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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン革命の黎明期
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変化のスピードラーニング

前回のあらすじ

1万2000年以上も約束をすっぽかしていたワドですが、ついに銀と再会を果たします。

銀のサイズを変化の魔術具で扱うには、黒の最高品質マナ鉱石が必要なようです。

(ガトー)~おかえり~お土産は~?』


 ラザが気の抜けた声でお土産を催促していた。

 ガトーは余程急いだのか、ドラゴン形態のままだ。


『おう!黒のマナ鉱石を持ってきたぞにゃん!』

『さっそく、ヘーゼルに調整してもらお?』


 ヘーゼルに渡したら「これが伝説の黒の最高品質」と言って暫く固まっていたよ。

 希少価値がぶっちぎりらしいんだ。

 変化の魔術具を調整して貰っている間、ガトーとラザとで思い出話をしていた。


『ラザはマナ抑制できるようになった?』

『すこしだけならできるよ~がんばったから(ワド)ほめて~』

『すごいすごい!』

『少しってどのくらいだにゃん?』

『う~?……すこしだよ~』

『『なんかダメそう……』』


 ラザのマナが抑えられるかは重要だよ。そうじゃないとすぐ土が寄ってきて地中になっちゃうし、本人が動くと地震にもなるし。迷惑この上ないんだ。

 それで、地震を起こしまくっていた過去があって、僕が「これから銀は勝手に動いちゃダメ!」と言ってからは、銀は動かなくなった。いや、ちょっとは動けよマジで。


「調整できました!これで行けます!」


 ヘーゼルが調整を終わらせたので、変化の魔術具を背中に貼り付ける。銀の羽の真ん中らへんにね。付けたらマナがなじんでくっついた。

 僕らは変化の仕方をレクチャーしたよ。


『変化はね、まず理想の姿を思い浮かべるんだ。その姿を強くイメージしてから、ググってやって、ズババって感じで、それからシュバー!ってやるん!』

『うん~。わかった~。やってみるぅ~』


 銀はコツが掴めなかったみたいで、第一段階のサイズ調整すら上手くできていない。

 そこでガトーがスッと前に出てきた。


『ふっ……ワドの説明だと正解が分かり辛いにゃん。吾輩はギューってやって、ズバンとやるんだにゃん。それからシュッパーなんだぞにゃん!』

『僕と対して変わらないじゃん!』

『わかった~。今度はやれるよ~。う~、えぃ!』


 やっぱりまだうまく行かなかった。見かねたヘーゼルが凄く理論的な説明をしてくれた。


『なんか聞いてるとさ、僕、眠くなったよ』

『吾輩は理解できたぞにゃん』

『難しい~でもやってみる~。う~、えぃ!』


 やっぱりうまく行かなかった。おかしいな。第一段階はすんなりいく筈なんだけど?

 そこへエリーゼがドヤ顔で参戦してきた。


「アラザン様!変化の基本は気合いですわ!」

((いや、エリーゼは変化したことないじゃん))

『わかった~。気合い~!え~い!』


 えぇーーー!なんで、第一段階できたの!?

 でも、少し前に進んだ。次は見た目の変化と肌質の変化だよ。これが凄く難しいんだ。ガトーが実況やりたいって言い出したから、ノッてあげたよ。

 僕ってば優しいからね!ドヤァ!


ーーーラザの変化特訓ダイジェストVTRーーー

『さぁて、ラザ選手。第一段階を終えて、次は難関の見た目変化と肌質の変化だにゃん。解説のヘーゼル氏はどう思われますかにゃん?』

「解説ですか?見た目というより、実際に会った時のマナをちゃんと思い出せるかどうかが重要です」

『ボク、頑張るね~』


『ヘーゼル、マナが重要って何?』

『おっ、ゲストコメンテーターのワドの質問にゃん。解説のヘーゼル氏、そこんところどうにゃん?』

「マナをイメージ再現できるかが重要なんです。そのマナを魔術具に焼き付けて変化が確定しますから」

『『へー、知らなかった』』


『では、歓声役のエリーゼ氏に、これまでを総括した歓声をお願いするにゃん!』

『ふぅーーー!神様がいっぱいで最高ですわ!』

『『え?いまエリーゼ、自分で伝心使ったの?』』

『う~。うまくできない~』


『以上、実況のガトーがお届けしたにゃん』

ーーーラザの変化特訓ダイジェストENDーーー


 ラザがうまく出来なかったから、皆でアドバイスしてサポートした。


『ふわふわからぎゅむぎゅむしてね、それから……』

『シュってやって、グムムムってやるんだにゃん』

『そうそう。そんな感じでイケルから!』

『う~。こんがらがってきたけどやってみる~』


 僕らとヘーゼルの説明ではやっぱりうまく出来なかった。

 そこで「全力ですわ!」のエリーゼアドバイスが投下されて……


『できた~!』

((なんでできんの!?))


 銀は熊魔族の姿を選んだ。マイティが鏡を持ち出して、ラザに見せている。

 150cmくらいのちょっと小柄だけど、やや小太りの熊魔族。そのつぶらな瞳から目が離せない。


(僕、この熊魔族……知ってる……かも?)


 僕の記憶には無い。無いけど……僕はその姿をみて涙が止まらなくなっていた。マイティがタオルを渡してくれたから、鼻を噛んだ。ズビビビィー!


『あ~、懐かしい!これくまちゃんだよ~。ねぇねぇ~(ワド)~。くまちゃんだよ~』


 僕が混乱しているのに気づいたガトーが、場を仕切り始めた。

 虚無の女神の御力と小声で呟いた事が、耳から離れなかったな。


「エリーゼ、ワド達を連れて少し外に出てろにゃん。(ラザ)は吾輩が責任持って対応するぞにゃん」

「ガトー様、わかりましたわ。アラザン様をよろしくお願い致しますわ」


─────────────────────


 そうして、ガトーと(ラザ)を残して一旦地上に戻った。


 入口付近は、ドラゴン形態のガトーが突っ込んだみたいで大きく抉れていたね。雨は小ぶりになっていたから、中への浸水はそれほど影響なさそうだよ。

 僕が取り乱している間、エリーゼが話し相手を務めてくれた。マイティが水筒からお茶を出してくれて、そのジャスミンの香りを嗅いだら少し落ち着いたよ。


「ありがと、エリーゼ。もう大丈夫」

「~~~~っ!勿体無い御言葉ですわ!」


 ガトーから連絡あったので、合流すべく再度潜って行った。ラザの姿は見事に定着しているね。


(ワド)~おかえり~』

『ちょうど良かったにゃん。語尾をどうするか知ってるかにゃん?』


 なんで語尾なのか聞いたら、ラザが「にゃん」を真似て、これは猫魔族のだからって話になったらしいよ。


『で、ルクルに聞くにゃん?』

『ううん。今はお楽しみ中かも知れないし?』

『で、何か案あるかにゃん?吾輩は……とかいいと思うぞにゃん』

『僕はね、やっぱ……とかだと思うんだ!あ、エリーゼやヘーゼルの意見は?』

「わたくしもワールドン様の案が良いですわ!」

「私はストローさんのファンでして、……とかどうでしょう?」


 一通り案が出たから、ラザに語尾つけて貰って判断する事にしたよ。

 ってかヘーゼルは映画俳優ストローの隠れファンだったみたいだ。


ーーーラザの語尾選挙ダイジェストVTRーーー

『さぁ、ラザ候補者は素敵な語尾を手に入れられるかがかかってる選挙にゃん。実況はガトーがお届けするにゃん』

『ボク~、がんばる~』


───ワドの案。

『ボク~、おいしいものが食べたいクマ~』

『素敵ですわ!』

(((あざとい)))

『って、ワドもあざといって思ったのかよにゃん』


───ガトーの案。

『ボク~、なんだか疲れてきたがお』

『可愛いですわ!』

(((イマイチ)))


───ヘーゼルの案。

『ボク~、働きたくないでござる~』

(((妙にしっくりくる)))

『とってもお似合いですわ!ピッタリですわ!』


『これ投票必要なさそうにゃん?』

『ガトーは実況できてなくない?』

『じっきょうだ~がお~でござる~』

ーーーラザの語尾選挙ダイジェストENDーーー


 満場一致でヘーゼルの案になった。

 ちなみに、エリーゼにどうして【伝心】(    )できるのかを聞いてみたら、気合いですわ!との回答だった。もうなんでもありだなぁ……気合いですわって。


 とりあえず、変化も出来た事だし、マナ鉱石を回収して帰ろうという話になったんだ。

 でも、そこで問題が発覚する。


 ゴゴゴゴゴゴゴ……!


『ラザ!ストップ!すとぉっぷ!ダメ!地震が起きちゃう!これ以上うごかないで!』

『おいおい、全然、マナ抑えられてないぞにゃん?』


 ラザの自己申告はあてにならないな。

 銀のマナが垂れ流し状態だからさ、ラザが動くと、地殻変動が起こってそのまま地震になるの。困った。これじゃスイーツ食べに帰れないぞ?


『ラザは居残りだね!』

『やだ~。ボクも(ワド)といっしょにいく~』

『吾輩が特訓に付き合ってやるぞにゃん』

『え~、ボクは(ワド)がいいなぁ~でござる~』

『おい!それどういう意味だにゃん!?』


 ラザのマナが抑えられるようになるまで、ガトーが特訓に付き合って残る事になったよ。僕は放課後アニメタイムに間に合うように帰らなきゃだし。濡れ濡れのお仕事もあるからさ。適材適所だよ。

 ……それで先に帰還する事にしたんだ。


(ワド)~まって~。おいてかないで~』


 呼び続けているラザに、後ろ髪を引かれながら国に帰還したよ。


─────────────────────


 帰国して約1ヵ月近くが経過。


 僕が持ち帰った銀の最高品質マナ鉱石は大活躍だ。

 インフラ整備や建設ラッシュが凄い勢いで進んでいる。ホバーバスの量産体制の目途もついた。

 今は港町へのアクセス向上を目指して、稼働橋の事業にも着手しているんだ。

 いずれ、アーバンゲートブリッジや天橋立旋開橋のような稼働橋ができるかも?って期待に胸が膨らむよね。その事業にはココ伯爵達も参加だとさ。


 そして、ついにリニアモーターカーの本格的な開発に着工している。線路は既に敷いてあって、あとはマナ回路と車体部分だけになっているんだ。来年のオープンに向けてボンがめちゃ気合い入れているよ。


「ワールドン様、あっしこの一大事業に賭けてるんでさぁ。これが終わったらヴェストさんみたいに結婚とかも考えようかなと考えてやすぜ!」


 と、死亡フラグがビンビンに立ちそうなセリフを遺してブラック社畜している。いや、死なないでよね!

 ガトーの戻りが遅いのが心配ではあるけど、遊園地や野球場が出来るまでには帰ってくるでしょ。



 そうして過ごしていたら、ガトーから【伝心】(    )で、緊急事態の連絡が来た。



『ワドよ!ラザが大変だぞにゃん!』

ラザは、やる気がなかったので、うまく変化できてませんでした。

要はエリーゼの一生懸命やれ、という意味合いのアドバイスが最も効果的でしたね。


それにしてもシュッパーってどんなんだろ?w


11章「ドラゴン革命の黎明期」の本編はここまで。

今回の別キャラ視点の閑話は4話予定です。


・急遽、里帰りする事になったカルカン視点

・武者修行に明け暮れる復讐女のラコア視点

・ストーカーの被害と秘密に悩むリッツ視点

・家系の悲願を諦める事になったバラン視点


となります。


次回はカルカン視点の「閑話:父の記憶のオルゴール」です。

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 お邪魔しています。  銀は土属性だから、マナを抑制できないと大変なことになるんですね。みんな土中って、埋まっちゃうですね。歩くと地震っていうのも怖いな。  人型に変身するのも大変なんですね。
ワドはどうして泣いたんでしょうね? 銀は体重管理?大変そうですね~!
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