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第二部 VS氷取沢女学院 第二章 2

挿絵(By みてみん)



「整列っ!」



『さぁ主審の声を合図に、選手達が勢いよくグラウンド中央に駆け寄って行きます。


ここで両チームのスターティングメンバーを確認しておきましょう』





先攻 鶴川高校


一番 センター   猫又 ののあ  (一年生 右投左打)

二番 セカンド   東郷 海帆   (一年生 右投右打)

三番 サード    千葉 穂澄   (一年生 右投右打)

四番 キャッチャー 南 奈月    (一年生 右投右打)

五番 ライト    松本 梓    (一年生 右投左打)

六番 ショート   風見 雅    (一年生 右投右打)

七番 ピッチャー  秋月 陽菜   (一年生 左投左打)

八番 ファースト  笹川 喜美   (一年生 右投右打)

九番 レフト    服部ビビアーノ (一年生 右投右打)





後攻 氷取沢女学院


一番 キャッチャー 川島 菫   (三年生 右投右打)

二番 ライト    神那 美央  (二年生 右投左打)

三番 ファースト  金子 彩芽  (二年生 右投左打)

四番 レフト    桜田 あざみ (二年生 右投右打)

五番 サード    亜麻根 玲子 (二年生 右投右打)

六番 センター   蓮 環    (二年生 右投左打)

七番 ショート   田中 絵里香 (二年生 右投右打)

八番 セカンド   萩原 純   (二年生 右投右打)

九番 ピッチャー  橋本 椿   (二年生 右投右打)





『試合前の挨拶を終え、後攻の氷取沢女学院の選手がそのまま守備についていきます。


大矢さん、いよいよ始まりますね』


『はい。どちらも悔いの残らないよう頑張ってほしいですね』


『泣いても笑っても一発勝負の県大会!


その準々決勝第一試合、鶴川高校 対 氷取沢女学院……審判が右手をあげ、


今プレイボールです!』






「さぁ~て、今日もガンガン塁に出るニャ~」


先頭打者であるののあが左打席に入る。すると同時にファーストとサードが前進してきた。



『こ、これはどうしたことでしょう。内野の二人がピッチャーよりも前に出てきましたが……』


『バントシフトですね。猫又さんは一、二回戦で何度もセーフティーバントを成功させて


いますので、その対策でしょう』



よく見ればセカンドもすぐにベースカバーへ入れるようにするためかファースト寄りに。


その為に生まれた穴をカバーするために、センターも定位置よりライト寄りに守備を敷いて


いた。



『ですがこれは少し前に出すぎじゃありませんか?もしバントじゃなくて打ってこられたら、


まず捕れないと思いますが……』


『それだけ猫又さんの足を警戒しているのでしょう。セーフティーバントだけは絶対に


阻止して、もし後ろに抜けてしまったら仕方ないという考えか……。もしくは何かこの極端な


シフトを敷けるだけの自信があるのかもしれませんね』



文代の解説通り、氷取沢には確かな勝算があってのバントシフト――いや、ののあシフトで


あった。


(この子がここまでの試合で出塁したのは、セーフティーバントかぼてぼてな当たりからの


内野安打のどちらか……。


一度だけファールでいい当たりをしてるけど、その時の球はストレートだった)


打席で露骨に嫌そうな顔をしているののあを見上げながら、菫は椿へとサインを送る。


(これまでの打席を見てすぐに分かったけど、野球を始めて日が浅いのでしょうね。


だから追い込まれるまでは、打つのが苦手な変化球にはバント以外では絶対に手を出して


こない)


今大会の鶴川の試合から解析したデータ通り、セーフティーバントを封じられたののあは


二球続けてのカーブをどちらも見送り、あっさりと追い込まれてしまう。


(追い込まれれば当然バットを振ってくるでしょうけど、椿のこの球なら――)


三球勝負で選択した最後の球。アウトコース低めギリギリへ斜めに沈みながら、


さらにののあから逃げていくように曲がるシンカーにバットが空を切った。


『三球三振~~!氷取沢女学院の先発、橋本 椿さん。まずは先頭打者を完璧な内容で


仕留めてみせました!』


「良いわよ椿!ナイスボール!」


菫からの返球を受け取り、褒められた椿がマウンド上で顔を緩ませる。そして右肩を


ぐるぐると回しながら、自身の調子を再確認していた。


(うん、今日は変化球が良い感じによくキレる。あたし絶好調じゃん!)


それだけではない。その上で、しっかりとコントロールも出来ている。


サイドスロー投手の多くがそうであるように、椿も制球力には定評がある。


しかし変化球がキレすぎると制御しきれず、コントロールを乱す傾向もあった。


今日はそこまではいかず、しかし制御可能な上限ギリギリのライン。これだけ調子が良いのは


去年の決勝戦以来かもしれない。


球が思い通りのところに行けば、当然気分だってノッてくる。


それは投球のテンポを良くし、打者へはより強いプレッシャーとして襲いかかっていった。



『二者連続さんしーん!最後のはスライダーでしょうか?』


『ええ、スライダーですね。外・内ときて、最後は右打者の東郷さんからは一番遠く感じる


外の低めへの変化球。教科書通りですが、だからこそ最も効果的な攻め方でしたね』


『たった六球でツーアウト!しかもその二つとも三振という、今のところ文句のつけようが


ないピッチング!


これが名門と呼ばれるチームでエースナンバーを背負う者の実力でしょうか!』



「ツーアウト!気を抜かずにいきましょう!」


バントシフトを解き、守備位置を元に戻していくチームメイトに菫は声をかけ、


ここまで全て予定通りの展開に手応えを感じていた。


ののあさえ塁に出さなければ、海帆はただバントが上手いだけの二番。


セーフティーバントさせ警戒したままにしておけば、今のように取るに足らない打者で


しかない。


むしろ、問題はここからだ。


鶴川打線のクリーンナップ。その中でも特に注意しなければならない、打席に向かって歩いて


くる穂澄と、ネクストバッターズサークルに入った奈月の二人を横目で見ながら、菫は自身の


気も引き締める。


(ここからはボールカウントも使って、さらに厳しく攻めるわよ)


自分へと視線を戻してきた菫から以心伝心でそのメッセージを受け取った椿は、マウンド上で


一段と大きく右肩を回しながら頷いた。



【続く】

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