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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
育児はトラブルの連続
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王都リトライ!

前回のあらすじ

カルカンのアイデアから、引きこもり続けるリゼへの思いを込めて魔術具に託したワド。

まだまだ王都は再建途中です。

 金牛節が間近に迫る。GWWゴールデン・ワールドン・ウィークまでに王都の復興をすべく急ピッチで建設ラッシュが行われていた。

 GWWとは、競技大会と料理大会の同時開催から建国祭までの期間の事。僕の国ではそう呼んでいる。


「王都の警備隊隊長を拝命しましたニャン!」

「うん、アマミちゃんよろしくね」


 彼女は猫魔族のアマミちゃん。エリーゼからの地獄のしごきに耐え、隊長まで上り詰めた実力者だ。

 どのくらいの実力かって?エリーゼのしごきに耐えられる程だよ?とても強い(小並感)

 ガトーから「猫魔族が増えて紛らわしいし、吾輩のアイデンティティが侵食されてるにゃん」って事で、新しく加わった猫魔族は、ちょっと響きが固めの「ニャー」「ニャ」「ニャン」を使って貰っている。

 ん?誤差だって?まぁ細かい事は気にしてはいけないよ?


 マイティに魔術具を渡してから、1週間が経っている。エリーゼ曰く「あと少しだけお待ちください」って話だ。リゼは魔術具を受け取ってくれたみたいで、一安心だよ。

 魔術具にはいっぱい「ごめんね」を詰め込んだんだけど、ルクルだけじゃなくリッツからも「言葉のチョイス」って冷ややかに指摘を受けた。僕、一生懸命に思いを込めたのに、ダメ出しされて少し凹む。


「ワールドン様、新しい魔術具の納品に来たにゃ」

「うん、後で運ぶからまとめて置いといて」

「了解にゃ!」

「「ニャーー!」」


 カルカンはクシマ&ガシマと良く行動を一緒にしているんだ。二足歩行な猫である猫魔族は、いっぱい増えた。それで、ルクルが前世の猫の品種に例えていたのが、こんな感じ。


─────────────────────

・カルカン:メインクーン。

・国王殿:ペルシャ。

・クシマ:トイガー。

・ガシマ:スコティッシュフォールド。

・アマミ:シャム。

・ガトー:アメリカンショートヘア。

─────────────────────


 って感じかな。トスィーテちゃんは当然ガトーと同じで、アメリカンでショートな感じだよ。

 国王やカルカンは、ふっさふさなのが印象的。

 クシマは虎模様っていうのかな?目立つよね。

 ガシマは耳や目が垂れている感じが可愛いよね。

 アマミちゃんは顔や手先、尻尾の先だけがダークブラウンなのが特徴的な感じ。


 ルクルが品種で勝手なあだ名付けようとしたら、誇りがあるから絶対にNOって言われたんよねぇ。

 でも名前が紛らわし過ぎるんだ。他にもブジマ、イジマ、ウジマ、ロシマ……なんかもうまとめて猫魔族ズでいいかなってルクルと相談していたよ。

 それとね、ガシマは趣味でカフェを始めていた。従業員が全員猫魔族なの。

 狂気的な常連客はピコラ。目が血走っていて、鼻血ダラダラ流していたピコラは猫魔族から第一級臨戦態勢でお出迎えされているよ。


 ちなみにノワール君から、ピコラとアマミちゃんの正妻戦争が激化しているというお悩み相談を受けた。

 当然「それ、もっと詳しく!」って言ったら、「あー、完全に相談相手を間違ったかも?」と言っていた。失礼な!何日でも相談にめっちゃ乗るのに!


 港町からの応援もあって、人手が爆発的に増えている。新しく加わった猫魔族達が魔術具作成や警備・巡回にめっちゃ役立っていて、感謝しかないよ。

 メキメキ建設が進んで行く。これならGWWまでに間に合いそうと胸をなでおろす。でも、野球場の方は諸々の事情で間に合わなそう。「来年こそは球技に野球を」とルクルは意気込んでいたけれど、まずは野球アニメの布教からだよね。


 まだ、リゼとは会えていない。

 僕が暗い顔をしていると、皆が心配するから無理してでも笑うようにはしているし、なるべく楽しい事を考えようとはしているんだ。

 GWWの前日。

 リニューアルされたルクルの執務室へと呼び出しを受けたよ。用事を聞いたら直ぐに作業に戻るつもりだから作業着のままで。

 ノックをして、ドアを開けると……そこには久しぶりに見たリゼの姿があった。


「リゼ……」

「ワド……遅くなってごめんなさい」


 僕とリゼは二人して交互にめちゃ謝り合う。

 最後には二人して笑いあったよ。「なんかそんなに謝るのヘン」ってルクルからツッコミ入った辺りからかな?


「ワドー、今日の作業はもういいよー。明日の開催までリゼとゆっくり話でもしてきてー」

「うん、ありがとね」

「ルクル、いつも感謝してるの」


 外は夜の帳が完全に降りている時間帯。

 不夜城と呼ばれた頃には劣るけど、大量の灯りの魔術具に照らされて、王都は明るさを取り戻している。

 その街並みをリゼと二人で歩きながら、新名所となっているデートスポットへと足を向けた。


「少し見ない間に、街が変わったの」

「うん、僕も一生懸命頑張ったから。まだちょっと届かないけどさ、いずれは以前の王都を超えてみせるから!」

「……リゼも協力するの」


 2度目の王都は、1度目の王都よりも整理されている。最初は区画整理もままならず、大規模建設は初心者の皆で集まって継ぎ足し継ぎ足しで頑張っていた。

 今は港町からの応援もあるし、経験者も豊富だ。

 しかも、熟練度が上がっているだけではなく、ボンは進化も果たしている。2度目の王都の方が断然凄い街になるって確信できるよ。

 それにさ、皆で一斉に作り上げてく街並みは、とても感慨深いんだ。

 あそこの曲がり角は、バンダナおじさんと一緒に作業したな。そこの歩道はスキンヘッドな人が作業していた。

 もう二度と、僕の手で壊すなんてしない。


「リゼ、僕と約束をしよう」


 デートスポットがもう目の前って辺りで、僕は考えていた事を切り出す。リゼは驚いた表情をした後、目を伏せてから「続けて」と言って頷く。


「もう媚薬は使わない。僕もリゼも。いいね?」

「……わかったの。その代わり、ワドも約束してくれる?」


 再び目を開けたリゼの瞳には、真剣という色しか浮かんでいなかったな。あの一件の後に、周囲にも言われていた事、それを念押しして約束させられた。

 リゼから「ワドに高圧的な態度は似合わないし、見たくないの」ってお願いされたら、仕方ないよね。

 皆に似合わないと言われた事よりも、リゼに「見たくない」って言われた言葉の方が胸に刺さる。


(……あの態度を僕が取った事で、リゼを更に精神的に追い込んだんだよね?)


 ルクルからも、ガトーからも「ワドがいつも通りいられるように隠してた」との話を聞いたし、皆が望んでいない事は理解できた。


「OK!約束だよ!」

「ん、約束なの」

「それで、リゼが不安な時はルクルに甘えてよね。なんなら、えっちな事も特例で認めるから!」

「……!?」


 リゼは完全にプチパニック状態だったね。辛い時、誰かに甘えるのは仕方ないよ。僕は二人の事を思いっきり揶揄った。少しでもリゼの不安が和らぐように。

 デートスポットに到着したけど、結構先客がいるかな?

 なるべく空いている所を探していたら……修羅場に遭遇したよ?


「人族の女!離れるのニャ!お前なんかにカルカン氏に近づいて欲しくないのニャン!」

「ちょっと、私とカルカンさんには切っても切れない大量のしゃっきんがあるのよ!……でも、アマミがどうしてもと言うのなら3人でのプレイも吝かではないわよ?」

「新作のスタウトが旨いのにゃー……ん?ワールドン様見っけにゃ」


 なんか、蛍見っけみたいなノリで言われても困る。

 けど、まぁーなんとも面白い事になっているよね!

 僕、とってもwktkしてきた!


「ねぇ!これ何の修羅場?ねぇねぇ?」

「にゃあぁぁー、ワールドン様が恋バナモードになったのにゃ……よりめんどくさくなったのにゃー。ストロー氏の方に行けば良かったにゃ」


 なぬ?またなの?

 最近、ストローとガトーは僕をハブにして飲みに行っているんだよね。どうにも話題がお気に召さないっぽい。でも、やつれていたストローをほっとけなかったガトーの気持ちは理解できるかな。

 アマミちゃんとピコラは、まだやんややんやとやっている。ピコラの鼻息は荒いから、アマミちゃんとの触れ合いに興奮しているのが分かる。アマミちゃん……逃げて。

 そのやり取りを他所に、リゼがカルカンへ感謝を伝えていた。

 カルカンは「私はきよくやさしいだから当然なのにゃ!」って自らKY宣言していたよ。

 うん、自己紹介として完璧だね!

 そうして前日の夜は賑やかに過ぎていった。


─────────────────────


「カルカン、全力で……全力で感謝しますわ!」


 翌朝。

 GWWの開会式後で、エリーゼがカルカンをわざわざ呼び出してまで感謝を伝えている。

 マイティから事情を聞いたら、カルカンが皆が言えずにいた事を、KY力を全開にして言ったらしい。

 マイティも感謝しているんだとさ。

 だから、良く分かって無いけど「ナイスKY!」ってサムズアップしてカルカンを褒めておいた。


(カルカン、モジモジしながらも嬉しそうだよ?)


 今年のGWWも去年と同じ内容だ。競技はバスケ、バレー、サッカーの三種目。港町からの参加者も多数だし、猫魔族のチームも参加だって。

 料理コンテストも同時開催なのも同じだ。

 今年は幹部からの参加者はいないけど、レシピが普及した事で他の料理人も育っているし、港町の方はレストランの競争が激化している。

 食材の輸出入が盛んになった事で、新しい料理もどんどん生まれているんだ。モナリーガ王国から仕入れている牛肉や乳製品もいい感じの新作料理になっているよ。


 競技については賭博施設と連動して、優勝予想と賭けまで始まっているね。オッズで見ると去年の優勝チームが評価高めだけど、新チームも多いから予想は困難みたい。

 料理コンテストは、カール先生とサブロワ君の2強だよ。

 この勝敗の行方は僕も気になっている。


(カール先生がやや有利かな?)


 新しい食材や新作料理に積極的なカール先生。

 伝統的な料理や素材を活かす匠の技のサブロワ君。

 どっちが勝つのか全く分からないよ。

 僕は応援の意味も含めて、サブロワ君に賭けといた。


「あ!リベラさん、こっちだよ。案内するね!」

「ワールドン様が直々にやなんて、恐縮ですわ……」



 新しい義手をつけたリベラさんに、自慢のGWWを案内するんだ!僕、頑張るぞい!

ダメだしされた「言葉のチョイス」と、復帰の最後の一押しとなったカルカンの一言。

閑話で触れたいと思います。


ちなみに、本作の命名ルールからすると「アマミ」は「オシマ」が正しいのですけど、女性っぽい響きにしたいので「アマミ」の方を採用してます。

他の猫魔族ズの名前も察しが良い人なら分かるかも?


次回は「ドラゴンコスプレ大会」です。

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 お邪魔しています。  ワドとリゼ、やっと話ができたんですんね。良かったなあ。何とか、お互いの気持ちも行き交うことができて、ほっとしています。ワド君、これで王都の復興に専念できるかな。
リゼと再会出来て良かったです!ピコラは全ての猫に平等に好きなんですね〜、今後逆に犬好きが出て来て犬VS猫とかあるかも!
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