第65話 決戦-2
初めて相対した魔王のその顔は、さも当たり前かのような自信に満ち溢れていた。忌まわしき神龍の使い、と自らが評した神龍の騎士を目の前にしてなお、その気迫は衰えることを知らない。
「貴様の勇名はわが耳にも届いているぞ、神龍の騎士よ。我が配下をことごとく退けたその手腕、評価に値するぞ」
芝居がかった大仰な動作に乗せて、魔王はそう嘯く。その口から出た賞賛は果たして、俺に対する素直な賛辞なのか、それさえも凌駕せんとする己の力の誇示なのか。
「雑談はいらないぞ、魔王。……いや、魔神って呼ぶべきか」
お返し代わりに、彼女からいただいた情報をたたきつける。すると魔王の顔は、感心したような表情に彩られた。
「ほう、まさか我が正体を知っていたとはな。…………否、当然とも言えるか」
くつくつと笑う魔神は、ふと何かを思い立ったような顔を見せると、先ほどまで座っていた玉座、その傍らに立てかけてあった何かを拾い上げた。重い金属の音を響かせてこちらに突きつけられたのは――
「――――その、剣は」
「皆まで言わずとも我にはわかるぞ。貴様のその知、この反逆の剣を携えていた者から聞いたのだろう?」
魔王の手に収まっていたのは、かつて少ないながらも言葉を交わし、短い間ながら好敵手として互いを認め合っていた、燃えるような深紅の髪を持つ女性、レヴァンテが持っていた大剣そのものだった。鍔の真ん中にはめ込まれていた赤い魔晶石も、黒く輝く長大な投身も、見紛うはずがない。
「……その剣の持ち主をどうした!」
奴があの剣を持っているということは、つまりそういうこと。だがそれでも俺は、聞かずに入られなかった。
ただ、認めたくない。彼女ほどの剣士が、目の前の人型に太刀打ちできなかったという事実を。
「彼奴ならば、試し切りの的になって貰ったぞ。自らを露払いと称していたが――あの程度の者が我が配下だったとは、我の見る目も衰えたものよ」
そのまま魔王は、声には出さずに侮蔑の笑いを上げる。対する俺は、一時とは言え協力関係にあった人間を侮辱された怒りに、ただ燃えていた。
「貴様ッ!!」
「怒るか……そうだ、存分に怒れ、悲しめ!」
先ほどまでとは打って変わって、魔王は歓喜の笑みを浮かべている。そのまま両腰に吊った肉厚の双剣を引き抜き、こちらめがけて突きつけた。
「貴様の負の心は、我が力となる!痛みを、悲しみを、絶望を味わい、負の底へ堕ちろ!そして――――我が糧となるがいい!!」
鎧の背にあしらわれたマントをばさりと払い、魔王は玉座から飛び上がった。そのまま両の剣を振るい、俺を切り裂かんと猛烈な速度で迫りくる。
「誰が――なるかよ!!」
対する俺は、構えなおしたアルカンシエルでその太刀筋をさえぎり、受け止める。打ち合った衝撃で刃の間にまばゆい火花が散り、互いの顔を照らしあげた。
そのまま剣をふるって、魔王を退ける。切り払われた魔王は宙でくるりと舞ったかと思うと、音もなく着地、すぐさま爆発的な加速力を持ってこちらへと襲い掛かってきた。相手の速度に押される形になりつつ、俺も対抗して迫る刃を打ち払う。
ギ、ギ、ギン!と連続で鋭い刃がはじけあう音。一瞬のうちに通過した嵐のような連撃は、俺に確かな衝撃を与えていた。――魔王もまた、俺と同じ双剣使いなのだ。それも生半可な実力ではない、俺と互角……あるいはそれ以上の。
「むん!」
右へ左へ、肉厚の刃が空間を駆け抜ける。そのたびに刃から空間を伝わり、俺の肌をたたく苛烈な衝撃波は、相対する魔王の剣さばきが並大抵のものではないことを雄弁に物語っていた。だが、だからといって気おされている場合ではない。魔王を下すには、その鋭い太刀筋をかいくぐる必要があるのだ。
幸いなことに、ここは本来の意味での戦場、スポーツや競技としての戦いではない。ならば、搦め手を使うのが効率がいい!
「らぁッ!」
幾度となく襲い来る刃をかわし、打ち払い、わずかにできた隙へと、俺はアルカンシエルから溢れた火炎の奔流を叩き込む。これだけで効果があるとは思えないが、牽制にはなるはずだ。事実、魔王は突然放たれた炎を警戒し、バックステップで距離をとっている。
間が離れてからの、仕切りなおし。今度は、こちらから行く!
「ぜええぇいっ!!」
一泊をおいてから、再度の激突。一回目と違うのは、俺が先手を取る形で相手の下へと踏み込んだことだ。
アルカンシエルをランダムに振るい、刃を通す隙間をなくしてからの、本命の一閃。だが流石というべきか、魔王の剣が完璧なタイミングで割り込みをかけてきたため、本命は甲高い音を引き連れてはじかれてしまった。
瞬間の硬直を見計らった魔王の、再度の剣戟。再び互いの間に火花が散り、剣が放つ鈍く光る軌跡が空間を彩っていく。再び押される形にこそなってしまったが、それだけで終わりはしない。終わらせはしない。
振るわれた剣を打ち払うかに見せかけて、微妙に角度を変えてその刃を受け流す。勢いに乗っていた魔王の体制が一気に崩れ、無防備な背中がさらけ出された。
「貰ったァ!」
絶好の機会。だが、雄たけびを上げて剣を振るう俺の目には、不敵に笑む魔王の顔。
同時に、背筋を這い回る悪寒。本能が発した得体の知れない危険信号のままに飛びのくと、ついさっきまで俺が立っていた場所を、魔王の剣が薙いだ。
見ると、魔王が片足でバランスをとって、受け流された剣とは違うもう片方の剣を振り抜く姿勢をとっていた。信じられないが、崩れた重心を自らの体を片足で回転させることによって強引に軌道修正、そのまま俺へと奇襲の一太刀を浴びせていたのだろう。
「効かぬ!!」
そのまま魔王は独楽のように片足で回転、竜巻のような連撃を俺に浴びせてきた。流石にその勢いに割り込むことはできず、仕方なくクロスさせたアルカンシエルを持って受け止め、はじく。
回転が終わると同時に魔王は跳躍。平衡感覚に支障をきたしていないとでも言いたげなほどに優美な動作を持って、目の前、俺の太刀筋が届かない場所に着地していた。
「この程度か、神龍の騎士よ。我は失望しているぞ」
続けて、その口からあざ笑うような言葉。ぎりと歯を食いしばりながらも、俺は反論する。
「それはこっちのセリフだ、魔王。あんな大それたこと吐く割には、俺に傷一つつけられてないじゃないかよ!」
皮肉たっぷりに言葉を返しつつ、俺は改めて警戒する。今の言葉は、いわば挑発だ。全力でかかって来いという、俺からの挑戦状に等しい。
「……そうか。ならばその言葉通り、全力を出そうではないか」
魔王が嘯く。すると両の手に握られた双剣から、ゴウ!と勢いよく暗い色の炎が噴き出した。奴の本気とはすなわち、俺のアルカンシエルと同等の力に違いない。
「行くぞ!!」
叫ぶが先か、魔王が剣を振るった。同時に刃に絡み付いていた炎がはがれ、中空で一つにまとまり、そこから何かの形を成す。咆哮のような大音響は、間違いなく竜のそれだ。
「こっちだって!!」
叫ぶとともに、アルカンシエルの刀身が真っ赤な光に染まる。そのまま振るわれた刃から放たれた炎が、魔王のものと同じように竜の姿をとった。
瞬間、炎でできた竜同時の激突。竜たちの咆哮とは比べるまでもない大音響が部屋中を満たし、鋭い熱気とともに吹き抜けていく。互いに放った竜は、その身を形作る炎を小さな火の粉に変えつつ、熾烈なぶつかり合いを繰り広げる。
しかし次の瞬間、魔王の炎竜がむくりとその身体を膨張させる。肥大化した竜の向こうを見ると、魔王が再び剣を振るい、炎竜に力を与えているのが見えた。
負けるものかと声に出さずに叫び、俺も再びアルカンシエルを振るう。真紅の刀身からは次々に炎が生み出され、そのすべてが小さな竜として姿を変えていく。小竜となった炎は大きな炎竜のそばにつき、巨大に膨れ上がる魔王の炎竜めがけて攻撃を開始した。とはいってもほとんど体当たりに近い行動だったが、その実態はアルカンシエルから生み出された聖なる炎だ。侮るわけにもいくまい。
「まだだ!」
「俺だって!」
互いに中空めがけて剣を振るい、無数の炎を吐き出していく。数を増していく赤い炎竜と、肥大化していく闇竜。それはやがてどちらからともなく形を崩し始め、次の瞬間には互いを取り込み、大規模な爆発を引き起こした。
爆風が俺の全身を叩く。だが、派手な爆発を引き起こした割に、その被害を出した俺たちはほぼ無傷の状態だった。火の粉舞う中で互いを見つけ、その状態を見て舌打ちする。そして、再度剣を突きつけ合って、再びの剣戟が幕を開けた。
「と思ってたのか!」
かと思わせて、俺は翠色に輝くアルカンシエルを宙空めがけて幾度も振るう。風の力を纏ったアルカンシエルは、その刃から暴風じみた威力衝撃波を繰り出してみせた。当たれば、いくら魔王でもただでは行くまい。
「その程度!」
しかし、魔王もまた同じように中空めがけて剣を振るい、風の衝撃波を放つ。俺の攻撃と違う点を上げれば、その衝撃波が一つだけの、巨大なものだったということか。
「はあぁぁぁぁぁっ!!」
裂帛の気合を口からほとばしらせ、魔王はさらに剣を振るう。そのたびに衝撃波が呼応するように肥大化していくそのさまは、さきほどの炎竜を髣髴とさせた。おそらく、魔王は手数よりも一撃の質を重んじているのだろう。だが――
「当たらなけりゃいい話ってこったァ!!」
アルカンシエルを強く握り締め、俺は迫り来る巨大な衝撃波めがけて疾駆する。自滅のためではない、反撃の糸口を見出すために!
「うおおぉぉぉぉぉっ!!!」
咆哮一発、俺は翡翠色に輝くアルカンシエルとともに、かなりの高所にあった謁見の間天井まで一気に跳躍した。言わずもがな、この跳躍力はアルカンシエルの力……厳密に言えば、風の大精霊であるウィンの力によって発揮されている。
巨大な衝撃波は目標を見失うと、そのまま跳ぶ前の俺が背にしていた石柱に激突、柱を粉々に粉砕した。やはりアレだけの大きさ、威力も半端なものではない。しかし所詮はただの「一撃」、恐れるほどのものではない。
そんなことを内心で考えつつ、俺は空中で身を翻して天井に着地、同時にそこを踏み抜き、魔王めがけて突撃をかけた。重力と勢いによって速度にプラスをかけて、俺は魔王めがけて一条の流星となる。
「小癪な!!」
魔王が俺の行動に反応して、その場から飛びのいた。ご丁寧なことに衝撃波も残していってくれたが、そんなものに当たるつもりはさらさらない。
「ふっ!」
アルカンシエルを空中で振るい、自らへと風をたたきつける。その突風によって空中で軌道を変更した俺は、迫る衝撃波を回避した後、玉座の前へと降り立った。振り向けば、先ほどまで俺がいた位置に魔王が立っている。
「次はこっちから行くぞ……ッ!」
ゆるりとした動きから、前方めがけて弾丸のように突進する。風の力によって起こした突風と、足裏で発動させた炎の力の爆発力による勢いのブーストは、さすがの魔王であっても反応を鈍らせた。
瞬間、魔王がクロスして突き出した剣と、俺が振るった剣がぶつかり合う。巨大な火花が立ち上がり、薄闇が晴れてもなお薄暗かった謁見の間を照らしあげた。
「らあぁぁぁぁぁぁっ!!」
そのまま、魔王が防御に用いた剣めがけての、アルカンシエルを使った連撃。闇の宝玉が発する力によってアルカンシエルの刃が不明瞭となり、舞い散る火花の中でその輪郭を闇へと溶かしていく。振るわれる旅にその姿を薄れさせる刃は剣筋を消し、防御を困難なものへと変えた。
「くっ……」
だが、流石に魔王といったところか。剣ではなく、俺が振るう腕の軌道のみで剣筋を見切っているらしく、的確な防御によってアルカンシエルが入り込む隙を与えてくれない。伊達に魔王は名乗っていないということか――!
「ぬぁっ!!」
そんなことを考えた刹那、甲高い衝撃音がこだました。同時に、アルカンシエルの柄の感触が、俺の右手から消え失せる。やられた、弾き飛ばされた!
「――終わりだ」
瞬間、無慈悲な剣戟が俺を縦に切る。
「……終わりの押し売りは――」
その寸前に左のアルカンシエルを滑り込ませて、すんでのところで防御することに成功した。そう、アルカンシエルは一本だけではない!
「お断りだっつの!!」
気合いで魔王の剣を跳ね除け、俺は後ろに跳躍する。同時に剣を振るって閃光を生み、相手の視界を一時的に奪う。
「ぬぐっ……小癪な!!」
魔王がランダムに放つ衝撃波、その内の俺へと向かってきたものだけを叩き落とし、着地。すぐ後ろで床に突き立っていたアルカンシエルの片割れを引き抜いて踵を返し――再び横っ跳びに跳躍した。一時的に視界を奪われたはずの魔王が、俺の元へと剣を突き立てて突っ込んできたからである。
「なんだ、とッ!?」
「貴様の行動など――音で視えるわッ!!」
発言から察するに、奴は俺が衝撃波を落とし、着地し、アルカンシエルを抜きはなった時の「音」だけで俺の居場所を正確に特定し、攻撃を放ってきたらしい。なんつう化け物だ!
加えて、その場しのぎだった目くらましの効果も薄かったらしい。今や魔王はその目を完全に開き、獰猛な光を宿して俺を睨みつけている。
――殺される。
殺気を全身で受け、思わず顔が強張る。だが幸いにも、目は、頭はらしっかりと迫る二つの刃を捉えていた。数泊を置いて激突した黒と虹の剣は、再び眩い火花を散らす。
「ぬぐぐぐ……!!」
今までとは明らかに重みが違う。相手は、この一撃で決める気だ。
じりじりと、剣が押し戻されてくる。化け物じみた腕力に物を言わせて、風をまとっているはずのアルカンシエルをねじ伏せようとするその勢いに、俺の腕力が負けようとしている。
「クハハハハ!神龍の騎士もここまでだな!!貴様如きに防備を固めた我の、なんと見る目が無いことか……」
剣に込める力を全く緩めないままで、魔王が俺を嘲笑う。愉快気に細められていた瞳が、不意にカッと見開かれた。
「我が野望の生贄となれ、神龍の騎士!!」
「ならせっかぁァァ!!」
全力の鍔迫り合い。互いに力を加えられている剣たちが、ギリギリと火花を、刃の欠片を散らしてチラチラと輝く――ここが正念場!!
「――輝けよおぉぉぉぉぉぉォオ!!!」
天めがけて、魔王めがけて、自らを奮い立たせるために、俺は叫ぶ。喉も裂けよと咆哮を上げる!
それに呼応して、アルカンシエルが七色に輝き始めた。同時に俺の両手を優しい光が包み、剣を振るった痛みを、戦いの傷を柔らかく癒していく。
「むっ……!?」
「うおおぉぉぉらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
活力を取り戻した両の手に、剣に、力をみなぎらせる。それと同時にアルカンシエルの輝きも増し始め、魔王と俺を眩く照らし上げた。
明確な焦りを見せた魔王は、アルカンシエルの光に飲まれる直前、ふと微笑んでいた気がする。
***
余波で崩壊した天井の瓦礫が、ばらばらと降り注ぐ。
全力を出し切ったアルカンシエルがスパークを上げている中で、俺は両手の神剣を振り抜いた体勢のまま、立ち尽くしていた。そのままふらりと前へとくずおれ、その場でがくりと膝をつく。
息が荒く、動悸が激しい。傷こそ負ってはいないが、精神状態や体力的に見れば充分に満身創痍と言えるだろう。
「…………だってのに……冗談、キツイぜ?」
そして、息も絶え絶えな俺の前には――天井をぶち抜き、居城であったこの屋敷を踏み潰すほどの、巨大な黒い龍が屹立していた。猛々しい雄叫びをあげる龍と化した魔王が、ぐいと首をたわめて俺を見やる。
「違うな。これは現実だよ、神龍の騎士!貴様が敗北するという現実を、ただ目の前に知らしめたに過ぎん!!」
器用に口を動かして、魔王はあざ笑うように俺へと言葉をぶつけてくる。それに、俺は反論できない。反論する気力も、湧いてこない。
「……我が前に立ったその勇猛さ、評価に値するぞ。だが――終わりだ」
くずおれる俺めがけて、大きく開かれた龍のあぎとが――
こない。
何故?
それとも、痛みもないままに死んだ?
「タクトよう、いつまでそうしてるつもりだ?」
いや、違う。俺は確かに生きている。
でなければ。
「お疲れ様。でも、もう大丈夫!」
でなければ、仲間たちの声が聞こえるはずがない。仲間たちの姿が――各々の得物を、身を以て、大きく開かれた理由のあぎとを食い止めた光景が、見えるはずがない。
「……あなたは一人じゃないわ。だから、もう少しだけ頑張りましょう?」
あぁ。
そうだよな。
「……サンキュ。おかげで疲れも吹っ飛んだ」
アルカンシエルを杖代わりにして、両足にぐっと力を込める。仲間から与えてもらった元気が、俺という存在そのものへと活力を与えてくれた。
「そうだよな……いつまでも、こうしてる場合じゃない」
もう片方のアルカンシエルを拾い上げ、俺はゆっくりと立ち上がる。仲間から与えてもらった期待が、俺を支えてくれた。
「俺が好きだからこの世界を守る……そんなこと、言っちゃったんだ」
魔王戦の前にもまして、瞳には鮮明な景色が映る。仲間から与えてもらった勇気が、俺の心を奮い立たせてくれた。
「わがままくらい――貫き通さないとな!!」
瞬間、アルカンシエルが閃いた。数泊の後、大きな衝撃波が魔龍の顎を捉え、吹き飛ばす。
「むぐぉっ……!?」
魔龍が、のけぞって数歩後ずさる。それを皮切りに仲間たちが後退し、俺の横に並び立った。
よくみれば、みんなボロボロだ。いったいどんな戦闘をしてきたんだろうかと考えて、かぶりを振る。話をするのは、すべて終わってからだ。
「ぐっ……貴様、何故立ち上がる!!」
怒りか焦りか、魔龍が吼える。広間を揺るがすそれを正面から受け止め、そして俺は高らかに宣言した。
「俺は、神龍の騎士!この世界のためなら――俺が愛したこの世界のためなら!それが人々の願いなら!何度だって立ち上がる、何度だってお前に刃を向ける!!」
「そして――この世界を守るために!魔王……お前を討つ!!!」
今回こそは隔週更新をと思っていたらインフルエンザで一週間ダウン…投稿の遅延をお許しください!




