五食目 群馬の鳥めし
2023年2月12日(日)昼ご飯 800円くらい
「これが、グンマーのソウルフード・鳥めし……!」
カリンは紙のパッケージを丁寧に外し、出てきた四角い弁当箱のふたを開けた。すると、香ばしい香りを漂わせる鶏肉と、三色の漬け物が現われた。
割り箸をパキンと割って、まずはメインの鶏肉をいただく。二種類乗っているうち、一口大のゴロッとしたほうから。
「ふむふむ。うまい」
お肉は柔らかく、炭焼きの香ばしさを感じる。だが何よりも、タレがいい。甘じょっぱいというか、甘辛くて、食が進む。
次にもう一種類の、薄くスライスされた鶏肉を口へ運ぶ。こちらも同じタレの味が染み込んでいるが、食感は異なるし、炭の香ばしさは抑え気味で、落ち着いた味である。
「うむ。こちらもなかなか」
しかしこの後、カリンは大きな勘違いをしていたことに気付くのである。
鶏肉の下からちらっと顔を出したご飯には、たっぷりとあのタレが染み込んで、茶色くなっている。きっと鶏肉の風味や旨味もいっしょに染み込んでいることだろう。まあ、きっとうまいであろうことは想像が付く。
だが、このご飯こそが、鶏肉をもしのぐ真のメインであった。
「んうぅっ♡!?」
ご飯、うまい……! うますぎる……! 鶏肉はカモフラージュだったのだ。これは鳥めしではなく、タレ飯だ!
「え? しかもご飯の量、めっちゃ多くない!?」
いつも食べてるお茶碗二杯分くらいある。たっぷりすぎる。しかも大部分に、下の方まで、たっぷりとタレが染み込んでいるのだ。だから結局、ぺろりと食べきってしまった。
このタレ、我が家に置いておきたい。




