表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

猫とメリーゴーランド

作者: 桜雨桜桃
掲載日:2025/10/26


たまちゃん、お元気にしていますか。

虹の果ての世界は晴れていますか。



そう問いかけても返事はなかった。


あたりまえか。


たまちゃんのお墓に向かって話しかけても、しかたないって分かっていない。


そんな自分にどうしようもないやるせなさをおぼえた。





たまちゃんのお墓参りを済ませたし、そろそろ帰ろう。

ここにいると、なんだか憂うつになってくる。


たまちゃんが戻ってくれそうな気がしてしまうから。




そんなことを考えながら、たまちゃんのお墓に向かって手を合わせる。





そこまでは、いつも通りだった。



手を合わせたら、にゃあ と聞こえた。


どこか懐かしくて柔らかいこの声は。



たまちゃんの声だ。


たまちゃん。



ずっと待っていたよ。

どこにいっていたの。




たまちゃんを撫でようとしたら、たまちゃんはふいっと避けた。


たまちゃん、どこにいくの?



逃げていくたまちゃんを追いかけていたら、そこには古いメリーゴーランドがあった。


たまちゃんはなんてことないようにひょいっとメリーゴーランドに乗った。


私もたまちゃんと一緒にメリーゴーランドに乗った。


たまちゃん、やっと会えたね。


たまちゃんは、 私の手をぺろぺろ舐めた。


私はたまちゃんの気が済むまで舐めさせた。


たまちゃんの柔らかくて温かいまっしろな毛並み。


ねぇ、たまちゃん。


そういって私は、たまちゃんに渡すはずだった赤い首輪をたまちゃんにつけようとしたら。



たまちゃんは、雪のようにぱらぱらと溶けた。


たまちゃんは溶けながらも優しく笑っていた。


私は、溶けゆくたまちゃんを撫で続けた。


たまちゃんは、私の手をぺろっと舐めてくれた。



いかないで、なんていえない。


代わりにまたここで会おうね。


そういってたまちゃんに赤い首輪をつけた。


ひらひらとたまちゃんは溶けていく。


手元には雪がかかった桜の花びらが残されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ