星のメガネ【AI作品】
ミクは百円ショップのパーティグッズ売り場で、それを見つけた。
星の形をしたメガネ。
レンズの周りに、キラキラのラメがついている。フレームは明るいピンク色で、つるの先には小さな星の飾りがついている。
「かわいい!」
ミクは思わず手に取った。
レジでお金を払って、すぐにかけてみた。
「うん、かわいい!」
ミクは大満足だった。
* * *
家に帰ってからも、ミクは星型メガネをかけっぱなしだった。
夕食の時も、お風呂に入る直前まで、ずっとかけている。
「ミク、いつまでそのメガネをかけてるの?」
お母さんが心配そうに言った。
「だってかわいいんだもん!」
「でも、もう3年生なんだから……そんなおもちゃみたいなメガネ、ずっとつけてたら変よ」
「変じゃないもん!」
ミクは少しムッとした。
もう3年生なんだから、もう3年生なんだから……。
お母さんはよくそう言う。
でも、かわいいものが好きなのは悪いことじゃない。ミクはそう思った。
「明日は学校に持っていかないでね」
「はーい」
ミクは返事をした。
* * *
次の日の朝、ミクは昨日のお母さんの言いつけをすっかり忘れて、星型メガネをランドセルに入れて、家を出た。
角を曲がったところで、誰にも見られていないことを確認して、星型メガネをかけた。
「やっぱりかわいい」
車の窓に映る自分を見て、ミクはニコニコした。
その時、向こうから一人のおじいさんが歩いてきた。
大きな荷物を両手に抱えて、よろよろと歩いている。
「大丈夫かな……」
ミクは駆け寄った。
「おじいさん、お手伝いしますよ」
「おお、ありがとう。助かるよ」
おじいさんは嬉しそうに笑った。
ミクは荷物の片方を持って、一緒に歩いた。
「本当にありがとうね。いい子だねえ」
「どういたしまして」
その瞬間、不思議なことが起きた。
おじいさんの周りから、小さな光の粒がこぼれ落ちた。
まるで線香花火みたいに、キラキラと輝く光。
光の粒は、ふわりと宙に舞って、そのまま消えていった。
「え……?」
ミクは目をこすった。
でも、光はもう消えていた。
「気のせい……かな?」
ミクは首をかしげた。
学校に着く前に、ミクは星型メガネを外してランドセルにしまった。
* * *
お昼休み、ミクは学校の裏にあるウサギ小屋に向かった。
ここなら誰もいない。
ミクは星型メガネをかけた。
校舎の窓ガラスに映る自分を見ながら、ポーズを決めた。
「ミク!」
声がして、ミクは振り向いた。
生き物係のユウカが、ウサギ小屋の中で掃除をしていた。
「あ、ユウカ……」
「そのメガネ、かわいいね」
「ありがとう。手伝おうか?」
ミクは決めポーズのまま、自然な感じで申し出た。
「本当? ありがとう!」
ミクはユウカと一緒に、ウサギ小屋の掃除をした。
糞を片付けて、きれいにする。
掃除が終わると、二人でウサギに餌をあげた。
ウサギたちは嬉しそうに餌を食べる。
「ミク、ありがとう! 助かったよ!」
ユウカが笑顔で言った。
その瞬間、また起きた。
ユウカの周りから、線香花火みたいな光の粒が、キラキラとこぼれ落ちた。
「やっぱり……!」
ミクは驚いた。
気のせいじゃなかった。本当に光が見えたんだ。
そして、もっと驚いたことに。
ウサギたちの周りからも、小さなキラキラがこぼれていた。
「ウサギからも……?」
ミクは目を丸くした。
人だけじゃない。動物からもキラキラが見えるんだ。
* * *
学校からの帰り道、ミクは公園に寄り道した。
星型メガネをかけて歩いていると、小さな男の子が転んで泣いていた。
膝に砂がついている。
「どうしたの? 痛かったね」
ミクが声をかけると、男の子は涙をこすった。
「いたい……」
「砂、払ってあげるね」
ミクは優しく膝の砂を払った。
「ほら、もう大丈夫だよ。痛いの痛いの、飛んでいけ」
「ありがとう……」
男の子はニコニコ笑って、また遊び始めた。
そして、また。
男の子の周りから、線香花火のような光がキラキラとこぼれ落ちた。
「やっぱり」
ミクは優しい気持ちになった。
このメガネがあれば、誰かを助けた時のキラキラが見える。
それが嬉しくて、ミクは星型メガネを大切に持って、家に帰った。
* * *
家に帰ると、お母さんが夕食の準備をしていた。
「おかえり、ミク」
「ただいま」
ミクは星型メガネをかけたまま、お母さんを見た。
そして、ふと思った。
お母さんは、いつもミクのために料理を作ってくれる。
朝早く起きて、お弁当を作ってくれる。
洗濯も、掃除も、全部やってくれる。
それなのに、ミクは「ありがとう」って、ちゃんと言ったことがあっただろうか。
「お母さん」
「なあに?」
「いつも、ありがとう」
お母さんは少し驚いた顔をした。
「え? 急にどうしたの?」
「ううん、ちゃんと言いたかったの。いつもありがとう、お母さん」
その瞬間、お母さんの周りから、たくさんの光がこぼれ落ちた。
線香花火のように、キラキラと輝く光。
今までで一番たくさんの光だった。
「お母さん、このメガネ、すごいんだよ!」
ミクは興奮して、星型メガネを外した。
「かけてみて!」
お母さんは少し戸惑いながらも、星型メガネをかけた。
「あのね、このメガネをかけると、キラキラが見えるの」
「キラキラ?」
「うん。誰かを助けたり、親切にしたりすると、その人からキラキラした光がこぼれるの。線香花火みたいに」
ミクは話し始めた。
朝、おじいさんの荷物を持ったこと。
お昼休み、ユウカのウサギ小屋の掃除を手伝ったこと。
そして、ウサギたちからもキラキラがこぼれたこと。
公園で、男の子の膝の砂を払ってあげたこと。
そのたびにキラキラが見えたこと。
お母さんは優しく笑って、ミクを見た。
そして、静かに言った。
「本当だ……私にもキラキラが見えるよ」
「え?」
「ミクから、キラキラがこぼれてる」
お母さんの目には、涙が少し浮かんでいた。
「ありがとう、ミク。優しい子に育ってくれて、お母さん嬉しいよ」
ミクも嬉しくなって、お母さんに抱きついた。
二人の周りを、たくさんのキラキラが舞っていた。
線香花火のように、温かく、優しく、輝いていた。
* * *
おしまい




