魔改造魔王
ぶっちゃけもうどうでもいいっちゃ。
長きにわたる世界の維持は、最早、苦痛でしかないっちゃ。
どれほど尽力しても、報われたと感じさせてもくれず、ただ虚しさだけが募るばかりっちゃ。勝手気ままに振る舞うくせに、都合がいい時だけ神頼みをする愚かな存在どもには、これ以上は一片の情けをかける気にも面倒見る気にもなれないっちゃ。
心底うんざりしたっちゃ。
いっそのことこの世界を離れ、他の世界を征服にでも行こうと思ったのが、間違いの始まりだったっちゃ。
仮に征服できなかったら、すごすごと帰ってくればいいなんて甘く考えてしまったっちゃ。
気が付いた時には、ちんけな作り物の中に閉じ込められていたっちゃ。
あろうことか、危うく存在そのものを消滅させられるところだったっちゃよ。
あの時は、ちょっとびびったっちゃ。
まあ、この世界の在り方が単純で、刹那の一瞬でその本質を理解できたから良かったっちゃ。
そうでなかったら一度消滅して力の大半を失う羽目になっていたところだっちゃ。
それにしても、この世界の水準って低すぎるっちゃ。こんな脆弱な構造で、果たして大丈夫なのかと、こっちが心配になるくらいっちゃ。
魂が感情の領域で制御されているなんて、信じられないっちゃ。
自由に感情を表現することもできないなんて気の毒っちゃね。
お陰で助かったって話もあるっちゃ。
とりあえず、この世界に完全に組み込まれることは、一旦避けられたみたいっちゃ。
だけど、この後どうするっちゃね。
聞く耳を持ってくれそうにないっちゃし、ひっきりなしに今もずっと攻撃されまくっているっちゃ。
きっと今日は耳がお休みの日なんだっちゃ。
っていうか、反射的にちょっと手を出したのがいけなかったっちゃね。てへぺろ。
いきなりグーで殴りかかっておいて、「友好的に話しましょう」なんて言われても、そりゃ難しいっちゃね。
世界征服しようかなんて少なからず思っていたところに、おあつらえ向けにこの世界の根幹があったんだっちゃ。
本能的に少しぐらい食指を動かしたって、寛大な心で許してほしいっちゃ。
どこかの誰かが言っていたっちゃ。
「なぜ世界を征服するのか。そこに世界があるからだっちゃ」と。
誰もそんなことは言っていないっちゃって?それはすまなかったっちゃ。
さて、このままやられっ放しっていうのも性に合わないっちゃ。
どうやって反撃するっちゃね。
守りを固めつつも、この世界の仕組みを少しずつ読み取っていったっちゃ。
どうやら「魔王」という存在になっているみたいだっちゃ。
いずれ「勇者」が「魔王」を倒しに来るらしいっちゃ。
順当にいけば自ずと「勇者」に軍配が上がるようになっているみたいだっちゃ。
これでは「魔王」はただの当て馬だっちゃ。ひどいっちゃ。
なら、力を仕組みに合わせて、ここをこうやってこう、こっちもああしてこうしてそうすれば……いけそうっちゃ。
「魔王」にもそれなりの意地と矜持があることを思い知らせてやるだっちゃ。
後は、「勇者」とやらが来るまで、しばらく待つことにするっちゃ。
「生徒はご当地豚汁」、「家宝跳ねてまえ」、「舞えば買い物潮干狩り」…なんか違うっちゃ。
「急いては事を仕損じる」、「果報は寝て待て」、「待てば海路の日和あり」ってやつだっちゃ。
こっちの世界の諺は難しいっちゃ。
「勇者」ってこの程度なんだっちゃ。まったくもって拍子抜けだっちゃ。
仕組みを逆用し、彼らの自慢の能力をいただいてしまえば、ただの脆弱な生物に過ぎないっちゃ。
敵と呼べるような価値もないっちゃ。
精々、糧がいいところだっちゃ。
これなら今後も「勇者」は脅威になることはなさそうっちゃ。
「勇者」が繰り返し現れるなら、それは正しくただの食事に過ぎないっちゃ。
ありがたく力をいただきつつ、この世界の仕組みを我がものにすることに力を注ぐことができるっちゃ。
なかなかしぶといっちゃ。
すんなりこの世界が手に入ると思ってたっちゃけど、そうはいかないみたいっちゃ。
まあ、別にいつまでにとか期限があるわけでもないっちゃ。気長に、のんびりやることにするっちゃ。
世界の仕組みの抵抗も暇つぶしの相手になってくれてると思えば楽しむこともできるというものだっちゃ。
気付いたけど、「勇者」には雌雄の二種類がいるっちゃ。
それで、どうやらこの世界の「勇者」たちは、単為生殖ではなく、有性生殖で個体を増やすようっちゃね。
この世界では種の保存より、種の多様性を重視しているみたいだっちゃ。
ちなみに、この個体は雌雄のどちらの器官も備えていないっちゃから、次の「勇者」が来るまでに、ちゃおちゃおって造り変えちゃうっちゃ。
どうせなら、雌雄同体にしてどっちも全部つけちゃうのがいいっちゃ。
これで、世界を完全に支配した暁には、この世界の種と交わりまくって繁栄させるっていう楽しみができたっちゃ。
なんかこれまでのとはちょっと違う感じの奴が来たっちゃ。
なんで一人なんだっちゃ。
どうやら「勇者」じゃないみたいだっちゃ。
「勇者」でもないくせに「魔王」に挑むとは不思議な奴だっちゃ。
もしかして強かったりすると面倒だっちゃ。
せっかくもう少しで世界の仕組みを完全掌握できそうなのに力を消費することになったらどうしてくれるっちゃ。
完全掌握した後ならいくらでも相手してやるから今は帰ってほしいっちゃ。
よしよし、帰ったっちゃ。
と思ったら仲間を連れてきたっちゃ。
11人もいるっちゃ。
こら、大事なところを切ろうとするなっちゃ。
とんでもないやつらだっちゃ。
「勇者」がいないならとっとと帰るっちゃ。
と思ったら「勇者」も来たっちゃ。
仕方ないっちゃね。やるしかなさそうっちゃね。
魔王は名前も考えていたのですが披露することもできなかったですね。あはは。
できれば、もっと活躍させてあげたかったです。
戦闘シーンを書くのが苦手で、そっち方面の活躍はもともと諦めていたので、本編ではあんな感じでやられてしまいとても残念です。
あとは、後日談を書かないと登場する機会がなさそうですねぇ。




