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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
娯楽を充実させよう
134/389

自称勇者の襲来

前回のあらすじ

リゼとルクルの初デートを応援する為に、ワドは映画館を作りました。撮った映画も大好評です。

新たに、ラコア将軍の出奔と、勇者パーティーが港町に到着したという情報を得ました。

 港町ナーハにいるジャックの部下から、鉱石ラジオの魔術具で報告があったとの事。


「自称勇者は4人パーティーで、大剣使いのリーダーと、他3名。内、1人は女性です」

「他の3人の武器やスタイルは調査してるー?」

「はい。2丁拳銃の男と、ライフルでの狙撃を得意とする男、ガントレットの格闘スタイルの女という構成です」


 ふむふむ。たった4人だと大した脅威では無いかな?エリーゼが対応するんかな?


「じゃあー、予定通りカルカン君を撃退に当たらせてねー。ラコア将軍の件はルマンド様に報告しといてー」

「承知しました」


 ジャックはルマンド君へ報告する為、すぐに退室していったよ。僕はルクルに質問する。


「ルクルルクル、エリーゼに対応させるんじゃないの?」

「んー?だってエリーゼ様だと周囲の被害が甚大でしょー?それにさー、今日はリゼの日だよ?」

「そっかぁ……女の子の日だもんね」

「ちょっとーワド。それ誤解生む表現だからねー。それにエリーゼ様も女性だよー」

「だってだって、エリーゼは強すぎて、もうドラゴン枠でもいいかな~と思っちゃうし?」


 ルクルからジト目で見られた。な、なんか余計な事を言ったみたい。僕は慌てて話題を変えた。


「でもでも、帝国の襲撃と比べると人数少ないし、楽勝だよね!」

「そうでも無いよー。彼らの評判からすると、1人1人が前回の約250人より強いらしいしー?」

「ふぇ?そ、そんな強いの?それならカルカンだけじゃ無くて、僕も出るべきなんじゃ無いの?」


 ルクルは人差し指をチッチッチと振った。


「なんかさー、ドラゴンへの特効武器を持ってるらしいんよねー。ま、ワド達に効くとは思えないんだけどさー」

「僕、再生能力高いから大丈夫だよ!」

「ワドが傷つくかも知れない事をリゼ達が許すと思うのー?」

「なんかリゼだけ特別扱いなのがムカツクよ!」


 ルクルは明らかに動揺して、誤魔化し始めた。

 フレーバーティーのカップを持つ手が震えているよ?


「でも、カルカン1人だと危険じゃないの?」

「んー?ガトーが大軍とか、狙撃じゃ無ければ大丈夫って太鼓判くれたよー」

「ま、そだよね……ってさっき狙撃の人いるって言って無かった!?」

「あ……」


 ルクルが珍しくやらかしたみたいだ。めちゃ動揺している。


「でも、こっちから仕掛けるから大丈夫……だといいなー……って暢気に話してる場合じゃないー!ワド!カルカン君に伝心!」

「オケオケ任せて!繋ぐよ!」


 バン!


 カルカンに【伝心】(    )しようとしたら、ノックも無しに勢い良くドアが開けられた。


「話は聞かせて貰ったにゃん。吾輩がカルカンの援護に向かってやるぞにゃん!」

「伝心で盗聴しただけだろガトーは!それに援護に向かうって、単にバイクをお披露目したいだけでしょ!?」

「ふっ……バレてしまったようだにゃん(ニヤリ)」

「漫才はさー、カルカン君の安全を確保してからにしてくれるー?」


 ガトーはドラゴン省大臣の就任記念に支給された、ガトー専用ホバーバイクを自慢したくてしょうがないんだ。でも、ルクルから割と強めの非難が入った。早くカルカンの援護に行かなきゃ……と思ったら、ガトーから手で制される。


「カルカン、既に戦闘入ったみたいだぞにゃん?」

「ガトー!急いで救援に向かってーほら早くー」

「カルカン、飲んで無いみたいだから大丈夫だろにゃん。相手は強いがカルカンだぞにゃん?」


 ガトーはバイクで駆け付ける以外はしたく無いようだ。僕は慌ててメタモルフォーゼして準備する。


「カルカンを助けてくるね!エターナルウイング!」

「ワドー!任せたー!」


 僕はリミッターを解除して、全速力で空を飛ぶ。普段の50倍速で飛んだので、約400km先の港町ナーハまで一瞬で辿り着いた。


「ワールドン様!いきなり辺りの光量が変化したから何事かと思ったにゃ!」

「カルカン、ごめんね。あれ?勇者パーティーは?」

「そこでノビてるにゃ」

「うぅ……ぐぁ、クソっ!」


 そこには悔しがっている勇者パーティーのリーダーと、気絶している仲間達が転がっていた。


「ひょっとして楽勝だった?」

「そんな事ないにゃ。ガトー様からの忠告があってギリギリにゃ。狙撃は厄介にゃー」


 そう言っているカルカンは傷一つ負っていない。

 一先ずガトーに【伝心】(    )を繋げた。


『ガトー!一体どうなったの?』

『ワドワド、能力解放する時は、先に教えてくれにゃん。いきなり暗くて焦るにゃん』

『あ、ごめんごめん。僕もテンパっちゃってさ』


 僕がリミッター解除すると、光が僕に吸い寄せられるんだ。昼なのに周囲は夜みたいに暗くなって僕に光が集約されるの。まぁ、赤、青、銀に比べれば被害は軽微だよ。


『それで、勇者とはどうなったん?説明モトム!』

『伝心で丸ごと共有してやるぞにゃん』


ーーーカルカン vs 勇者パーティーVTRーーー

「私はカルカンにゃ。この国の防衛大臣をしてるにゃ。何用で来たのにゃ?」

「俺はレオ!悪逆非道のドラゴンから、民を救う為に立ち上がった勇者だ!」

「……ルヴァンだ」

「ピコラよ!」


 あと1人の黒ずくめの男は後退りながら、不本意そうに口を開いた。


「あー……名乗る必要あります?」

「敵であっても礼節を忘れるべきじゃない。彼はノワールだ」

「って事です。よろしくー」

「わざわざご丁寧にどうもですにゃ」


 カルカンもペコリとお辞儀をした。


「残念ですにゃ。ワールドン様の敵は撃退しないといけないのにゃ。できれば友達になってお酒を酌み交わしたかったにゃ」

「カルカンさん、今からでも俺らにつかないか?」

「そんな事したら、エリーゼ様に殺されるのにゃ」

「……噂の問題令嬢か」

「私が蹴散らすわ!」


 カルカンはブルりと体を震わせる。


「悪い事は言わないにゃ。今日の内に退去するにゃ。エリーゼ様の日だったら擁護出来ないのにゃ」

「そんな見え透いた説得には応じられないな!俺らは勇者なんだ!引くことは出来ない!カルカンさん!あんたとは出会い方が違ってたら飲み仲間になれたかもな!」

「……問答無用。参る」

「困ったにゃー。いい人達なのにゃー」


 ルヴァンという男から居合のような早撃ちがカルカンに放たれた。カルカンはなんでも無いかのようにその弾丸を撃ち落とす。


「……な!?」

「ハハハ!カルカンさんすげーな!俺も行くぜ!」

「レオ、援護するわ!」


 大剣使いのレオがカルカンに斬りかかる。避けたら避けたで、ピコラという女の蹴りが連続で放たれる。


「良い連携にゃ。でも甘いにゃ!」


 カルカンは大剣を躱しつつ、使い手の利き腕に反撃を入れていた。女の二段蹴りも初撃を回避して、2撃目を踏み込んでガントレットで太腿をはたいて転ばせた。そしてルヴァンから追加の銃撃を同時に撃ち落としている。


「……尋常では無い使い手だ」

「そっちのカウンター狙いもスキが無くて凄いにゃ」

「……見抜かれてたか」


「くっ、まだよ!レオ!ダメージは!?」

「右腕は使い物になんねーな!あと、光マナが弾丸に込められてたみてーだ。目が見えん!ナビ頼む!」


 ピコラという女が格闘戦しながら、位置取りや行動を指示し、それに合わせて左腕一本で大剣を振るっているレオという勇者。カルカンが銃を撃つ瞬間を伺うルヴァンという銃使い。

 カルカンもいなしてはいるが、カウンターを警戒して攻めきれない。一進一退の攻防が続く。


『カルカン、北東の建物の屋上に注意だにゃん』

「わわっ!?ガトー様!?」

「何か動揺してるわ!畳かけるわよ!」

「おう!」

「……了解」


 ピコラの素早い連撃と、ルヴァンの銃撃で回避先を誘導されたカルカン。そこにレオの大剣が薙ぎ払いで迫る。カルカンは危機一髪、ジャンプで回避した。

 その瞬間に北東から銃声が響く。カルカンも予測していたようで、切り札の2丁と空中で入れ替えて迎撃していた。


「ノワールが外したの!?」

「……信じられん。2発叩き込んで、ライフルの弾を撃ち落としたぞ」

「マジかよ!?カルカンさんすげーな!」

「撃つ瞬間までマナの流れ感じさせない凄腕にゃー。ガトー様、助かったにゃ」


 次の攻撃に移ろうとした瞬間、辺りが急速に暗くなり出した。


「……これは一体?」

「どうした!?何が起こったのか実況してくれ!」

「変よ!一瞬にして夜になった!」

「マジかよ!それじゃノワールでも狙えないな!カルカンさんの罠かい?」

「なんにゃー!?これ!?」


 目が見えないレオは事態が飲み込めないようだ。急な闇夜に全員の目が慣れていない。でも、カルカンはピコラとルヴァンを即座に無力化した。


「……不覚」

「きゃあ!や、やられたわ!私も目が見えない!」

「驚いてみせたのは、フェイクかい?カルカンさんよぉ!」


 仲間の声と、銃声の位置からカルカンのおおよその居場所を割り出して、無軌道な連撃を繰り出すレオ。カルカンは第2の切り札を使った。


「マジでビビったのにゃ。でも暗くてもマナは見えるにゃ。それから音に注意にゃ」


 キィーーーーーーーン!


 強烈な音が炸裂した。カルカンの切り札である音響兵器だ。

 その音に驚いて動きを見せた狙撃手。カルカンは2つの銃を連結させて、マナ出力をあげて即席のライフルを用意。それで見事にノワールを一撃で仕留めた。


「ぐぁああぁあ!」


 レオも三半規管がやられたのか、バランスを崩しその場に転がった。至近距離で音を聞いたピコラとルヴァンは、既に気絶している。


「耳栓つけてても、頭痛が酷いにゃ。あー早く帰ってお酒飲みたいにゃー。ん?あれワールドン様にゃ!」

ーーーカルカン vs 勇者パーティーENDーーー



 駆けつけた時には既に終わっていた。一応、目眩ましの無自覚アシストが決まった?のかな?



久々の戦闘回ですね。

漫才ドラゴンズとエリーゼは強すぎるのでステイ。

勇者パーティーは、かなりの強さですがカルカン+ドラゴンズサポートで勝てました。


10章「娯楽を充実させよう」の本編はここまで。

今回の別キャラ視点の閑話は4話予定です。


・方針を変更する羽目になったトカプリコ視点

・世界情勢に振り回される復讐女のラコア視点

・新たなセカンドライフを見出したカール視点

・闇鍋パーティーする事になったカルカン視点


となります。


次回はアジャイン・トカプリコ視点の「閑話:陛下の失脚プラン」です。

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