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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
さぁ…観光へ、ようこそ!
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観光省の躍進

前回のあらすじ

リベラ達と王都復興のお祭りを楽しんだワド。

そして、アルの部屋の前に新たなプレゼントを積み上げました。

「そ、そんなに大勢いるの?」


 楽しいお祭りから明けて、数日が経った頃。新たな問題が浮上してきた。

 帝国からの亡命者の中には、多くの間者が紛れ込んでいるとの報告をルクルから受けたとこ。


(なるほどな、それで質問を変えたのか)


 以前にカービル帝国を接収した際の質問の『軍事機密を知っているか?』『ワールドン王国の機密に興味あるか?』ではもう炙り出せなくなっていた。

 そこで『日常の報告義務はあるか?』に質問を変えた所、わんさか出てきたって訳。でも、事情を知らずに利用されているっぽいので可哀想だと僕は思った。


「ルクル、利用されているだけの人には穏便にね」

「分かってるよー。それよりも厄介なのは、どうやら伝心の事がドウエン将軍にバレたっぽいって事ー」


 薬がピンポイントで狙われた事からも怪しいとは思ったけど、事情を知らない平民が知らず知らずの内に間者をさせられている。

 これは【伝心】(    )がバレた事を意味する。

 次の警戒をしつつ、様子見という事になったよ。


「んで、ザグエリ王国の民衆から、僕への非難が強くなったのはなんで?またプロパガンダなの?」

「違うよー。そっちはカービル帝国の亡命者を受け入れた事に対する不満だよー」


 ザグエリ民衆からの非難も強まっているんだ。

 別の問題だと思っていたけど、関連しているとルクルが説明してくれた。

 どうして受け入れられるのに、ザグエリ王国の亡命者は返したのかという逆恨みが発生しているとの事。

 そんな事を言われても困ると思いつつ、開発状況への話題に移る。


「飛行船の開発は順調?」

「あぁ、ボンは凄いよー」


 どうやらボンが大活躍しているそうだ。

 年内には運用まで行けそうだと言っている。後で差し入れにいってあげようかな?

 そっちの仕事も忙しいけど、線路と新駅のお仕事も大変だ。

 まだメイジー王国までは敷設できていない。

 だけど、ザグエリ王国側と、カービル帝国側には1駅ずつ新設できたんだ。


 新駅の状況はこちら。

─────────────────────

・ウメキタ駅(旧:ザグエリ王国のトンボリ領)

・ロイズタウン駅(旧:カービル帝国のカイドウ領)

─────────────────────


 ウメキタ駅はトンボリ川を渡った所に新設したよ。

 僕の住処だった洞窟から東にいった所にある川だ。

 そこに関しては、ルクルから「ワドから聞いてた川と違う、こんなの全然小さくないよー」と、約2.5kmのトンボリ川の川幅にご立腹だった。水深も15mは深すぎるんだとさ。

 でも、僕の国に来てくれたラザがいるからね。

 ラザの協力のおかげで高架線路が楽に敷設できたって訳。

 で、問題なく開通したのに嫌味を言われている。


「こんな高架線路の大事業になると思わなかったよー。マジでテキトー情報はやめてくれるー?」

「でもでも、伝心で見せてもらったアマゾン川より全然狭いよ?」

「そりゃーアマゾン川と比べたら、どんな川だって小さな川になるだろー!」


(僕的には、小さな川だと思うんだけどなぁ)


 そんなルクルのカスハラじみた苦情は華麗にスルーして、当日は開通式のテープカットを行ったよ。

 これから新しい町として少しずつ発展していくのだろうと思う。今は倉庫住居を幾つも用意した程度なんだけどね。


 ちなみにザグエリ民衆の不満を低減する為、開通から1年間はザグエリ国民を乗車無料にしておいた。

 迷惑行為をしなかった人限定で、キャッシュバックキャンペーンも実施したんだよ。

 2割のキャッシュバックと、2割相当の食料品のプレゼント。それから次回訪問時に使える1割の割引券だ。なので実質5割なのだよ!(ドヤァ!)


 でも、食料品については生産量を押し上げたし、見た目も不格好なのをお裾分けしているだけだしね。

 それに、迷惑行為にはゴミ放置や汚した事も含むようにしているので、貸与した掃除道具で彼らは勝手に清掃してくれるって感じ。

 次回訪問時の割引券は、有効期限が約4週間なんだ。その期間内に再訪できる平民はかなり限られるので、実質配って無いのとあんまり大差ないの。

 なので実質2割の値引きで、5割得した気分を提供しているんだよ!(ドヤァ)

 って事で賑わっている新王都を視察にきたとこ。


「あ、ワールドン様!視察でしょうか?」

「うん、お疲れポポロ。問題は起こってない?」

「はい!彼ら同士が治安維持に貢献してますし、清掃におけるコストも激減しています。凄い施策ですよね!流石は鬼畜ルクル様!」


 今日はエリーゼだから良かったけど、リゼの前でルクルの悪口を言ったら大変だよ?

 ポポロは少し発言に気を付けて欲しいかな?

 でも、ちょうど良かったので、ポポロと一緒に回る事にした。


「今は水産省とかけもちだよね?どう?観光省の方は?」

「今は競艇ブームが来てますよ!伝心アニメの宣伝効果のおかげで売り上げが何と10倍です!」


 ガトーに賭博施設に関連するアニメを求められたから、帯をギュッとしそうな競艇アニメを布教しておいた。

 結果はかなり上々のようだね。

 暫くお喋りしながら歩いていると、一際目立つ喧噪の人垣が見える。


(なんだろうあれ?)


「あ!ワールドン様だ!」

「ほんとだ!こんにちは!」

「「「こんにちは!」」」

「コビス、プッカ、それから皆もこんにちは。んで、これ何の騒ぎなのリッツ?」


 僕が問うと「聞いてよワールドン様」とちょっと呆れ気味にリッツが説明し始める。

 どうやら騒ぎの中心では、賭け事で盛り上がっていて、カルカンと勇者パーティーが関わっているようだ。


(ふむふむ、賭け事?カルカン?)


 僕は道をあけて貰い、騒ぎの中心へと降り立った。

 明らかに動揺するノワール君。

 ちょっとバツが悪そうなレオ。

 寡黙なフリして素知らぬ顔を決め込むルヴァン。

 僕に気づかずに盛り上がっているKY。

 そのKYにセクハラを続ける変態ピコラ。


 状況があまりに分からな過ぎたので、近くにいた人に質問してこれまでを【伝心】(    )で読み取ってみた。


ーーー新王都街角での賭博行為疑惑?VTRーーー

「さぁさぁ、皆さん張った張った!どっちの手に何個マナ石があるか当てるだけの簡単な賭けだぜ!」

「カルカンさんの的中率を超えれる人はでますかねぇー、挑戦者がいますかねぇ?」


 青色の無造作ショートの髪型の男と、黒色の短めセンターパートの男が何やら煽っている。

 そこに「俺も」「俺も」と賭けに乗っかるヤジ馬達と、何やら得意げなプルシャンブルーの猫魔族。


「私に勝ったら、ピコラ氏が一晩お泊りで遊びに行く特典があるのにゃ!」

「カルカンさんがNTR属性なら、受け入れるわ!」


 興奮する男の野次馬達と、ドン引きの女の野次馬の対比が印象的だ。

 ピンク色のポニーテールのピコラという女性が、夜のお相手をしてくれるらしい。ザグエリに戻った時の土産話の一つとして私も一口乗る事にする。


「……いざ尋常に勝負!」


 紅緋色のメンズハーフアップの黒ずくめの男が、マナ石を無造作に7個上に放り投げたと思ったら、落下時に左右の手を高速交差させて、どちらで何個取ったのか全く見えなかった。


(右の方が少し多かったか?いや左かも?)


 私が迷っていると、さらに青色の髪の男が煽ってくる。


「さぁ張った張った!ピコラみたいないい女と一晩過ごせるなんて滅多にないぜ!」


 盛り上がる野次馬男衆。

 1番人気は左3個の右4個のようだ。私も1番人気に賭けてみる。

 なけなしの軍資金である50カロリを財布から出した。


「おぉ、いっぱい挑戦者がいますねぇ~。あ、ちなみにカルカンさんはなんに賭けるので?」

「私は左が7個に全額ベットにゃ!」


 黒髪男の問いに左に全部と応じる猫魔族。

 どよめきが起こる。どう考えても右の方が多く見えた。その予想を聞いて賭けに参加する人が爆発的に増える。


「じゃあ締め切るぜ!ルヴァン、正解を!」

「……左7個、右0個」


(すげぇ!)


 ハーフアップの男の早業に野次馬は大興奮だった。

ーーー新王都街角での賭博行為疑惑?ENDーーー


 めっちゃ八百長!カルカンはマナ心眼で、手越しにマナ石を見ているはずだよ!これ詐欺じゃん!

 それにピコラが一晩お泊りって何!?これは厳重注意が必要だよ!風紀が乱れるのはダメなんだから!


「カルカン!これはどういうことなの?」


 僕は腰に手を当て胸を張って、カルカンを問い詰める。

 するとこちらを見たカルカンは顔面蒼白になった。

 僕というより僕の右斜め後ろ辺りを見て。


「わ、わわ、ワールドン様。これは賭け事じゃないのにゃ。私は全部見えてるから賭けじゃないのにゃ。トスィーテには秘密にして欲しいにゃ」

「カルカン、僕の目を見て言おうね?」


 カルカンが僕の方を向き直る前に、彼の視線の主は高速移動して、背後からむんずと頭を掴み持ち上げた。


「ワールドン様の目を見てお話しないなんて不敬ですわ!カルカン、教育のお時間ですわ!」

「……はいにゃー……ワールドン様、私のお墓にはビールと芋焼酎をお供えして欲しいのにゃ」


 これからエリーゼの特別特訓だっていうのに、もう終わった後のお酒の心配?気が早いよカルカン。

 それはそうと、レオ達にもお説教が必要だよ。


「んで、女の子を一晩お泊りにいかせるって景品はなんなの?レオ?」

「そうだよ。あたしここまで酷い人達だと思ってなかった!ピコラさんが可哀想だよ!」


 僕の説教に便乗して、リッツも説教に加わった。


「リッツ姫!?」

「ひ、姫はいつからいたんです?」

「……どうしてこうなった」

「姫様!私を心配してくれて、嬉しいわ!」


 慌ててレオ達が弁明を始める。

 カルカンが負けるはずも無いし、仮にその事態になってもピコラが一人で行くとは言って無い&遊びに行くだけで何もしない予定だと。

 その弁明に周囲からは大ブーイングだよ。そらま、詐欺だしね。

 リッツに処分を委ねたら、彼らもエリーゼ特別指導に追加という事だった。


「任せなさい!全員、性根を叩きなおしますわ!」



 笑顔のエリーゼと絶望のカルカンが、印象的だったなぁ。



男3人とカルカンは地獄を見たようです。


次回は「夏コミと新たな働き口」です。

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