一食目 猪豚チャーシュー麺
2022年12月29日(木)の昼ご飯です。大盛り無料だったので、うっかり大盛りにしてしまいました♡
「豚が輝いて見える……!」
運ばれてきたラーメンを見て、カリンは思わず目を細めた。一口では食べられないほど大きなチャーシューが4枚、ドンと真ん中に載っている。脂身が多く、いかにも柔らかそうだ。醤油味のスープに浮かぶ油の粒は、まるでチャーシューを彩るイルミネーションのように見えた。
年の瀬の山中を2時間も彷徨って辿り着いた店である。寒さと空腹で弱り切った体を店内の囲炉裏で温めながら、まだかまだかと待ち詫びていただけあって、ラーメンへの期待は並のものではない。
「いただきます……」
カリンはまずレンゲで湯気の立ち昇る焦茶色の醤油スープを救い、口に持っていった。熱く濃厚なスープが口の中にドッと流れ込むと、幸福感に満たされ、その幸福を丸ごとゴクリと飲み下す。――うまい。見た目ほどこってりはしておらず、さっぱりした味だ。
次に割り箸を割って、チャーシューをつかむと、案の定、柔らかくて、ぷるぷると震える。それをフーフーしてから一齧りすると、猪豚の旨味が口の中に広がった。炭火の香ばしさと塩気が、食うことへの欲求を加速させ、その旨味が口の中から消えないうちに、カリンはスープの中から太麺をさらい上げて、夢中で口に搔き込んだ。
歯ごたえのいい麺を咀嚼しつつ、再びレンゲを手に取って、さっぱりした醤油スープを流し込むと、チャーシューの脂身のこってり感をうまく取り去って、全てが一体となって胃へと落ちていった。
「……んぁぁっ♡」
カリンは軽く絶頂を迎えたが、その余韻の冷めやらぬうちに、手が勝手に動いて、次の一口を貪ろうとする。ただとにかく目の前の一杯を味わい尽くしたいという欲求に従って、カリンは無言で箸を動かし続けた。
「豚と猪豚の違いは分かんないけど、うまいわ。うん」