精霊さんと異文化
・ この物語はフィクションです。
・ 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
・ 登場する地名、固有名詞等は全て架空のものです。
※ タイトルに「刑事」とつきますが、基本的に事件は発生せず、
推理要素もありません。
※ 内容的には日常路線・・・・・と思います。
食事の片づけを終えてリビングに戻ると、精霊様が漫画本にかじりついていた。
某グルメ漫画。
内容がわかるのか疑問に思って尋ねてみると、
「文字が読めないけど、興味深い」
とのこと。
そうか、精霊パワーでも文字までは読めないのか。
すごく熱心に見ているが、漫画に対する興味というよりは異世界文化に対する
興味という感じなんだろうか?
内容がわからない漫画よりもこちらの方がいいかなと思って、某スタンダード
オブスタンダードアニメのDVDを再生してみたら、すごい勢いでテレビの画
面に喰いついた。
一瞬、こちらに説明を求める様な視線を送ってよこしたが、すぐに視線を
画面に戻し、僅かたりとも見逃さないというような表情で見入っている。
「夢中」ということはこういうことさ。
さすがスタンダードオブスタンダード。
のっけから引き付けるんだよな~。
こりゃもう終わるまでちょっかいだせないよ。
そうして精霊さんがアニメに夢中な間に、風呂に入って寝床の準備を
済ましてしまった。
精霊さんたちの寝床は物置にしていたフローリングの5畳間。
布団と毛布を何枚か置いとけば大丈夫でしょ。
準備が整ってリビングに戻ると、アニメはちょうどクライマックスシーンだった。
驚いたことに、夢中になって見ていたのは精霊さんだけではなく、霊獣様もテレ
ビの前でガン見状態だ。
なんとも非日常的なシチュエーションに苦笑いしながら椅子に腰かけた。
『ホント変なことになったもんだ』
アニメに夢中な精霊さんを眺めながら独り言ちる。
精霊及び霊獣との同居。
目の前に存在しているリアルな光景が、あまりにも胡散臭すぎてリアル感が
感じられないというかなんというか・・・・・・・・。
非現実感丸出しの現実。
なんにしても流れでこういう状況になってしまったのだ。
なるようにしかならない。
今までの「飯食って、仕事行って、寝る」だけの日々よりは面白くなるのでは
ないだろうか。
そんな淡い期待を抱いている自分自身のそこはかとない滑稽さに、思わず声を
出して失笑してしまい、精霊さんと霊獣様から怒りのこもった目で睨まれた。
「ス、ス、スミマセン」
・・・・・・・・果たして仲良くやっていけるだろうか?
御閲読いただきありがとうございます。