表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界行ったら門前払い食らいました  作者: 矢代大介
Chapter2 旅路の仲間たち
9/79

第6話 山道の激突

2014/01/17…

「~俺もまた横っ飛びに跳ぶ。」から「だが、かわしたはずの~」部分の間に加筆を加えました。

「さーてと、今日はここで野営と行こうか」

森オオカミとの激突から数日後、ゼックの馬車は山麓の森林を抜けて、レビー山脈の中腹へとやってきていた。

山脈といっても大した高さではなく、あたりを見ると起伏の険しいサバンナのような景色が広がっている。

「……自然ばっかりだ」

思わず、そんな感想が口から漏れた。いや、それも当たり前の話だろう。

俺の目の前には、地球のどこよりも美しく、雄大な世界が映っているのだから。生き物の営み、自然の生命力、すべてがありのままに息づくこの世界が、たまらなく美しく見える。

「お前さんには、新鮮なのか?」

「……ええ、とっても。俺が前いた世界では、人間が力をつけすぎてましたからね」

強大で、大人が束になっても倒せないような敵が存在しないあの地球では、それも当たり前のことだったのかもしれない。

その点、この世界は半永久的にこの美しさを保つのだろう。増えすぎた生物をほかの生物が減らし、減りすぎた生き物は必死に守られてまた数を増やす。ゆったりとしたサイクルで、世界は守られているのだ。強力な力を持った、世界の支配者たる存在によって。

「感傷に浸るのはいいが、ほどほどにしておけよ。景色だけで腹は膨れないぞ」

ゼックに促されて、俺は馬車の近くに立てられた仮設テントへと歩を進めた。

「……ん、ザクロはどこ行った?」

「トイレだそうです。先に食事作っちゃいましょう」

ああ見えてザクロもマメなところがあるらしい。すまないがと断りを入れていた彼の、まったく申し訳なくなさそうな無表情を思い出し、不意に噴き出した。



***



それが起こったのは、その日の真夜中だった。



「……ぁふ」

今日の見張り番は俺だ。と言っても本当に周囲を警戒するだけなので、夜中は退屈で眠たいことこの上ない。俺ぐらいの年の連中は夜更かしする奴が多かったが、あいにくと俺は規則正しい生活を送ることが信条だったため、

夜の番はつらいことこの上ない。

あくびを押し殺し、慣れっこになった少しの肌寒さを毛布で和らげつつ、抜かりなく周囲を警戒する。



その影に気付いたのは、本当に偶然といっても過言ではないだろう。ふと感じた嫌な予感を避けるため、何の気なしに場所を変えたところ――――今さっきまで俺がいたところに、ズドッ!という快音とともに何かが突き刺さった。

「――――っ!?」

とたん、伝わってきた視線から逃れるべく、俺は馬車の後ろに素早く隠れる――と同時に、できる限り大きな声で叫んだ。

「敵襲だ!!」

直後、馬車めがけて何本ものナイフが飛来する。乾いた音を立てて地面や馬車につき刺さり、抉っていく光景を見て、最悪だと頭を抱えそうになる。おそらくは、野盗が現れたんだ。

できれば、人とは戦いたくなかったのに。そんな俺の気持ちもよそに、すでにズタボロになった馬車からザクロが飛び降りてくる。

「……敵の方角は」

「南東からだ。ナイフの精度が高くなくて助かった」

無意識にそんな言葉が漏れた。自分で言っておいて驚きつつも、馬車裏に回り込んだ際座り込んだせいでベルトから外れてしまった剣を掴み取り、その場に鞘を置いて抜剣する。

「斬技――『龍鱗断リュウリンダン』」

直後、ザクロが呟きとともに刀を抜き、そのまま横一文字に振りぬいた。いわゆる居合切りのその軌跡から、わずかに赤みがかった燐光をまとう衝撃波が生み出され、バチン!という炸裂した音が響く。

おそらく、すでに戦闘が開始されているのだろう。そう考えて俺も飛び出そうとしたとき、すぐ横にゼックが退避してきた。

「っととと……ザクロはどこ行った?」

「表に。……俺も出ます!」

いうが先か、俺の足は飛び出すためのばねとなる。少しばかり筋力のついた足が地を蹴り、馬車裏から飛び出す俺を跳躍させた。

滑って着地しつつ、敵の総数を目視で計る。おおよそ10人といったところだが、死体は見えないがザクロが何人か倒していることを予想すると、もう少し大所帯だったのだろう。ザクロ、つくづく恐ろしい奴だ。

そのザクロを横目で確認しながら、射線を遮らないように俺も攻撃を開始する。一直線に野盗の一人に駆け寄って、深手にならない程度に両手の剣で切り付けてやる。

「甘ちゃんがァッ!」

「るせぇっ!!」

振り下ろされた片手斧を右の剣で受け止めて、逆手に持った左の柄頭で頭部を思いっきり殴り飛ばした。よろけたスキにローキックで股間部分を蹴り飛ばしてやると、「ぼっ」という悲鳴とともに動かなくなった。

――ごめんなさい、同じ男なんでその痛みはめっちゃわかります。でも襲ってきたんだから容赦はしない。

無性に謝りたくなって十字だけ切り、俺は次の敵へと剣を向ける。もう一人の護衛である俺に気付いたものも数人いたようで、二人がかりで俺をつぶそうと襲い掛かってきた。

「この」

「ガキが」

「「死ねやあぁぁっ!!」」

ナイスコンビネーションと胸中でつぶやきつつ、その単調な攻撃をしゃがんでかわす。横一文字に振りぬかれた二人の斧が互いの胸に直撃し、衝撃と反動で左右に吹っ飛んだ。

だが、二人の背後から迫っていたもう一つの陰に気付くのが遅れてしまった。飛来する投擲された片手斧が、弧を描いて俺に迫る。

「らぁっ!」

だが、繰り手を失った武器を防ぐのは簡単だ。クロスさせた剣の腹で斧を受け止めると、硬質な破砕音と火花がまき散らされ、当たった斧が真ん中付近から折れた。――脆すぎるだろこれは?

武器として成立するのか怪しいくらいの強度だった斧を見つめて首をかしげるが、どうやらこちらはおとりだったようだ。よそ見をした好きに、腰に吊った剣を抜いていた野盗が迫る。斧が振り下ろされるギリギリのところで気づき、振り向くと同時に左手の剣をたたきつけ、どうにか被弾を免れた。微妙な力の差が拮抗し、カチャカチャと刃同士を鳴らす。

「……ほぉ、ガキのくせにいい腕してやがる」

突然、つばぜりあう野盗の男が笑いかけてきた。くさい吐息をかわしつつ、「だからどうした」とだけ返す。

「そんだけの腕で、なんで気づかないんだか不思議でな。……もうお頭は来てるんだぜ?」

その言葉とほぼ時を同じくして、怖気が俺を襲った。まるで、先日の血濡れの現場を見た時のような、どろりとした不快な寒気が――――。

本能が逃げろと叫ぶ。蛇のように這いずりよる恐怖から、俺はとっさに身をひるがえした――――直後。

ズパァン!という炸裂音が、周囲の音を支配した。何が起きたのかもわからぬまま、ひるがえした身を大地に転がし、飛んできた土くれを体にまとわせながら、何かを回避したことをようやく知覚する。

「くっ!」と一つ毒づきながら「抉れた地面」を一瞥して、地面をえぐったものが飛来した方角に目を走らせると。

「……さすがに外したか」

そこにいたのは、刀を携えたザクロだった。切れ長の瞳には冷ややかな光が宿り、明確な敵意と確かな殺意を俺に向けてくる。

「あんた…………こいつらの」

「……そうだ。ついでに私らは野盗などではない」

刀を構えなおしたザクロの口が、獰猛にゆがめられる――――る気だ。

「私らは『ブリガンド』。お前たちのように、油断した人間バカを切り殺し、身ぐるみを剥ぐのが仕事だ」

冷徹な瞳は、その口から発した言葉に微塵の嘘も仕込んでいないと、雄弁に物語っている。そうなると、俺たちとの行動の中で取っていた、ほんのわずかだけ友好的な態度も、すべて嘘だということになる。だが――。

「ザクロさん、あんたはこんなことが生業なりわいでいいのかよ!冒険者として生きてるんなら、もっとまっとうな生き方だってできるだろ!」

「……説得するつもりなら無駄だ。俺はギルドに登録してもいなければ、居場所を与えられた人間でもない。ならば、その人間が身をやつす場所など――――」

そこまで言葉を紡いだとき、一陣の風が山を駆け抜ける。

「たかが知れている!!」

瞬間、ザクロが地を蹴り、一直線に俺へと突っ込んできた。刺突の構えを作っている以上、剣をかち合わせての防御はできないだろうと結論付け、俺もまた横っ飛びに跳ぶ。

はたして、その判断は正解だった。ゴゥ!という大気を揺るがすほどの風圧が俺の肌をたたき、本能に危険信号を出させる。

「……逃げられると思うなよ」

ザクロの鋭い瞳が、俺をまっすぐに射抜く。そのまま体の向きを変えて突撃してきたザクロ、ひいてはその刀を、反射的に左の剣で受け止めた。弾かれた――というわけでもなく、浅い当たりで火花を散らすだけにとどめて下に抜けた刀が、Vの字を描くように切り返してくる。

反応は、できなかった。重苦しい衝撃音が耳に届いたときには、俺の体は宙を舞っていた。

――――反応さえも許さない、高速の斬撃。はっきり言って、到底俺がかなう相手ではないのだろう。

ならばどうする、逃げるか?……そんなことはできない。なにより、俺にはザックを護衛するという、大切な「依頼」を放棄するわけにはいかないんだ。心の中で自らを叱咤し、強敵と戦うという恐怖を無理矢理に勇気に変換する。

死ぬ、とまではいかないだろうとかぶりを振りながら、着地した俺は一直線に駆け出した。対するザクロは鞘に刀をおさめ、その柄をぎりりと握りしめる。あの構えは、いわゆる「居合切り」といったところか。

よけることはできそうにない。ならば――真正面から受け止めるしかない。

「でえぇいっ!!」

気合を入れながら、俺は交差した両腕を一息に振り下ろした。防御の薄い腹を狙って刃を振り下ろしたが――――両方の剣が、一瞬のうちに甲高い音とともにはじかれる。目の前には、一閃した軌跡を残す細身の刀。

まさか耐久力で劣る刀で剣を、それも二本ともはじかれるとは思っていなかった。驚愕で思考が一瞬停止してしまい――それが命とりだった。

「……わきが甘い!」

返す刀で斜め下に向けて切り下されたその刃を、紙一重と言って遜色ないレベルでかわすことができたのは、僥倖といっても差支えないだろう。よろめきつつも数歩後ずさった俺の目に映ったのは――――もう一度切り返してくる、月光に煌めく凶刃。

瞬間、ズバサァ!という盛大な炸裂音がとどろいた。続けて襲ってくるであろう激痛に備えてきつく目をつむる――が、後ずさって膝をついた俺に、いつまでも痛みは襲ってこなかった。恐る恐る目を開けると、モンスターにえぐられたように服が引き裂かれているのが確認できる。だが、損傷はそれだけだった。

どうやら、無意識のうちに体を引き、ザクロの渾身の一撃をかわしたのだろう。理詰めで動いていればまずかわすことのできないであろう、瞬間のうちにZ字に敵を切り裂く無慈悲な刃。かわせたのは、僥倖を超えた奇跡だ。

――二度目はない。そう警告する俺の本能に従い、無意識のうちに額を流れた冷や汗を拭う。

俺を射抜く鋭い眼光が、その切れ味を増した。本気で殺しに来る……という確信が、俺にどうしようもない恐怖を与えた。足の竦んだ一瞬を見計らったのか、ザクロが抜群のタイミングで飛び出してくる。とっさに夢から覚めたような気分になり、次いで大上段に掲げられた無慈悲な刃を視界に収め、動転しつつもクロスさせた剣ではじく。

「……かわせると思ったか!」

だが、ザクロにとっては弾かれることさえ計算のうちに入っていたらしい。そのまま横薙ぎに飛来した二撃目であっさりガードを崩され、とどめと言わんばかりに切り上げられた刃が、俺の右手から得物を弾き飛ばした。

「――――っ!?」

思わず、Aの文字を描くように振るわれた刀にはじかれ、宙を舞った剣を見上げる。わずかな風切り音を立てながら、回転して飛翔するそれは放物線を描き、俺から10mほど離れた場所に、金属音とともに突き刺さった。

「……よそ見をするな」

瞬間、ザクロの声と刀が同時に飛来する。反射的に意識を引きもどされるが、今度は襲い掛かってきた刃を完全に防ぐことができなかった。ガィンッ、と硬質な音が響き、はじかれた剣に引き連れられるように俺の体も吹っ飛ばされる。したたかに左腕を打ち付けながら、俺は土の上でゴロゴロと回転して停止した。

その俺に向けて、振り上げられた刀が迫る。とっさに左の剣で受け止めつつ、体勢を立て直そうとして、ふと視界にあるものが映った。

――間違いない。俺はそのとき、瞬間的にひらめいた。直後、ザクロの刀をはねのけるようにはじき、その反動を利用して俺の身を転がす。うっとうしげにザクロの刃が幾度も打ち合わされたが、それをすべて退けつつ俺は転がっていく。

数回転したところで、俺は左手の力を限界まで使ってザクロの刀をがっちりと受け止めた。ザクロが悔しげな表情を作りつつ刀を両手で持ち、押し切ろうとするが、全身全霊を込めて踏ん張る俺の剣をなかなか押し返せない。

「――――お前もっ」

そしてそのザクロは、投げ出された俺の右手の行方を気にしていなかった。

「わきが甘いんだよぉっ!!」

瞬間、ザクロの鼻先数センチを「右手に握った剣の切っ先が」かすめる。何が起こったのかわからないような表情でザクロが後退するが、立ち上がった俺の居場所を見て、ようやく察したようだ。

――そう、俺は無意味に転がっていたのではなく、「弾き飛ばされた剣をとるために」地面を転がって移動していたのである。あたかもおびえて逃げ回るように演技をしていた――演技できていたかはいささか怪しい部分があるけど――が、それも良い方へ転がってくれたらしい。

これで、俺の手には無事ふたつの得物が戻った。あとは、ザクロの猛攻をかわして反撃ができるかどうか。

「……ふ、ここまで粘った奴はひさしぶりだ」

「…………おほめに預かり光栄ですよ、ザクロさん」

双方、ガシャッという金属音を鳴らして構えた――――直後、同時に地を蹴って飛び出す。風切り音を引き連れ、まさしく電光石火の勢いで飛来する斬撃を、右の剣で相殺してはじく。同時に俺の右手もはじかれて後ろに投げ出されるが、それは計算のうち。逆にはじかれた反動を利用して、左の剣で繰り出した刺突の威力を上昇させる。

だが、その切っ先はわずかなところでザクロに届かなかった。まるで海中で揺れる海藻のようにゆらりと揺れてかわしたザクロの、いつの間にか引き戻されていた刀が大上段から飛来する。一瞬の出来事に内心で焦りながら、俺はとっさに横っ飛びで回避した。だが、かわしたはずのザクロの刀が、はじかれるように角度を変える。そのまま横薙ぎに飛来した刀を反射的に剣でガードするが、鋭い刃をいなすにはわずかばかり力が足りなかった。細身の刀には不釣り合いなほどの重さが遅れてのしかかり、ギィン!という金属音を鳴り響かせて俺の体が吹っ飛ばされる。幾許かの滞空ののち、地面を滑走して着地した俺に向けて、今度こそ勢いを乗せた刺突が襲い掛かってきた。

「うおぉっ!」

だが、その刃は俺の肩口をかすめるだけにとどまる。転がっていた小石に足元をすくわれた俺の体が派手に転倒したことで、奇跡的にザクロの凶刃を避けることができたのだ。

確実に俺の肩を貫くはずだった刀が外れたことで、ザクロも動揺していたらしい。跳躍で生み出された勢いが殺しきれず、ザクロもまた地面を滑走して着地する。

――――僥倖が二度も続くとは思えない。今度あの刺突が来るとき、俺は果たしてその刃をかわせるだろうか?

額に流れた脂汗をぬぐいながら、俺は立ち上がったザクロの眼光を真正面から受け止める。

「……次は外さないぞ、タクト・カドミヤ」

「……次は実力でかわしてみせるよ、ザクロさん……いや、ザクロ!」

俺のその宣告に、ザクロの口元が不意にゆがんだ。一瞬だけ怪訝な顔を作ったが、すぐにそんな余裕は失せた。

「斬技――『乱刃喰命ランジンショクメイ』!」

瞬間、目にもとまらぬ速度で三度振られた刀から、黄色の燐光をまとった衝撃波が三つ、飛来する。ザクロの真骨頂である衝撃波攻撃だ。それを正面から目の当たりにして、不意に俺は先日の光景を思い出した。

――よけ損なえば、俺も血に濡れることになるのかな。ただの物言わぬ骸になるのか?



――――嫌だよ、そんな結末。

まだ、旅は始まったばっかりなんだよ。

これから、めいっぱい世界を楽しんでやるのに。



「そんなん…………認めるかよぉォッ!!」

咆哮一発、俺は両手に持った剣を天高く掲げ、迫りくる衝撃波に向けて一直線に振り下ろす。

――直後に俺の目の前に広がった光景を、俺は信じられなかった。

「ウソだろ……?」

「あいつ、何てことやりやがる……!」

「ざ、ザクロさんの技が……」

周囲がどよめくのも無理はないだろう。やった本人にだって、その光景が信じられないんだから。

――――よもや「衝撃波が打ち消される」など、だれが思ったか。

「……相殺されるとはな」

ともかく、これが好機であることに変わりはない。強く握りなおした剣の切っ先をザクロに向けて、俺は叫ぶ。

「――さぁ、お前の罪を数えろ」

うん、一度言ってみたかったんだよこのセリフ。断罪の刃だとか審判の瞳だとかそういうのに憧れてるんだよね。

などという思考を展開しつつ、俺は力を込めた足で地を蹴り、ザクロに向けて飛翔する。

「……ならば、この攻撃はどうだ!斬技――『断空波ダンクウハ』!!」

しかし、ここでやられる気は毛頭ないようだ。ザクロの刀に白色の燐光が絡みつき、俺を撃墜せんと太陽のように明るく輝く。

二度打ち消せる確証はない。だが、俺だって伊達に跳躍したわけじゃない。

――あの日、ザクロの強さを目の当たりにした時から、俺は何かを感じていた。殺気でも、違和感でもない、何かが流れて、俺に味方してくれるような、そんな不思議な感覚。

いまなら、その感覚の正体がわかる。それをつかんだ、俺になら――――!


「……何?」

ザクロが俺を見上げるその先で、俺の両手に握られた二振りの剣が「白色の燐光に包まれる」。

剣に宿った燐光――――すなわち「魔力」が、目の前にいる敵を切り裂かんと暴れる!

「――――剣星」

興奮を抑えながら、三日月の下で俺は叫ぶ。



「『三日月双刃斬ミカヅキソウジンザン』!!」

振り下ろされた二つの刃から繰り出された衝撃波が、ザクロごと大地にX字の大穴を穿った。

1014/01/14…諸事情につき、更新ペースがかなり不安定になります。

楽しみにしていただいていらっしゃる方にご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、なにとぞご了承願います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ