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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン革命の黎明期
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冒険者を作ろう

前回のあらすじ

自称勇者達がストーカー化して、ありとあらゆる迷惑行為をかけていました。

それを相談していた所、ルクルは勇者達にリッツを連れ帰る許可を与えます。

リッツは泣いていました。

 エリーゼ&リゼにリッツの件は相談したよ。


 二人とも快く請け負ってくれて、それとなくフォローしてくれると言っていた。エリーゼの方はそれとなくじゃなくて全力だと思うけど。

 そして、今はガトーの部屋に相談に来ている。ルクルに内緒で相談する為だよ。

 ガトー宅は相変わらず狭いね。


「あ、それでさガトー。ルクルが勇者達に要求している魔獣素材ってどんなん?」

「そうだな。色々あるが、治癒の能力を持つ魔獣素材とかが多かったにゃん。あと貴重な薬草にゃん」

「……僕の治癒は要らないの?」

「病気の治癒に使うみたいだぞにゃん?リッツみたいに拗ねるなよにゃん」


 そっか……冷静に考えれば正しい提案だけど、実際に「要らないのかも?」って情報は心に結構刺さるんだな……


「ルクルが気にしてるのは、ワールドン王国に病院がない事だぞにゃん」

「え?港町にはあるよ?」

「王都にはないだろ?それに港町の方も医者が軒並みカービルに戻ったから困ってるみたいだぞにゃん」


 そうだったのか……知らなかったな。

 僕が病気を癒せない、というかむしろ症状を進行させてしまう能力だから、病気の対策を検討しているみたいだ。港町は医師不足に陥っているのもあるけど、元々カービル帝国領から仕入れていた魔獣や薬草の供給が止まった為に、薬品の不足が顕著らしい。

 その対策の一環のようだった。


「案ずるなワドよ。この件はストローも動いているし、ルマンドやモンアードも動いているにゃん」

「え!?いつの間に?」

「ストローと一緒に噂を再布教へ向かった時に、実は依頼されてたんだにゃん。それにワドが無力感を覚えるから黙ってろと言われたにゃん」

「今……まさに無力感に打ちのめされてるんだけど?」


 でも、皆が協力して動いていた事には安堵した。

 それに思いついたんだ。

 あの自称勇者達だけにお薬の材料を任せる必要は無いんじゃないかって。それで御前会議を行う事にしたんだ。

 僕の部屋に久しぶりに幹部が全員集合する。


「えとえと、それでは重大発表をするよ!」


 僕がそう宣言したんだけど、いまいち締まらない。


「ぷはー旨いにゃー!新作のDank IPA最高にゃー!」

「吾輩もこの味と香り好きだぞにゃん?ワドも早くこっちきて飲むにゃん!」

「それ、私が造ったんですわ。お気に召したようで何よりやで」

「ストロー氏のビール最高にゃー」


 締まらないのは、一部、既に酒盛りを始めているからだよ。

 ちょっと君達。ん?なんだか寒気が……


 部屋に突風が巻き起こり、部屋の水が全て宙を舞った。再び地面に落ちた時、激しい水音が部屋中に響いている。エリーゼが正拳突き残心を決めていたよ。


「ワールドン様がお話になられているのに不敬ですわ!そこの呑兵衛達はこの部屋から退室するか、この世から退室するか選びなさい!」


 そのセリフを聴いた瞬間にカルカンは素早く退室していった。混乱していたストローとヴェスト、クラッツも慌ててカルカンを追いかける。


「エリーゼ、ちょっとくらいお酒が入った方が会議は円滑に進むぞにゃん?」


 すかさず轟音と共に第二発目が放たれた。部屋の水は天井付近まで巻き上げられて、今まさにシャワーとなって降り注いでいる。


「ガトー様であっても、ワールドン様への不敬は許しませんわ!退室してなさい!」

「……はいにゃん」


 ルクルやボンは普通にしているけど、テトサとバラン君はめちゃガタガタ震えていた。ポポロは既に白目向いて気絶している。

 あ、アルがフォローに向かったよ。


「エリーゼ、暴走はダメだよ?」

「ワールドン様……わたくし……」

「ダメだから。後で皆に謝ってね」

「かしこ……まりましたわ……」

「じゃあワドー、話を再開してよー」


 間髪入れずにルクルが話題を被せてきた。

 何か焦っている?

 ひょっとしたらこの流れは台本に無かったのかも知れないな。

 僕も、エリーゼがガトー相手に暴走するのは意外だった。どうしたんだろう?

 気を取り直して、僕は議題を述べた。


「僕が提唱するのはね、ズバリ!冒険者を作るって事だよ!色んな素材収集を依頼するんだ!」

「じゃー、そういう事で皆も決定でいいー?」

「ちょっと待ってください!ワールドン様、ルクル、冒険者とは?それの仔細をお伺いしないと……」


 本日、三発目が放たれました。

 アルは至近距離まで来た自分の姉を見て、ガタガタと震えていたよ。


「アルフォート……ワールドン様のご意見に否を唱えるとは……死になさい!」

「待ってエリーゼ!」

「はい!ワールドン様!全力で待ちますわ!」


 どうもエリーゼの様子がおかしい。

 そこにおずおずとマイティが小さく挙手をしてきた。


「マイティ!何があったか知ってるの?」

「いえ、私も直接は把握していないのですけど、リッツとエリーゼお嬢様がお二人で話をされた時に、例の媚薬を飲まれたのではないかと……」

「わたくし、飲みましたわ!もう一人のわたくしのお気に入りですけど、リッツの為ですもの。後できちんと謝りますわ」


(え!?本能の抑制が効かない状態って事!?めちゃヤバいじゃん!)


「ワドー、エリーゼ様にリゼに変わってもらうようにお願いしてくれるー?」

「う、うん。あのねエリーゼ。ちょっとリゼにも意見を聞きたいから代わってくれる?」

「はい!わたくし全力ですわ!御前失礼致しますわ」


 バシャーン!


 激しい水しぶきをあげてエリーゼが倒れた。

 テトサとバラン君が本格的に怯えている。


「ウチ……ウチ、もう無理です……ごめんなさい」

「エ、エリーゼ嬢は一体どうなされたのか?」

「姉上……姉上が姉上が……」


 アルは昔のトラウマが蘇っているみたいだ。これじゃフォローは期待できないな。そんな事を考えていたらリゼが起きた。


「……これは一体どういう状況なの?」

「お嬢様、私からご説明致します」


 マイティが説明を買って出てくれた。詳細を説明してリゼも状況把握できたみたいだ。


「ワド……ごめんなさい。皆もごめんなさい。今後こういう事が無い様に、リゼからきつく言っておくから」

「う、うん。よろしくね」


 2時間後に仕切り直して、そこで改めて全員で協議する事になったよ。呑兵衛達も再合流した際に、僕がブレスで半日ほど新陳代謝させてお酒を抜いておいた。


「リゼ様……ウチ、怖かったですぅ……」

「テトサ、ごめんなさい」

「あれが噂の暴走状態ですか……初めて見ましたが生きた心地がしませんでしたよ」

「バラン卿、ごめんなさい」


 さっきからリゼは謝りっぱなしだった。退室していた呑兵衛達も混乱していたな。


「カルカン様が素早く退室されたから、ただ事じゃないと思って直ぐに出ました」

「せやで、酔ったカルカン様が素に戻るんはよほどな事や思って慌てて追いましたわ」

「俺もですわ。ここにおったら死ぬ思いましたわ」

「残ったのがガトー様以外だったら絶対死んでたにゃ」

「わ、吾輩も怖かったぞにゃん……先に教えておいて欲しかったにゃん……」


 ヴェストは判断が早いね。ストローもクラッツもその様子を見て、ただ事じゃないと思ったみたいだ。


 全員揃ったので、改めて冒険者について説明する。

 ストロー、バラン君、ガトーの質問に対し、ルクルと僕が応じる形だ。冒険者ランクとクエスト毎の受注ランクといった所まではすんなり話がまとまったよ。


 まだ、アルは立ち直れていないみたいだ。

 あの時のエリーゼは本当に殺意しか無い目でアルを見ていたから、死の恐怖を刷り込まれたんだと思う。


 アル抜きでどんどんと話は進む。

 話題は冒険者の管理方法や、依頼の出し方。それから依頼達成判断の基準。そして不正行為に対するチェックや厳罰についてへと移っていた。


「不正行為はホリター家の秘薬で判別可能だと思うの。お兄様に掛け合ってみるから任せて」


 素材に特殊加工を施して騙そうとしたりする事は、それらを判別するのに適したものがあるらしい。

 虚偽の報告に関しては、僕やガトーが【伝心】で問い質すしか無いけど、よほど悪質な常習犯以外は一定数は仕方なしという判断になった。


「ぼ、僕の国民にそんな悪質な人はいないと思う!」

「まぁー、最初の3つの村の人達はそうだろうねー、でもさー、港町の住人まではそうもいかないよー」

「皆、話せば分かってくれるよ!」

「ワールドン様、世の中そんなに綺麗事だけではすみませんよ?」

「せやせや、用心に越した事はあらへんで?」


 ルクルだけじゃなくて、バラン君やストローまでもが悪人対策が必要と主張している。更にリゼとガトーも必要性を告げてきたんだ。


「ワド……仕組みを作るとそれを掻い潜って不正に利用しようとする人は必ず出るの。だから対策は考え続けなきゃダメなの」

「吾輩もそう思うぞにゃん?ワドのお気に入りのモンアードだって騙してただろ?皆が仲良くってのは理想だが、難しい部分もあるぞにゃん」


 僕、国民を疑うってヤだな。

 出来れば信じてあげたいんだけど……皆の意見を聞く限りでは、難しいんだろうなとは思った。

 それからも色々な意見が出て、なんとか冒険者の骨組みみたいなのが出来てきた。それに冒険者ギルドを作って管理する事になったんだ。やっとギルドが出来たからギルドマスターに管理を依頼すると……


「えー、なんか俺の仕事だけ凄く増えてないー?」


(いや、今までのギルド無いのにギルドマスターだけいるのが異常だったんだから!)


「ルクル氏!皆で手伝うから頑張っていくにゃ!」

「リゼも手伝うの。何でも頼ってね」

「ウチも仲居の子に受付嬢やってくれないか頼んでみます!ルクル様、頑張りましょう!」

「えー?なんか外堀が埋められてるのー?」

「ルクル、観念してやろうね。僕も手伝うから!」


 こうして、冒険者、冒険者ギルドが発足する事になった。ルクルはそのままギルドマスターとして就任する事になっている。ラノベやアニメの知識をフルに活かして上手く運営して欲しいよね。



 新たに冒険者が作られる一方。

 それと前後して、内閣総理大臣のアルが失踪した。



かなり久々のエリーゼ暴走回です。

その恐ろしさを充分に知っているカルカンは真っ先に逃げました。ガン逃げです。

酔いも一瞬で醒めたようですよw


次回は「役場じゃなくてギルドだよね」です。

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 お邪魔致します。  いよいよ冒険者の誕生でしょうか? これでギルドマスターの仕事が増えて、ルクルが大変になるんじゃないかなあ?
[良い点] おぅ…怖いですね! [一言] 例の媚薬って何でしょうか?気になりますね〜!
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