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最悪の再会
外に出ると、体が勝手に身震いした。
目に映るのは真っ白な雪に塗れた世界。試しに息を吐き出すと、煙草を吸った時のように、白い息が口から出ていく。
モスグリーンのマフラーを口元に引き上げ、真っ黒な革の手袋をはめて、目的地へと向かう。
ざく、ざく、と黒いブーツのアウトソールが音を立てる。
視線を足元に落とし、滑って転ぶ、なんて無様なことにはならないようにゆっくりと、歩を進めていった。
目的地は近所の神社。目的は、少しだけ遅れた初詣。
人混みが嫌いな自分は、毎年、混み合う元日には絶対に来ないようにしている。こんな近所の神社なのだ、元日なんかに来たら知り合いに出くわして煩わしい会話をしなければいけなくなるに決まっている。
ざく、ざく、ざく、さく。
足元が、田舎道の土からコンクリートに変わる。顔をあげれば、そこには見慣れた石段。
そして。
真っ白な天使が、降ってきた。
と思ったのは一瞬だった。その真っ白な服の人間は、こちらに背を向ける形で石段から落ちて。
どさり、と人間の重さに見合っただけの音を立てて、黒いブーツのほんの数十センチ先で赤い色を広げた。