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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン革命の黎明期
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ギャンブルで資金繰り

前回のあらすじ

ワドが暴走し、暴走説得娘の協力を経て税金撤廃の流れを作りました。

幹部たちは税金ゼロ政策で、多忙を極めている様です。

 第1回夏コミは大盛況に終わった。


 夏コミといいつつコミックは売って無いしコスプレも無いんだけど、絵画や演奏で盛り上がっていて、皆が幸せな笑顔でいたからこれでいいんだ。

 オールレー、マーデルを主力とした演奏隊は凄いレベルになっていた。黄金聖水をフル活用して猛練習したそうだ。僕とルクルが提供したクラシックはもう全部弾けるってさ。

 ボンやバギャ、シーナの絵画も素晴らしかったな。僕も賞を取れて満足だよ。

 今は夏コミの帰りに、リゼと一緒にカール先生の店でディナーを楽しんでいる。


「なんとか夏に間に合って良かった。演奏良かったなぁ……愛の挨拶、愛の喜び、愛の哀しみ……」

「ん、とても素敵だったの。譲ってくれたあの子に感謝しなきゃ」


 ルクル達は税金ゼロ政策の対応が大変なようで、来ていないんだ。それにエリーゼ&リゼも、本当は税金ゼロ政策の公務に当たらなければならないらしい。

 そこへエリーゼが「気合いですわ!全力ですわ!」で、リゼの分まで巻きで終わらせて、僕と二人で行けるように尽力したみたいだよ。


「こうして二人きりなのは久しぶりだね。エリーゼのビデオレターを二人で見た以来だね!」

「ふふっ、そうね。この半年間は凄く忙しかったもの。来年はもっとワドとゆっくりしたいの」

「所で、ルクルとの関係はその後、順調?」


 僕が軽い気持ちでそう問いかけると、リゼは耳まで真っ赤になり、明後日の方向を見ながら語りだす。


「ん、おかげさまで。何度か我慢出来なくて、危うく押し倒しそうになったくらい順調なの」

「え!?だ、ダメだよ?法務大臣なんだから!未成年に手を出すのダメ絶対!」

「分かってる。分かってるけど、好きすぎて感情の抑制が難しいの」


 リゼは俯き、声をふるわせながら吐露している。


「えとその、ルクルの成人までは我慢してね?」

「ん、頑張る。ルクルにも成人したら『我慢しなくていい』って言われてるから、そこまでは我慢する」


(これは3年後にいきなり結婚しそうだなぁ。祝辞スピーチを考えておかなきゃ)


 食事の話題として、ルクルとの恋バナを色々と聞いたらめっちゃ惚気られたし、リゼがベタ惚れしているのは分かった。リッツが身を引いてからの二人は、凄く進展しているみたい。


「あの……ワド。リッツにはナイショにしてね?」

「うん。分かってる」


 リッツと気まずくならないように注意しなきゃね。

 と、思っていた所に新たな客として、ノワール君たちがやってきたよ。


「あ!悪逆非道のワールドン!お前なんでこんな所にいるんだ!さっさと出て行け!」

「……ここはお前のような者のいていい店じゃない」

「ドラゴンなんだから、そとで魔獣でも食べててよ」

「いやぁ~、あの皆さん?ここはワールドン様の国ですけど知ってます?」


 そこからまたもやノワール黙って3連コンボが炸裂していた。でも、僕は不機嫌になった隣のリゼを宥めるので手いっぱいだよ。

 少し遅れて、カルカンもやってきてノワール君たちのテーブルに同席していた。


「んにゃ?ワールドン様きてたのにゃ?」

「カルカンが勇者達を誘ったの?」

「そうにゃ。飲み友達なのにゃ!」

「カルカンは……あの口の悪い蛮勇のグループと友達ですの?」

「ですにゃ!良かったらリゼ氏も紹介するから一緒に飲むにゃ?」


 ヒィィ!カルカン!そのKYはあかんやつ!僕を悪く言う彼らとリゼは混ぜるな危険だよ!エリーゼだったら今頃はこの店がこの世から退室させられていたと思うから!


「結構なの。ここでの会話はあの子も聞いてるつもりで飲んでね?」

「わ、わかったのにゃ。それは一大事にゃ」


 カルカンが勇者達の所に戻り「ワールドン様の話題は一切禁止」と宣告した。うんうん。それでOK。

 彼らはファーストオーダーをさっそくしている。


「カルカン君、何にしますか?」

「カール先生、いつものにゃ!」

「承知しました。お連れの方々は?」

「さすがカルカンさんだぜ、すっげぇ通っぽいな!俺はアルコール軽めでスッキリしたので」

「……ハーブティー」

「私はカルカンさんと同じのを貰おうかしら?」

「自分はこのラオホってのお願いします」


 話に聞き耳を立てていると、注文後はリッツの話をしているみたいだ。リッツとの関係性や向き合い方を相談している。

 僕がここにいると彼らも羽目外せないだろうから、お会計を済ませてそそくさと店を後にした。

 僕だって空気を読めるんだからね!

 リゼが不機嫌なままだったから、帰り道で手を恋人繋ぎしてあげたんだ。けど、機嫌は治っても、ちょっと興奮しすぎで危ない感じだったな。


「ワドも未成年だからダメ……未成年だから……」


 リゼの繰り返しの呟きは聞こえない事にした。


(うん。夜道で二人きりの時に手を繋ぐのやめよ)


─────────────────────


 翌日。

 今日は朝から税金ゼロ政策の会議だ。


「うぅ、頭が痛いのにゃ……うぷ、気持ち悪いにゃ」


 会議に遅れたカルカンが二日酔いで辛そう。

 【伝心】した所、明け方まで飲んでいたようだ。


(お酒の香りが全く抜けてないよ?)


「じゃあー、カルカン君も揃ったから始めるねー。それで前々から水面下で進めていた娯楽の一つである、合法ギャンブルをー、税金ゼロ政策に当ててくよー」

「詳しくはこちらの資料やで」


 ルクルが会議開始を宣言し、ストローが徹夜で仕上げた資料を配布した。

 印刷の魔術具で刷られたそれにはビッシリと計画が埋まっていたな。


(ん?)


 なんかさ「ルクル様は鬼畜」って愚痴が印刷されちゃっているけど、疲れていて消し忘れたのかな?


(なんだか、ルクルのひんやり笑顔が怖いかな)


 僕は細かい収益や、その使われ方は読み飛ばして、施設内容を確認した。


─────────────────────

・カジノ施設(スロット、ルーレット、トランプ)

・ゲーム施設(ボドゲ、麻雀)

・レース施設(競馬、競艇、オートレース)

─────────────────────


 ふむふむ、中々楽しそう。僕は気になったのを質問してみた。


「ねぇルクル、競艇はどうするの?」

「実は前々からさー、ココ伯爵達に相談してたんー。だから港町ナーハで競艇場を作ろうかなーと」

「わーい!僕も乗ってみたいなぁ!(チラリ)」

「ワドワド、吾輩にも競艇場を伝心で見せろにゃん。……む、モンキーターンカッコイイにゃん!」


 ルクルは僕らを無視して勝手に協議を始めている。

 むむむ、残念ドラゴンズは放っておこうだなんて、凄く失礼じゃないかな?僕だって資金繰りの話くらいできるし?


「ウチ、競艇場の周辺の飲食店を拡充させて、観光客のインバウンドで資金繰り考えてみます」

「カジノ目的の観光客向けの旅行パックを用意してもいいかもね」


 水産省、観光省の双子が、それぞれの担当分で出来そうな事を提案していた。


「せやけど、ルクル様。ギャンブルだけでは足りまへん。黄金聖水を販売するんはダメなんか?」

「んー、ちょっとねー」


 ストローが販売を求めて、ルクルは言葉を濁しているので、僕は思わず口を挟む。


「黄金聖水は休日や有給の返上といった、社畜プラントの為の役割があるからダメなんだよ!」

「おいー!ワドー!それ内緒って言っただろー」

「あ、ごめんごめん。皆も忘れてね。てへっ!」


 危ない危ない。うっかり社畜プラントの重要機密を漏らす所だった。幹部にも内緒って言われているんだよ。だって彼らも社畜ターゲットだからさ。

 でも、ストローとバラン君は気づいたみたい。


(僕、反省)


 それから協議は進み、ギャンブル以外は輸出をメインにやっていくとの話に落ち着いた。これまで禁止していた食料品の輸出や、消毒液や化粧品、化学繊維の衣服などを輸出していく。

 お酒も高級品をメインに輸出する事が決まっている。ま、ブールボン国王が凄いお得意様だしね。

 後は、ホバーバスの輸出を見据えて、銀の最高品質マナ鉱石を早めに確保する事となった。

 一先ず、方針は定まったよ。


「じゃあー、エリーゼ様。そゆわけで外交と、諸々の締め付けを宜しくねー」

「わかりましたわ!わたくし、全力で関係者をキリキリ働かせますわ!外交にも全力ですわ!」


 他の幹部達の表情がピリっと締まったよ。

 エリーゼ主導だと、生半可な仕事では満足してくれないからね。まさに命がけの事業になるのだ。いや、誇張抜きでマジマジ。


「特にカルカン!大事な会議に二日酔いで現れるなんて言語道断ですわ!わたくしが直々に全力で教育的な指導をして差し上げますわ!」

「……はいにゃ……」


(カルカン、涙拭けよ)


─────────────────────


 それから2週間後、各施設は一先ず形になった。

 施設はどこも大盛況。

 ガトーは競艇やオートレースに夢中だし、バラン君もカード各種やボドゲで荒稼ぎをしていた。

 ……約1名、入れなくて騒いでいるけど。


「なんで入っちゃダメなのにゃ!?横暴にゃ!」


 カルカンがカジノ施設に入ろうとするのは幹部総出で止めていた。

 カルカン曰く「事業頑張ったから遊ぶ権利あるのにゃ!」と言って遊ぼうとしたからだ。

 断言できる。ボロ負けする。

 カルカンのゲームの弱さは信頼と実績があるから!


「カルカン君さー、カジノよりもお酒の方がいいでしょー?」

「ルクル氏が競艇で賭けながら、お魚料理とビールを堪能してたの知ってるにゃ!なんで私はダメなのにゃ?」

「んー、悲しいけどさー、人には向き不向きがあるんだよー。で、それ誰から聞いたのー?」

「カール先生にゃ!ルクル氏には内緒って教えて貰ったにゃ!」

「へぇー」


 なんだかカルカンのうっかり発言のせいで、カール先生が大変な事になりそうだよ。ご愁傷様。


─────────────────────


 そしてその数日後。

 結局、カルカンは競馬に手を出したみたいで、破産した。


「お馬さんなんか嫌いにゃ……馬刺しをやけ食いするにゃー……お金ないからツケで飲むにゃ」



 後日、競馬場に「カルカン様に馬券を売らない事」の張り紙が出ていたよ。



カルカンはロマン狙いなので、万馬券ばかりを買ってたみたいですが、一度マグレで大当たりしたみたいです。

そのせいもあって辞め時を見失いました……。


次回は「総理不在の獅子節」です。

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 お邪魔しています。  税金を合法ギャンブルで賄うというのは、まさにギャンブルじゃないかなあ。さあ、この後、吉と出るか凶と出るか、とても楽しみです!
[良い点] リッツと勇者くんとの関係はいかに! [一言] カルカンいい勉強になりましたね
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