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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン革命の黎明期
145/389

税金撤廃と夏コミ

前回のあらすじ

収穫祭の在り方から貴族不要論に気づいてしまったワド。

バランも折れて、ワールドン王国では貴族位が正式に廃止となりました。

「あー、ストローの相談ってさー、ワドが無知すぎて怖いって話でしょー?後で聞くよー」

「ハハハ……さすがですわ。ほな後で」


(なぬ!?僕が無知ってどういう事?)


「ルクル!僕ってばドラゴン学院で3位の成績なんだけど?無知って酷くないかなぁ?」

「んー、さっき自分の言葉で説明できなかったじゃんかー。そゆーとこだよー」

「ハハハ……ワールドン様にも後日ご相談しますわ」


 なんだか問題をすり替えてはぐらかす時の感じに似ていた。こういう時のルクルには何を質問しても無駄だね。僕も学習しているのさ。

 これ以上、追及をすると何故か仕事が増えるって知っているから。

 ストローの相談が気になるけどその日は解散した。


─────────────────────


 んで、翌日。

 例の勇者パーティーが学院前で騒いでいた。


「ねぇねぇ、これはなんの騒ぎなの?」

「あ、ワールドン様だ。おはようございます」

「ワールドン様!おはようございますだよ!」

「オハヨーオハヨー」


 プッカとコビスが色々と教えてくれた。どうやら水泳大会の映像がある事を彼らは知ったようで、それを譲るように学院生に懇願しているみたいだ。

 僕は[頑張るぞい]のジェスチャーをしながら、どこでそれを知ったのかを問い質すぞ!と、意気込む。

 そうして彼らの前に立ちはだかり、笑顔で問い詰めた。


「やぁ、ノワール君とその愉快な仲間たち。映像の情報をどこで入手したのかな?」

「あ!悪逆非道のワールドン!」

「……お前に話す事はない」

「なんでノワールの下みたいに言われないとならないの!?」

「あ、それが昨夜は、明け方までカルカンさんと飲みましてね~、そこで見せてもらったんで」


 あっさりと情報を渡したノワール君は、仲間からめちゃ吊し上げを受けていた。ノワール君は僕が心を読み取れる事に気づいて、隠しても無駄だと考えていたね。念の為、読み取っておいたから確実。


「カルカン様が何をしたの?」


 ふいに後ろから声をかけられ、ドキッとした。

 振り向くと、不機嫌そうなリッツが仁王立ちをしていたよ。


「リッツ姫!水着すごく良かったぞ!俺は悪くないと思う!あ、これにサインください」

「……姫、案ずるな育つのはこれからだ」

「そういう所に触れる男って嫌いなの。自重してよねノワールは!」

「えぇ!?自分、何も言ってないですけど!?」


 勇者パーティーの自供に、冷ややかな視線を送るリッツ。

 なんだか僕もひんやりしてきた。


「……あたしからカルカン様にはお灸を据えるね」

「う、うん。頑張って!(カルカンがね!)」

「で、レオさん達は正直に答えて。水着コンテストは誰が一番良いと思ったの?正直にね?」


 リッツからひんやりオーラが出ている。人族を辞めても良い……と、吹っ切れたリッツはちょっと怖い。


「姫様!私は姫様が一番輝いていたと思います!」

「俺は勇者だ!正直に答えるぜ!アンって女の子が良かったな。成人してるから有利だと思うが、頭一つ抜きんでてた!」

「……アン嬢だ。一人だけ成人が紛れ込んでるのは卑怯という見方もできるが現実は無常だそして大きさは正義それには誰も抗う事のできないこの世の真理そしてそれはすなわち生命の神秘で……」

「ストップー!ルヴァンさんは長くなりそうだから、手短に。あ、自分はコウカって女の子が可愛いと思いました!」


 やっぱりアンの巨乳は人気だね。ノワール君はコウカちゃんなのかぁ……ボーイッシュも可愛いよね。

 で、リッツの表情はゴミを見るような目のままだ。


「アンは14歳で未成年だから犯罪だよ?ねぇどこで成人って判断したの?で、ノワールさん、コウカは9歳だからちょっと犯罪すぎて……あたしドン引きだよ?」


 リッツは激オコだった。あ、一応ワールドン王国の法律でも、未成年へ性的に手を出すのは犯罪にしたんだよ。僕の貞操を法律で安全に守ったん!(ドヤァ)

 勇者達はワタワタと慌てて弁明を始めている。


「リッツ姫!語解だ!俺はリッツ姫のもしっかり見て堪能したからな!で、あの娘が14歳ってホント?」

「あ、自分は9歳でも全然OKかなーと」

「ノワール……あんたホント気持ち悪い」

「え?軽い冗談のつもりがマジで引かれるのは、なんかツラかったりしてますよ?」

「……人類はいや全ての生物は大きい物に惹かれてしまうのは万有引力が働いているのだから不可避な自然の摂理であり従ってかの豊満な双丘に視線が引き寄せられるのは運命というより他なく」

「だから、ルヴァンさんは誰に説明してるんで?」

「うん……ピコラさん以外の全員が、気持ち悪い変態だって理解した。学院の邪魔だからさっさと帰って」


 バッサリぶった切られて彼らは凹んでいたね。

 これなら大事にはならないだろうと思えたので、その場を去る事にした。


─────────────────────


 その後、原因を作ったカルカンの所を訪ねたよ。

 夏の日差しが強い中、カルカンは屋外で夏コミの会場作業をしていた。夏の虫の鳴き声がけたたましく響いているので、少し大きめの声で呼び出す。

 するとすぐに反応があった。


「ワールドン様!大声が頭に響くにゃ!すぐそっち行くにゃ。うぷ……気持ち悪いにゃ」


 カルカンが足元をフラフラとさせながら近寄ってくる。

 なんだかお酒臭いな。飲みすぎだよ?


「カルカン、随分と飲んだみたいだね?勇者達と仲良くなったの?で、水着コンテストの映像を見せたの?ん?」

「トスィーテの見た目で、勝手な事するガトー様の相談に乗ってもらってたのにゃ。何かダメでしたかにゃ?」


 カルカンは何がダメなのか、全く分かっていない表情をしている。

 そうだ。KYのカルカンにこういう事を期待しちゃダメだった。


「カルカンはKYだしなぁ」

「そんなに褒められると照れるのにゃー」


 なんだか会話が噛み合わないので【伝心】で読み取ると、意味を問い詰められたルクルが、咄嗟に褒め言葉だとウソをついている様子が読み取れた。


(カルカンさぁ……騙されてんじゃん!)


 これ以上の追求が無駄だと分かったので、僕は話題を変えた。


「どう?夏コミの準備は?順調?」

「アル氏が不在で困ってるにゃ。思ったよりもお金かかったから追加予算が必要にゃ」


 カルカンは項垂れながら、首をフルフルと振っていて、財務大臣の居ない影響が出ていると言う。


「ルクルに相談はしたの?」

「ルクル氏も新設されたギルドが多くて、余裕無さそうにゃ」

「まぁまぁ、僕に任せてよ!」


 僕が鼻息荒くドヤ顔を決めていたら、近くで作業していたボンが、不安そうに近寄ってきた。


「ワールドン様?何するんで?あっしは何か嫌な予感しやす……旦那に相談した方が良いって思いやすぜ?」

「大丈夫!経理ギルド作るだけだから!(キリッ)」

「これきっとダメなやつにゃー」


 2人からしつこく説得されて、渋々ルクルへ相談する事にしたよ。ルクルの執務室を訪れると、なぜだか既にストロー、バラン君、ついでにガトーまで集まっていた。


「ボンのファインプレーだねー」

「なんて恐ろしい事しやんのや……危ないで?」

「そんな簡単に予算追加できたら、最終的にお金なくて困る事になりますよ?」

「お金なかったらアルに工面して貰えば良くない?」

「吾輩が思うに、ワドは税金の仕組みを良く知らないと思うにゃん」


 なんか僕が無知過ぎるって話になってきた。

 僕だって税金くらい知っているから!


「税金って良くない物だよね?ザグエリの村人達も辛いと愚痴ってたから無いのがいいんだよね?……ん?どしたん皆?僕が知的すぎて言葉も出ないの?ぷぷぷ!」

「KYだねー」

「KYですわー」

「KYですな」

「ワドよ……カルカン並みのKYだぞにゃん」


 どうやら僕の発言が、あまりに常識知らずで反応に困っていたみたい。KYと言われて凹むなぁ。


「ほな、ワールドン様にも分かるように簡単に説明しますわ」


 ストローがホワイトボードを使って、ワールドン王国の税金の使われ方を説明してくれた。

 だいたいこんな感じ。


 幹部の生活費、外交関連の接待費用、インフラ事業費、公共施設各種や役場ギルドの運営費、輸送や情報部隊の活動費、魔術具開発部隊の活動費……etc.

 なんだか後半になるにつれて、細かすぎて訳が分かんなかった。

 でも、色んな事に使われている事は分かった。


「でもでも、僕らのマナ鉱石を売ればお金はバンバン確保できるでしょ?」

「はぁー、あのなーワドー、それはダメなんよー」


 マナ鉱石を売ったお金だけで運営するのは、ダメだとルクルから諭される。

 マナ鉱石を売り過ぎて価格が暴落したら、どうしようも無くなると。

 だから需要が減った時に備えて、他の財源も確保しておく事は絶対だと念入りに説明された。


「んんん、でもやだな。僕とガトー以外のマナ鉱石を売ればいいし?なんだったら黄金聖水や竜鱗を売るとか?とにかく国民が税金で苦労するのはヤだ」

「ワドは我儘フリーダムだにゃん」

「ガトーそれさ、おまゆう案件だから!税金はとにかくダメ絶対!撤廃一択だから!」

「あのなーワド……」


 僕は諭そうとするルクルを華麗にスルーして、拳を掲げて宣言する。


「ワールドン王国は税金ゼロを政策で行くから!」

「そら無理やで?」

「流石にそれは……」

「はい!ストロー死んだー!バラン君も死んだから!僕、早く折れた方がいいと思うかな?」

「ま、まさか……」

「今日はリゼじゃないんだよ!既に呼んだから!」


 ドドドドドドド……バン!


「お呼びですか!?ワールドン様!わたくしが説得するのはどなたでしょうか!?」


 そこからは円滑に、そして建設的に、税金撤廃へ向けた本格的な議論が行われたよ。

 ウンウン、皆分かってくれて嬉しいな!

 でも、ガトーからの【伝心】説教がウルサくてさ、久しぶりに伝心ブロックしてやったよ。

 なんか「アルが居ないことでの一番の弊害」と言われてイラっとしたから。



 そんなこんなで予算が潤沢に確保できて、夏コミをつつがなく迎える事が出来た。

 全部が僕のおかげなのさ!(ドヤァ)



カルカンは本気でKYを褒め言葉だと捉えています。

ワドに対してカルカンがKYと言ってたのも褒めていたのです。


次回は「ギャンブルで資金繰り」です。

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[良い点] ルクルがまた酷使されそうな予感… [一言] やっぱり勇者パーティー好きだな〜、勇者くんはリッツを褒めれて偉い!
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