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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
育児はトラブルの連続
179/389

3年目の17歳

前回のあらすじ

リベラとビットとお祭りを堪能するワド。

露出狂扱いが不満なワドですが、ようやく楽しい日常が戻ってきたようです。

「それでは夜の部は、料理コンテストの予選となります。クイズへの参加も飛び入りOKですよ!」


 ポポロの会場アナウンスが響く。

 すでに初日の競技と、コスプレ大会準々決勝までが終わっている。

 ちなみにコスプレ大会の1回戦、2回戦とサクサク終わって、16強が出揃った時点ではコウカちゃんが残っていた。でも、そこで負けちゃって8強までは届かなかったのだ。残念。


 今年の料理コンテストの審査員は以下の通り。

 僕、ガトー、ルクル、エリーゼ、カルカン、ストロー、バラン、ポポロ、スタチオ、クラッツ。

 弟のアルが不在なので、エリーゼ&リゼが審査員に選ばれたん。まぁ去年は、リゼが参加者だったからってのも大きいけど。

 クイズに関しては、他の国民への配慮だよ。

 美味しそうな料理が沢山あるのに食べられないってのは拷問だしね。クイズの正解者上位の人には予選の料理が食べられるご褒美があるん。

 ま、僕は審査員だから食べれるけどね!(ドヤァ)


 第2回GWW二日目。ルクルとリゼと楽しく観戦。

 今日はビットがお熱を出したからリベラさんは来ていない。ルクルがお薬を強化していたおかげで、直ぐに処方できたみたいで安定しているんだってさ。

 って訳で、ルクルとリゼとでお祭りを楽しんでいる。


「今日のリゼの恰好、とても似合ってるよ!」

「ん、ありがと」


 エリーゼ&リゼは今まで夏でもロングスカートだったんだけど、「もう貴族じゃないから」とリゼは今回思いっきり短いミニスカートにしていたよ。ホワイト&ライムグリーンで纏めた爽やかな感じも良いね。

 マイティがどうしてこの色をオススメしたのか僕、分かっちゃった。色合いは今日の僕とお揃いなんだ。マイティGJグッジョブ


 あ、コスプレ大会の勇者に挑む云々に関しては、「勇者は永久に引退しました」と唐突なマイティの引退宣言に会場は阿鼻叫喚の地獄絵図だったんだよ。


「今日の護衛はお任せ下さいニャン!GWWは初めてだから楽しみニャン!」

「う、うん」


 アマミちゃんはあまりに過酷な特別指導によって、昨日一日が丸ごと無かった事になっている。

 虚無の女神様は慈悲深すぎるよ。んでエリーゼは無慈悲すぎるよ。


 大会の優勝がそれぞれの競技で決まった。

 ノワール君が賭けで大儲けしたみたいで、めちゃ羽振りが良かったそうだ。その才能をカルカンにも分けてあげて欲しいよね。とは言ってもカルカンはギャンブル禁止なんだけどさ。


 料理コンテストはカール先生が獲って喜びを爆発させているよ。

 サブロワ君は落ち込んでいるかと思ったら、「マナ工学が専門ですから」と強がっていたなぁ。若干声が上ずっていた事に僕、気づいちゃったからね!


 GWWを終えた夜更け。料理コンテストのお土産も持って、リゼと二人でラザの所に突撃訪問だよ!


『ワド~、あ~!リゼだ~』

「おう!お前らも来たのかにゃん?」

「晩御飯のお裾分けだよ!」


 ガトーが既に来ていて、ドラゴンズ+リゼでプチ2次会開始。僕らの爆食いに「胸やけがするの」とリゼは若干引いていたかな?


─────────────────────


 明けて建国祭初日。

 港町の方でトラブル発生の報告が次々にあがる。

 どうやら本格的にカービル帝国のちょっかいが始まっているようだ。幹部全員がルクルの執務室に緊急招集されている。


「わたくしがカービル帝国を消してきますわ!」


 興奮しているエリーゼを全員で宥める。というか有限実行できそうで怖いんですけど?いやマジマジ。

 そこにバラン君が「前から感じてた事」を議題にあげてきたよ。


「私は、各国からのワールドン王国、ひいてはワールドン様への対応を資料にまとめて分析していたのですが、どうにもカービル帝国だけが引っ掛かるのです」

「んー、確かになんかヘンなんだよねー」


 ルクルも違和感があったと相槌をうっている。僕もしたり顔で相槌をうっておこう。

 うつだけならタダだし。


「バランはんの引っ掛かりはどの辺りなんや?」

「カービル帝国。いやドウエン将軍なのかな?つまりは一連のスパイ工作は『伝心』の存在を知らないように思えるのです。でないと辻褄が合わない」


 その言葉を聞いた瞬間、ルクルがいきなり席を立ち上がった。僕がわかった風な顔でうんうん頷いていた時だったからビックリしたよ。


「くっそーー、こんな単純な事を見落とすなんてー」

「ん?ケアレスミスはテスト結果に響くよ?」


(あれ?僕のツッコミは華麗にスルーされてる?)


 でも、どうやらルクルは深読みしすぎて沼にハマっていたっぽい。

 【伝心】(    )でスパイの思考が漏れている前提で嫌がらせをしているのか、それを知らずに工作を仕掛けてきているのかでは全然状況が違うらしい。

 僕が「何事もシンプルイズベストだよ。単純に考えよう」ってドヤ顔でアドバイスしたら、「何も考えてないドラゴンは気楽だよなー」とか返されたんですけど!?酷くない!?


 議題は【伝心】(    )を知らないのが一部なのか、全体なのかの協議に移っている。僕は全体が知らない方に、清き一票を投じたのだけれど、全体が知らないの票は全部で3票だった。

 僕、エリーゼ、カルカン。

 カルカンの票がある。つまりKY枠の意見って事だよ。(シクシク)


 詳しく説明を受けた所、カービル帝国のスパイの練度は高いんだって。んで、他の国に仕掛けているスパイ活動の情報とあわせて総合的に判断すれば、心が読める結論に達しないとおかしいという話だった。

 要はドウエン将軍が、情報面で内部的に干されているんじゃないかって話。


「バラン、ありがとーーー」

「いえ、お役に立てたようでなによりです」


 ルクルは超ご機嫌でバラン君と両手で握手し、その手をブンブン振っている。バラン君はその勢いに目を白黒させていたよ。


「で、いつ神罰すればいいにゃん?」


 さっきからずっと神罰厨が何か言っていたけど、皆スルーして会議は終了。とりあえずは何食わぬ顔で建国祭を実施するしか無いらしい。

 ま、結局は楽しんでいいって事でOKなんだよね?


 今年は国民主導で色々な催し物が出されている。

 ガトーがどうしてもって事で、国民相手にガトー専用ホバーバイクの解説を行ってドヤっていたな。めちゃノリノリでの解説だったね。

 そんなこんなで楽しんでいたら、あっという間に夜の誕生節のお祝いへ突入だよ。


「僕、17歳の誕生節を皆でお祝いできて嬉しい」

「んーなんらー、ワールドン様がまたも年齢詐称してるにゃー、何回17歳を迎えたら気が済むのにゃ?」

「ふっ、吾輩は毎日が誕生節だからな。年齢不詳って事にしておいてほしいにゃん」

「ガトー様の年齢なんて誰も聞いてないのにゃー、うぃっく」


 酔っ払いが詐称だなんだと騒いでいるけど、僕は永遠の17歳なのだよ。ふふん!(ドヤァ)

 誕生節の二日目は、リゼと終日楽しんで遊んだよ。リゼのお祝いが出来ていないのが心残りだったから、盛大にお祝いもしたんだ!

 国で一番の繊維の第一人者であるビノーにコッソリ依頼していた淡い金色のドレス。リゼにサプライズでプレゼントする為、エリーゼに採寸の協力をして貰っていたんだ。喜んでくれるかなぁ?


 プレゼントを贈ると、大粒の涙を流して喜んでいるよ。こんなに喜んで貰えたのなら、贈った甲斐があるってもんだよね。リゼからは新しい髪飾り、エリーゼからは新しい秘密箱を貰ったよ。

 髪留めもちょうど欲しかったし、僕も宝物が増えすぎて困っていたから凄く嬉しいな!

 ガトーも専用秘密箱を貰ってご満悦みたい。でも、何重にもなっていて、まるでマトリョーシカなんだよね。あれじゃあんまり宝物は入らないんじゃないかな?


(ま、本人が嬉しそうだからいいでしょ)


 一応、深夜にラザの所へ訪問して、ラザも何か欲しいものがあるかを聞いてみたんだけど『う~アンコ~好き~』って事でいつも通りの餡子三昧だよ。

 今度、餡子縛りで料理コンテストやろうかな?

 んでもって、楽しい建国祭が終わり、改めてカービル帝国にどのように対応するかを協議する場が設けられたんだ。

 開くのと同時に、ルクル達は危険性について激しく議論し始める。


「ドウエン将軍の危険性は数段跳ね上がったねー」

「情報を絞られてるのですから、大した事ないのでは無いのですか?」

「それは違うでバランはん」


 ストローは首を振りながら、推察を語り始める。


「心を読まれとる事を知らんまま、計画を相手が読み取っとる前提で計画を立てとるんですわ。ルクル様を年齢で侮らず、高い評価で作戦を立てとる」


 ルクルは笑みを浮かべていて、バラン君はハッとしたような表情に急変していく。そしてルクルが表情を引き締めて語りだす。


「カービル帝国は一枚岩では無いようだねー。道理でチグハグな動きな訳だよー。ドウエン将軍はさー、伝心の存在を知らないのに情報漏洩を最小限にする動きをしてるのねー。これは結構厄介だよー」


 【伝心】(    )へ対応する為に情報漏洩対策をしていると予想したのが違っていて、危険度を上げたそうだよ。違う事がどのように影響するのか全く分からないけど、分かったような顔で僕も頷いておく。

 ふと、隣を見るとカルカンも真剣な表情をしていたので、暫く見つめ合った後に頷き合う。するとカルカンはにへらと笑っていた。


「そこの訳知り顔で頷き合ってる二人はちゃんと分かってんのー?」

「当然だよ!」

「当然なのにゃ!」


 そしたら「今一番重要な事は何かを言ってみろ」とか言われてしまい、マジで焦る。

 僕の動揺を他所に、カルカンは両手を掲げたガッツポーズをして、自信たっぷりに回答したよ。


「たまにはビールじゃなくて芋焼酎がいいと思ってたのにゃ!ワールドン様も同じだと頷いてたのにゃ!」



 え?なんだか濡れ衣なんだけど?

3年目の17歳くらい大目に見て欲しいのですけど、カルカンは追及してきます。

周囲からオッサン扱いされている23歳のKYは不本意なようで……。


次回は「育児と新しい母の決意」です。

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