジルアはこの家に何かが確かに起こったことはしっかり理解していた。ただ、彼はそのことを信じたくなかったので自分に何も起こっていないと何度も繰り返し言い聞かせた。そして、意を決し、家の中へ入った。
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ジルアはドアの前から離れ、この家のリビングへと入った。すると、彼の眼下に広がっていた光景は、まだ6歳の彼には過酷といえるものだった。
「か、かあ…母さん?」
ジルアの母、ミワは背中を一箇所深く斬られていて、すでに息はなかった。
「ねぇ、起きてよぉ…起きてってばぁ!冗談でしょ?お母さんの得意な冗談でしょ?ねぇ、答えてよ!答えてよぉ!!!」
ジルアは、必死に母親を起こそうとした。しかし、母親は目を覚まさない。それでも、彼は諦めずに何度も何度も母親の体を揺すり、起こそうとした。しかし、何度揺すっても母親は目を覚まさない。
「お父さんは?大丈夫だよね???どこ?…」
お母さんが、起きない。多分、お母さんは死んだ。もう、戻ってこないんだ。永遠に。絶対に。
彼はそのことをなんとか理解したジルアはお父さんを探す。せめて、お父さんは生きていてほしい。お父さんまで死んじゃ嫌だ。そんなの絶対に嫌だ!その一心で彼はお父さんを探し始めた。
ジルアは家の中をくまなく探したが、父親はどこにもいなかった。父親が家の中にはいないことを知ると、ジルアはさらに不安になった。
「どこにいるの…お父さんは。お父さんはどこにいるの!!」
ジルアは必死に叫ぶが、その声はスラム街に虚しく響いただけだった。誰からの返答もない。そして、彼はとても孤独になった気がした。
嫌だ。誰か。誰か返事をして!僕をひとりにしないで!
その孤独感に恐怖を覚えたジルアは、家の外に出た。家の外なら誰かいるかもしれないと思ったからだ。しかし、外には彼が探していた父親どころか誰も見当たらなかった。
「ここには誰もいないの?じゃあみんなはどこにいるの?お父さん…」
ジルアはみんながどこにいるかを考え始めた。5分くらい考えたあと、彼は公園には誰かがいるだろう、という結論に辿り着いた。その公園とは、彼が父親に人種について尋ねた場所でもある。公園には誰かがいる、そう思いついたものの、実は彼は家から公園までの道うろ覚えだった。だが、独りは嫌だから、止まっているよりはマシ、とぶつぶつ呟きながら公園まで歩き始めた。
上手い下手はこの際無視するとして、『書くこと』って最高です!w