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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン学院
107/389

国営の無償学院

前回のあらすじ

初日の出を体験して、新年祭の昼の部のカラオケでカンスト値を叩き出したワド。

エリーゼは午後の部をリゼに譲る為に睡眠薬を飲んで倒れました。

 会場に戻ったらココ伯爵達が挨拶に来たよ。


「ワールドン様、新年祭は初めてなのですが素晴らしいですなぁ。なぁノサト卿」

「ワールドン様、素晴らしい美声でした。カラオケとは良い物ですな。のぅノヤマ卿」

「歌える曲があったら参加して良いからね」

「「はい是非に」」


 ココ伯爵達は港町オルタの歌を歌っていて、カール先生はメイジー王国の麦の歌を歌っていた。色んな曲が、万遍なく入っている。


「お次はアルフォート様です」


 司会役に呼ばれたアルは、ブールボン王国の国歌を歌っていた。リゼが選曲に文句を言っているよ。


「はぁ……アルはツマラナイですの」

「そう言うけど、知ってる歌じゃないと難しいよ?」

「んー?じゃあさー、ワールドン王国の国歌を作っちゃうー?」


 ルクルが国歌とか余計な事を言うから、周囲の目がギラギラしているじゃん!


「リゼは賛成ですの!ワドを讃える歌を歌いたいの」

「シュコー!シュコー!シュココー!」

「ワールドン様が考えた歌を歌ってみたいにゃー!」

「吾輩にも専用国歌が欲しいぞにゃん?」


 ガトーは居候なのに……【2人はブラドラ】のOP曲と考えれば有りか?いやいや無いから!そんな新番組ありませんから!


「ワドはどんな国歌にしたいのさー?」

「うーん、僕としては連動の歌みたいな、バラードでファルセットが綺麗なのがいいかなぁ?」

「いいんじゃないー?俺もEDの方が好きだよー」


 リゼがじっと僕を見つめながらお願いしてきた。


「聞きたいの。ワド、歌ってくれる?」

「カラオケに入ってないよ?」

「構わないから。リゼが聞きたいの」


 リクエストされてしまったので、【伝心】(    )でカラオケBGMを流しながら連動を歌ったよ。歌い終わってリゼを見ると、涙を流していた。


「リゼ?大丈夫?」

「言葉は分からないの。それでも心に響いて涙が止まらないの……」


 泣き止まないので、僕は会場からリゼを外へ連れ出したよ。


「どう?落ち着いた?」

「ごめんなさい……せっかくの新年祭なのに」

「全然いいよ。そうだ、そろそろ日没だよね?夕日を見に行こう」

「山があるからもう見えないの」


 僕は立ち上がって、リゼに手を差し伸べた。恐る恐る、リゼが僕の手に触れる。僕はリゼを引き寄せて、お姫様抱っこをしたよ。


「出会った頃にも抱っこしたよね?」

「ん……鮮明に憶えてるの」

「ゆっくり飛ぶね」


 僕は人形態のままで足元のマナ力場を調整し、高度を上げていく。西の山の標高よりも高い所まで来た。ちょうど夕日が地平線の彼方に沈み始めた所だ。


「この景色を見てるのは、僕とリゼの2人だけだよ」

「……嬉しい」

「外交周りの時に信じてあげられなくてごめんね。でも、2人きりでも大丈夫だから……一緒にいてね?」

「~~~~っ!ワド……リゼは……リゼは……」


 リゼは言葉に詰まっていたけど、僕は夕日を眺めながら言葉を待った。

 リゼから2つの告白をされたよ。


(やっと言ってくれたね。僕、待ってたよ)


「勿論、許すよ!リゼが幸せになっちゃいけないなんて事は全然無いから!」

「ワドも大好き……ルクルも大好き……そんなの本当にいいの?」

「僕は、リゼが素直に告白してくれた事が嬉しいよ」

「~~~~~っ!……はぁ……はぁ……降りましょう……リゼの理性が限界なの」


 やり過ぎだった?でも、僕の本当の気持ちだから仕方ないよね?

 僕はゆっくりと降りた。皆の所に戻ろうとしたら、リゼが「お風呂に行くから戻れない」って言い出したよ。


「ね、どうしても戻れないの?」

「今はちょっと……お風呂に入りたくて……」

「じゃあさ、僕も一緒に入るね!」

「~~~っ!こ、困るの!」


(リゼが困るのは嬉しい時なんだよね?ならヤメてあげないよ!)


 僕らは温泉の所まで来た。皆は会場にいるから、2人の貸し切りだ。


「観念して一緒に入ろうね?」

「わ、分かったから先に入ってて、ちゃんとリゼもいくから」


 僕は先に入ってリゼを待つ。少し遅れてリゼが来たよ。2人で温泉に浸かっている間、終始無言だった。

 リゼの顔はずっと真っ赤だったから、のぼせていたのかも知れないな。

 温泉から上がった後は、2人でずっと話をしていた。国の話じゃなくて、本当にただの友達として楽しく話した。


「えー!リッツと一緒にそんな楽しい事してたの!?僕も交ぜてよ!」

「ふふっ、ワドが協力してくれるなら頼もしいの。今日はリッツとマイティがガードしてるの」

「僕もアンのお胸は絶対に死守するよ!」


 僕もアンのガードマンに選ばれた!めちゃ楽しそう!しかもルクルがいい気味だよ!

 夜更けまで話し込んで、マイティが来て解散した。

 今日一日でリゼと凄く距離が近くなったね!嬉しいな!

 謝る事も出来たし、とても充実した新年の始まりの日だったよ。


 ……ドドドドドドドド!


 翌日、エリーゼが突進してきた。


「ワールドン様!惜しいですわ!とても惜しいですわ!もう一声ですわ!」

「な、なんの事?」

「だから言えませんわ!」


 そう告げると猛ダッシュで去っていった。一体なんなの?

 それから僕はガトーと一緒に朝食を食べているけども、リッツはまだ防護服を着たままだね。

 だから【伝心】(    )でリッツも会話に交ぜて、ガードの件を相談したよ。


ーーーアンのガード相談伝心VTRーーー

『リッツ、ガトーにもアンのガード任せてみない?』

『ワールドン様とガトー様が協力してくれるのなら、心強いです!』

『ガードとはなんだにゃん?』


〜〜〜ガードミッション、説明中〜〜〜


『あの鬼畜だけ見れないのは気分いいな!吾輩も協力するぞにゃん!』

『ガトー様、あくまでさり気なく自然に振る舞うの!本当に大丈夫!?』

『おう!任せろよにゃん!』

『僕もやるよ自然な光ガード!』


『はあー、この2人お調子者だから、絶対に失敗するなー。後でリゼお姉ちゃんに相談だよ』

『おーい、リッツ、伝心だからダダ漏れだよ?』

『お調子者とはなんだにゃん!』

『あ、ヤバい!伝心ってどう切るの!?この頼りない2人に本音は聞かせられないよ!』

『『おい!』』

ーーーアンのガード相談伝心ENDーーー



 くっ……ガトーだけじゃなくて、僕もお調子者と思われていたのが、思いの外ショックだよ。

 それはそうと明後日から学院が始まる。それまでに重機の仕事を終わらせないとな。


「ガトー……この食事が最後だよ。これから2人はブラドラだから……」

「む、まぁガトー専用ホバーバイクの為にはやむ無しにゃん」


 アカン。

 ガトーも社畜脳になってしまった。飴と鞭は恐ろしいな。

 食事を終えて、ココ伯爵達に挨拶だけしてから、インフラ整備の運搬業務を不眠不休でこなした。

 それで、終わった事をルクルに報告しにきたんだ。


「お疲れー!あ、ガトーにはいい話あるんだけどさ、伝心で見てくれないー?」

「なんだにゃん?…………にゃーーー!この遊園地っての楽しそうにゃん!吾輩も遊びたいぞにゃん!」

「勿論だよー!それでねー、作るのにマナ鉱石がいっぱいいるんだけどさー」

「幾らでも作ってやるぞにゃん!作業場はどこだにゃん?」


 あ~あ、ガトーがルクルの毒牙にかかったよ。このままここにいると、僕まで飛び火するから逃げよっと!

 ……って事で、正式開校の初日である学院へ視察に来ていた。

 人数も少なくて、講師もまだカール先生しかいない。

 けど、ここまで隠すの大変だったな。


ーーー生徒に内緒コッソリ再現VTRーーー

「今日の授業はここまで。何か質問はありますか?」


 マーデルが「はい」と挙手をする。


「何でしょうかマーデルさん?」

「最近、筋肉質な男性の出入りが多いので気になります。あとエリーゼ様とマイティさんが……」


 カール先生は、言葉を被せ注意を始めた。


「質問は1つずつお願いしますね。ガタイの良いお兄さん達については、トイレの下水道工事ですよ」

「はい、下水道とは何ですか?」

「プッカさん、良い質問ですね。バイオトイレの欠点は分かりますか?」


 プッカの質問を題材として、新しい問いを投げかけるカール先生。

 すると、メルが回答の為に挙手をして立ち上がる。


「はい、微生物が分解できる以上の排泄物がたまると処理が間に合わなくなる」

「正解です。今後の学院生が増えた時を見越して、大丈夫なように準備してるのです」

「えー!そんなに増えないよ!だってここにいる生徒で、子供はルクル様以外は全員だよ?」


 コビスは周囲を見回しながら、増えないと言う。


「コビスさん、最近にマーデルさん達4人が加わりましたよね?このように他国から生徒が増えるのです」

「分かった!増えるの楽しみ!」

「なので大人の出入りが多くても、近づかないように。トイレ工事ですから匂いますよ」


 コビスは「うへぇ~、臭いのヤダ」と顔を顰めた。

 再び、全員を見回すカール先生。


「他に何かありますか?」

「あの……エリーゼ様と」

「マーデル!それ、あたしから後で説明するね!」

「うん、リッツお願い……アン姉が心配だから」

ーーー生徒に内緒コッソリ再現ENDーーー


 リッツから説明しているみたい。アンがモテる体をしているから、大人が変な気を起こさないように、エリーゼ達が守っているって。

 要は直球での説明だね。けど大人じゃ無くて、ルクルからお胸を守っているのだけどさ。


 子供たちに「夜中には怖い大人達ウロウロしてる」とカール先生が説明して、寮で大人しくするよう促していたよ。

 ブラック社畜王国だから、夜遅くまで皆は作業をしている。そこを確認させないように言いつけていた訳だけど、ブールボン王国からやってきた姉妹達は、不安で仕方なかったみたいだよ。

 ようやくタネ明かしができて、彼女達も安心して授業に参加している。


(にしてもさ!)


 ルクルの社畜王国体制はちょっとやり過ぎな気もしている。

 カール先生は夜間の授業も受け持っているんだ。インフラ整備が終わった今は、希望する大人達に夜間授業を行っている。

 大人も子供も等しく無料で授業を受けられるんだ。カール先生も黄金聖水を飲んで社畜をしているのさ。

 後日、文句言いに行ったよ。



「あー、その前にやるべき約束があるだろー?」



(え?なんかあったっけ?)



社畜プラントは順調です。

文句言いに言っても、話をすり替えられてしまいますから…無駄です(苦笑)


次回は「お迎えと転校生」です。

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 お邪魔しています。  ワド君人型形態でも空が飛べるんですね。前にどこかで紹介されてかもしれませんが、竜形態になって飛ぶ印象が強くて、飛行=竜 で記憶されてました。
[一言] 国歌です、打ち間違えました!
[良い点] 整地が2人はブラドラで伝わりますねw [気になる点] 黄金聖水って、エナジードリンクみたいなもんでしょうか? [一言] おぉ!国家ですか!どんなのになるか楽しみです!
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