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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン革命の黎明期
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銀に会いにいく

前回のあらすじ

獅子節のお祝いが終わったら、すぐに銀のドラ探に向かう事になっていました。

アルのお祝いがしたいワドはギリギリまで待ちます。

帰りを待ち続けましたが、結局戻らず成人のお祝いは出来ませんでした。


※各節の補足

・獅子節(8月)

・処女節(9月)

 獅子節のお祝いを終えた翌日。


 早速、銀のドラゴン探索クエストに行く事になったよ。

 探索メンバーは、僕、エリーゼ、ガトー、ヘーゼルの4人パーティーだ。それと従者のマイティね。

 マナ回路技術者のヘーゼルを、カルカンの代わりにアドバイザーとして連れていくよ。

 それから、カルカンの里帰りも今日が出発だ。


「ワールドン様、ガトー様……私は死地に赴いて来ますにゃ……骨は拾って下さいにゃ」


 カルカンはギャンブルでの借金が大変になっている。

 詳しく話を聞いたらサブロワ君からも大金を借りていたのが発覚。皆から説教されていたし、流石に僕も呆れたよ。

 トスィーテちゃんに性根を叩きなおして貰う為に、君主命令で一時里帰りを命じたんだ。

 それにさ、カルカンならアルを説得できるかも知れないから。


(アルをKY力で連れ戻してよね。頼むよ!)


 季節は処女節に入ったけど、まだまだ猛暑が続いている。旅行用に夏のバカンスを楽しむような、涼し気な衣装を沢山用意したよ。エリーゼとヘーゼルもバカンス仕様だね。


「おい、ワドまでなんで寛ぐモード全開なんだにゃん?吾輩が運ぶのなんか違うぞにゃん?」

「でもでも、僕だと眩しくてバレちゃうから適材適所という話になったでしょ?」


 既に決まった事なのにガトーが不服そうだ。

 だけど、僕も無策じゃないのだよ?ふふふ……


「それにさ、僕も素晴らしいガトー専用空輸邸に乗って見たかったんだよ!ガトー専用は素晴らしいよね!ほら、エリーゼもヘーゼルも言ってやって!」

「ガトー様の専用空輸邸は素晴らしい乗り物ですわ!わたくし、全力で感動に打ち震えてますわ!」

「私もガトー様は偉大で、素晴らしくて、この空輸邸にふさわしいと思います」


 僕は二人と練習したガトーヨイショ音頭を踊る。


「せーの!」

「「「さすガトーだよ!さすガトー!」」」

「まぁな、仕方ないな任せろにゃん(ドヤにゃん)」

(ふふっ、チョロ猫w)

(ガトー様はチョロインですわ!)

(この国の神様って、残念な神様しかいないなぁ)


 ガトーがご機嫌になったので、エリーゼ達とガトーの空輸邸に乗り込む。

 へぇ~、中はこんな風になっていたのか。リクライニングシートもあるんだね。天窓があるから、日光の熱が籠ってむわっとしている。


「あ、ワールドン様、冷房の魔術具つけますね」


 あぁ~、ひんやり気持ちいい。

 内装の魔術具はヘーゼルも関わっていたみたいで、どこに何があるか全部把握しているんだってさ。


「ワールドン様、ジャグジーバスもありますわ!後で一緒に入りますわ!」


 香油を塗るスペースが無いけど、バスはラグジュアリーな作りだね。でも、ガトーは自分で運ぶから入れないのにめちゃ内装に凝っているよ。

 聞いてみたら、別荘感覚で偶に中に入るとの事。

 いいなぁ。僕も濡れ濡れのお仕事が無ければ、別荘とか、たまに気分転換に行きたいのにぃぃ!


「いくぞ!インビジブルフォームにゃん!」


 うおぉ、中で体験するとこんな感じなのか。汽車の感じよりも遥かに早いし、なんだか耳が変な感じだ。

 エリーゼに聞くと、僕の空輸邸でもそうなるらしいんだ。

 ヘーゼルの話では気圧が下がるとなる症状だって。

 で、外だと風圧があるからとかなんとかで、僕はよく分からないから知ったか&ドヤ顔で頷いておいた。


 モナリーガ王国までは、お喋りしていたらあっという間だった。そして、あっという間にガトーは不機嫌になっていた。

 どうやら、僕らだけでお喋りしているのが不満だったみたい。それからは伝心で古今東西をするって事でどうにか機嫌を直して貰ったよ。

 ヘーゼルの「神託の使われ方が残念すぎる……」って発言は聞かなかった事にしておいた。ドヤァ!


「この辺りのようですが……」


 カルカンに印を付けてもらった地図を見ながら探索し、ヘーゼルが今の場所が地図の辺りだと言う。

 僕、地図の見方って実はよく分かっていないから、訳知り顔で相槌だけしておく。

 ここは渓谷の近くで、いくつもの丘が連なっている所だ。でも、地図上の印だと直径50kmは範囲になりそうなので、ここから絞り込んで探すしか無い感じだね。


「皆様!こちらホリター家特製の疑似マナ心眼の秘薬ですわ!1滴垂らすと30分は効果ありますので、2~3滴を目安にお使いくださいませ!」


 エリーゼから秘薬を渡されたけど、見た目はめっちゃ異世界の目薬だね。


「もう!ガトーはしっかり目を開けててよ!往生際が悪すぎるよ!?」

「なんだか怖いから目を閉じてしまうにゃん」


 ガトーは目薬の瞬間に目を閉じちゃうんだ。それで中々目にさせなくて、すんごい時間かかったの。最終的に僕が手でこじ開けている間にエリーゼにさして貰ったよ。


「ぐぬぬ、ワドあとで覚えてろにゃん。……なんだかスースーするにゃん」

「それ僕も同じ。ん?どしたのヘーゼル?」

「ば、化け物……」


 目薬をさした後に僕らを見たヘーゼルが、なんか恐怖で超ビビっている。

 ガトーを見てみたら、なんか凝縮されたドロッドロな何かがうねうねしていたから、これを見たのかな?

 僕の手も見てみたらそんな感じだった。ってこれがマナなのか。カルカンってこんな風に僕らを見ていたのか……なんか複雑だよ。


「あなた……今、誰を見て化け物呼ばわりされたのですか?正直に答えなさい!」


 あ、ヤバい!エリーゼがめちゃキレている!

 僕を見て言ったと知ったら、ヘーゼルが大変な事になりそう!

 僕はブンブン首をふって、ヘーゼルにアピールした。


(ここはガトーって答えて貰って……って!ガトーも神様じゃん!これ詰んで無い!?)


「ワ……いえ、ガ……いえ……エリーゼ様!エリーゼ様を見て化け物と呼びましたぁぁぁあ!」

「それならば良し!ですわ!」


 おい!いいのかよ!

 どうやら、エリーゼは化け物って呼ばれ慣れているみたいだね。やだよそんな慣れ。良くないよ?

 でも、ヘーゼルは咄嗟の判断で無事に正解を拾った。

 他の選択肢なら即ゲームオーバーだったよ。


「ワールドン様!ここから南東に10kmほどの所へ行きますわ!」

「ふぇ?龍脈のマナが見えたの?」

「いえ、まだ見えませんわ!でも、その辺りにカルカンと前回訪れた記憶がありますわ!」

「とりあえず行ってみるぞにゃん」


 ドドドドドド……!


 エリーゼは見覚えがあるらしくて、爆速で向かいだす。

 道中の木々をなぎ倒し、直進で進むエリーゼ。


(もうちょっとこう……自然に優しく走れないのかな?)


 そして、少し見覚えがある所に来た。

 ここから東に行くとチマタ村があるはずだよ。僕も思い出してきた。


「ワールドン様!地下に物凄いマナが見えますよ!」

「本当ですわ!これですわ!カルカンが言っていた龍脈ですわ!」

「え?僕、見えないんだけど?」

「吾輩も見えないぞにゃん」


 どうやら、僕とガトーだけが見えないみたいだ。

 ヘーゼルの予想では「マナが強すぎて、自分自身のマナが邪魔で見えにくいのでは?」という事だった。

 と、言う訳でさっそくドラゴン重機の出番だよ。

 僕とガトーが作業開始する前から、少しシトシトと降り出していたんだけど、作業が本格化する頃には土砂降りになっていた。

 雲を散らすとガトーの存在がバレちゃうかもだから、ずぶ濡れで作業していたよ。


 そしたら激写しているエリーゼが「素敵ですわ!濡れ濡れで透け透けですわ!」って騒いでいたから、自分自身の状態に気づいたよ。

 バカンス用の薄着だったから、シアーシャツのように透け透けだった。

 慌てて光ガードしたからセーフ。ガトーは……まぁいいか。


「む?この下は空洞だぞにゃん」

「お、僕にもマナが見えるよ!銀色だね」


 雨が入ってこないように土手を作って、いざ、地下空洞に突入だよ!


「凄く綺麗ですわ!」

「これは幻想的な地下空洞ですね。絶景です」


 エリーゼとヘーゼルは銀色に輝く鍾乳洞に感動している。僕は見慣れたその景色を見て、ここに銀がいる事を確信したよ。


「吾輩の勘が言ってる。間違いなくここだにゃん」

「あ、僕のセリフ取らないでよね!せっかくのドヤ顔チャンスだったのにぃぃ!」

「フハハ!早押しクイズと格好良いセリフは早い者勝ちだぞにゃん!(ドヤにゃん)」


(次こそは負けないんだから!)


 それから、僕らは地下空洞を歩いて進んでいる。

 入口付近は夏の気温と雨で蒸し暑かったけど、深く進むに連れてひんやりした空気になってきて、ちょっと肌寒いくらいだった。

 さらに奥深くに進むと、なにやら影で蠢いている存在がいた。マナ心眼の視界って気持ち悪くて慣れないなぁ。


 大量に湧いているそれは、突如襲ってきた。主にヘーゼルだけを。

 逃げ場を無くした蛇魔族たちが、唯一倒せそうなヘーゼルに神風特攻を仕掛けてきたんだ。

 追い込み漁していた訳じゃないけど……なんかごめん。

 そして、エリーゼが遠当てで撫でると蛇魔族は全滅したよ。全部感電していたから、白の力を引き出した攻撃みたいだ。


(どんどん人から離れてるよ……確かに化け物かも?)


「ワールドン様!こちら、皮が良い素材になりそうですわ!お土産にしますわ!」

「お土産は大事だけど、えと……ほどほどにね?」

「わかりましたわ!全力ですわ!」


 エリーゼが手早く回収している間、ヘーゼルは腰を抜かしていた。ガタガタ震えていて、もう怖くて歩けないんだそうだ。蛇が苦手らしいよ?


「蛇と蛇魔族は別物だよ!」

「そうだぞヘーゼルよ。気にするなにゃん」

「む、無理です!ほら、歩けないですから!」

「なら、わたくしが背負いますわ!」

「いえ!結構です!歩けます!」


 エリーゼに背負われている大量の蛇魔族を見て、ヘーゼルは断固拒否の構えだったけれども、あっさりエリーゼに捕まっていた。

 蛇と一緒に担がれたヘーゼルは……失神している。ま、その方が平和的だよね!


「さぁ!ワールドン様、急ぎましょう!全力で走りますわ!」


 ドドドドドドドド……!


 巨大な地下空洞にエリーゼの爆音が反響しまくっていた。



(ほ、崩落とかしないよね?……ね?)



ヘーゼル、唯一の生存ルートを選択し、BADエンドをギリギリで回避w


蛇魔族は長くて体長1m程度で、エリーゼは20体ほど背負っています。

エリーゼの身長の数倍の大風呂敷の中に、ぎゅうぎゅうに敷き詰めてる感じです。

そこに放り込まれたヘーゼル……失神しましたw


次回は「1万2000年ぶりの再会」です。

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トラウマもんですねw なんかエリーゼ可哀想ですね〜、化け物呼ばわりを慣れているなんて
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