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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
序章:異世界コミュニケーション
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異世界からの来訪者は意識体

前回のあらすじ

名前とあだ名を得たドラゴンは、他の異世界知識にも興味津々です。

 陽が昇って沈むのを13回繰り返す間、語り合って、1回休みを設けるのを繰り返す。

 休みと言ってもオタク文化の雑談をしていた。

 その一連の流れを10回程繰り返しただろうか?

 最近は雪がちらつくようになっている。

 ケタは現在、【意識体】(     )という状態だと聞いた。


「いやぁ……僕は意識体だから、飲まず食わずでも大丈夫だけどさー」

『僕もほとんど動いてないから、周囲のマナだけで大丈夫。なぜ休憩が必要?』


 やたら休憩を要求してくる。不要なのに。


「いやいやいや、13日間徹夜&ノンストップっておかしいからー!」

『あれ?意識体は食事も排泄も睡眠も不要だろう?』

「だけどー、必要だった頃の記憶の名残がー」


 いつ神から転生の連絡が来るのか分からないから、できるだけ早く異世界の事を聞きたいのに「ブラック反対!」とか意味不明。


『それは以前教えてもらった「病は気から」ではないか?もしくはプラシーボ効果か?』

「どうでもいいけどワドってこの世界の知識無いのに無駄に日本知識だけ増えたよねー!」

『だってこの世界の人と知り合いがいないから仕方なくない?いじわるしないでよ』


 僕の人の知識については、ソースの99%がケタだから仕方ないじゃないか。


「いじわるじゃないー!正当な人権を!」

『まぁまだ休みの日まで2日もあるじゃないか。落ち着いて行こうよ!』


 僕はジェスチャー込みで、有名でお気に入りのネットスラングネタを披露したらケタが憤慨している。


「あーー、もうちょいちょい挟む小ネタにイラっとするなー!教えたの大失敗ー!」

『ケタが教えたんだから、ブーメランだよね?』


 ケタは日本の漫画・ゲーム・アニメの事を色々と教えてくれたんだ。どうやら趣味らしい。

 この世界の【伝心】(    )は日本の異世界物では【念話】(    )に相当するらしいと知った。


 だが、詳しく話を聞くと、僕らの【伝心】(    )の方が上位互換だと分かってくる。

 思念だけでは無く、難しいが【伝心】(    )は五感の全てを共有する事も可能だ。


 【伝心】(    )での視覚・聴覚のイメージ共有は簡単なので、映像付きで教えて貰っている。

 特にバスケットボールのアニメがお気に入り。足音が「キュッ、キュッ」って聞こえるのが新鮮だったな。こんな足音は初めて聞いたよ。


 TVを初めてイメージ共有した時、薄い板の後ろはどうなっているのか中に入っているのかと質問したら、爆笑してとてもバカにされたのは、【絶許案件】(      )だよ?絶対忘れない。


「じゃあー、やっぱエルフとかドワーフはいないかなー?」

『わからない。小さいからちょっとした違いなんて気にしないし』


 ケタから世界についての質問を幾つもされたが、人の世界は正直わからない。「小さいのが群れている」と思っていただけで、今まで特に気にした事も無かったな。

 映像も共有してもらったけど、そんな耳がちょっと長いとか、背が低くて髭が濃いとか小さい事は気にした事も無かったので「記憶に御座いません」というのが本音。


「それにしても魔法が無いなんて異世界失格だと思うんだけどー、ワドは知らないのー?」

『少なくとも僕は見た事がない。詠唱も魔法陣も無い。僕らのような上位の存在は、マナを使って自然現象を起こす事はできる』

「可能性はあるかも?ってことだよねー?人の世界でマナを研究すればいけるかなー?」


 ケタは魔法の存在にご執心だったよ。確かに見せて貰ったアニメにも魔法があって、ちょっと格好良いと思ってしまったな。

 人の世界はあまり詳しくないけど、戦争を眺めて居た時にも、そんな現象は確認できなかったと思う。

 格が高い魔獣などは、その種族の能力でマナを変換して火を吐いたりする。人でそれを成しているのは見ていた限りでは無い。


『うーん、まぁ「生活魔法」だとかは僕が認識できていないだけで存在するのかも?』

「このドラゴン使えないなー」

『ん?何か言ったかな?もう一度言ってみ?』

「ご、ごめんなさい」


 最近はちょいちょい毒吐くようになってきたので、ひんやりと威圧しておく。

 それにしても【意識体】(     )という状態はかなり不思議な存在だった。存在しているのかも不明なくらい曖昧な存在なのに、マナを感知する事はできるらしい。


『マナの濃い所から動けない?』

「そう。薄い所は無理みたいー。だから君の側から動けないんだよー。本当は見て回りたいよ……」


 つまり、この世界を旅して回りたいという事かな。


『意識体はここにいつまでいられる?』

「それは神様次第かなー。僕の魂の器が見つかったら迎えに来るって言われてるよー」


 話をまとめると、神が転生にふさわしい器を見つけるまでの繋ぎとして、意識体になっているという状態らしい。

 意識体はマナが濃い所で無いと存在を保つことができないらしく、僕の周囲はとてもマナが濃いし、それでここに飛ばされた……と。

 ケタのことを知り、人について詳しくなるにつれて、旅には僕も強い興味を持っている。


『転生したらすぐに迎えに行くよ!』

「うーん、迎えに来てくれるのは嬉しいけど、すぐは無理かなー」


 すぐは無理?

 旅に出たいのでは無いのか?


『どうして?』

「赤ん坊の時にドラゴンが来ても困るしー。あと転生すると記憶を失うって聞いてるよー」


 どうやら神から記憶を失うと聞いているようだ。だけど、完全に記憶を絶たれる訳では無いらしいから、呼び水があれば思い出せるとの事。

 それに、人の世界を知る為の最低限の期間として7~8年は欲しいとの事だ。

 そうそう、年月や月日の概念も教えて貰ったよ。随分と細かく管理するんだなと感心している。それに今まで特に意識した事が無かったので、僕の感覚はかなりアバウトだと言う。


「ひと眠りで、3~4年なんだよねー?」

『そう。季節がだいたい3~4巡している』


 僕はひと眠りすると季節が最低でも3~4巡する。だが、睡眠は不要だ。だからどうしても暇な時に寝ている。


「オリンピック周期かよー!って思った。年寄りは睡眠時間短くなるはずなんだけどなー」

『あ?誰が年寄りだって?失礼だよ。僕はドラゴンだけど17歳なの~』

「ってネタがうざいー!話が進まないー!」


 また怒られた。


 だいたい年齢わかんないんだし仕方ないよね。季節の周期で考えると人が生まれてから4000年ぐらいだと思うんだけど、それの倍以上は生きていると思う。

 だけど正確な年齢はわからないんだ。生まれた頃の記憶はあやふやだし。昔過ぎて時間の間隔が曖昧だし。それを伝えたら【17歳教】(      )を教えてくれたのはケタなのに、それを使うと「うざい」と言うのは酷いと思う。


(でも、いつもツッコミ忘れないケタは好きだよ?)


 意識体でいられる期間はいつ終わるか分からないけど、魂を探すのに恐らく3~4年はかかるから、ひと眠りして探せばちょうど良いタイミングだと思う。

 でも、この時にちょっと考えが足りなかったから後で困ったんだよね。でもケタは約束を忘れるはずだから言わなければセーフ?かな?



(……だよね?)

着々とオタク知識に汚染されていく、ドラゴン。

年齢は自称17歳になってしまいましたw


この時点でのオタク知識習熟度:★★☆☆☆

ネームドドラゴン ☞ にわかドラゴン


次回は「悠久のドラゴンは世間知らず?」です。

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順調にふたりは仲良くなっているようですが、となると別れが淋しいですね。転生したらすぐに迎えに行くといっても時間はあるでしょうし……でも一眠り3,4年なら誤差みたいなものでしょうか。この辺の感覚の違いは…
順調に、オタクドラゴンへの道を歩んでいますね(*´ω`*) だけど、器が見つかってしまったら、お別れの時が来てしまうのでしょうか? 続きが楽しみです(*´ω`*)
 ワドくん、話し方変わりすぎて、一回戻って確認してしまいました。  最後が少し不穏ですね。  次回も楽しみです。
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