表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
序章:異世界コミュニケーション
4/389

悠久のドラゴンは世間知らず?

前回のあらすじ

自称17歳の年齢とオタク知識を手に入れたドラゴンは、ケタが転生したら迎えに行く約束をしました。

まだまだ異世界知識に興味深々です。

 ……解せぬ。


 また「このドラゴン使えない」を頂きました。他のドラゴンの事を知らなすぎって言われても、ちゃんと答えたのにそりゃないよ。


「他のドラゴンの種類を、全く知らないなんてあり得ないよー」

『いや、だから知ってるって言ってる!聞こえてる?耳がおかしいのかな?それとも頭?』


 僕はちゃんと説明したのに、言いがかりだよね!


「あのさぁ『弱い』『凄く弱い』『そういやいたな』しか回答貰ってないんだけどー?」

『だって、僕より下位の存在を、詳しく知っても意味ないよね?だいたい合ってるタグは付けれるよ?』


 記憶なんてそんなもんだ。種類を覚えてどうするんだろう?そもそも僕を見かけたら皆逃げるしさ。


「同格の存在だって全然覚えてないじゃんー!赤、青、緑、白、黒、銀って色しか覚えてないじゃんかよーーー!」

『それだけ覚えてればOK。凄く強い。以上』


 彼らも僕のことを金としか認識していないと思うよ?


「小並感かよー!はぁぁぁーこのドラゴンマジ使えないー!」

『ん?喧嘩売ってんの?』


 だいたいこんな感じで、いつも「使えない」と連呼されてちょっぴり傷ついている。ま、実は僕も使えないと思わなくはないけど悔しいから絶対に認めない。

 言い訳させて貰うと、今まではその情報で十分だったんだ。だけど、ケタから色々ゲームの事とか教えて貰った後では「この攻略Wiki使えねぇな」とは思う。


(……絶対言わないけど)


「ドラゴン以外の魔獣の情報何か無いのー?」

『たくさんいるよ。とてもいっぱい』

「はぁ……このドラゴン……」


 あ、また死体蹴りする気!?僕は慌てて言葉を被せて強制キャンセルする。


『おっと!それ以上はダメだ!もうワドのライフは0よ!これ以上の死体蹴りはダメ。良くない』

「マジ使えねぇぇぇぇぇぇええーーー!」


 悔しいから、イメージを大量に【伝心】(    )した。もう要らないって泣きが入るまで延々と。たった10日程度で根を上げるなんて根性ないね。


「ワドからみたら、小さすぎて蟻の細かい種類ぐらいの認識、でしかない事は分かったよー」

『わかればいいのよ。えっへん。僕、悪くない。残念残念』

「いやー、ドヤれる要素は全くないけどー?」


 他の生物とはサイズ感が全く違うし、僕が近寄ったら逃げるから遠くからしか見た事無いし。食べた魔獣も凄くまずかったやつは覚えているけど、それ以外はあんまり覚えていない。


「食べた事のある魔獣も、硬い、ぬるっとしてる、不味い、普通っていくらなんでも大雑把すぎるー」

『味の伝心は難しいんだよ。細かい違いを伝えるのはとても難しい』

「まぁ僕も伝えるの苦労したから分かるよー」


 食べ物に関してはお互い苦労している。なかなか正確にイメージできないから。

 この間もかなり難航したな。


『甘いのは新感覚。異世界の他のスイーツをもっと教えて』

「あー、どこまで説明したっけー?」

『前回は屋台のタイ焼き、今川焼。ベビーカステラまでだね』


 僕はタイ焼きが好みだったね。尻尾のカリっとした食感がいいんだ。


「そうだったねー。じゃあ綿菓子、りんご飴、かき氷から再開するかー」

『楽しみ!』


 おぉう。衝撃的だった。とても冷たくて頭がキーンとする新感覚。

 異世界のスイーツに出会って、甘味というのを初体験した。その辺の魔獣を、生でしか食べた事がなかったので、本当に衝撃だった。

 ケタに何度も頼んで味を【伝心】(    )で読み取らせて貰っているけど、イメージの集中が雑だと味が再現できないから何度もやり直しさせている。

 お願いしまくっていたら「甘味は1日3個まで!」と言われてしまった。正確に細かくイメージするだけなのにケチだな。


 【伝心】(    )は思考や視覚、聴覚情報は比較的簡単に伝えられる。だが味覚、嗅覚、触覚は結構難しい。イメージで正確に味、香り、食感を全て同時に再現しなければならない。

 ケタが言うには「かき氷のイチゴ味だけでも完全にイメージするのは凄く大変」だと言う。

 ちょっとでも雑なイメージになると無味無臭の食感無しになってしまうんだ。なので、かき氷だけでも数十回やり直してもらったけど。


「せめてさー、同格のドラゴンの居場所とか覚えてないのー?」

『最後にあったのが1000年以上前だから……ちょっとうろ覚え。あと用事も無いから探すの面倒だし』


 皆は変わった所に住んでいるんだよなぁ。


「そこは頑張って見ようとか思わないのー?」

『そんな事より新しいスイーツが知りたい』

「はぁー……このドラゴンマジ……」


 取り決めで教えた分だけ教えあうと決めていて、数は同じなのにこちらからの情報の質部分に、ケタは全然納得していないみたいだった。


 どこに住んでいるかには「だいたい北」「どっかの火山」ぐらいしか回答できていない。数回しか会って無いし、最後に会ったのは1000年ぐらい前に白と空でばったり会っただけだ。

 その前となると人類がいなかったから、4000年以上前だと思う。覚えていなくても仕方ないよね?


(……僕、悪くない)


 あと、さっき「このドラゴンマジゴミ」って言いかけていたよね。最近扱いが雑になってきた気がする。

 最初は目をキラキラさせて色々質問してきたのに、今は尊敬とか何も無くなった感じがする。

 いやきっと気のせい。仲良くなったから遠慮が無くなっただけでしょ。多分。


「アンデッド、何もいないの?マジでー?」

『そりゃいないでしょ。JKだよ?』

「いやいや、ワドが知らないだけなんじゃ……」


 吸血する人はいるかもだけど、死体が動くのはあり得ないでしょ?ゾンビ映画の見過ぎだよ。

 生命力が枯渇するとマナが尽きる訳だし。常識的に考えてありえない。


 魔獣に関する質問も、マナの説明に苦労した。動物にもマナは存在するが、ある一定以上のマナ濃度を保有する動物が魔獣と呼ばれている。マナは大気中含めあらゆる物質に存在する。むしろマナが枯渇すると、存在が消滅するんだ。


 で、「マナって何?」と聞かれても正直困る。なんとなく当たり前の事って、知らない相手に詳しく説明するのは難しいの。逆に「電気って何?」って質問返したらケタもしどろもどろになっていた。

 最後には「電気は電気だよ!」って逆ギレされた。


(ぷぷぷ、ブーメラン決めたったよ!ざまぁw)


 ケタが「言葉遣いが悪くてドラゴンっぽくない」とかほざいている。残念でした、僕の口調はケタをマネているのでそれもブーメランですし。

 まぁ語尾を伸ばすのをマネたら、「マジやめれ」と言っていたので、それは勘弁してあげた。



 だんだん僕を見る目が、ゴミを見るような目になっている。



(気のせいかな?……気のせいだよね?ね?)

ついに無知な事がケタにバレ始めました。

特に食事を必要としないドラゴンは、これまで食に興味がありませんでした。ですが、異世界スイーツを知ってからは、スイーツ(笑)になってしまいました。


この時点でのオタク知識習熟度:★★★☆☆

にわかドラゴン ☞ スイーツドラゴン(笑)


次回は「異世界インストール中」です。


※色でのキャラ呼称の補足

本作の最高位ドラゴンの7柱は色で呼ばれています。

金、銀、白、黒、赤、緑、青、となります。

特にドラゴン達は敬称も付けずに色で呼び合っているので、唐突に色だけの呼称で出てくる事もあります。

分かりづらくて申し訳ないです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元毛玉作品集
新着順最近投稿されたものから順に表示されます。
総合評価順人気の高い順に表示されます。
ドラ探シリーズ「ドラゴンの人生探求」の関連作品をまとめたものです。
本日の樽生ラインナップ樽酒 麦生の短編集です。
セブンスカイズ
代表作。全25話。
なろう執筆はじめました!なろう初心者作家向けのエッセイです。
― 新着の感想 ―
ワドさんは恐らくクラスメイトを憶えるのが苦手なタイプですね。 魔獣ってイメージですが、美味しくなさそうですね。ただ、現実世界でも見た目は美味しくなさそうでも、美味しいものはあるので料理の腕次第でしょ…
ドラゴンの記憶力は、結構大雑把なのですね(*´ω`*) 他のドラゴンと会う日を楽しみにしてますね♪
 ワドさんが、どんどん威厳を失っていくW  ドラゴンへの印象が、「いっぱい」で可愛いなってなりました。  後書きで補足説明入れるのも、勉強になりました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ